2016/10/29

Aaron Barrett退団

Aaron Barrett投手がFA退団しました。

これまで40人ロースター(60日DL)に入っていたBarrett。今週になってウェイバーにかけられたもののクレームする他球団がなかったことから、ナショナルズは傘下のSyracuse(AAA)行きを打診しましたが、これを拒否してFAとなる道を選びました。

2010年のドラフト9順目入団(Bryce Harperの同期)。2012年に頭角を現し、2013年にはHarrisburg(AA)のクローザーとして結果を残し、オフに40人ロースター入り。それでも全く無名のプロスペクトでしたが、2014年のスプリングトレーニングで好投して開幕ブルペン入りすると、開幕戦で同点の9回に起用され、結果的にメジャー初白星を記録しました。その後、夏場に調子を落としたものの、9月には調子を取り戻し、チームの地区優勝に貢献。ジャイアンツとのNLDSでもロースター入り。そして、(これまでの)キャリアのハイライトとなったNLDS第4戦でのワイルピッチがありました。あのワイルドピッチが汚点と言えば汚点ですが、それでも、2014年はBarrettにとって大きな飛躍の年。当ブログでも、チーム新人王に勝手に選ばせていただき、これからのナショナルズのブルペンを支える投手として大きな期待をかけていました。

ところが、この後は故障に苦しむことになります。翌2015年、開幕からしばらくはセットアッパーとして活躍しましたが、6月に右腕の痛みを訴えてイニング途中で降板。休養とリハビリで7月に復帰しjたものの、8月に右ひじ痛で再度のDL入り。右ひじのじん帯断裂が判明し、9月にTJ手術に踏み切ることになりました。これだけなら多くの投手が通ってきた道なのですが、残念ながらこれで終わりませんでした。リハビリも終盤に入っていた2016年8月、マウンドからの投球練習で再び右ひじを痛めて再手術。今季中の復帰どころか2017年の開幕にすら間に合わないと見込まれています(本人周辺は、2度目の手術はTJではないので来季の開幕には間に合うと言っていますが、現実的には無理みたいです)。

このように故障に苦しむことになった原因は、ひとえに登板過多でしょう。2014年の活躍で信頼を得た結果ではありますが、2015年は開幕から勝ち試合ではほとんど常に登板させられ、6月に最初にDL入りした時点までのチーム60試合のうち実に半分の30試合に登板させられていたほどでしすから。この毀誉褒貶のあったMatt Williams前監督でしたが、このBarrettの処遇は大きな汚点でしょう。

DLとは言えずっと40人ロースターに席を置いていたことからメジャー在籍期間が約3年(3年には少し足りませんが、いわゆるスーパー2という特例対象)でこのオフには年俸調停対象となり、年俸上昇することが見込まれることとなりました。が、一方で来季も、また故障履歴からしてその後も復帰できるかどうかが不透明な選手となったことも事実。このタイミングで40人ロースターから外すことを球団が決断したことについて、浪花節的には可哀想ですが、ビジネスとしては肯首できます。

才能ある選手がこうした形で退団することは残念。他球団ででもいいので、いずれまたメジャーのマウンドに戻ってくることを心から願っています。来季開幕時でもまだ29歳。やれるはずです。

2016/10/26

Prospect Profile #1: A.J. Cole

[2016年10月全面的に更新して更新終了, 2015年1月更新、2013年4月オリジナル]

My Top 10 Prospectsを選んだ記事で予告したように、プロスペクト選手たちの紹介記事を書いていきます。なお、記事のタイトルからスタイルまで何から何までララさんのブログを参考にさせて頂いたことをここに申し上げておきます。(2013年4月オリジナル時)

++++++++++++

さて第1回は、エース級の投手に育ってくれることへの期待を込めてA. J. Coleです。

(2013年4月オリジナル時)
[Player Data]
Name: A.J. Cole
Position: RHP
Born: January 5, 1992
Birthplace: Winter Springs, Florida
School: Oviedo HS (Florida)
Height: 6-4(2013年4月オリジナル)⇒ 6-5(2016年10月最終更新)
Weight: 180(2013年4月オリジナル)⇒ 215(2016年10月最終更新)
Bats: Right
Throws: Right
Draft: 2010-4 WAS
BA Organization Rank: 4(2011)4(2012)4(2013) ⇒2(2014)7(2015) ⇒7(2016)
BA Overall Rank: 57(2012) ⇒NA(2013,2014) ⇒91(2015)

[Scouting Report]
高校時代から恵まれた体格からの球威のある速球に加え、制球力も高く評価されてきた。速球は92~97マイルで打者の手元で鋭く変化。それだけでも十分通用する。チェンジアップは既に武器として使えるが、習得中の縦に割れるカーブとともに、制球が課題。2012年前半は体が早く開き過ぎてボールが上ずる傾向が出ていたが、A降格後に修正済み。(2013年4月オリジナル時の記述)

90マイル台前半のツーシームとチェンジアップは高いレベルにあり、コースにしっかり投げ分けて試合を作ることができる。スライダーと縦のカーブも投げ、特にスライダーは好調な日には空振りを奪う決め球となるが、安定感には欠ける。十分にローテーション投手としてやっていけるだけの球種・制球力を持つ。(2016年10月最終更新)

[Background]
Bryce Harperを全体1位指名した2010年ドラフトの4順目。高校時代からの極めて高く評価され、ドラフト前のBAのランキングで16位に位置付けられていたが、高額の契約金要求とマイアミ大進学へのコミットのため全体116位まで残っていた。期限前日に200万ドル(4順目指名の選手に対する史上最高額)で契約。

本格プロデビューとなるはずの2011年は、春先の病気で体重を落として出遅れ、5月半ばにHagerstown(A)で初登板。当初は打ち込まれたものの、シーズンが進むに連れて調子を上げ、後半戦は2点台の防御率でイニング数を上回る奪三振を記録。2012年シーズン開幕前にBAが全体57位と評価するほどにトッププロスペクトとしての地位を確立。

ところが、明けて2012年1月にGio Gonzalezの対価としてアスレティックスにトレード。4対1のトレードながらCole こそがセンターピースと見られていた。アスレティックスでは期待感を持ってStockton (A+)に送られたものの、8試合で7本の本塁打を浴びるなど滅多打ちに遭い、5月にBurlington(A)に降格。しかし降格後は19試合で95.2イニングを投げ、2.07/1.01、奪三振109に対して与四球わずかに19と完全に支配。株は落としたが、依然としてエリートプロスペクトであることに変わりはない。2013年1月のMichael Morseを放出したトレードで出戻り

2013年シーズンはPotomac(A+)で開幕。好不調の波がありながらも、評価を上げるピッチング。7月下旬にHarrisburg(AA)に昇格した後は、登板した7試合全てでクオリティ・スタートを記録し、2.18/0.90、イニング数を上回る奪三振を記録するなど一層評価を上げてシーズンを終了。BAでこそあまり高く評価されなかったが、BPでは53位、MLB.comでも69 位。

2014年は、初めてメジャーのスプリングトレーニングに参加。3試合で計6回2/3を投げ、無失点無四球7奪三振と文句の付けようのない結果。開幕はHarrisburgだったが、14試合に登板して2.92/1.32とここでも素晴らしい結果を残し、6月下旬にSyracuse(AAA)に昇格。AAAでも11試合に登板して、7勝無敗(防御率は3.43なので運に恵まれた部分もあるが)。オフに40人ロースター入り。22歳にしてメジャー昇格目前まで順調にステップアップを果たした。

2015年はジェットコースターのようなシーズンとなった。開幕はAAA。メジャーのスプリングトレーニングに参加したものの、やはり3試合に登板しただけで早々にマイナーに送られていたこともあり、メジャー昇格まではしばらくかかると思われたが、(故障者が出たため)意外と早い4月28日にメジャー昇格・デビューを果たした。ところが、先発を任されたこのデビュー戦、わずか2イニングで9安打1四球9失点という惨憺たる結果に終わり、即座にAAAに降格。5月半ばにはロングリリーフとして再びメジャーに呼ばれ2試合に登板(3イニングセーブも記録)したが、やはりすぐにAAAに戻された。ただし、AAAのローテーションに定着した6月24日以降は、12試合に先発し、防御率1.93、WHIP0.98という好成績を残した。メジャーでの印象があまりにも悪かったこともありプロスペクトとしての地位はむしろ下がってしまった印象。

2016年のスプリングトレーニングからは早々にカットされ、シーズンが始まってからもAAAに塩漬け。22試合に先発して防御率.462とパッとしない成績でこのまま忘れられた存在として終わってしまうかと思われたが、8月下旬になって右ひじ痛で離脱したStephen Strasburgの穴埋めとしてメジャー昇格。以降、快投という感じではないものの最低限試合を作るピッチングを続け、9月2日のメッツ戦では6回1失点でメジャー初白星も記録するなど、シーズン終了までの計8試合でローテーションを守った。ただし、最後の3試合は、最長でも4イニングしかなげられず計9回2/3で9点失い防御率を5.17まで悪化させるなど、惜しくも下降気味で終了。

[Comment]
(2016年9月、メジャー初勝利の日 Jim McIsaac/Getty Images)
忘れられた存在になりつつあった2016年シーズンでしたが、チームの先発投手事情から8月末になってメジャー昇格が転がり込み、Coleにとってはある意味で幸運でした。最低限の結果は残しましたが、シーズン最終盤の不調もあり、来季のローテーションの有力候補というわけでもなさそうです。私としては、このProspect Profilesシリーズで最初に記事を書いた選手として思い入れがあります。来年のスプリングトレーニングで頑張りましょう。(2016年10月)

ドラフトBAの評価がなぜこんなに低い(組織内7位)のか分かりませんが、弱冠23歳にしてメジャーデビュー目前まで来ている紛れもないエリートプロスペクト。今季はAAAで開幕を迎えると思われますが、メジャーデビューも期待されます。まずはスプリングトレーニングで好印象を残し、メジャーのローテーションに何かあったら呼ばれてもいいように、しっかり準備しておきましょう。そして来季は開幕ローテーションへ!期待しています。(2015年1月)

ドラフト時から大きな期待を持っていた投手。一度はアスレティックスに放出されて寂しい思いをしただけに、出戻りにより思い入れは倍増。是非とも大成してほしい。(2013年4月)

Prospect Profile #10: Brett Mooneyham

[2016年10月最終更新, 2015年3月更新, 2014年4月更新, 2013年5月オリジナル]

第10回は2012年ドラフト3順目入団の大型左腕Brett Mooneyhamです。

[Player Data]
Name: Brett Mooneyham
Position: LHP
Born: January 24, 1990
Birthplace: Merced, California
School: Stanford
Height: 6-5
Weight: 235
Bats: Left
Throws: Left
Draft: 2012-3
Acquired: Draft
BA Organization Rank: 20(2013)⇒22(2014)
BA Overall Rank: NA

[Scouting Report]
球威はあるものの制球力に難ありという長身投手にありがちなプロフィール。フォーシームは90マイル台前半をコンスタントに計時するが制球が悪く、フラットな球筋であることもあって、高めに浮いたところを痛打されてきた。制球に苦しむ理由はアームスロットが安定しないことと言われる。長身を活かすためにリリースポイントを上げることを含め、プロ入り後フォームの改造に取り組んでいる。70マイル台のカーブとチェンジアップも投げるが、有効な武器とはなっていない。

[Background]
父親のBill Mooneyhamは1980年のドラフト1順目全体10位でエンゼルスに入団し、1シーズンだけとはいえ1986年にアスレティックスで45試合に登板(4勝5敗)した元メジャーリーガー。

Brett本人も早くからプロスペクトとして注目を集め、高卒時の2008年ドラフト(15順目)でパドレスが指名し100万ドルを超えるボーナスを提示したが、これを蹴ってスタンフォード大に進学。しかし、大学では伸び悩み、さらに3年生となった2011年シーズンは指を故障して全休。それでもナショナルズが38順目で指名したが契約せず大学に戻る。

4年生となった2012年シーズンは全体1位指名かと言われていながら8位指名に終わった(あげくパイレーツ入団を拒否して大学に戻った)Mark Appelに続く、スタンフォード大の2番手投手として投げたが、15試合83.1イニングで4.75/1.42と物足りない数字。イニング数を上回る奪三振を記録したことは評価できるが、39四球15死球はいかにも多い。

シーズン前は1順目下位指名もあると言われていた評価を下げ、2012年ドラフトを前にしたBAランキングでは120位。結局、3順目全体111位でナショナルズが指名し、スロット金額の42.8万ドルで契約合意。契約後、Auburn(SS)でデビューして10試合に登板。42.1イニングで2.55/1.23、四球率は高くないが奪三振率も低いという良いのか悪いのか分からない投球。

2013年はHagerstown(A)のローテーション投手として開幕したが、3試合目の4月17日の登板で腕の痛みを訴えて途中降板。心配させたが、6月上旬に戻った後はSouth Atlantic Leagueの打者を圧倒。結局17試合の先発で10勝、1.94/0.98の好成績を残して9月にPotomac(A+)へ昇格。Potomacでの3試合では打ち込まれた。

2014年はPotomac(A+)のローテーション投手として開幕たが、10試合に登板して7.36/2.12、イニング数を上回る四球を許すなど散々な結果。いったんフロリダのキャンプ地に送り返された後、Auburn(SS)での調整登板を経て戻ったHagerstownでも、7試合で3.94/1.69と冴えない結果で7月末にシーズン終了。

ラスト・チャンスとなった2015年。Hagerstownのブルペン投手として開幕したが、10試合に登板した時点で7.78/2.14という成績しか残せず、6月3日についにリリースされた。その後、メジャーリーグ傘下でのプレー記録は見当たらない。

[Comment]
1年以上前のことなので今さらですが、2015年6月にリリースされたことを確認したので更新しておきます。Prospect Profile シリーズで取り上げた選手がこのような形でキャリアを終えるというのは寂しいですね。(2016年10月)

7月末がシーズン最終登板となったのが故障のためなのかどうかがはっきりしませんが、いずれにせよ年齢も既に25歳。今シーズンがラスト・チャンスとなりそうです。(2015年3月)

心配したほど長引くこともなく故障から復帰し、Aを支配したということでまずは成功のシーズンとなりました。相変わらずの制球難が続いており、先発投手として大成できるかブルペン左腕として促成栽培されることになるか、2014年が勝負の年になりそうな予感がします。(2014年4月)

既に23歳で速い昇格が期待されていただけに、早々の故障離脱は痛い。体格に恵まれ素質もあると期待されていた投手。早く復帰して、投球フォームを固め、Ross Detwilerのような感じで育ってくれることを期待しています。(2013年5月)

2016/10/22

Prospect Profile #14: Pedro Severino

[2016年10月更新終了, 2015年3月更新, 2014年5月オリジナル]

シリーズ第14回は、トッププロスペクトとして名が上がるにしては珍しく打撃成績では全く目立たないPedro Severino捕手です。

[Player Data]
Name: Pedro Severino
Position: CA
Born: July 20, 1993
Birthplace: Bonao, Dominican Republic
School: NA
Height: 6-1
Weight: 180
Bats: Right
Throws: Right
Draft: NA
Acquired: International FA
BA Organization Rank: 13(2014) ⇒ 14(2015) ⇒11(2016)
BA Overall Rank: NA

[Scouting Report] 
ほとんど守備力だけでプロスペクトとして非常に高い評価を得ている珍しい選手。最大の売りは、打撃のマイナスを補って余りある守備力。地肩の強さに加え、捕球から送球への動作も極めて速く、簡単には盗塁を許さない(マイナー通算の盗塁阻止率は約40%)。運動能力の高さを見せつけるバントやキャッチャーフライの処理だけでも人目を引くレベル。フレーミングも既に高評価を得ている。いわゆるメイクアップも高く評価され、チームメイトに比べてかなり若いにもかかわらず、リーダーシップを発揮しているとのこと。打撃についても、年々と向上し、メジャーでも最低限打てる力がある。

[Background]
ドミニカ出身。2010年12月に17歳でナショナルズと契約。

2011、12年はともにGCL Natinals(Rk)に所属。盗塁阻止率が高いことが目立つくらいで、2年間合わせた打撃成績は、.201/.280/.277と全く打てず。

それでも、2013年に控え捕手としてHagerstown(A)に昇格すると、正捕手が負傷離脱した隙にその座を奪うことに成功。波はあったものの.241/.274/.333という打撃成績を残し、元々評価されていた守備力も相まって、プロスペクトとしての評価を一気に高めた。とはいえ、守備型捕手プロスペクトの評価は難しく、BAでは上記のとおり13位だが、BP, MLB.comではトップ10入りしている一方でSickelsではトップ20にも入らないなど、評価が割れた。

まだ20歳ということもあり、Aをもう1年かと思われた2014年はPotomac(A+)に昇格して開幕。健康にシーズンを過ごし、高い盗塁阻止率を続けながら、打撃でも.247/.306/.399、9本塁打と前年をも上回る成績。注目は本塁打数。前年のわずか1本から一気に9本へ。しかも三振率は上がらず。アリゾナ秋季リーグにも派遣され、12試合に出場して、.250/.292/.341とまずまずの成績。

2015年にはメジャーのスプリングトレーニングに初参加。開幕後は、Harrisburg(AA)の正捕手としてプレーし、7月にはEastern Leagueのオールスターに選出される。91試合出場で.246/.288/.331の打席成績を残し、セプテンバーコールアップでメジャー初昇格。Wilson Ramos、Jose Lobatonの後の3番手捕手としてベンチを温める日が続いたが、9月20日に代打でメジャーデビュー(レフトへの二塁打)。最終戦では先発マスクをかぶった。

2016年のスプリングトレーニングでは、10試合で打率4割超と打った上、リード面での評価をさらに上げた。開幕後は、Syracuse(AAA)の正捕手として過ごしつつ、4月、7-8月にスポット的にメジャーでもプレーした後、セプテンバーコールアップで昇格。やはりRamos、Lobatonに次ぐ立場であったが、9月26日にRamosが右足負傷で離脱したため出番が急増。NLDSでも第1戦の先発マスクを含む4試合に出場することになった。守備はもちろん高評価の上、打撃成績も、AAA(82試合)で.271/.316/.337、メジャー(16試合)でも.321/.441/.607と飛躍の年となった。

[Comment]
2015年にあっさりとメジャーに到達し、その後も順調に成長しています。Wilson Ramosの故障離脱という形で運も味方し、NLDSでもプレーする機会を得、しっかり評価を上げました。RamosのFA退団が濃厚で(Lobatonも年俸調停の対象ですがノンテンダーの可能性あり)、来季の捕手ポジションは白紙状態のナショナルズ。オフにRizzo監督がどういう動きを見せるか分かりませんが、Severinoにレギュラーを任せてベテランの控え捕手を補強するという策も選択肢に入っているはず。私としてはそれを支持したい。現時点で23歳、大きな可能性を感じさせる選手です。(2016年10月)

2014年には打撃、特にパワー面で大きな伸びを見せたことからプロスペクトランキングで上位に入ってくるかと思いましたが、意外とそうでもなく、トップ10入りには至りませんでした。それでも、層が厚い捕手プロスペクトの中での最高評価。期待しています。(2015年3月)

守備力、特に捕手守備力を計るスタッツはほとんどなく、Aでは動画を見ることもままならず。日々追いかけるのはなかなか難しいというのが正直なところ。とりあえず、故障離脱がないことを願っています。(2014年5月)

2016/10/14

10/13 NLDS第5戦: 「3度目の正直」もならず、終戦

L3-4 Dodgers (Series 2-3)
Scherzer 6.0+P 1ER 5H(1HR) 2BB 7K
Rzepczynski(L) 0.0+IP 1ER 1BB
Heisey 1/1 HR R 2RBI
Espinosa 1/3 BB R RBI
Murphy 1/3 R 2BB
Harper 1/3 2BB

ホームでエースを立てて迎えた第5戦。試合展開も2012年、2014年とは違って落ち着いたもので、今回こそは行けると期待しました。が、「3度目の正直」もならず。

第4戦までのように丁寧な記事を書く気力が湧きませんこと、ご容赦下さい。

● Max Scherzerは期待に違わない、第1戦の汚名を返上する素晴らしいピッチングだったと思います。5回表1死満塁を乗り切ったときは、この試合もらった!と思ったのですが。

● 打線は、1点こそ先制しましたが、十分なリードを奪えませんでした。チャンスには尽く打てず。特に痛かったのは、2度の1死1,3塁でいずれも3塁走者を返せなかったこと。特に7回のJayson Werthは3点差から1点差に迫って雰囲気は押せ押せだっただけに失望も大きかったですね。

● 7回にブルペンが打たれたのは事実。とはいえこのシリーズここまで頑張ってきたブルペンを責める気にはなりません。むしろ責めるならBaker監督の継投ミスでしょうが、詳しく書く気にはなりません。ただ、Baker監督がポストシーズンの大一番で負け続けてきたことは偶然ではないんでしょうね。

●  この7回にはShawn Kelleyが右腕を痛めて降板。明らかに酷いことになっている感じでしたが、試合後、本人は「少し休めば大丈夫」とコメントしています。とはいえ。2度のTJからの生還者だけに心配。

● そして、1点を追う最終回。1死からBryce HarperとWerthが歩き1死1,2塁として打席にはDaniel Murphy、ここでドジャーズはClayton Kershawを投入。0-1からの2球目、高めに入った速球で、Murphyの得意な球だったと思います。が、結果はセカンドへのポップフライ。さすがにWilmer Difoには荷が重かったですね。

まあ、Kershaw 対 Murphyで負けたら諦めも付くかなぁ。

って、そんなわけなーい!諦めなんて付きませんよー。あーもったいない試合だったー。

2016年、終戦です。

私はいつまでこのブログを続けるのでしょうか・・・。(まずはArizona Fall Leagueを含めプロスペクト方面に手を伸ばそうかなあ。)

2016/10/12

2016年アリゾナ秋季リーグ派遣選手

まだナショナルズのポストシーズンが続いている中ですが、11日からアリゾナ秋季リーグが開幕しました。ナショナルズ傘下から派遣される選手は次のとおり。大いにアピールしてきて下さい。

(それぞれ名前の右は、年齢と今季の最終所属レベル)

Austin Voth, RHP (24, AAA)
Nick Lee, LHP (25, AA)
Ryan Brinley, RHP (23, AA)
Drew Ward, 3B (21, AA)
Andrew Stevenson, CF (22, AA)
Osvaldo Abreu, SS (22, A+)
Jake Johansen, RHP (25, A+)

例年のことですが、トッププロスペクトに経験を積ませる側面と、12月のルール5ドラフトに向けてプロテクトするかどうかの選別という側面の両面から派遣されています。

LeeとWardは2年連続の参加。Leeは、昨年のルール5ドラフトを前に40人ロースター入りを果たしましたが、その後DFAされた(ウェイバーでクレームするチームは無かった)という経緯があるので、ルール5前のテストという側面は低いと思います。Wardはまだルール5プロテクト前なので経験重視。2015年ドラフト組のStevensonとBrinleyも、もちろん経験を積ませるため。

VothとJohansenの2013年ドラフトの2人はまさにルール5に向けた選別の対象。40人入りを果たすかどうかの正念場です。ま、Johansenについては(残念ながら)ほとんど諦めています・・・。

Abreuはドミニカ共和国出身で(6月の)ドラフト対象外なので今年のルール5の対象かどうかははっきり分かりません。丸5年プレーしているので可能性はあると思いますが、22歳でそこそこ打てるショートなのでプロスペクト扱いかもしれません。よく分かりません。

10/11 NLDS第4戦: 野球は2アウトから

L5-6 @LAD (Series 2-2)
Ross 2.2IP 4ER 3H 2BB 3K
Lopez 2.0IP 1ER 2H 1BB 3K
Treinen(L) 1/0IP 1ER 2H 2K
Turner 3/5 2R
Murphy 2/3 SF 4RBI
Werth 2/3 HBP RBI

ナショナルズが王手を賭けて迎えた第4戦。後のないドジャーズは、エースClayton Kershawを中3日で投入してきました。1回表、そのKershawに対し、先頭のTrea Turnerが初球をレフト前に弾き返すシングルで出塁すると、続くBryce Harperは粘った末に10球目で四球を選んで1,2塁。1死後、Daniel Murphyが一二塁間を破るシングルであっさりと1点を先制しました。このシリーズ、初めてナショナルズが先制点を記録。

ただ、そのリードは長く続きませんでした。その裏、ナショナルズの先発Joe Rossが、簡単に2死(Corey Seagerも空振り三振)をとりながら、Justin Turnerに死球をぶつけた後、Adrian Gonzalezに右中間スタンドへの2ランを打たれ、またも初回を終わって追いかける展開となりました。

それでも、3回表には、再び先頭打者として打席に入ったTrea TurnerのシングルをきっかけにMurphyの犠飛で同点としましたが、Rossがダメでした。その直後、2死2塁からJustin Turnerにタイムリーを打たれて勝ち越しを許すと、この後、四球、四球で満塁にしてしまい、Joc Pedersonには押し出し死球。わずか2回2/3で交代を告げられてしまいました。長く休んで復帰してきた若手にポストシーズンでの先発は荷が重かったかなという印象だけが残りました。

もっとも、継投が必要になることは想定の範囲内。このこのピンチと4回を無失点で終えたOliver Perezを挟み、5回からは予定通りReynaldo Lopezが登板しましたが、Lopezも、5回裏2死走者なしから、シングル、ダブルの連打で1点を献上。内容的にはRossよりもずっと良かったように見えただけに、あの5回裏の1点はもったいなかった。6回裏はLopezが無失点に終えましたが、打線はその後Kershawに抑え込まれており、6回を終えて2-5。かなり厳しい展開でした。

が、90球近くなったのに7回表も続投したKershawに対して打線が攻勢をかけます。口火を切ったのは先頭のDanny Espinosa。このシリーズ100打席目でようやくの初安打となるレフト前シングル。2死とはなりましたが、Trea Turnerがショートの右への緩いゴロの内野安打(セカンドへの送球よりEspinosaの足が一瞬早くセーフ)。Harperを迎えるところでDave Roberts監督がマウンドに足を運びましたが、Kershawの強い意思もあって続投。サイヤング投手とリーグMVPのガチンコ対決は見ていてしびれましたが、結果は、粘りに粘った末にHarperが四球を選んで2死満塁。110球となったKershawをマウンドから引きずり下ろしました。ただ、この時点での勢いは、まだ地元ファンの後押しを受けたドジャーズにあったように感じました。

ところが、代わったPedro BaezがJayson Werthへの初球を豪快にぶつけて押出し。これで雰囲気が変わりました。ドジャーズはピッチャーを左のLuis Avilanに代えますが、ポストシーズンで滅法強いMurphyの勢いを止められず、カウント1-0からの2球目をセンター前に落とす同点の2点タイムリー。Murphyはこの試合だけでも3度の打点付きの打席で計4打点という素晴らしい活躍。

ただ、ナショナルズとしては痛かったのが、この後なお、2死1,3塁の勝ち越し機にAnthony Rendonが凡退し、試合を決められなかったことでしょう。この打席を含め、今日はRendonと続く6番のRyan Zimmermanがそろって4打席ノーヒット2三振とブレーキになってしまいました。

この後はブルペン勝負。望むところだったのですが、8回裏にまたしても2死からやられました。マウンドにはBlake Treinen。打者を圧倒するピッチングで簡単に2死を取り、打席には9番のAndrew Toles。もう大丈夫だなと思った私は実は所用でちょっと目を離しました。ところが、2球目を死球、代打Andre Ethierにシングルで続かれた後、Chase Utleyにセカンドの左をゴロで抜く破るタイムリーを打たれ、これが決勝点。まあ、Treinenの投球は決して甘く入ったわけでもなく、Utleyを褒めるしかないかなという感じの打席でした。仕方ない。

9回表のマウンドにはKenley Jansen。昨日は打ち込みましたが、今日は代打Stephen Drew、Trea Turnerが三振、Harperがニゴロでゲームセット。もう一度Murphyまで回すことはできませんでした。

ナショナルズの失点は全て2アウトから。逆にナショナルズの7回の3得点も2アウトから。「野球は2アウトから」を改めて実感した試合でした。

明日の移動日を挟み、第5戦はホーム・ワシントンDCで13日午後8時(日本時間14日午前9時) から開始予定。うーむ、さすがに観戦できなさそうだ。勝ってくれ。

なお、NLDSのもう1つのカードは、第4戦でカブスがジャイアンツを降しました。さあ待ってろ。

2016/10/11

10/10 NLDS第3戦: Werthのバットでドジャーズを粉砕

W8-3 @LAD (Series 2-1)
Gio 4.1IP 3ER 5H(1HR) 1BB 4K
Solis(W) 1.2IP 0ER H BB K
Kelley(HD) 1.2IP 0ER 3K
Werth 3/4 double HR BB 2R 2RBI
Harper 1/2 2BB 2R RBI
Zimmerman 2/4 double BB R 2RBI
Rendon 1/4 BB R 2RBI

舞台をロサンゼルスに移しての第3戦。やはり西海岸の空はキレイですね、というのが第一印象の中継でした。

1回表にナショナルズが2死満塁のチャンスを活かせなかった後の1回裏。先発のGio Gonzalezが1死から四球を与え、3番に入ったCorey Seagerに右中間への先制タイムリー二塁打を打たれました。また初回のSeagerです。フェンスオーバーとならなくて良かったと言ったほうがいいのかもしれませんが、それにしてもまたも1点ビハインドの立ち上がり。

ドジャーズの先発は、前田健太。広島時代から好きな選手なのでこんなところで対戦するのはあまりいい気分ではありませんでしたが、仕方ありません。初回、2回は無得点でしたが、打順が二順目に入った3回表に捕まえました。Trea Turnerのセンター前シングルに続き、Jayson Werthが甘く入った速球をライト線に鋭く弾き返し、快足を飛ばしたTurnerが一気に生還して同点。1死3塁となってBryce Harperがいとも簡単そうにライト前に落とす勝ち越しタイムリー。更に二盗・悪送球で再び1死3塁となって、Anthony Rendonがレフトへ2ランホームラン。これで4-1とし、この回限りで前田を降板させました。

一方、ナショナルズ先発のGio Gonzalez。ドジャーズ打線は左投手に弱いというデータから、このシリーズのカギを握る投手との事前分析もFOXやSIなどにはありましたが、シーズン終盤のGioの不安定なピッチングを見せられてきたナショナルズのファン・記者の目はずっと覚めていました。2回、3回、4回は走者を1人許しただけの無失点で終えましたが、フルカウントが多く球数を要したり、4回の3アウトは全て外野のフェンス際へのフライだったりで、決して安定感のあるピッチングではありませんでした。5回裏1死1塁から代打Carlos Ruizにカウント3-1からの投球をレフトスタンドに放り込まれて1点差とされた時点で降板を命じられましたが、納得です。

ここから先は今日もブルペンが素晴らしかった。Gioの後を受けたSammy Solisが6回までの5つのアウトを落ち着いて記録し、結果的に勝利投手となりました。7回裏1死1塁でこのシリーズ初めてマウンドに上がったShawn Kelleyは対戦した5人を完璧に抑え(うち3つは三振)、1点差を守って9回まで運びました。

ナショナルズ打線もドジャーズブルペンを攻略できず1点差のままで推移しましたが、9回表、ドジャーズとしては反撃の狼煙のつもりで投入したクローザーのKenley Jansenに攻めかかり4得点。その口火を切ったのが先頭打者Werthのレフトスタンド最上段まで達する超特大の一発。Jansen登板で盛り上がったスタンドを一瞬で沈黙させました。この本塁打は、なんというか、精神的に破壊力がありました。気落ちしたJansenから四球、死球でランナーをため、Ryan Zimmermanがライトフェンス際への大飛球の二塁打を打ち、二者が生還してJansenをノックアウト。代打Chris Heiseyも犠飛を打って突き放しました(Jansenの自責点は4)。

5点差となった最終回は、1点差のつもりで準備していたMark Melanconがそのままマウンドに上がり、あっさりと3人で抑えてゲームセット。

ここまでのこのシリーズでは、ブルペン投手陣がとにかく素晴らしい。計12回1/3を投げて無失点。特にSammy Solisは3試合連続で起用されて計4回を無失点という大活躍です。また、Baker監督の起用法も冴えています。昨日はMark RzepczynskiとBlake Treinenに長いイニングを投げさせ、1点リードの8回もTreinenとOliver Perezで乗り切ってKelleyを温存。今日はKelleyが長いイニングを投げ、RzepcznskiとTreinenは休養したことで、明日以降、十分期待できます。ちょっと心配なのはやはり3試合連続で投げているMelanconですが、クローザーの責任感で乗り切ってくれることでしょう。FA前で気合も入っていることでしょうし。

これで2勝1敗とシリーズをリード。これは、2012年、2014年には経験しなかった状況。明日はJoe Ross/Reynaldo Lopezコンビが登板予定ですが、1つ負けてもホームに帰っての第5戦(Max Scherzer先発)が待っていると思って、気楽に投げればきっといいピッチングができることでしょう。

MVP: Jayson Werth.

ア・リーグでは、ブルージェイズ(対レンジャーズ)とインディアンズ(対レッドソックス)が、いずれもディビジョン・シリーズを3連勝で制し、リーグ・チャンピオンシップへの進出を決めました。

レッドソックスのDavid Ortizはこれで現役引退。お疲れ様でした。2004年のポストシーズンでの活躍はちょっと言葉で語り尽くせないですね。ありがとう、Big Papi。

2016/10/09

10/9 NLDS第2戦: Lobaton Lobaton Lobaton!

(表題の日付からして間違っていたので、ちょこちょこ訂正しました。)

W5-2 Dodgers (Series 1-1)
Roark 4.1IP 2ER 7H(1HR) 3BB 1K  
Rzepczynski 1.1IP 0ER 3BB 2K
Solis(HD) 0.1IP 0ER 
Treinen(W) 1.1IP 0ER 2K 
O. Perez(HD) 0.2IP 0ER 
Melancon(SV) 1.0IP 0ER 1H 1K 
Lobaton 1/4 HR(1) R 3RBI GIDP
Murphy 3/3 BB R 2RBI
Turner 2/4 R SB(1) 

雨のために一日延びた第2戦。日本時間午前2時からとなり、またもしっかり観戦できました。

ナショナルズ先発のTanner Roarkが1回表1死からCorey Seagerにソロ本塁打を打たれ、その裏、ナショナルズ打線はRich Hillの前に三者三振と、第1戦のリプレイを見るかのような展開の序盤は嫌な流れでした。

今日はRoarkの生命線である左打者の膝元へのツーシームが全く決まりませんでした。いい時のRoarkは、左打者の体に当たりそうに見えた球がシュート回転してプレートをかすめ、見逃しのストライクをコールしてもらうのですが、今日は、まず思ったコース・高さに行かない、曲がらない、審判にコールしてもらえないで、ほとんど使い物になりませんでした。こうなると必然ですが、甘く入ったボールを打たれます。2回表は1死満塁とされながらも投手のHillを三振、Chase Utleyを一ゴロに打ち取って切り抜けましたが、3回表にはJosh Reddickにライト前タイムりーを打たれて2点目を失ってしまいました。しかし、第1戦のMax Scherzerとの違いは2本目のホームランを打たれなかったこと。この後敬遠四球でまたも1死満塁としましたが、Yasmani Grandalを4-6-3の併殺を打たせて切り抜けました。

一方、打線はHillの前に3回まで無得点。2回裏にはDaniel Murphyのシングルの後、四球と死球で1死満塁のチャンスをもらいましたが、Jose Lobatonは最悪1-2-3の併殺。しかも、満足に1塁までダッシュできない様子でファンを消沈させる始末でした。Lobatonについては、3回表の失点の場面も、本塁でのタッチプレーのタイミングはアウトだったのに、ライトBryce Harperからの送球をLobatonが落球してセーフとなったもの。Pedro SeverinoではなくLobatonを先発起用したBaker監督の采配に、正直に言えば疑問を感じていました。はい。

しかし、4回表に意外な形でこの試合のターニングポイントが訪れます。1死走者なしの場面でHillがセカンドへのバントシングルで出塁。もしMurphyがきれいに捌いていればアウトの可能性が高い打球でしたが、Murphyはこれをお手玉。さらに続くUtleyの打球は鋭い当たりのファーストゴロで、これもRyan Zimmermanがきれいに捌いていれば併殺も十分あり得た、少なくとも二塁でHillがフォースアウトになった(そしてベンチで休めた)はずの打球でしたが、Zimmermanはグラブに当てて後逸し、結果は一塁のみアウト。次の打者がアウトになってイニングが終了するまでの間、塁上にいたHill。肩で息をしているシーンもあり、明らかに疲れた様子が見て取れました。

そして迎えた4回裏。そのHillから四球と死球で2死1,2塁のチャンスをもらうと、打席にはLobaton。カウント1-1からの3球目。高めに入ってきた緩いカーブを叩いてレフトのブルペンに放り込みました。逆転3ラン。セカンドから生還してきたMurphyのサードを回ったところでのガッツポーズは、この試合の象徴的なシーンとなりました。カーテンコールも起き、チームの、そしてファンの雰囲気を一気にひっくり返すまさに値千金の一撃。Lobaton、ありがとう!(見事なまでの手のひら返し(笑)。Baker監督、疑問を持ってしまい申し訳ありませんでした!

5回裏にも1死1,3塁からのMurphyのタイムリーで1点追加し、Hillをノックアウトします(この時点で4-2)。

一方のRoarkも、Hillと同じ4イニングと1/3を記録しただけで、5回裏、ランナーを2人残しての降板となりました。悪いなりに最低限の仕事をしたという印象。ここからはブルペン勝負となりましたが、2番手のMark Rzepczynskiが、四球で1死満塁としながらも何とか堪えてつなぐと、以降はほとんど完ぺきな仕事ぶり。特に、4番手で出てきたBlake Treinenはドジャーズの打者を圧倒していました。Murphyにもう1本タイムリーが出て3点差となって迎えた9回は、クローザーのMark Melanconがマウンドに上がり、危なげなく締めてゲームセット。

シリーズを1勝1敗のタイとし、敵地ロサンゼルスに乗り込みます。(次戦は日本時間11日午前5時からとなります。)

MVP: Jose Lobaton

2016/10/08

Trea Turnerがナ・リーグ最優秀新人賞(8月、9-10月)

NLDSの最中ですが、Trea Turnerが公式のナ・リーグの最優秀新人賞を受賞したことを記事にしていなかったことに気付きました。しかも、2か月分。おかしいなぁ・・・。

妙なタイミングですがご容赦下さい。

活躍ぶりはそれぞれの月間レビューで記事にしたので(8月分9-10月分)数字以外は繰り返すことはしませんが、本当に文句の付けようのない素晴らしい成績です。

August 2016
131PA 27R 5HR 15RBI .357/.366/.571 11SB

September/October 2016
129PA 19R 8HR 18RBI .339/.380/.612 15SB

ナ・リーグ新人王は、まさに今NLDSで直接対決となっているドジャーズのCorey Seagerが全会一致で受賞するだろうと言われています。確かにシーズン成績は下記の通り、やや差があります。

PAHRHRRBIBBKAVEOBPSLGSB
Trea Turner3241085313401559.342.370.56733
Corey Seager 687193105267254133.308.365.5123

しかし、Turnerが本格的にデビューした7月10日以降だけに限るとSeagerの数字はこうなります。

PAHRHRRBIBBKAVEOBPSLGSB
Corey Seager 30289459312157.320.374.4962

全く遜色ありませんね。

真の新人王に相応しいのはどちらか、この際NLDSで白黒つけてもらいましょう!(注: 記者による投票は、レギュラーシーズンが終了してからワイルドカードゲームが始まるまでに締め切られています。)

10/7 NLDS第1戦: Kershaw対策はしてきたが

L3-4 Dodgers (Series 0-1)
Scherzer(L) 6.0IP 4ER 5H(2HR) 0BB 5K 
Rendon 2/4 2RBI
Zimmerman 2/4 
Severino 1/3 double R 
Harper 1/5 double R SB  
Turner 0/3 BB SF RBI 

いよいよ始まったナショナルズのポストシーズン。第1戦は日本時間午前6時30分プレーボールという私にとっては最も快適な時間帯。結果はともかくとして、緊張感のある試合で、楽しい時間を過ごすことができました。

先発は、Max ScherzerとClayton KershawというMLBを代表する両エースでしたが、両軍ともにしっかり対策をしてきたというべきなんだと思いますが、Scherzerは6回4失点、Kershawは5回3失点と、投手戦にはなりませんでした。

Scherzerは、今季の傾向から心配されたとおり一発病に泣きました。まず1回表、先頭打者を空振り三振に斬った後の2番Corey Seagerに対する初球に、真ん中高めへの速球を投げてしまい、センターへフェンスを越えるソロ本塁打。Pedro Severinoの構えはもっと内寄りの厳しいところでしたが、不用意にストライクを取りにいったところを痛打されました。さらに3回表、1死2塁からChase Utleyに右中間に弾き返されて1点を失った後、Justin Turnerに対するやはり初球、高めに入ったスライダーをレフトのブルペンにギリギリで放り込まれてしまいました。

この時点で0-4。相手はKershaw。ナショナルズファンとしては、もうダメだーという気分でした。

しかし、ここから打線が頑張ります。2回裏にも、最後は打者Scherzerが凡退はしたものの2死満塁とするなど、Kershawに対して今日は手も足も出ないという雰囲気ではなかったのですが、3回裏にはBryce Harperの二塁打などで2死1,2塁とすると、Anthony Rendonの打席でダブルスチールを敢行し、2,3塁。このチャンスにRendonが見事にレフト前にはじき返す2点タイムリーヒット。更に4回裏には先頭のSeverinoがレフトへの二塁打で出塁し、Scherzerが上手く転がした二ゴロでランナーを進め、続くTrea Turnerがきっちりとセンターへの犠牲フライを打ち上げました。

これで3-4。追い上げムード。ボール/ストライクをしっかり見極め、カーブ(特に低め)には手を出さず、真ん中から内側に入った速球をしっかりたたくというKershaw対策が功を奏していたように見えました。5回途中で球数は100球に近付き、ノックアウトできそうという雰囲気もありました。

が、残念ながらそうはならず。ブレーキとなったのは、7番に入っていたDanny Espinosa。2回裏、3回裏、5回裏と3度も走者1,2塁の場面で打席に入りつつ、いずれも空振り三振。どの打席もフェンスオーバーしか狙っていない大振りで、そりゃ打てないよという印象でした。5回裏のEspinosaの三振まで、結局Kershawは101球で5イニングを投げ切ってしまいました。まあ、対Kershawだと思えば、よくやったと評価すべきなのかもしれませんが、せっかくここまで追い詰めたのに惜しかったですね。

Scherzerも6回で降板し、以降はブルペン勝負。ナショナルズは、Sammy Solisが2イニング、Mark Melanconが(2死満塁とされながらも)1イニングを無失点で切り抜け、1点ビハインドのまま打線の援護を待ちましたが、ドジャーズブルペンも踏ん張り、ランナーこそ出すもののあと1本が出ず。
最後は、クローザーのKenley Jansengを8回1死から投入するDave Roberts監督の采配で反撃を封じられてしまいました。

負けました。が、見ていて意外とフラストレーションはたまりませんでした。確かにチャンスに打てず、あーあと一本が出ていれば、、、とは思いますが、必死なのはドジャーズの投手陣も同じ。そうそうは打てるはずはありません。両軍がしっかり準備をしてきたという印象が残る、ナイスゲームだったと思います(ただし、Espinosaは除く。)。

明日も楽しみです!

2016 NLDS ロースター

初戦の当日まで明らかにされなかったナショナルズのNLDSのロースターです。

[Starting Pitchers] 
Max Scherzer 
Tanner Roark
Gio Gonzalez (L)
Joe Ross

[Bullpen]
Mark Melancon (Closer)
Blake Treinen
Shawn Kelley
Mark Rzepczynski (L)
Sammy Solis (L)
Oliver Perez (L)
Reynaldo Lopez

[Catchers]
Jose Lobaton
Pedro Severino

[Infielders]
Ryan Zimmerman
Daniel Murphy
Anthony Rendon
Danny Espinosa

[Outfielders]
Jayson Werth 
Trea Turner
Bryce Harper

[Bench Bats]
Stephen Drew
Clint Robinson
Chris Heisey
Wilmer Difo  
Michael Taylor

驚きは、Ben RevereとYusmeiro Petitが外れたこと。Revereについては、外野守備はMichael Taylor、代走の役割はTaylorとWilmer Difoで十分果たせるとの判断で、Petitの代わりのロングリリーフは主にRenyaldo Lopezが務めることになるようです。Revereのほうは納得できる判断ですが、Joe RossとGio Gonzalezが2人ともあまり長いイニングを投げてくれる見込みがないこと、Petitは2014年のポストシーズンで(ナショナルズを相手に!)活躍した印象があるだけに、もったいない感じがします。

ともかく、この25人でまずは対ドジャーズ戦を勝ち抜きましょう!

2016/10/04

2016年9-10月をふりかえる

2年ぶり3度目の地区優勝を達成。大きな足踏みをするわけでもなく、かと言って最終戦でJordan Zimmermannがノーヒッターを達成した2014年のような異様な盛り上がりを見せるわけでもなく、着実に、粛々と、レギュラーシーズンを締めくくりました。

[National League EAST End of 2016 Season]
WLPCTGB
Washington95670.586-
New York87750.5378.0
Miami79820.49115.5
Philadelphia71910.43824.0
Atlanta68930.42226.5

マジック18から始まった9月。12~14日のメッツとの最後の直接対決を2勝1敗と勝ち越し、この時点でマジック7。その後ちょっともたつきましたが、最終的に24日に地区優勝を決めました。最終成績は、95勝67敗。これは2012年の98勝、2014年の96勝には及びませんでしたが、それでもナ・リーグ2位の立派な成績。9-10月の成績は17勝12敗でしっかりと勝ち越し、全ての月間成績で勝ち越す安定した戦いぶりでした。また、最後に2連勝したことでマーリンズにも10勝9敗とシーズン勝ち越しを決め、ナ・リーグ東地区のライバル全てに勝ち越す「完全地区優勝」を達成。これは、2012年、2014年にもできなかった偉業です。

地区2位はメッツ。月間18勝で、ジャイアンツ、カージナルスとの熾烈なワイルドカード争いを制しました。3位のマーリンズは、Jose Fernandezの悲劇もあり、終盤失速して負け越しでシーズンを終えました。4位はフィリーズでしたが、突然9-10月に調子を上げて18勝したブレーブスとの差はわずか2.5ゲーム差でした。なお、マーリンズとブレーブスとの試合数が161なのは、Jose Fernandezの事故死が伝えられた日の試合を中止(延期ではなく)したためです。

ナ・リーグ他地区を見ると、中地区ではカブスが圧巻の103勝。西地区ではドジャーズが91勝で地区優勝を早々に決めましたが、偶数年にワールドシリーズを3連覇(?)しているジャイアンツが最後に4連勝し、やはり4連勝と食い下がったカージナルスを1ゲーム差で振り切ってワイルドカードの最後の席に着きました。

NLDSの組み合わせは、ナショナルズvs.ドジャーズと、カブスvs.(メッツとジャイアンツの勝者)となっています。


[Pitcher of September/October 2016: Max Scherzer]
GSIPWKERAWHIP
Max Scherzer638.15463.291.25
Tanner Roark634.22332.601.18
A.J. Cole625.21275.261.19
Gio Gonzalez523.01257.431.78
Joe Ross39.20142.791.76
Stephen Strasburg12.1043.860.86
GIPSVHLDERAWHIP
Mark Melancon1516.01002.810.88
Blake Treinen1311.1060.791.15
Shawn Kelley1210.1030.000.29
Mark Rzepczynski106.2032.701.20
Sean Burnett105.2003.181.08
Koda Glover108.2017.271.27
Reynaldo Lopez618.2014.341.39

9月7日に激震が走りました。背中の痛みから復帰し約2週間ぶりのマウンドに上がったStephen Strasburgが先発しましたが、3回表途中に右ひじの痛みを訴えて降板。2度目のTJ手術かと心配され、騒然となりました。腱は断裂してはいないとの診断結果でとりあえず手術せずにリハビリを続けていますが、NLDSでの登板はとても無理。チームが勝ち進んだ場合のNLCS以降の登板可能性は排除されていませんが、現実的にはないでしょう。長期契約を結んだばかりでの、この故障のショックは大きいです。

代わりというわけではありませんが、18日にJoe RossがDLから復帰。右肩痛で7月にDL入りしてから約2か月ぶりの復帰。少しずつ球数を増やし、最後の登板でようやく90球を超え、ポストシーズンでのピッチングにメドが立ったのは朗報でした。

ポストシーズンでの先発が予想される投手陣ではTanner Roarkは安定感抜群。打線の援護に恵まれず今月は2勝止まりでしたが、それでも自己最多のシーズン16勝を記録。一方で、Gio Gonzalezは不安定の固まり。それでも、NLDSの相手ドジャーズは左投手を苦手にしているというデータがあるので、「いいGio」が出ることを祈るばかりです。

そして今月もエースの仕事をしたのがMax Scherzerです。味方の援護もあったとはいえ、今月だけで5勝を積み上げて最終戦でシーズン20勝に到達。リーグ最多勝のタイトルを獲得しました。最後の数試合は、なんというか、負ける感じがありませんでしたね。リーグ最多奪三振のタイトルも独走で獲得。投球イニングもリーグ独走トップ。サイヤング賞、取れたと思うのですが、どうでしょうか。。。

そして今更気づきましたが、今月はA.J. Coleがローテーションを守って6試合に先発し、2日にはメジャー初白星も記録しました。ただ、登板を重ねるにつれて安定感を失い、あまりよくない印象を残してシーズンを終えてしまったのは残念でした。来年のスプリングトレーニングが正念場となりそうです。

この他、Matt LatosとRenaldo Lopezが各1回先発。Lopezに関しては、先発としては1試合だけでしたが、Rossの登板日にロングリリーフとして好投を続け、3勝という結果はともかく、首脳陣から高い評価を受けました。どうやらポストシーズンのロースター入りを果たしそうです。

ブルペンでは、相変わらずMark Melanconが安定のクローザー業務を遂行。前月ほど完璧ではなく、失点もし、セーブ失敗も1試合ありましたが、それでも十分な安定感があります。

ずっと役割分担がはっきりしなかったセットアッパー陣でしたが、Blake Treinen、Shawn Kelley、Marc Rzepczynski(左)は安定感のある仕事ぶりで、勝ちゲームはこの3人が中心になりそうです。特にShawn Kelleyはちょっと目を疑うような素晴らしい成績です。

2012年、2014年のポストシーズンではいずれも終盤の逆転負けを喫したナショナルズ。ポストシーズンになるとブルペンには一層プレッシャーがかかることになりますが、今年のブルペン陣は比較的ベテランが多く、大丈夫と期待しています。


[Hitter of September/October 2016: Trea Turner]
PAAVEOBPSLGRHRRBISB
Trea Turner1290.3390.3800.6121981815
Anthony Rendon1050.2470.3140.419124230
Jayson Werth1010.2110.2970.26712181
Danny Espinosa1010.1350.2120.281124101
Bryce Harper980.2100.3270.321111113
Ryan Zimmerman850.2220.2590.3337261
Wilson Ramos730.2750.3150.4204290
Daniel Murphy640.3930.4380.5547062

野手は野手で、今シーズン比較的健康に恵まれてきたツケを払うようにここに来て故障者が続出。首位打者あるいはリーグMVP争いにも名乗りを上げていたDaniel Murphyが足のつけねを痛めて17日以降は先発からは外れ、以降は代打でのわずか3打席のみ。ぎりぎりで首位打者を逃すことになりました。

そしてシーズン最終盤、地区優勝も決まった後になって、Wilson Ramosが右ひざ靭帯断裂でシーズン終了。翌日にはBryce Harperも右手を負傷して数日欠場(最後の数試合は出場しましたが)、Jayson Werthも軽傷とはいえ負傷して最後の2試合を欠場しました。

そんなチームを支えたのがTrea Turner。数字を見るまではここまでとは気付きませんでしたが、本当に1人で支えていたんですね。故障で半分休んだDaniel Murphyを除くと、打点以外の全ての項目でチームトップ。それも、圧倒的な差で。リードオフなんですから打点が伸びないのは当たり前ですが、それもチーム2位。この活躍で、2か月連続の公式の月間リーグ新人王に選ばれています。

逆に言えば、他の選手があまりにひど過ぎました。チーム打率こそ12位と並の成績でしたが、本塁打数は23位で総得点は20位に低迷。

Anthony Rendonこそまだ許せる数字ですが、Jayson Werth、Bryce Harper、Ryan Zimmerman、それにDanny Espinosaがこのままの調子では、各チームが4人以下のローテーションで回すことになるポストシーズンを勝ち上がることは絶対無理。こうしてみるとなおさらWilson Ramosの離脱が痛いですね。Daniel Murphy?戻ってきてくれないとどうにもなりません。

Ramosの離脱によって急に出場機会が増えた両捕手は、Jose Lobatonが.400/.409/.450、Pedro Severinoが.182/.357/.545と、それぞれ少ない機会で結果を残しています。Ramosの穴を埋めるのは簡単ではありませんが、ポストシーズンでもがんばってください。

セプテンバーコールアップで呼ばれた選手の中では、Brian Goodwinが27打席で.308/.333/.538、Wilmer Difoも29打席で.304/.448/.478と与えられた機会を活かしました。チームの冬の補強戦略に影響を与えたのではないでしょうか。来季のスプリングトレーングが楽しみです。