2013/05/01

2013年4月をふりかえる

[NL EAST End April 2013]
W L PCT GB
Atlanta  17   9 0.654  -
Washington  13 14 0.481 4.5
Philadelphia12 15 0.444 5.5
New York 10 15 0.400 6.5
Miami     8 19 0.296 9.5

開幕3連勝と幸先の良いスタートを切ったナショナルズでしたが、終わってみれば13勝14敗と負け越し、ロケットスタートはなりませんでした。開幕シリーズを含めて3連勝が3度ありましたが、逆に3連敗が2度に4連敗が1度。選手のコメントを見ていると、1つの負けを気にし過ぎ、特に接戦で敗れた後は悪い流れを引きずって次の試合に入っているように感じます。拙攻(4月21日のJayson Werthの併殺打が代表格)、ブルペン崩壊といった「自滅」で失った試合も目立ちました。とにかく流れが悪い。月が替わってツキが変わってくれることを期待します。

地区トップはナショナルズに5戦全勝(昨季から9連勝中)のブレーブス。開幕直後の12勝1敗という猛ダッシュからはさすがに失速しましたが、それでも30球団中2位タイ。最下位は30球団中でも(アストロズと並んで)最下位タイのマーリンズ。チーム解体中の上、唯一のスターGiancarlo Stantonが不振→故障離脱とあっては浮上するはずもありません。このまま沈んでおいてもらいましょう。

[Pitcher of April 2013: Jordan Zimmermann]
GS IP W K ERA WHIP
Stephen Strasburg 6 37.1 1 36 3.13 1.21
Gio Gonzalez 6 32.0 2 36 5.34 1.38
Jordan Zimmermann 5 36.0 4 19 2.00 0.86
Dan Haren  5 24.1 2 20 6.29 1.73
Ross Detwiler 5 31.0 1 16 2.03 1.35
G IP S K ERA WHIP
Rafael Soriano  10 10.0 7 10 3.60 1.00
Tyler Clippard  11 10.1 0 9 4.35 1.26
Drew Storen 10 10.1 0 12 5.23 1.55
Caig Stammen  8 12.2 0 15 2.84 1.11

チーム防御率3.80は30球団中12位なのでそこまで悲惨というわけではありません。しかし、個々の数字を見ると、Gio GonzalezとDan Harenの防御率、HarenのWHIPなど目を覆いたくなるようなものも散見されます。Harenは最後の2登板で数字を多少改善しましたが、まだまだ安心できません。

何と言っても残念なのは、サイヤング賞も期待して迎えたシーズンなのにStephen Strasburgの調子が上がってこないこと。表にはありませんが4敗を喫しており、リーグ最多黒星の不名誉です。防御率は高くなく三振も奪っているのですがどうも噛み合わない。フラストレーションがたまるチームの象徴のような存在となっています。

そんな中頑張ったのはJordan ZimmermannとRoss Detwiler。Detwilerはブルペンに2つ勝ち星を消されたためまだ1勝ですが、内容的にはGioやHarenよりずっと安定。すっかりメジャーのローテーション投手として定着しました。そしてZimmermann。1完封を含む2完投勝利は、30球団でも他にいません。唯一負けた試合も5回2安打2失点で、援護があれば勝てた試合。こちらは一皮むけてエリート投手の仲間入りという感じです。

ブルペンは開幕からの不調が続きます。Rafael Sorianoは次第に調子を上げているのであまり心配していませんが、問題は、Tyler ClippardとDrew Storen。どうもぴりっとしない登板が続きます。特にClippardの四球の多さ(11試合で8四球。10試合で9個のHenry Rodriguezよりしか・・・)は危険信号。頑張っているのはCraig Stammen。相変わらずロングリリーフですが、安定した投球を続けています。

[Hitter of April 2013: Bryce Harper]
PA AVE OBP SLG HR RBI  SB
Denard Span 109 .276 .349 .316 9 0 9 4
Bryce Harper 107 .344 .430 .720 18 9 18 1
Ian Desmond 107 .301 .318 .524 14 3 8 3
Jayson Werth 105 .265 .314 .408 17 4 10 2
Adam LaRoche 89 .136 .213 .259 8 3 8 0

開幕戦での最初の2打席でホームランを打ったBryce Harper。食中毒(?)で4月16日の1試合を欠場しましたが、その翌日の試合で(イニングの合間に嘔吐しながらも)4安打するなど調子を落とすことなく、そのまま好調を維持。本塁打、長打率(SLG) はいずれもJustin Uptonに次ぐリーグ2位ということでもちろん目立ちますが、注目したいのは、16三振と14四球という数字。昨季は、一番少なかった月でも20三振を喫し、一番歩いた月でも13四球だったので、いずれも月間成績では自己ベスト。四球が増えた結果、出塁率(OBP)もリーグ4位まで上がり、SLGとOBPを足したOPS 1.150はリーグ1位とMVP級の活躍を見せました。打者としてますます進化しています。

しかしHarperがいなかったら、このチームはどうなっていたことでしょう。チーム打率.234、出塁率.296はともに26位。Harper以外に好成績と言えるのはIan Desmondくらい。Adam LaRocheの打率.136はナ・リーグで規定打席に到達している全選手90人中の90位。出塁率.213は89位。しかも90位は.212のDanny Espinosa・・・。悲惨です。Jayson Werthは・・・あの併殺で昨年のポストシーズンでの名声を打ち消してしまいました。そして故障・・・。

何より痛かったのはRyan Zimmermanが左のハムストリングを痛めてDL入りしたこと。.226/.311/.358と決して調子が良かったわけではありませんが、わずか15試合で11打点とクリーンアップとしての仕事はしていました(一例)。Harperの14四球のうち9つがZimmerman離脱後の12試合でのものということでも存在感は明らか(Harperが選んでいるというより、勝負を避けられているということか・・・)。LaRocheやWerthでは代役は務まりませんでした。

新加入のDenard Spanについて。打撃ではHarperと一緒に体調を崩した後にしばらく調子を落としましたが、まずまず及第点を付けられる成績。一方、センター守備では何度も印象に残る守備を見せてくれた上、スタッツでもUZR/150の41.2は、リーグの全野手で堂々のトップです。この調子で怪我なくしっかり頑張ってください。

しかし、チームとしての守備はぼろぼろ。24失策は30位。個人成績でもIan Desmondの7失策は全野手中で最多(ただし、守備範囲ファクターを加味したURZ/150では4.5とプラスの数字を残しています)。Zimmermanも出場し合い数が少ない中で4失策、代わりのRendonも3失策で、合わせれば7失策。サードとショートで2試合に1つはエラーがある計算になります。イニングが長引けば投手に無駄な投球を強いることになり、試合の流れも失います。昨季はチームの強みだった点で、一般に守備にスランプはないと言われているのに・・・・。しっかり立てなおしてくれることを願います。

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