2018/10/30

2018ポジションレビュー(終):ブルペン投手編

シーズンレビューシリーズの最終回は、ブルペン投手編です。

とにかく故障に見舞われロースター異動が多かったのがブルペンでした。総勢22人がリリーバーとして登板(先発がメインの投手を除く。)。2016年、2017年はいずれも20人未満でしたから、2018年の異常さが分かります。

開幕時のブルペンは、Sean DoolittleShawn KelleyRyan MadsonBrandon KintzlerMatt GraceSammy SolisTrevor GottEnny Romeroの8人。昨シーズンの実績からするとそれなりに頼りになると期待されていました。

ところが、このうちシーズン終了時点でチームに在籍していたのはDoolittle、Grace、Solis、Gottの4人のみ。しかも、SolisとGottの2人は防御率5点を上回る残念なシーズンに終わりましたので、期待通りの結果を残したのはDoolittleとGraceのみということになりました。そのDoolittleにしても、数字上は防御率1.60で25セーブという好成績でしたが、勝負時となった7月から9月にかけての約2カ月DL入りで戦列を離れていましたので、そういう意味では期待外れでした。Graceにしても同じく4月から6月にかけて約2カ月のDL入りがありました。

Kelley、Madson、Kintzlerの3人はセットアッパーとして期待され、実際、シーズン序盤は貢献してくれていましたが、登板過多の影響もあってか次第に調子を崩し、また、ベンチを批判したといった噂もあって、いずれも夏場にトレードされていきました。

そういう事情でマイナーから呼び寄せた投手によるパッチワークが求められることになりましたが、全くの期待外れで短期間でDFAされり、故障したりした投手もいた中、Justin MillerWander Sueroの2人はよく頑張りました。5月中旬にメジャーに上がってきたMillerは31歳のジャーニーマンでしたが、突如開眼した感じで、後半戦は大事な場面で起用されることが増えました。生え抜きのSueroは5月上旬にメジャーデビューを果たした後、ロースター事情でAAAとの間を行ったり来たりのシーズンとなりましたが、しっかりと結果を残し、期待を高めています。

シーズン終盤にはルーキーのJimmy CorderoAusten WilliamsKyle McGowin、それに肩の故障から戻ってきたKoda Gloverにも登板機会が与えられましたが、好投したのはGloverくらい。

来季に向けてですが、確実に期待されているのは、Doolittle、Grace、Miller、Suero、Gloverの5人でしょう。クローザーはDoolittleで確定ですが、少なくとも1人はセットアッパーの務まる実績のある投手を補強するものと見込まれます。また、左がGraceだけという訳にもいきませんので、1枚くらいは加えるでしょう。

最後に、Dave Martinez監督の采配の酷さが露骨に出たのがブルペンの起用法だったことを追記しておきたいと思います。上で書いたようにベテランのセットアッパー陣には極めて評判が悪く、内紛も起きていたようですし、シーズン中にはSolisも起用法に不満を述べている記事を読みました。調子がいい投手を連投させて潰し、次に調子が良い踏襲にしわ寄せしてまた潰し、を繰り返していたことは否定できないでしょう。この点は、絶対に猛省を促したいですね。

2018/10/29

Kyle Barracloughをトレード獲得

少し前のことになりますが、10月10日に、マーリンズからKyle Barraclough投手をトレードで獲得したことが発表されました。ポストシーズンが行われている最中にトレードが成立することは極めて珍しいので驚きました。対価は海外選手との契約に使えるボーナス枠。

28歳のブルペン右腕。2015年のデビュー以来、通算227試合に登板し、3.21/1.299、奪三振率11.5と好成績を残しています。武器は90マイル台後半の速球。奪三振率はかなり高い。課題は制球力。今シーズンは開幕からセットアッパーとして素晴らしいピッチング。ただ、6月にはクローザーを任された後、オールスターを過ぎた頃から打たれ始め、シーズン終盤には中継ぎに戻っていました。

ナショナルズではクローザーにはSean Doolittleがいるのでセットアッパーに専念させることができます。いいときの状態で貢献してくれることを期待。なお、今季が年俸調停2年目で、あと3シーズン保有権があります。

2018 ポジションレビュー:先発投手編

圧倒的な強さを見せたレッドソックスが4勝1敗でドジャーズを降し、ワールドシリーズは幕を下ろしました。延長18回での敗戦の翌日に、7回以降に4点差を逆転できるチームってのはなかなかありません。そして最終戦は、Clayton Kershawから3本のホームランを打ってリードを奪い、8,9回は6者三振で締めくくる圧巻のフィナーレ。いやはや久しぶりに「強いチーム」を見せてもらいました。

さて、ポジションレビューシリーズもいよいよ終盤。本日は先発投手編です(次のブルペン投手編で終わります)。

開幕ローテーションは、Max ScherzerStephen StrasburgGio GonzalezTanner Roark、そしてオプション切れで仕方なく、というわけではなくスプリングトレーニングんできちんと結果を出したA.J. Coleでした。

しかし、最初に外れたのはColeでした。2度の先発で結果を残せず、4月下旬に早々にDFA。長年プロスペクトとして期待されてきましたが、大成できないまま残念な退団となりました(ヤンキースに移籍した後はブルペン投手としてまずまずの結果を残しましたが、ポストシーズンのロースターには入れず)。

代わってローテーション入りしたのはJeremy Hellickson。5月はHellicksonを含めた5人が5人とも文句の付けようがない好投を続け、チームの好成績を支えました。

ところが、6月に入ってHellicksonとStrasburgが相次いでDL入りすると状況は一気に悪化。2人に代わって先発機会を与えられたJefry RodriguezErick Feddeはいずれも結果を残せませんでした。この層の薄さが結局シーズンの行方を左右したた大きな要因の1つとなりました。

また時を同じくしてRoarkとGioも調子を崩してしまいました。特にRoarkは、シーズン序盤に好投しながら打線に全く援護してもらえない試合が続くうちに自分のピッチングを見失ったという印象で、見ていて可哀想に思う程でした。シーズンを通じてローテーションを守ったものの、9勝止まり。15敗。防御率は4.24とよくありませんが、WHIPは1.281ですから例年と比べても遜色ありませんので、いろいろと運がなかったという感じです。

Gioもローテーションを守り続けましたが、調子が上がらないまま8月末にブリューワーズにトレードされていきました(トレード時の記事参照)。ブリューワーズに行ってからは5試合に先発して3勝、防御率も2.13と好投。ポストシーズンではやはり結果を残せませんでしたが・・・。

Hellicksonはその後さらに2度DL入りし、結果的には19先発。防御率だけみれば3.45とScherzerに次ぐ数字を残しただけに、もう少し健康ならと残念です。オフにFA退団。

5月にDL入りしたStrasburgは7月にいったん復帰しましたが、1度の先発ですぐDLに逆戻り。右肩の痛みということで長期離脱の事態も予想され、心配しましたが、8月下旬に復帰し、シーズン終了までまずまずのピッチングを続け、なんとか2桁勝利にこぎ着けました。ただ、球速は戻っておらず、来季に向けて不安は残ります。

9月になってマウンドに戻ってきたのがJoe Ross。3試合の先発で2敗、防御率5点台の結果は決して良いものではありませんが、しっかり球威が戻っていたので、来季に向けて一定の期待感を持たせてくれました。

そんな中で孤軍奮闘したのがScherzer。詳細はチーム投手MVPの記事をご参照ください。

来シーズンもMax Scherzer、Stephen Strasburg、Tanner Roarkの3人はローテーションで開幕することは確実ですが、Strasburgには健康面の不安があり、32歳となるRoarkも成績が低下する懸念があります。さらに、4番手以下の候補となるJoe Ross、Erick Fedde、Jefry Rodriguezはまだまだ信頼できません。5番手は3人に競わせるにしても、1人足りません。

オフには、少なくとも1人はトップレベルの先発投手を獲得することが必要でしょう。Clayton Kershawがドジャーズからオプトアウトしたら狙ってもいいと思うのは私だけでしょうか?

2018/10/27

2018 ポジションレビュー:右翼手編

WS第3戦は、延長18回、7時間を超える激闘の末にドジャーズがサヨナラ勝ち。歴史的なすごい試合でしたね。レッドソックスが2勝1敗とリードしてはいますが、単純に2勝分の価値がありそうな1勝。明日の1戦は大事になりそうです。

さて、今日は野手編の最後でライト。

開幕のレギュラーは、とうとうFA前最終年となったBryce Harper。開幕直後は絶好調でとんでもない成績を残してFA戦線に出るかと思われましたが、4月17日から突然のスランプに陥り、以降オールスターまでの打率は2割にも届かない惨憺たる結果。それでも地元ワシントン開催のオースルターには選出され、ホームランダービーで優勝すると、ここから調子を上げ、後半戦の打率はちょうど3割。ホームランも量産し、四球はリーグ最多。終わってみれば、.249/.393/.496、34本塁打、自己最多の100打点を記録して終了。FA戦線に出るには「悪くない」数字となりました。なお、守備位置は、Juan Sotoの台頭、Michael Taylorの打撃不振という状況の中でセンターを守れないAdam Eatonが復帰/打撃好調だったため、Harperがセンターにも入りましたが、やはり無理していたように見えましたので、再契約してもセンターが定位置となることはないでしょう。

レフトとして開幕したものの、7月に故障から戻ってみればJuan Sotoにポジションを奪われていたAdam Eatonが後半戦のライトを守りました。出場すれば結果を残すEatonは今季も健在。370打席にとどまったものの.301/.394/.411の結果はリードオフとしては十分なものでした。

もちろんHarperの去就が最大の注目です。Harperが再契約すれば、当然ライトでレギュラーとなります。仮にHarperと再契約できない場合ですが、能力的にはEatonで十分です。問題は健康面。2年続けて長期離脱したことを踏まえると、何の備えもなくという訳にはいかないでしょうから、それなりに力のある外野手の補強に走るものと思われます。

2018/10/24

2018 ポジションレビュー:中堅手編

WS第1戦はChris SaleとClayton Kershawの両エースのガチンコ対決で見応えがありました。勝負の分かれ目は同点とされた直後、5回裏のMookie Bettsの打席だったでしょうか。

さて、本日のポジションレビューはセンターです。

前年の活躍が評価され、センターのレギュラーとして開幕したMichael Taylor。守備は相変わらず超一級でしたが、いかんせん打てませんでした。6月中旬にレギュラーを外されるまで打率はずっと2割前後の低空飛行。その後、Bryce Harperと併用されながら次第に出場機会を減らし、9月になるとVictor Roblesが昇格してきたことで先発出場はわずか2試合。Harperの去就に左右されるところもありますが、来季の構想からは外れている可能性が高そうです。

9月にはRoblesが10試合に先発出場。出場機会が増えるごとに調子を上げ、最終的には66打席で.288/.348/.525、3本塁打、3盗塁。守備にはまだ不安を残しましたが、来季の開幕レギュラーとして期待できる内容でした。

来季のレギュラーはRoblesでいいと思います。仮にRoblesをトレードで出せば、現状での候補はTaylorかAndrew Stevensonとなりますが、どちらもレギュラーには弱いと判断されているはず。新たにセンターを獲得しにいくのはかなり大変であり、Roblesを放出する選択肢はないでしょう(そう思いたい)。TaylorもStevensonも守備はいいので控えには適役ですが、2人とも残留という可能性は低いのではないかと思います。出すとすれば、実績があり、年俸調停最終年となるTaylorが有力か。Harperと再契約することになればなおさらです。

2018/10/23

2018 ポジションレビュー:左翼手編

いよいよ明朝からワールドシリーズですが、淡々とポジションレビューを続けます。本日はレフト。

開幕はAdam Eatonでしたが、一週目に足首を痛めてDL入り(そのまま2カ月離脱)。スプリングトレーニングで好調だったMoises Sierraや、本来は内野手のMatt Adamsを試しましたが、上手くいかず。

5月20日、19歳のトッププロスペクトJuan Sotoが、Harrisburg(AA)から飛び級昇格してメジャーデビュー。すぐに打撃で非凡なものを見せ、レフトのレギュラーに定着しました(詳細はチーム新人王の記事参照)。

守備力に難のあるSotoなので来季もレフトのレギュラーとして起用されることでしょう。今季のEatonの離脱は確かに痛かったものの、Sotoのブレイクに道を開いたことで長期的には良かったと言うことができるようになるかもしれません。

2018/10/22

2018 ポジションレビュー:三塁手・遊撃手編

第7戦までもつれ込んだNLDSは敵地でブリューワーズを降したドジャーズが制し、2年連続のナ・リーグ優勝、ワールドシリーズ進出を決めました。最終戦では、Kenley Jansenを7回途中から投入し、9回にはClayton Kershawがクローザーとして登板。ナショナルズが敗れた2016年のNLDS第5戦を思い出しました。

ドジャーズとレッドソックス。私にとっては今やナショナルズに次ぐ存在とはいえ、最初に応援した球団(ドジャーズ)と次に応援した球団(レッドソックス)の対戦。楽しみです!

さて、ポジションレビューの続きですが、今日はどちらも簡単に書けるので三塁手と遊撃手をまとめて書きます。あまり書くことがないというのはいいことです。

【三塁手編】
Anthony Rendonが攻守でしっかり貢献してくれました。4月に自打球を当ててDL入りしましたが、5月に復帰した後はほぼフル出場で計135試合に先発。打率.308はキャリアハイ。24本塁打は前年の自己最多に1本足りませんでしたが、44二塁打はリーグトップ。特に後半戦は、.336/.400/.546とMVP級の活躍でした。

来季がRendonのFA前最終年。代理人がScott Borasなのでなかなか難しく、また、Bryce Harperとの交渉が優先すると思われますが、オフには契約延長の交渉も行われるはず。せめてどちらかは上手くまとめてほしい。

【遊撃手編】
途中出場も含めれば全162試合にフル出場したTrea Turner。全試合出場は、2007年、当時22歳だったRyan Zimmerman(三塁手)以来、ワシントン移転後2人目の快挙です。遊撃手として158試合に先発したのも、2013年のIan Desmondに続く2人目。1番か2番で起用されることも多くリーグ最多の740打席とフル稼働。.271/.344/.416、19本塁打、103得点、73打点はショートのレギュラーとしては十分過ぎる数字です。そして、最大の武器である足で43盗塁を記録し、リーグ盗塁王となりました。

来季もTurnerが不動のレギュラー。未だ年俸調停前で少なくともあと4年は在籍見通しと。ただ、全体でもトップ100に入るプロスペクトのCarter KieboomがAAまで上がってきており、現在参加中のアリゾナ秋季リーグでは二塁も守っているとの話。どちらかを二塁手か外野にコンバートするのか、あるいはトレードバイトにするのか、難しい(贅沢な)悩みとなります。

2018/10/19

2018 ポジションレビュー:二塁手編

ALCSはレッドソックスが4勝1敗で勝ち上がりを決めました。第5戦では、ポストシーズンに入ってから結果を出せていなかったDavid PriceとCraig Kimbrelも好投し、レギュラーシーズン108勝の強さを見せつけました。アストロズのワールドシリーズ連覇はならず。

さて今日は二塁手編。

前年までのレギュラーDaniel Murphyは、オフに受けた膝の手術からの回復が間に合わず、開幕レギュラーは2年の再契約を結んだベテランのHowie Kendrick。5月中旬までのチーム44試合のうち32試合で先発し、.303/.331/.474と期待を上回る働きを見せていました。が、好事魔多し。5月19日の守備で右アキレス腱断裂の重症を負ってシーズン終了。残念過ぎました。

Murphyは6月中旬にようやく復帰。最初の1か月は打率2割前後と低迷しましたが、7月10日からカブスにトレードされるまでの33試合では打率.360と本来の姿を取り戻しました。そんな好調のMurphyを手放さなければならかなかったというところに今季のナショナルズの無念が凝縮されているように感じるトレードでした。

で、棚ぼた式に二塁手として最も多い出場機会を得たのは、84試合に先発出場のWilmer Difoでした。ただ、途中出場や他のポジションを含めて148試合、456打席を与えられて.230/.298/.350、7本塁打、10盗塁という数字はレギュラーとしては弱い。打率は低くても、せめてマイナーでは発揮していた長打力があれば良かったのですが。

KendrickとDifoは来季も残留なので2人の併用でもいいかもしれませんが、35歳になるKendrickには健康面の不安は残ります。思い切ってレギュラー二塁手の獲得に動く可能性もあります。

2018/10/17

2018 ポジションレビュー:一塁手編

NLCS第4戦、2度目の先発機会を与えられたGio Gonzalezでしたが、初回いかにもGioらしいぐだぐだのピッチングで25球を要しながら1失点。2回のマウンドにあげてもらった時点で少し驚いたのですが、先頭打者にシングルを打たれたところでなんと足首をひねっての負傷退場。さすがにもうお役御免と思われますが、Craig Counsel監督は意外な起用をしてくるので足首の状態によってはまだチャンスはあるかも。

さて、今日はポジションレビューの第2回、一塁手編です。

2017年に見事な復活を遂げたRyan Zimmermanでしたが、33歳となった今シーズンは、開幕先発を果たしながらまたも故障に悩まされ、先発出場は72試合。.264/.337/.486、13本塁打、51打点という悲惨というほどではないものの残念な結果に終わりました。左投手は.377/.476/.667とよく打ったのに対し、対右投手になると.228/.289/.429と明らかに苦戦しており、仮に健康を維持したとしてもプラトーン起用が現実的になってきました。

今季、左の大砲として前半戦に活躍してくれたのがMatt Adamsでした。ファーストだけでなくレフトなどでも出場し、トレードされるまでの94試合で.257/.332/.510、18本塁打の立派な成績。Adamsがいなければこのチームはもっと早くに戦線から離脱していたことでしょう。前半戦の功労者でした。シーズン後半には、Zimmermanが離脱している間を中心にMark Reynoldsが出場機会を得ました。穴は多いものの長打は魅力で13本塁打、40打点はさすが。オフにFAとなります。

さて、オフにはZimmermanとプラトーンを組む左打者の補強に向かうものと思われますが、限られた役割を期待しての補強というのはなかなか難しいもの。さて、どうなりますか。

2018/10/13

2018 ポジションレビュー:捕手編

NLCSの初戦、ブリューワーズの先発がGio Gonzalezとは驚きました。2回1失点で代えられてしまいましたが、最低限の仕事はしたと言えるでしょう。その後チームも勝ったし、次の登板も楽しみにしましょう。

さて、シーズンレビューに続いて、ポジションごとに2018年シーズンを振り返り、オフの展望を考えていきたいと思います。

最初は捕手から。

開幕戦のレギュラーは前年残念なシーズンに終わったMatt Wieters。スプリングトレーニングでは良かったのに、開幕2試合でDL入り。復帰したものの5月にまたDL入りし、復帰したのは7月。結局76試合の出場にとどまり、.238/.330/.374、8本塁打と前年以上に残念な結果となりました。FA退団予定。

Wietersの離脱により開幕3戦目にしてメジャーに昇格したPedro Severino。元々評価の高かった守備力に加え、当初はバットでも結果を残し、このままレギュラー捕手として将来にわたって活躍してくれるかと期待させましたが、5月中旬以降は打撃が急降下。約2カ月間で100打席以上に立たせてもらって打率は辛うじて1割を超える程度。原因はよくわかりませんが守備でも精彩を欠くようになり、ついに7月9日にマイナー降格。9月昇格でも出場機会はあまり与えられず、長期的な正捕手にという期待は白紙に戻ってしまいました。今シーズン残念だったことはたくさんありましたが、その中でも大きな失望の1つです。

代わって評価を上げたのがSpencer Kieboom。40人枠外で開幕凍ましたが、5月のWietersのDL入りに際して昇格すると、もっぱら控え捕手としてでしたが、シーズン終了までメジャーに帯同。特に9月には13試合で先発マスクを被り、42打席で.333/.429/.500、2本塁打とバットでも結果を残して評価を上げました。来年の春には控え捕手を堂々と争う存在。「Carter Kieboomの兄」ではなく、自身もれっきとしたメジャーリーガーとなりました。

正捕手(とできれば控え捕手)の獲得は、FAかトレードかはともかくナショナルズのこのオフの最優先課題の1つとなります。

2018/10/10

2018シーズンレビュー4: チーム新人王 Juan Soto

Craig Kimbrelがばたばたしましたがレッドソックスがヤンキースを破り、リーグ優勝決定戦の4チームが出そろいました。シード上位が順当に勝ち上がっています。

さて本日はチーム新人王です。言うまでもありませんね。

前年までにメジャーデビュー済みながらルーキー・ステータスを持っていたのは、
Pedro Severino
Koda Glover
Adrian Sanchez
Andrew Stevenson
Erick Fedde
Austin Adams
Victor Robles
Rafael Bautista
Spencer Kieboom
の9選手。

加えて、
Juan Soto
Kyle McGowin
Wander Suero
Austen Williams
Jimmy Cordero
Austin Voth
Jefry Rodriguez
の7選手が今季デビューを果たしましたので、計16人のルーキーがプレーしました。これは近年の例からするとかなり多い数字。特に投手陣が6人もデビューせざるを得なかったというのは、苦しかった証拠と言えるでしょう。 

うち、野手のルーキー資格である130打席をクリアしたのは Soto、Kieboom、Sanchez、Stevenson、Severinoの5人。投手の50投球イニングをクリアしたのは、Glover、Fedde、J. Rodriguezの3人。Sueroが47回2/3とぎりぎりでルーキーのままです。

チーム新人王はもちろんJuan Soto。開幕時はPotomac(A+)に所属するプロスペクトでしたが、あれよあれよと昇格し、5月20日にメジャーデビュー。すぐに打撃で非凡なものを見せ、レフトのレギュラーに定着しました。数々の素晴らしい数字を残し、22本塁打は10代の選手としてはBryce Harperと並び史上2位となりましたが、特に注目すべきは出塁率.406。Bryce Harperでもこの数字を超えたのはキャリアで2度だけという数字です。押しも押されぬスーパースター候補となりました。

Juan Soto (2018 Season for Nationals)
116G 494PA 77R 22HR 70RBI .292/.406/.517 5SB 

その他の野手では、Roblesが頑張りました。シーズン序盤での大怪我でSotoに置いて行かれた感のあったRoblesでしたが、9月にメジャーに戻ってくると、わずか21試合ながら3本塁打を放ち、.288/.348/.525、3盗塁と結果を残しました。Bryce Harperの去就ともかかわってきますが、来季(の新人王)への期待が高まります。

投手陣で目立ったのはリリーバーの Suero。Syracuse(AAA)で開幕し、5月にメジャーデビュー。以降、40試合に起用され3.59/1.217、高い奪三振率も含めて好成績を残し、期待感を高めました。この他、肩のリハビリから8月に復帰してきた Gloverが21試合で防御率3.31と頑張ったことも来季に向けていいニュース。先発陣では、Fedde、J. Rodriguezの2人に多くのチャンスが与えられたものの、(好投した試合もありましたが)まだまだ課題を感じさせました。

2018/10/09

2018シーズンレビュー3: 野手MVP Bryce Harper

NLDSはドジャーズとブリューワーズが強さを見せて勝ち上がり、ALDSでもアストロズが勝ち上がりを決めています。前年のリーグチャンピオンがともに連覇に王手を書けたことになりますね。ALDSの残りはレッドソックスが2-1とヤンキースをリード中。このままレッドソックスが勝ち上がれば、4チームとも順当、ということになりますが、さて。

本日は野手MVP。投手に比べてかなり難しい選択となりました。


GPARHRRBISBBAOBPSLG
Trea Turner162740103197343.271.344.416
Bryce Harper1596951033410013.249.393.496
Wilmer Difo1484565574210.230.298.350
Anthony Rendon1365978824922.308.374.535
Michael A. Taylor1343854662824.227.287.357
Juan Soto1164947722705.292.406.517
Adam Eaton95370555339.301.394.411
Matt Adams942773718480.257.332.510
Mark Reynolds862352613400.248.328.476
Ryan Zimmerman853233313511.264.337.486
Matt Wieters76271248300.238.330.374

球団ワシントン移転後たったの2人しか達成していない全試合出場のTrea Turnerは、リーグの盗塁王も獲得。1,2番としてしっかりテーブルをセットした結果は103得点に表れています。ショート守備でもいいプレーを見せてくれました。

Anthony Rendonは二塁打、打率、長打率でチームトップ。4番として打線をしっかりと支えた功績は大。ゴールド・グラブ級のサード守備でもチームを救ってくれました(もっとも、ロッキーズのNolan Arenadoがいるため受賞はなりませんが)。

ルーキーとはいえ、チーム最高の出塁率、そしてOPSを記録したのはJuan Sotoでした。デビューしたのが5月下旬で出場は116試合にとどまりましたが、それで22本塁打70打点。まだ19歳ということを加味しなくても素晴らしいシーズンでした。

迷いましたが、2018年のナショナルズのMVPはやはりBryce Harper。打率.249は自己最低。特に4月から7月にかけての打率は2割前後で、チームの不振の大きな理由となっていたことも事実。ですが、そんなスランプでも、欠場したり、DL入りしたりすることなくラインナップに名前を連ね続け、100得点、100打点、100四球以上を記録したことは評価を受けるべき結果です。FA前の最終年に、できるだけのことはしてナショナルズに貢献してくれたと思います。

もちろん、来シーズンもナショナルズのHarperでいてくれることを願っての選出でもあります。

2018/10/05

2018シーズンレビュー2: 投手MVP Max Scherzer

NLDSが開幕。地区優勝決定プレーオフに続き延長戦を制したブリューワーズには勢いを感じます。そのブリューワーズのブルペンで、延長10回裏にサヨナラが決まったときにはGio Gonzalezがアップしていました。11回表に投げる姿を見たかったのか、見たくなかったのか。


GSIPWSOERAWHIP
Max Scherzer33220.2183002.530.911
Tanner Roark30180.191464.341.281
Gio Gonzalez27145.271264.571.531
Stephen Strasburg22130.0101563.741.200
Jeremy Hellickson1991.15653.451.073
GIPSVHDERAWHIP
Sean Doolittle4345.02511.600.600
Matt Grace5659.2082.871.140
Justin Miller5152.12113.611.127
Ryan Madson4944.14145.281.421
Sammy Solis5639.10136.411.551
Brandon Kintzler4542.21153.591.242

投手MVPは、一点の曇りもなくMax Scherzerでしょう。他のローテーション投手が、故障又は不振に見舞われる中、まさに孤軍奮闘。開幕勝利から始まり、チーム最多の33試合に先発。投球回数(220回2/3)、勝利数(18)、完投(2)、完封(1)、奪三振(300)、被打率(.188)、WHIP(0.911)はいずれもリーグトップ。防御率(2.53)こそリーグ3位で、1点台で終えたメッツのJacob deGromが歴史的なシーズンを送ったためライバルと目されていますが、いやいやScherzerこそがサイヤング賞を受賞すると信じています。終盤はやや疲れも見えましたが、Scherzerがいなければ、今年のナショナルズはもっと早くに終わっていたことでしょう。

ブルペン陣ではやはりSean DoolittleがMVP。これだけ安心感を持って任せられるクローザーはなかなかいません。惜しむらくは、7月から9月というシーズンの最も大事な時期にDL入りしていたこと。

2人には来季もエースとクローザーとしての活躍を期待します。

2018/10/04

2018シーズンレビュー1: 期待外れのシーズン

ア・リーグのワイルドカードゲームではヤンキースがアスレティックスを圧倒。まあ、低年俸のアスレティックスはよく頑張りましたが、ALDSのカードとしては、レッドソックス対ヤンキースのほうが楽しみだったのでまあいいいでしょう。

さて、そんなポストシーズンを横目に、当ブログではナショナルズのシーズンレビューを書いていきます。まずは、シーズンの推移を振り返っておきましょう。

開幕4連勝の好スタートを切りましたが、それは相手(レッズ)が弱かっただけということが判明。すぐに負けが込みはじめ、4月は3つ負け越して終了。月間負け越しは、2015年8月以来。故障者が続出したのは確かですが、総得点が総失点を上回りながらの負け越しで、既にDave Martinez監督の采配には疑問の声が上がっていました。今から思えば、この4月がシーズンを象徴していたようなものです。

5月に入るとJeremy Hellicksonの入ったローテーションが安定し、大きく勝ち越し。下旬にはJuan Sotoがメジャーデビュー。5月30日にはブレーブスを抜いて一度は首位に立ちました。が、結果的にはこれがシーズンのピーク。ブルペン陣で調子の良かったSammy SolisとBrandon Kintzlerを酷使した采配が後々まで歯車を狂わせることになりました。

6月は2012年以降なかった大幅な負け越し。7月に入ると選手ミーティングが開かれたり、フロントもKelvin Herreraを補強したりと、それなりに手を尽くしたものの、ずるずると後退。7月の最後にマーリンズに連敗してついに貯金0、首位フィリーズとは5.5差。下旬にはチーム内の雰囲気も悪化し、ブルペンの起用法を批判したとしてBrandon KintzlerとShawn Kelleyがトレードで出され、この時点で今シーズンはもう無理だな、という感じになりました。

8月に入るとBryce Harper、Anthony Rendonをはじめ打線の調子が上がってきましたが、投手陣の状況はあまり変わらず、またも負け越し(3か月連続)。下旬にはDaniel Murphy、Matt Adams、Ryan Madson、そしてGio Gonzalezまで放出し、公式に白旗。

9月中旬にフィリーズに3連勝するなどし、なんとかシーズン成績で勝ち越し、地区2位となりましたが、優勝争いは遙か彼方。開幕前に今年こそワールドシリーズを制覇するものと多くの記者から予想されたチームの終わりとしては、あまりに寂しい9月、そして10月となりました。

Atlanta90720.556-
Washington82800.5068.0
Philadelphia80820.49410.0
New York77850.47513.0
Miami63980.39126.5

主力に相次いだ故障を敗因に挙げる向きもありますが、(最終戦を0-12で負けてもなお)総得点が総失点を89も上回っていたので、力はあったはず。貯金わずか2に終わったのは采配が悪かった以外の何物でもないでしょう。個人的気分としては、今すぐDave Martinez監督を解任してほしいところですが、契約期間をあと2年も残しての解任は現実的ではありません。せめて、今シーズンの失敗を失敗と認め、そこから何かを学んで、来シーズンに役立ててもらいたい。この冬、一番の宿題を負っているのはMartinez監督だと思います。

2018/10/03

2018年9月をふりかえる

ポストシーズンが始まり、さっそくロッキーズとカブスがしびれる延長戦を戦っていましたが、ナショナルズは蚊帳の外。とっとと9月のふりかえりをしておきます。

[ナ・リーグ東地区:レギュラーシーズン終了] 

Atlanta90720.556-
Washington82800.5068.0
Philadelphia80820.49410.0
New York77850.47513.0
Miami63980.39126.5

月間成績は15勝12敗。5月以来の月間勝ち越しで、シーズン成績もなんとか貯金2まで盛り返しました。中旬には、その時点でまだポストシーズンの可能性を十分残していたフィリーズに3連勝。その後、フィリーズは雪崩を打つように負けが込み、最終的にナショナルズが地区2位に浮上することになりました。来シーズンにつながる悪くない終わり方といっていいのではないでしょうか。

[Pitcher of the Month: Stephen Strasburg] 
6試合に先発し、3勝を記録した(チームは5勝)Stephen Strasburg。防御率も2.60と安定し、34回2/3で45奪三振と、内容も悪くありませんでした。6月から8月まで右肩痛でDL入りしたときは、もうキャリア終了かもしれないと心配しましたが、最終的には2桁勝利に到達。球速は戻りきっていませんが、いいイメージでシーズンを終えることができました。

サイヤング賞争いの只中にいたMax Scherzer。シーズン300奪三振に到達したことは素晴らしいニュースでしたが、勝ち星は2つにとどまり、防御率も4点台と今ひとつでJacob deGromとどちらが受賞するか予断を許しません。グッドニュースはTJ手術からの復帰を果たしたJoe Rossが3試合(降雨ノーゲームを含めれば4試合)にきっちり先発できたこと。まだ信頼を置けるとは言えませんが、来シーズンの開幕ローテーション候補とはなりました。微妙なのはErick FeddeとJefry Rodriguezの若手2人。チャンスは与えられましたが、課題が残して終わりました。

ブルペン陣では、DLから復帰のSean Doolittle(8試合で3セーブ、防御率2.35)はまずまず投げられたのでよしとしましょう。来季につながるという意味では、Koda Glover(11試合で2.00)、Justin Miller(11試合で2.16)、Matt Grace(12試合で3.00)も目立ちました。特にKoda Gloverの好投は嬉しいニュースです。

[Hitter of the Month: Anthony Rendon] 
Anthony Rendonが.352/.439/.657、6本塁打、26打点、24得点と大活躍。異常な数字を残したブリューワーズのChristian Yelichがいなければリーグの月間MVPも十分獲得に価する数字を残しました。

これがナショナルズでの最後となったかもしれないBryce Harperも.270/.464/.494、4本塁打、16打点と数字を伸ばし、シーズン100打点に到達。FAを前に最低限の成績は残したという感じでしょうか。

新人王争いをしてきたJuan Sotoも.283/.383/.525、6本塁打、20打点と活躍し、リーグの月間最優秀新人を受賞。6月、7月に続く3度目の同賞の受賞で、デビュー以来逃したのは8月だけという驚異的な受賞歴。ブレーブスのRonald Acunaと争ってきた新人王も、さすがにこれで寄り切ったでしょう。若手ということで言えば、ともに40打席前後の出場機会でしたが、Spencer Kieboom捕手と、Adrian Sanchez内野手が、それぞれ.333/.429./500、と.343/.361/.429の好成績で来季に向けてアピールに成功しました。

2018/10/01

9/28-30@COL 辛うじてシーズン勝ち越し

シーズンの最後はデンバーでのロッキーズ3連戦。ナショナルズは名実共に優勝争いが終了していましたが、ロッキーズにとってはポストシーズン進出、さらには球団創設史上初の地区優勝をかけた大事なシリーズでした。結果はナショナルズの1勝2敗。ドジャーズが3連勝したため、ロッキーズとドジャーズが完全に並び、10月1日に1ゲームプレーオフ(勝てば地区優勝、負ければワイルドカード)を行うことになりました。

ナショナルズとしては、1つ勝ったことで、シーズン成績82勝80敗の勝ち越しで終了。2012年以降では最低の結果となりましたが、それでも勝ち越し、地区2位に入ったことは最低限評価していいと思います。

9/28 L2-5
序盤に大量のランナーを出しながら残塁の山を築き、結局これが響きました。Joe Rossがまずまずのピッチングを見せていましたが、5回裏につかまってしまいました。ナショナルズも負けましたが、フィリーズも敗れたため、この時点で地区単独2位が確定しました。

9/29 W12-2
初回、Juan Sotoの2点タイムリーツーベースで先制し、2回にもTrea Turnerの2ランなどで3点。5回にはSotoに22号ソロ(10代での22号はBryce Harperに並び史上2位タイ)が出て、その後も追加点を重ねて計12得点。この大量援護もあって先発のStephen Strasburgが6回2失点で10勝に到達しました。

9/30 L0-12
シーズン最終戦は地区優勝・ポストシーズンに向けて燃えるロッキーズに圧倒されて終わりました。まあ、仕方ないでしょう。Bryce Harperの最終打席は9回表に回ってきて、ライト線への二塁打。試合後のインタビューでは涙ぐんでいたように見えたHarper。なんとか戻ってきてほしいですね。