2016/10/04

2016年9-10月をふりかえる

2年ぶり3度目の地区優勝を達成。大きな足踏みをするわけでもなく、かと言って最終戦でJordan Zimmermannがノーヒッターを達成した2014年のような異様な盛り上がりを見せるわけでもなく、着実に、粛々と、レギュラーシーズンを締めくくりました。

[National League EAST End of 2016 Season]
WLPCTGB
Washington95670.586-
New York87750.5378.0
Miami79820.49115.5
Philadelphia71910.43824.0
Atlanta68930.42226.5

マジック18から始まった9月。12~14日のメッツとの最後の直接対決を2勝1敗と勝ち越し、この時点でマジック7。その後ちょっともたつきましたが、最終的に24日に地区優勝を決めました。最終成績は、95勝67敗。これは2012年の98勝、2014年の96勝には及びませんでしたが、それでもナ・リーグ2位の立派な成績。9-10月の成績は17勝12敗でしっかりと勝ち越し、全ての月間成績で勝ち越す安定した戦いぶりでした。また、最後に2連勝したことでマーリンズにも10勝9敗とシーズン勝ち越しを決め、ナ・リーグ東地区のライバル全てに勝ち越す「完全地区優勝」を達成。これは、2012年、2014年にもできなかった偉業です。

地区2位はメッツ。月間18勝で、ジャイアンツ、カージナルスとの熾烈なワイルドカード争いを制しました。3位のマーリンズは、Jose Fernandezの悲劇もあり、終盤失速して負け越しでシーズンを終えました。4位はフィリーズでしたが、突然9-10月に調子を上げて18勝したブレーブスとの差はわずか2.5ゲーム差でした。なお、マーリンズとブレーブスとの試合数が161なのは、Jose Fernandezの事故死が伝えられた日の試合を中止(延期ではなく)したためです。

ナ・リーグ他地区を見ると、中地区ではカブスが圧巻の103勝。西地区ではドジャーズが91勝で地区優勝を早々に決めましたが、偶数年にワールドシリーズを3連覇(?)しているジャイアンツが最後に4連勝し、やはり4連勝と食い下がったカージナルスを1ゲーム差で振り切ってワイルドカードの最後の席に着きました。

NLDSの組み合わせは、ナショナルズvs.ドジャーズと、カブスvs.(メッツとジャイアンツの勝者)となっています。


[Pitcher of September/October 2016: Max Scherzer]
GSIPWKERAWHIP
Max Scherzer638.15463.291.25
Tanner Roark634.22332.601.18
A.J. Cole625.21275.261.19
Gio Gonzalez523.01257.431.78
Joe Ross39.20142.791.76
Stephen Strasburg12.1043.860.86
GIPSVHLDERAWHIP
Mark Melancon1516.01002.810.88
Blake Treinen1311.1060.791.15
Shawn Kelley1210.1030.000.29
Mark Rzepczynski106.2032.701.20
Sean Burnett105.2003.181.08
Koda Glover108.2017.271.27
Reynaldo Lopez618.2014.341.39

9月7日に激震が走りました。背中の痛みから復帰し約2週間ぶりのマウンドに上がったStephen Strasburgが先発しましたが、3回表途中に右ひじの痛みを訴えて降板。2度目のTJ手術かと心配され、騒然となりました。腱は断裂してはいないとの診断結果でとりあえず手術せずにリハビリを続けていますが、NLDSでの登板はとても無理。チームが勝ち進んだ場合のNLCS以降の登板可能性は排除されていませんが、現実的にはないでしょう。長期契約を結んだばかりでの、この故障のショックは大きいです。

代わりというわけではありませんが、18日にJoe RossがDLから復帰。右肩痛で7月にDL入りしてから約2か月ぶりの復帰。少しずつ球数を増やし、最後の登板でようやく90球を超え、ポストシーズンでのピッチングにメドが立ったのは朗報でした。

ポストシーズンでの先発が予想される投手陣ではTanner Roarkは安定感抜群。打線の援護に恵まれず今月は2勝止まりでしたが、それでも自己最多のシーズン16勝を記録。一方で、Gio Gonzalezは不安定の固まり。それでも、NLDSの相手ドジャーズは左投手を苦手にしているというデータがあるので、「いいGio」が出ることを祈るばかりです。

そして今月もエースの仕事をしたのがMax Scherzerです。味方の援護もあったとはいえ、今月だけで5勝を積み上げて最終戦でシーズン20勝に到達。リーグ最多勝のタイトルを獲得しました。最後の数試合は、なんというか、負ける感じがありませんでしたね。リーグ最多奪三振のタイトルも独走で獲得。投球イニングもリーグ独走トップ。サイヤング賞、取れたと思うのですが、どうでしょうか。。。

そして今更気づきましたが、今月はA.J. Coleがローテーションを守って6試合に先発し、2日にはメジャー初白星も記録しました。ただ、登板を重ねるにつれて安定感を失い、あまりよくない印象を残してシーズンを終えてしまったのは残念でした。来年のスプリングトレーニングが正念場となりそうです。

この他、Matt LatosとRenaldo Lopezが各1回先発。Lopezに関しては、先発としては1試合だけでしたが、Rossの登板日にロングリリーフとして好投を続け、3勝という結果はともかく、首脳陣から高い評価を受けました。どうやらポストシーズンのロースター入りを果たしそうです。

ブルペンでは、相変わらずMark Melanconが安定のクローザー業務を遂行。前月ほど完璧ではなく、失点もし、セーブ失敗も1試合ありましたが、それでも十分な安定感があります。

ずっと役割分担がはっきりしなかったセットアッパー陣でしたが、Blake Treinen、Shawn Kelley、Marc Rzepczynski(左)は安定感のある仕事ぶりで、勝ちゲームはこの3人が中心になりそうです。特にShawn Kelleyはちょっと目を疑うような素晴らしい成績です。

2012年、2014年のポストシーズンではいずれも終盤の逆転負けを喫したナショナルズ。ポストシーズンになるとブルペンには一層プレッシャーがかかることになりますが、今年のブルペン陣は比較的ベテランが多く、大丈夫と期待しています。


[Hitter of September/October 2016: Trea Turner]
PAAVEOBPSLGRHRRBISB
Trea Turner1290.3390.3800.6121981815
Anthony Rendon1050.2470.3140.419124230
Jayson Werth1010.2110.2970.26712181
Danny Espinosa1010.1350.2120.281124101
Bryce Harper980.2100.3270.321111113
Ryan Zimmerman850.2220.2590.3337261
Wilson Ramos730.2750.3150.4204290
Daniel Murphy640.3930.4380.5547062

野手は野手で、今シーズン比較的健康に恵まれてきたツケを払うようにここに来て故障者が続出。首位打者あるいはリーグMVP争いにも名乗りを上げていたDaniel Murphyが足のつけねを痛めて17日以降は先発からは外れ、以降は代打でのわずか3打席のみ。ぎりぎりで首位打者を逃すことになりました。

そしてシーズン最終盤、地区優勝も決まった後になって、Wilson Ramosが右ひざ靭帯断裂でシーズン終了。翌日にはBryce Harperも右手を負傷して数日欠場(最後の数試合は出場しましたが)、Jayson Werthも軽傷とはいえ負傷して最後の2試合を欠場しました。

そんなチームを支えたのがTrea Turner。数字を見るまではここまでとは気付きませんでしたが、本当に1人で支えていたんですね。故障で半分休んだDaniel Murphyを除くと、打点以外の全ての項目でチームトップ。それも、圧倒的な差で。リードオフなんですから打点が伸びないのは当たり前ですが、それもチーム2位。この活躍で、2か月連続の公式の月間リーグ新人王に選ばれています。

逆に言えば、他の選手があまりにひど過ぎました。チーム打率こそ12位と並の成績でしたが、本塁打数は23位で総得点は20位に低迷。

Anthony Rendonこそまだ許せる数字ですが、Jayson Werth、Bryce Harper、Ryan Zimmerman、それにDanny Espinosaがこのままの調子では、各チームが4人以下のローテーションで回すことになるポストシーズンを勝ち上がることは絶対無理。こうしてみるとなおさらWilson Ramosの離脱が痛いですね。Daniel Murphy?戻ってきてくれないとどうにもなりません。

Ramosの離脱によって急に出場機会が増えた両捕手は、Jose Lobatonが.400/.409/.450、Pedro Severinoが.182/.357/.545と、それぞれ少ない機会で結果を残しています。Ramosの穴を埋めるのは簡単ではありませんが、ポストシーズンでもがんばってください。

セプテンバーコールアップで呼ばれた選手の中では、Brian Goodwinが27打席で.308/.333/.538、Wilmer Difoも29打席で.304/.448/.478と与えられた機会を活かしました。チームの冬の補強戦略に影響を与えたのではないでしょうか。来季のスプリングトレーングが楽しみです。

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