2016/01/02

ロースター異動まとめ(2015年12月)

12/2 Tyler MooreJose Lobatonと年俸調停を回避して1年契約
12/2 Craig StammenがノンテンダーFA、Stephen Strasburg, Drew Storen, Danny Espinosa, Wilson Ramos, Anthony Rendonの5人に契約提示
12/4 Oliver Perezと2年契約
12/9 Yusmeiro Petitと1年契約
12/10 Yunel EscobarTrevor Gottのトレード(別記事
12/10 Shawn Kelleyと3年契約
12/24 Aaron Laffey, Jhonatan Solanoの2選手とマイナー契約
12/25 Daniel Murphyと3年契約 (別記事
12/29 Stephen Drewと1年契約



●Tyler Moore, Jose Lobatonと年俸調停を回避して1年契約
12月2日中が期限となっていた年俸調停対象選手への契約提示の直前に、Tyler Moore外野手とJose Lobaton捕手が、それぞれ1年契約に合意しました。今季が微妙な成績だったこともあり、ノンテンダーの可能性が囁かれていた両選手でしたが、年俸調停で得られると推計されていた金額よりやや低い額(とはいえ前年からは増額)で合意に至りました。来季もベンチプレーヤーとしてよろしく。

Tyler Moore 1年90万ドル
Jose Lobaton 1年138.75万ドル


●年俸調停:Craig StammenがノンテンダーFA
12月2日、年俸調停対象選手のうち下記の5選手に対して契約を提示しましたが、Craig Stammen投手には提示せず、StammenはFAとなりました。

Stephen Strasburg, RHP 
Drew Storen, RHP
Danny Espinosa, 2B
Wilson Ramos, C
Anthony Rendon, 2B/3B 

上記5選手とは、2月中旬までに開かれる年俸調停ヒアリングまでの間に、契約条件の交渉が行われることになります。ファンとしてはStephen Strasburg投手との長期契約の奇跡が起きることを願っていますが、現実的には期待薄です。

それよりStammenです。春に故障したときからの懸念が現実のものとなってしまいました。今回契約を提示すると、Stammenの来季年俸は今季の225万ドルからいくらか上昇することになるのですが、右前腕部の腱の移植手術からのリハビリ中で来季の開幕に間に合うかどうかぎりぎりという31歳のブルペン投手には高額過ぎるというのが球団の判断のようです。

合理的な判断なのでしょうが、長く貢献してくれた選手がこのような形で退団するのは寂し過ぎます。何らかの形で再契約し、ナショナルズで復帰する姿を見せてくれることを期待したいところですが、こちらも実際には難しいと思います。ユニフォームが変わっても応援したい選手の1人です。


●Oliver Perezと2年契約
ブルペンの再構築がオフの課題となっている(Jonathan Papelbonと、おそらくはDrew Storenのトレードが最大の課題なわけですが)ナショナルズ。まずは、Matt Thorntonの後釜のブルペン左腕として、Oliver Perezと契約するという一手を打ちました。

Olier Perez (2015 Season for ARI andHOU)
70G 41.0IP 10HD 51K 15BB 4.17/1.32 

34歳、メジャー14年目となるベテラン左腕。メキシコ出身。2007年にはメッツの先発投手として15勝したこともありましたが、2008年からは右ひざの故障もあって結果を残せなくなり、遂には2011年のスプリングトレーニング中に1年1200万ドルの契約を残しながらメッツからリリースされるほど落ちぶれてしまいました。実は、その2011年はナショナルズとマイナー契約を結んでHarrisburg(AA)で先発投手として投げ、防御率3.09とまずまずの結果を残したのですが、結局メジャーに昇格することはないままでした。転機となったのは、そのオフに参加したメキシコ冬季リーグでブルペン投手に転向して結果を残したことでした。翌年からは、マリナーズ(2012-13)、Dバックス(2014-2015途中まで)、アストロズ(2015年途中から)で、主に対左用投手としてチームに貢献してきました。上記のスタッツを見ると、そんなに好成績に見えませんが、これを対左打者だけにしてみると、次の通り、見事に抑えこんでいます。

Oliver Perez (2015 Season vs LH Hitters)
58G 98PA 33K 5BB .185/.235/.283

2年で700万ドルというのはやや払い過ぎかなという印象もありますが、使い方によっては十分価値のある投手でしょう。

また、この契約のもう1つの見逃せない効果としては、来季のロースター入りがほぼ確定しているブルペン投手でで唯一の左腕だったFelipe Riveroの活用方法の幅が広がることがあります。もしかするとRiveroをセットアッパーやクローザーとして起用することも感がているのかもしれません。そいうった点も含めて、全体的には好印象の動きです。


● Yusmeiro Petitと1年契約
12月7日から始まったウィンター・ミーティングに入り、FAブルぺン投手では最も高くランクされていたDarren O’Day争奪戦に加わっていたのですが、4年3100万ドルを提示したオリオールズに敗北。まあ、4年は長過ぎるので撤退して正解だと思います。

方針を変更し、Yusmeiro Petitとの1年契約に合意しました。2016年が250万ドル。2017年が300万ドルのオプションで、球団が破棄する場合は50万ドルのバイアウトを支払う。2016年に80イニングに達した場合は自動的にオプションが発動されるというもの。1年300万ドルということはCraig Stammenに払うことになったであろう額を少し上回る水準。後述するように求められる役割はStammenの後任ですから、それならStammenでも良かったのではと思いますが、故障リスクがそれだけ高いという判断だったのでしょうか。

Yusmeiro Petit (2015 Season for SFG)
42G(1GS) 76.0IP 15BB 59K 3.67/1.18

ベネズエラ出身の31歳。2001年にメッツと契約。トレードされたマーリンズで2006年にメジャーデビュー。その後、Dバックスへのトレード、ウェイバーでのマリナーズへ移籍を経て、直近4年間はジャイアンツに所属していました。マイナーでは一貫して先発投手として育成されてきましたが、メジャーでは先発とブルペンを行ったり来たり、そもそもメジャーとマイナーを行ったり来たりで、メジャーに定着したのは29歳となった2014年のことでした。この間、2013年9月には完全試合まであと1人まで行ったり(二塁打を打たれた)、2014年には8試合にわたって「46打者連続アウト」のメジャー記録を更新したりと何かと話題を振りまいていました。2014年のポストシーズンではブルペン投手として4試合に登板して3勝を記録し、ワールドシリーズ制覇に貢献(ナショナルズとのNLDSでは、あの第2戦で延長12回から17回までの6イニングを無失点、勝利投手となっています)。今季も主にブルペンのロングリリーフとして活躍していましたが、先日、ジャイアンツからノンテンダーされ、FAとなっていました。まさにStammenの後任ということでしょう。

やはりブルペン右腕のShawn Kelleyとも合意と報じられていますが、球団はまだ認めていません。


●エンゼルスとのトレード(Yunel Escobar ⇔ Trevor Gott)
ウィンターミーティングの最終日。ルール5ドラフトは誰も取らず誰も取られずで終わりましたが、一方で、さらなるブルペンの補強に動きました。今回はトレード。Yunel Escobar内野手の年俸を一部負担しながらエンゼルスに送り、ブルペン右腕のTrevor Gottと、マイナーリーガーのMichael Brady投手を獲得しました。(詳細は別記事


●Shawn Kelleyと3年契約
さらにブルペンを補強。第4弾は、数日前から噂に上がっていたShawn Kelleyとの3年1500万ドルの契約でした。

Shawn Kelley (2015 Season for SDP)
53G 51.1IP 15BB 63K 2.45/1.09 

31歳のブルペン右腕。元々は2007年にマリナーズからドラフトされて入団し、2009年にメジャーデビュー。2013年にはヤンキースへ、昨オフにはパドレスへとトレードされ、今オフFA資格を取得。

プロ入り後は一貫してブルペン投手として投げており、球速は90マイル台前半ながら、高い奪三振率が特徴。防御率はシーズンによって多少上下していても高い奪三振率を続けています。2013,14年には2桁ホールド、2014年には4セーブを記録するなど、勝ちゲームでの登板での実績もあります。セットアッパーはやや荷が重いかもしれません、左右とも苦にしませんので、7回あたりを任せることが期待されます。

この1週間でブルペンに4人を追加。スタッフはそろってきました。


●Aaron Laffey, Jhonatan Solanoの2選手とマイナー契約
ウィンターミーティングが終わってからなかなか動きがないなか、2選手とマイナー契約を結びました。

Aaron Laffeyは、2007年のデビュー以来7球団を渡り歩き、メジャー通算156試合に登板しているベテラン右腕投手。メジャーとマイナーを行ったり来たりしており、今季もロッキーズに所属していましたが、ほとんどはAAAで過ごし、メジャーでは3試合の登板に終わっています。なお、2014年シーズンにもナショナルズとマイナー契約しましたが、Syracuse(AAA)のローテーション投手として好投しながらメジャーに呼ばれることはありませんでした。

Jhonatan Solanoは30歳の捕手。コロンビア出身で2006年から2014年までナショナルズに所属し、守備力に定評のある控え捕手として2012年にはメジャーデビュー。2014年シーズン終了後にリリースされ、今季はマーリンズに所属していましたが、メジャーでの出場は7試合止まり。Onionの愛称で知られ、出戻りを歓迎するコメントが多く見られます。

なお、Ross Detwilerがインディアンズとマイナー契約を結んでいます。2015年の成績からするとやむなしでしょう。


●Daniel Murphyと3年契約
メッツからFAとなっていたDaniel Murphy二塁手と3年3750万ドルで契約合意。(詳細は別記事


●Stephen Drewと1年契約
昨シーズンはヤンキースでプレーしていたベテラン内野手のStephen Drewと1年300万ドルの契約に合意しました。

Stephen Drew (2015 Season for NYY) 
131G 428PA 17HR 44RBI 37BB 71K .201/.271/.381 0SB

2004年ドラフト1順目(全体15位)でDバックスに入団。ちなみに当時のスカウト部長は現ナショナルズGMのMike Rizzo。2006年にメジャー昇格し、2007年にはレギュラーとなった。2011年のシーズン終盤に足首を故障し、成績が低下。2012年のシーズン途中にアスレティックスへトレードされ、オフにFAとなったが、思ったような契約が得られずレッドソックスと1年契約を結び、2013年のワールドシリーズ制覇に貢献。そのオフに改めてFA市場に出たが、またも思うような契約を得られず、シーズン開幕後の5月も末になってレッドソックスと再契約、夏にはヤンキースにトレードされたものの、どちらでも打率2割に満たないという悲惨なシーズンとなった。2015年はヤンキースで主に二塁手として出場機会を得て上記の結果を残した。低打率ながら長打力はあり、守備でもセカンド、ショート、サードといろいろ守れるのでベンチプレーヤーとしてはまずまずか。

才能はあるものの十分に開花しきれないまま来てしまったという印象。カージナルズ、レッドソックスで外野手として活躍した兄のJ.D. Drewのほうがオールスターにも選出されるなど成功しているのでそう見えるのかもしれないが。契約でも、代理人のScott Borasの交渉戦術が裏目に出ている感じ。

現時点ではAnthony Rendonはもちろん、Danny EspinosaとDaniel Murphyと比べても期待感は低いので、内野の控えを務めるはず。一方、これにより(故障がない限りは)Trea Turnerはマイナーで開幕させる環境が整った。

4 件のコメント:

nutsnats さんのコメント...

こんにちは、そろそろWinter Meetingの季節ということで情報が飛び交っていますね。

StammenがFAと聞いた時は何かの間違いじゃないかと思ったくらいびっくりしました。
今季はブルペンが安定せずに苦みましたが、Stammenの不在が大きくかかわっていたと思います。
今勘定できる中継ぎはRivero と Treinenくらいですから、少々高くてもStammenは契約しておくべきだと思ったのですが・・・・色々読む限りだと再契約の線はなさそうですね。Stammenの抜けた穴をどうやって埋めるのか、かなり大仕事になりそうですね。

あとはやっぱりStrasburgとの延長ですが、これもそんな気配が一切ないのが残念です。上手く立ち回らないとまた弱いチームに戻ってしまいそうで、難しいオフシーズンとなりそうですね。Rizzo GM頼りにしてますが、本当にこのままでいいのかと考えてしまいそうです。

estoppel さんのコメント...

nutsnatsさん
こんばんは。そうですねーストーブリーグも最盛期という感じですね。あのMy Enemy Number 2が1年平均額では史上最高となるFA契約に合意したりしていますね。さすがは金の亡者(笑)。

Stammenについては本当に残念です。苦しい時期を支えてくれた功労者の最後としてはあまりに寂しい。こういう辺りが、生え抜きとの長期契約が(Ryan Zimmermanという例外はあるにせよ)うまくいっていない原因ではないかと思えてきます。Papelbon事件で反省してくれるといいのですが。

まあHarperがいてくれる限りそこまで落ち込むとは思えませんが、ポストシーズンを勝ち抜けるチームを作ることが目標だとすると、やはりブルペンがカギになりますから、Papelbonという爆弾を抱えたままではかなり苦しいですね。ふぅ。

これからもよろしくお願いします!

nutsnats さんのコメント...

estoppelさんのenemy 2は本当に悪人面ですね 笑
今年みたいな成績残されちゃうと、やっぱりいい契約が取れますね。ただDbacksに行ったのには驚きました。前にNatsを断った時は優勝できそうにないとかいう理由だったと思うのですが、心境の変化ですかね。

PapelbonもStorenもどっちも放出するんじゃないかって話が出てますね。これはもうブルペン誰もいなくなりそうです・・・。あのあまり活躍しなかったSorianoがWinter Leagueで活躍してるみたいですが、出戻ってくるのだけは勘弁してほしいですね。

estoppel さんのコメント...

nutsnatsさん こんばんは。遅くなってすみません。

でしょー悪い奴なんですよ。優勝できるできないじゃなくて、ただの金の亡者です。プンプン。

Ollie Perezに続いて、Yusmeiro Petitとも契約に合意。Shawn Kelleyとも合意間近との報もあります。PapelbonはPapelbonであの事件の後に課された処分に不服申し立てをするなどという厚顔無恥ぶり(笑)。さすがに放出間近でしょう。

明日はルール5ドラフト。ここでも1人くらいブルペン投手候補を取ってもいいと思いますが、さて、どうでしょうか。