ヤンキースからFAとなっていたRafael Soriano投手と2年2800万ドル(加えて2年間で120試合以上の終了時の投手となった場合(game finished)3年目1400万ドルが自動的に発動されるオプション付き)で契約することに合意しました。
ドミニカ出身の33歳のブルペン右腕。マリナーズ、ブレーブスで中継ぎ投手として活躍した後、2009年12月にトレードでレイズに移籍し、クローザーとしてリーグトップの45セーブ、防御率1.73の好成績で地区優勝に貢献。そのオフにFAとなりヤンキースと契約。1年目はMariano Riveraにつなぐセットアッパーを務めましたが、昨季は開幕前にRiveraの故障離脱したことによりクローザーを務め、42セーブ、防御率2.26としっかり結果を残しました。ヤンキースとの契約では、2013年も年俸1400万ドルで残留することが可能でしたが、Soriano側が離脱(opt out)条項を発動し、150万ドルを受け取った上でFAとなっていました。
Yahoo!のJeff PassanのFAランキングでは全体11位、ブルペン投手ではRiveraに次ぐ2位と、かなり高く評価されていましたが、ヤンキースから提示された約1300万ドルの1年契約を拒否していたため契約すればドラフト指名権を失うことになるということで多くの球団が二の足を踏み、なかなか契約がまとまっていませんでした。
そこに、これまで噂にも上がらなかったナショナルズとの契約合意の報。第一印象は「高い」「ドラフト指名権失う」ということで、いい印象を受けませんでした。
ですが、金銭面の詳細が明らかになると多少は納得。2800万ドルのうち、1年目、2年目に支払われるのは各700万ドルのみ。残りの1400万ドルは2018~25年に支払いが繰り延べられており、これを加味して現在価値に直すと、平均年俸は1200万ドルを切るそうです(しかしいろんな契約があるものです)。それでもまだ高いと言えば高いですが、実績のある支配的なクローザーを33歳と34歳の2シーズンという短い契約期間で獲得できたのは評価していいと思います。そういう意味では、やはり市場価値よりは安いと言えるでしょう。
ドラフト指名権については・・・・ひたすら残念。1順目指名権を失い、補償ピックが挟まり、2順目の一番最後ということになりますので、2013年ドラフトにおけるナショナルズの最初の指名は全体60位台となってしまいます。指名権について来るスロット金額も縮小してしまいますので、実質的に今年のドラフトは眺めているだけとなりそうな気配です。
Sorianoに期待されるのは、もちろんクローザーとしての役割。しかし、ナショナルズには既にDrew StorenとTyler Clippardという実績のある2人がいます。Storenはデビューした2011年にクローザーとしての地位をほぼ固め、昨季もヒジの故障で出遅れこそしたものの9月には素晴らしい投球でがっちり信頼を得ていました。最後の最後であんなことになるまでは・・・。ClippardはそのStorenの不在の間に32セーブを記録する活躍ぶり。Sorianoがいなくても十分だったはずです。それでも補強をした理由は故障への懸念に尽きるでしょう。故障が多いといわれるブルペン投手にあってClippardが3年連続で70試合以上に登板し高いパフォーマンスを続けてきたことは奇跡に近いといわざるを得ません。そろそろ勤続疲労が出てきても不思議はない。Storenは現に昨季前半を棒に振りましたし、またあの敗戦から精神的に立ち直っているという保証もありません。この2人の後にもRyan Mattheus、Christian Garciaとクローザーが務まりそうな投手も揃っていますが、保険は何人いてもいいというのがブルペンです。もちろん、Soriano自身が故障する可能性もあるわけですが・・・。いずれにせよ、長いシーズンを戦っていくに当たって層が厚いに越したことはありません。理想は、StorenとSorianoがクローザーの地位を分け合い(調子に応じて)、Clippardも含めた3人でセットアッパーを回していくことでしょう。そうすれば各投手の投球回数をあまり増やすことなくシーズン終盤までいけるはず。まあ、そんな簡単なはずはありません。ClippardかStorenがトレードされるという噂もありますが、(繰り返しますが)何人いてもいいのがブルペン投手。トレードなんて必要ないと思います。
現時点でのブルペン構想はこの通り。右投手ばかりですが、Johnson監督はイニング途中で左対左に強くこだわって打者1人だけと対戦して交替させることはあまりしませんので、力があれば右も左も関係ありません。気にすることはないでしょう。
Drew Storen, R
Rafael Soriano, R
Tyler Clippard, R
Ryan Mattheus, R
Craig Stammen, R
Zach Duke, L
Christian Garcia, R (Garciaには先発転向の噂あり。本当ならHenry Rodriguezがラストチャンスを与えられるか、あるいはマイナー契約の左腕Bill Brayにお鉢が回ってくるかもしれません)
7 件のコメント:
2年間で120試合とは大きく出ましたね(笑)
これ実際無理でしょ!!それにしても面白い
なー、割引現在価値を出すなんて。アメリカの金利も安いはずなのに200Mも変わるのですね。
有明ハーパーさん
しかも登板数ではなく、game finishですから。事実上3年目はないと思って間違いありません。もし達成してくれたら、それはそれで十分お釣りが来ます。
割引現在価値については、どういう計算をしているのか分かりません。そういう記事を見たという伝聞でしかないので、あまり突っ込まないで下さい(汗)。
Morseトレード決まりましたね。即戦力との交換に当ててくるかなと思ってたけど。
AJ Coleは出戻りですね。少し評価は下がったかもしれないけど、Alex Meyerを出したところだし、High Ceilingな選手なので、取り戻せて良かったですね。でも若いProspectが出戻りって珍しいですね~。
BOSもMorseを狙っていたけど、見返りが高すぎたとか。この前ウチのブログでこの話題でコメントしていただいていたので、参考までに。
http://fullcount.weei.com/sports/boston/baseball/red-sox/2013/01/16/source-red-sox-had-interest-in-michael-morse-but-price-was-too-steep/
3角トレードですか。
一見すると損にも見えますが、GMが確か先発の
prospectが欲しいって言っていましたから
成功なのかなー。
左のブルペンは獲得なしで終了っぽいですね。
ララさん
即戦力よりもSorianoの獲得で失ったドラフト指名権分を取り返したということで、これで良かったと思います。個人的には大満足です。ちょっと気になるのは、投手プロスペクトの育成では定評のあるA'sが簡単に手放したという点ですね・・・。ともかく、投手プロスペクトの層が厚くなってほっとしました。
有明ハーパーさん
私の評価は別記事をご参照下さい。メジャーのロースターだけ見るのと、マイナーのロースターまで見るのとで評価は変わってくると思います。また、こうしたトレードの評価が難しいのは、長い目で見なければ分からないということです。まさか、LangerhansとMorseの2009年のトレードがこのような結果になるとは全く予想できませんでしたから。本当の評価は、3、4年後今回ナショナルズが獲得した投手たちがどう育っているかを見てからということになるでしょう。
左のブルペン投手を獲得する可能性はかなり低いと思います。あってもマイナー契約でしょうか。
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