2012/02/27

The Face of the Franchise に万歳!

Ryan Zimmermanとの契約延長が成立から一夜が明けました。

契約内容をまずおさらい。2013年までの2年2600万ドルを残す現行契約はそのまま。新たに2014~2019年までの6年をカバーする総額1億ドルの契約に合意したので、合わせると8年1億2600万ドルとなります。2020年に1800万ドルの球団オプションが付いており、2012~2020年に最大で1億4200万ドルとなります。

[年俸詳細]
2012: 1200万ドル
2013-18: 各1400万ドル
2019: 1800万ドル
2020: 1800万ドル(球団オプション。行使しない場合は200万ドルの支払い義務)

金額については、CBSのJon Heymanが高すぎると評していますが、後述のように1000万ドルが将来払いであることから年平均では1500万ドル程度。29~34歳という野球選手として一番いい時期をカバーするものであり、むしろZimmerman側が言ったようにチーム・フレンドリーな契約だと思います。FanGraphsのDave Cameronも過去の三塁手と比較して妥当な金額としています。

最後のハードルと言われていたトレード拒否条項ですが、2014年以降の新契約には完全な拒否条項が含まれましたが、2013年までの現行契約には含まれないままとなりました。ただし、仮に現行契約の元でトレードが実行された場合には新契約がカバーする間の年俸が総額で800万ドル増えることが新契約で定められ、トレードが難しくしてあります。さらに、会見においてRizzo GMが「私がGMである限り絶対トレードしない」と明言していますので、この契約により、少なくとも2019年までZimmermanがナショナルズに在籍することはまず保証されたと言えるでしょう。

また、交渉期限を土曜日中まで延期した際にZimmerman側から示した新提案とは、1000万ドルをZimmermanが引退した後5年間球団のために働く(フロント?コーチ?監督!?)ことの対価とし、将来払いとするものだったようです。おそらく金利は付かないと思われ、球団財政の流動性を高めることに貢献します。Zimmerman自身、チームの核となるであろう他の若い選手に今後、高年俸を支払うことが必要になることを念頭に置いていると言っています。明らかに自身がどれだけ稼ぐかよりもチームが強くあり続けることの重要性を意識した発言です。

今回の契約延長に際して、年俸はもちろんこの契約の重要なパラメーターだったと思いますが、Zimmermanにとってそれ以上に重要なことが、このナショナルズに在籍し続けること、そしてナショナルズで優勝できることだったはずです。それが、この1000万ドルの将来払い提案で示されています。昨日の会見では、Rizzo GMが「交渉期間中、Zimmermanが金銭の話をすることはなかった。ナショナルズに在籍し続けることが保証されることを一貫して要求していた。」と発言しています。逆にZimmermanからは「これまで機会を与えてくれたチームに対して今度は恩返しをする番であり、それはワールドシリーズに勝つことだ」と発言していました。苦しい時期にずっと長くチームを支えてきたZimmermanにそう言われると何だか感動的です。

この交渉プロセスを通じ、Zimmermanは球団との一体感を繰り返し強調してきました。Rizzo GMはおろかオーナーシップさえまだ現体制でなかった2005年にナショナルズとしての最初のドラフトで1順目に指名され、その秋にデビュー。以来、常に中心選手であり続け、誰よりも古くからこの球団とともに歩んできたZimmerman。いつの日からかThe Face of The Franchiseと呼ばれるようになりました。昨日の会見でも、Rizzo GMがThe Face of the FranchiseがZimmermanのファースト・ネームかと思っていたという冗談を使うほどに定着しています。Zuckermanはコラムで「StrasburgとHarperはナショナルズのユニフォームを着て偉業を成し遂げるかもしれない。しかし、彼らがZimmermanのこの球団における地位を越えることは決してないだろう。彼は今もそしてこれからもずっとThe Face of the Franchiseであり続ける」と書いています。全く同感です。

The Face of the Franchise に万歳!

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あまり例を見ないことですが、このZimmermanとRizzo GMの会見には、Strasburg、Harperを含む15人ほどのチームメイトが同席していました(MLB.comの動画では顔ぶれが確認できます。Beast ModeのTシャツ姿のMorseがひときわ目立ちます。)。彼らはこのZimmermanへの球団の扱いそしてZimmermanの対応を目にして、感じるものがあったはずです。特に注目は次のStrasburgのコメント(Washington PostのAdam Kilgoreからの抜粋引用)。さすがにまだ気が早いとは思いますが、期待せずにはいられません。

“my college coach, he was a Padre his whole life. It’s really great to see another guy who’s going to be with one team his whole career. When you have a team like this that’s capable of winning, it would appeal to anybody to stay here and win and win and win. I don’t feel any different.” (注: Strasburgのサンディエゴ州立大学での監督はTony Gwynn

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最後に、1年以上前から始まったこの交渉プロセスを成功裡に導いたRizzo GM。ここまでチームを作ってきた手腕は高く評価できます。チームがこういう状態でなければさすがのZimmermanとはいえ残りたいという気持ちにはならなかったかもしれません。上記のStrasburgのコメントもなかったでしょう。改めて拍手を送りたいです。

これで、オフの補強は終わったはず。いよいよプレーボールが近付いてきました。Rizzo GMの言葉を借りれば「And now we’re ready to take off.」(Adam Kilgore)。

大いに飛び立ってもらいましょう!

- MLB.comの動画
- CSNの動画

4 件のコメント:

FC さんのコメント...

やりましたね!
GMはいい仕事をしてくれました。Princeなんて獲得しなくてよかったです。
シーズンが待ち遠しいですね!

estoppel さんのコメント...

>FCさん 
Princeを獲得していてもいなくても、Zimの契約延長には至っていたのではないかと思います。会見での口ぶりなどからはそう感じました。
将来Zimがファーストに移る可能性についても論じられていたことがありましたが、34,5歳までであればサードのままで十分行けるはず。

>シーズンが待ち遠しいですね!
そうですね、でも、その前にSTの試合が待ち遠しいです。

FC さんのコメント...

確かにSTから楽しみですね。
Harperが先発出場するって出てましたね。
対戦相手はあのLivan Hernandezだとか。

estoppel さんのコメント...

Livanはマイナー契約なのに頑張ってますね。このまま開幕ローテーションに残れるでしょうか。
Livanを含め、元ナショナルズのまとめ記事も準備しています。