2013/12/26

2013 シーズンレビュー3: 投手MVP Zimmermann

例年通り、個人成績も振り返っておきます。今年はまず投手陣から。

【先発】(Detwiler以下は規定投球回数に到達せず)

W
L
GS
CG
IP
SO
ERA
WHIP
HR/9
SO/9
SO/BB
Jordan Zimmermann
19
9
32
4
213.1
161
3.25
1.09
0.8
6.8
4.0
Gio Gonzalez
11
8
32
1
195.2
192
3.36
1.25
0.8
8.8
2.5
Stephen Strasburg
8
9
30
1
183.0
191
3.00
1.05
0.8
9.4
3.4
Dan Haren
10
14
30
0
169.2
151
4.67
1.24
1.5
8.0
4.9
Ross Detwiler
2
7
13
0
71.1
39
4.04
1.49
0.6
4.9
2.8
Taylor Jordan
1
3
9
0
51.2
29
3.66
1.36
0.5
5.1
2.6
Ross Ohlendorf
4
1
7
0
60.1
45
3.28
1.16
1.2
6.7
3.2
Tanner Roark
7
1
5
0
53.2
40
1.51
0.91
0.2
6.7
3.6

スプリングトレーニングを順調に消化し、開幕ローテーションは、当初の構想通り、Stephen StrasburgGio GonzalezJordan ZimmermannDan HarenRoss Detwilerの5人。前の4人はシーズンを通じて大きな故障なく投げてくれましたが、5番手のDetwilerが故障離脱したことから、多くの投手に先発機会が与えられることになりました。

2年連続の開幕投手となったStrasburgは開幕戦こそ7回無失点で勝ちましたが、ここからまさかの5連敗で、2勝目は5月16日まで待たなければなりませんでした。相変わらずイニング数を上回る奪三振を記録するなど、決して内容が悪かったわけではないのですが、信じられないほど援護してもらえず(例.7月24日、8回2安打1失点12奪三振で敗戦投手)、まさかの負け越し。そんな中でのハイライトは、8月11日のフィリーズ戦。被安打4、1四球、10奪三振、99球でのメジャー初完封。投球回数はしっかり積み上げたので、来季はいよいよフル回転でサイ・ヤング賞争いへの参入が期待されます。

昨季の投手MVP、Gio。今季もローテーションをしっかり守ってくれましたが、Strasburgと同じく援護に恵まれず勝ち星は伸びませんでした。良い日と悪い日の差がかなり大きく、四球を連発という悪い癖が出て4失点以上した試合が7試合もあり、全体として数字を悪化させました。ハイライトは9月9日のメッツ戦。ヒットは7回に打たれたシングル1本だけ、2四球での完封勝利を飾りました。なお、1月末に報じられた禁止薬物使用疑惑については、8月に「クロ」と判定された14選手に対する処分が下された際にGioについては「灰色でなく明確にシロ」との判断が示されています。良かった。

今季、自身初の200イニング越えでエース級の働きをしてくれたのがZimmermann。成績が伸び悩む同僚を尻目に、開幕3連勝(3勝目は自身初の完投勝利)。一休みした後の4月26日のレッズ戦では被安打1、与四球1で1-0完封勝利。その後も着実に白星を積み重ねて前半だけで11勝し、初のオールスターに選ばれました。オールスター前後にやや減速しましたが、その後持ち直し、9月20のマーリンズ戦で今季2度目の完封(被安打2、与四球1)。19勝はナ・リーグ最多勝(タイ)。サイ・ヤング賞投票でも得票と、大飛躍の年となりました。FAまであと2年。契約延長が期待されます。

スプリングトレーニングの不振で心配されながらも先発4番手として開幕したHaren。案の定、序盤に大量リードを許す試合を繰り返し、4月(月間防御率6.29)、5月(同4.35)と低空飛行を続けた末、6月に墜落(同9.82)。ファンからはブーイングの嵐を受けました。6月末にDL入りという名のマイナー再調整を強いられた時点での数字は規定投球回数を満たした全投手中で圧倒的に最悪のものでした。このまま解雇かと思われましたが、7月に戻ってくるとオールスター後は防御率3.52と復活。9月28日の最終登板で7回無失点と好投し10勝目を記録しましたが、今さら遅いよという冷淡な気持ちしか持てませんでした。

2012年シーズン終盤の安定した投球ぶりと、今春のWBC、スプリングトレーニングでの内容から、先発5番手を任されたDetwiler。最初の8先発では(ブルペンが打たれて勝ち星を消されたりしながらも)まずまず好投していましたが、5月の半ばに背中を痛めてDL入り。6月にいったん復帰しましたが万全ではなく、結局7月上旬に再度DL入りしたままシーズン終了となりました。秋に投球練習を再開しており来春には間に合うとのことですが、健康面での不安が拭えない投手になってしまいました。

そのDetwilerの離脱で空いた穴を埋めるべく最初に起用されたのが、2012年にマイナーで評価を上げて40人ロースター入りしていたNate Karns。AAから飛び級で昇格しましたが、やはり荷が重かったという印象。先発させてもらった3試合でいずれも5回持たず、防御率7点台という成績を残してAAに戻されました。ただし、AAではしっかりした成績を残しており、先発投手としての目はまだ残されています。

続いて先発を任されたのがベテランのRoss Ohlendorf。マイナー契約からAAAで好投して機会をつかむと、古典的な大きく振りかぶってのワインドアップ投法から力感あふれるピッチングを展開。しかし、初回から全力投球するためスタミナ切れも早く、5回が限度。先発としてよりむしろロングリリーフとしての2、3イニングに適性がありそうです。

HarenがいよいよダメでDL入りさせられた6月末に呼ばれたのがTaylor Jordan。春先からフロント・首脳陣の評価が高まっていましたが、スプリングトレーニングで与えられた先発機会で滅多打ちにあった印象が強く、しかもA+で開幕してAAに昇格したばかりのこのタイミングでメジャーに呼ばれるとは思いもよりませんでした。このような飛び級人事をしなければならなかった辺りに、今季のナショナルズ先発陣の層の薄さが出ていたとも言えます。ともかく、願ってもない機会をもらったJordanは期待以上のピッチングを展開。デビュー戦ではバックに足を引っ張られて5回途中降板となりましたが、それ以降の8先発ではいずれも5イニング以上を投げ、(TJ手術から復帰2年目のために課された投球回数制限で)8月中旬にシャットダウンされるまで先発ローテーションを守りました。勝ち星こそ1つだけでしたが、高く評価できる内容。

Tanner Roarkについては先日の記事で書きました。

【ブルペン】(*は左腕)

SV
HD
G
GF
IP
SO
ERA
WHIP
HR/9
SO/9
SO/BB
Rafael Soriano
43
0
68
58
66.2
51
3.11
1.23
0.9
6.9
3.0
Tyler Clippard
0
33
72
6
71.0
73
2.41
0.86
1.1
9.3
3.0
Drew Storen
3
 24
68
20
61.2
58
4.52
1.36
1.0
8.5
3.1
Craig Stammen
0
7
55
14
81.2
79
2.76
1.29
0.4
8.7
2.9
Fernando Abad*
0
2
39
17
37.2
32
3.35
1.38
0.7
7.6
3.2
Ryan Mattheus
0
6
37
13
35.1
22
6.37
1.90
0.3
5.6
1.5
Ian Krol*
0
2
32
10
27.1
22
3.95
1.32
1.6
7.2
2.8

昨オフにドラフト1順目指名権を放棄してまでして獲得したRafael Sorianoが年間通じてクローザーを務めました。43セーブ、防御率3.11は立派な数字ですが、数字ほど内容は良くなかったというのが率直な感想。少なくとも、Sorianoが出てくれば終わりと敵味方に思わせるような安定感はありませんでした。むしろ、その存在がStoren=Clippardコンビに与えた影響や、5月下旬のBryce Harperの守備に関する批判のような不用意・自己中心的な発言など、(契約時に予想されていたことですが)チーム・ケミストリーという点からはマイナスの存在に感じました。契約上、来季もクローザーを務めることになります。さらに2年通算120GF(ほぼ半分消化しています)で2015年の契約も発効することになりますが・・・本音を言えば達成してほしくないです。

Drew Storenについては、先日の記事で書きました。

Tyler Clippardは今年「も」物凄い投球をしてくれました。こちらは登板すれば抑えてくれるという絶対の安心感がありました。さらにStorenの記事で書いたように、球団批判をしてまでチームメイトを思いやった発言するという男気まで見せてくれたことで、(ファンの中で)特別な地位を与えられた感があります。FAまでの保有期間はあと2年。このままチームでセットアッパーを務めてくれるとありがたいのは確かですが、勤続疲労が出てきやすいブルペン投手であることを考えると、4年連続70試合以上登板とナショナルズには十分貢献してくれたのでそろそろどこかの球団でクローザーを務めさせてやりたいとさえ思うようになりました。もちろんトレード対価はしっかり頂きますよ!

昨年に続き2年連続でブルペン投手中の最多投球イニング、最多奪三振を記録したのがCraig Stammen。当初はロングリリーフが中心でしたが、次第にホールドが記録される勝ち試合の終盤を任されるようになりました。奪三振率もClippardに次ぐ高水準で、ここぞという大事な場面を三振で切り抜けた印象が強い。来季もますます重要な存在になりそうです。

ある意味で最も残念なシーズンを送ったのがRyan Mattheus。負け試合が中心とはいえ、開幕からまずまずのピッチングを続け5月19日の試合前の時点での防御率は2.35でした。ところが、この日の登板で1イニングに5失点すると、降板した後にベンチに戻って壁を殴って右手(投げる方の手)を骨折・・・。2か月後に戻ってきましたが、以前のようなピッチングはできないまま終わりました。こういうことしているとチームからの信頼を失うんだから、気を付けてください。

開幕時のブルペンには他にHenry RodriguezZach Dukeの2人がいましたが、そろって開幕から不振。ともに6月に退団となりました。Rodriguezはとうとう「未完の大器」のまま終わりましたね。DFAした後にカブスが手を上げてきたのでトレードされましたが、やはりダメでシーズン終了後に解雇されています。

昨オフSean BurnettMike GonzalezがFAで退団した後、ブルペン左腕を熱心に補強せずDukeのみで開幕しましたが、Dukeの不振により早々に手を打たなければならなくなりました。まず5月に呼ばれたのがマイナー契約でAAAにいたベテランのFernando Abad。さらにAAからIan Krolを招集(Krolについては先日のFisterのトレードの記事で書きました)。さらにシーズン終盤には4月にアストロズからウェイバーで獲得し、AAAで好投していたXavier Cedenoを招集と必死にやりくり。シーズン終了後にAbadとKrolはトレードしてしまいましたので、このオフもまたブルペン左腕の補強が課題となりました。

【MVP】 Jordan Zimmermann

文句なしでしょう。ブルペン投手ではClippard。(この一行は昨年と全く同じです。)

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