2019/10/18

NLCSをふりかえって: MVPはKendrick(とSanchez)

まさかの4連勝で終わったNLCS。ALCSはまだ続いていてちょっと羨ましかったりしますが、まあ贅沢は言うまい。NLDSと同じように、気の向くままに戦いぶりを振り返っておこうと思います。(例によって数字はbaseball referenceのページをご参照ください)

[シリーズMVP]

公式にはHowie Kendrickが受賞しました。おめでとう!4試合全てに5番セカンドで先発出場。2-0で勝利した初戦では1点目のホームを踏み、2点目のタイムリー。第3戦では3本の二塁打で3打点を記録。計4得点、4打点はいずれもチーム単独トップ。足の故障への懸念を抱え、レギュラーシーズンでは休みながら使わざるをえなかったベテランが、連戦にも疲れを見せず、高いレベルのパフォーマンスを続けてくれました。野手陣で最も大きな 貢献をした選手であることは確かで、MVPにふさわしいと思います。

しかし、このNLCSをナショナルズが制する決め手となったのは投手陣ではなかったでしょうか。第3戦までの先発投手がそろって自責点0で7イニング以上を投げたことは、それだけでも歴史的な快挙であり、また、第4戦の後半を含め、計9イニング(つまり実質1試合)を1失点に抑えたブルペンも素晴らしい働きでした。そんな投手陣を代表して、当ブログでは、Anibal SanchezをMVPとして讃えたいと思います。第1戦の先発を任され、8回途中までノーヒッターを継続。シリーズの流れを作ったのは間違いなくSanchezの快投でした。


[投手陣]
  • 4戦で終わってしまったので、Anibal Sanchez, Max Scherzer, Stephen Strasburg, Patrick Corbinの「BIG4」が1度ずつ先発しただけで終わってしまいまいた。第1戦のSanchezは8回2死まで、第2戦のScherzerは7回の先頭打者まで、それぞれノーヒッターを継続し、大いに沸かせてくれました。第3戦のStrasburgも無四球で、前の2人より多い12奪三振という快投で、やはり自責点0。第4戦のCorbinは中盤に息切れしましたが、序盤の奪三振ショーで大いに盛り上げ、試合のトーンを作ったのは確かです。それにCorbinは第1戦の9回に対左のワンポイントとしてマウンドに上がった功もありました。
  • Sean Doolittle, Daniel Hudson, Tanner Rainey, Fernando Rodneyがマウンドに上がったブルペン陣は、計9イニングを自責点1。その1点も、第2戦でMichael A. Taylorが打球の目測を誤ったことによるもので、実質的には無失点。先発陣が素晴らし過ぎて4人以外(Javy Guerra, Roenis Elias, Austin Voth)を使う必要がなかったとはいえ、ここに来ていい仕事をしてくれました。
  • 最大大の功労者は3試合に登板したDoolittle。第1戦では8回途中からマウンドに上がり、そのまま4つのアウトを記録してセーブ。Hudsonが出産立合い休暇を取得したことで生じていた外野の雑音を吹き飛ばすピッチングでした。そのHudsonも、第4戦の8回こそひやひやさせましたが「崩壊しなかった」というその点だけで十分です。2人だけではありません。RaineyとRodneyは2人で計3イニングをパーフェクト、打者9人から5奪三振というパフォーマンス。特にRaineyは制球難の面影もなくすっかり立場を確立した感があります。
  • チーム投手成績。計36イニングで6失点(自責点5)、7四球、2死球。防御率/WHIPに直すと、1.25/0.64。48奪三振。サイヤング賞どころか、絶対守護神という感じの驚異的な数字ですね。
  • 逆にカージナルスのチーム打撃成績は、.130/.195/.179。個々の選手を見ても、Jose Martinezにだけは10打数5安打と打たれましたが、他の選手はことごとく抑えました。特に主軸のPaul GoldschmidtとMarcell Ozunaの2人に至っては、合わせて32打数4安打、四死球なし、.125/.125/.156。そして17三振(2打席に1度以上三振)と完膚なきまでに抑え切りました。NLDSでのCody Bellingerに続いてのことなのでスカウティングの成果ではないかと思います。拍手。

[野手陣]
  • 先にチーム打撃成績から行きます。.274/.327/.415。本塁打数はわずかに2本。しかもいずれもソロでしたが、二塁打はNLDSを上回る11本で、20得点(1試合平均5点)と悪くない数字を記録しました。第4戦の初回が象徴的ですが、打線が線として機能したと評価できるでしょう。
  • チーム盗塁数がまたも0に終わった点は気になりますが、WSでは意外と武器になるような気がします(根拠は全くありません)。
  • 個人成績に目を転じると、Anthony RendonがMVPのKendrickをも上回る打率.417、出塁率.529を記録。もっとも、カージナルス投手陣のマークが厳しく、第4戦での先制犠飛こそありましたが、それを含めても2打点止まり。後を打つJuan Sotoに対しても徹底した変化球攻めが遂行され、NLDSほどの活躍はできませんでした。特に三振の多さはらしくありません。WSでも同じような攻め方をされることが予想されます。シーズン中にもしてきたように、しっかり修正してくるのがSotoだと信じています。
  • 中軸の2人がマークされた分、その後を打つKendrickを含め周囲がよく頑張りました。まず、1、2番の2人は、テーブルセッターとしてだけでなく、2人で5打点とポイントゲッターとしても機能しました。特にロースコアゲームとなった第1戦、第2戦の終盤での追加点に絡んだAdam Eatonの貢献は大でした。Turnerは第4戦の初回、先頭打者としてセンター前で出たあと、止めとなるレフトへの2点タイムリー。7得点の立役者となりました。
  • 全4試合で5、6番を務めたKendrickとRyan Zimmermanの両ベテラン。Kendrckについては上述のとおり。Zimmemanの数字は一見パッとしませんが、第4戦の初回の三塁線への打球はヒットにカウントされてもいい強烈なものでしたし、調子は悪くありません。そして守備。第1戦の8回裏のダイビングキャッチはこのNLCSの最大のハイライトの1つでしょう。
  • 捕手コンビはKurt Suzukiの出遅れでマスクを被ったYan Gomesが初戦のSanchezの好投を演出し、同試合では2安打1打点を記録するなどバットでもしっかり貢献。ワイルドカード以来ノーヒットが続いていたSuzukiにも第3戦でようやく1本。WSでは気楽に打席に入れることでしょう。
  • そしてセンターの2人。Michael A. Taylorは第2戦で値千金のまさかの先制ソロ。第3戦から復帰のVictor Roblesもブランクを感じさせずいきなりホームラン。チームで2本しか出なかったホームランを打ったのがこの2人とは。第4戦、またも最後の打球はセンターへ。今回はイージーフライでしたが、Roblesがこれをキャッチし、WS進出が決まりました。
  • 代打陣では、Matt AdamsとGerardo Parraにそれぞれヒットが出ました。代打Parraが告げられBaby Sharkが流れるだけでナショナルズ・パークは大盛り上がり。それだけでもロースターにいる価値のある選手ですね。

[番外編]
私が観てなくても第3戦をちゃんと勝ってくれて心底ほっとしました。WSも全試合見ることはさすがにできない予定ですので。この話はもういいでしょう。

ずっとご覧になっている方はお気付きかと思いますが、NLCSの4試合全てナショナルズのユニフォームは、ネイビーブルーで胸に「Nationals」と書かれたものでした(リンク先の写真参照)。ドジャーズとのNLDSの第2戦をこのユニフォームで勝った後、違うユニフォームで2連敗。第4戦をこのユニフォームで勝ったことから験担ぎで第5戦も同じユニフォームを 着て勝利。NLCSでは毎日勝つので変えられなくなってしまって結果4試合とも同じユニフォームで戦うことになったようです。このポストシーズン、このユニフォーム以外では1勝(ブリューワーズとのワイルドカードゲーム)2敗、このユニフォームではなんと7勝負けなし。WSの第1戦も当然このユニフォームで臨むものと思われます。

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