2012/01/26

Brad Lidgeと1年契約

フィリーズからFAとなっていたBrad Lidge投手と1年100万ドル+インセンティブで合意。

35歳のブルペン右腕。7シーズンにわたりアストロズとフィリーズでクローザーを務めて通算223セーブ。オールスターにも2度選出。アストロズ時代に1度、フィリーズでは2度、ワールドシリーズにもクローザーとして出場。2008年のワールドシリーズでは2セーブを記録し、最終第5戦でも1点差を守って胴上げ投手になっています(もちろん胴上げはありませんが)。全盛期はこの2008年。防御率1.95、41セーブを記録。サイ・ヤング投票でも4位に入りました。翌2009年から球速が落ち始め、この年はクローザーの地位こそ守りましたが、防御率は7点台。2010年に成績上は復活したものの、昨季は肩の故障もあってRyan Madsonにクローザーの地位を奪われました。

スライダーを決め球として持っていますが、基本は速球で押してきた印象が強い投手。被本塁打が少なく、奪三振率が極めて高いということでクローザーとして活躍してきました。懸念材料は2010年オフに手術をし、昨季の前半をリハビリに費やすことになった肩の故障。全盛期には95マイル近く出ていた球速が90マイルに届くか届かないかまで落ちています。それでも、1イニングあたりの奪三振率は直近3年平均でも9.9という高い数字を維持していますし、昨季もDLから復帰してきた7月以降の防御率は3.37(7月)、1.23(8月)、0.96(9月)と安定していました。

ナショナルズでは、Clippard、Storenにつなぐ役割となる見通し。昨季のCoffeyのような安定した活躍をしてくれることと期待しています。彼のプレーオフでの経験が生きるようなシーズンになるでしょうか。

今季もナショナルズ・ブルペンは強力と見込まれます。昨季から在籍するStoren、Clippard、Burnett、H-Rod、Mattheus, GorzelannyにLidgeを加えて既に7人。これに先発5番手争いに敗れたDetwilerとLannanのいずれかが加わると8人になってしまい、1人外れなければなりません。例によってマイナーリーグ・オプションが問題になるわけですが、残っているのはMattheusとLannanの2人(たぶん)。まさかLannanがマイナー行きとは信じられないので、Mattheusのマイナー開幕が濃厚です。40人ロースターにはPerry、Severino、Mayaもいますが、いずれもオプションを残しており、開幕メジャーはなさそうです。(1月29日追記:Stammenのことを忘れていました。コメント欄をご覧ください。)

残す補強はベンチのみとなりました。Ankielと再契約して欲しい。

2012/01/24

BP: Nationals Top 20 Prospects

Fielderがタイガースと9年214百万ドルで契約合意。直前に、Fielderに関心を示していると言われていたレンジャーズ、オリオールズが撤退しナショナルズだけが残されている状態という情報が流れましたが、急転直下のタイガースとの合意。他にカブス、マリナーズといった名前も挙がっていましたが、タイガースとは予想外、しかもこの遅い時期にこれだけの契約条件を勝ち取るとは、改めてBorasの凄さを見せ付けられた気分です。ともかく、こんな契約をナショナルズが結ばなくて良かったと心底思います。ああ恐ろしい。

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Baseball Prospectusのトップ20が発表されました(元記事)。Gio Gonzalezトレード後の初のランキング(Sickelsが改訂していました)。上位2人はここでも不動。

Michael Taylorへの高評価が目立ちます。2009年の6順目指名、高卒入団。内野手で入団しながらも外野(センター)へ転向。スタッツはあまりパッとしませんが、守備も含めたツールが評価されています。パワーは既に発揮しつつあります。まだLow Aなので上手くいってもメジャーまでは数年かかりそうです。

Five-Star Prospects
1. Bryce Harper, OF
2. Anthony Rendon, 3B
Four-Star Prospects
3. Matt Purke, LHP
Three-Star Prospects
4. Brian Goodwin, OF
5. Alex Meyer, RHP
6. Destin Hood, OF
7. Michael Taylor, OF
8. Steve Lombardozzi, 2B
9. Robbie Ray, LHP
10. Sammy Solis, LHP
Two-Star Prospects
11. Tyler Moore, 1B
Nine More:
12. Chris Marrero, 1B
13. Eury Perez, OF
14. Zach Walters, SS
15. Taylor Jordan, RHP
16. Josh Smoker, LHP
17. Jason Martinson, SS
18. Matt Skole, 3B
19. Sandy Leon, C
20. David Freitas, C

2012/01/20

年俸調停関連

[2/2追記]
Lannanとは年俸調停を行い、球団側が勝利。今季年俸は500万ドルとなりました。(記事はこちら

[1/20 追記]
Morseと2年1050万ドルで合意したことが発表されました。17日の期限前に大筋合意していたものの身体検査のため発表が遅れたようです。

年俸調停の残りの2年をカバー。2013年オフにFAとなるスケジュールは変わりません。金額的には、活躍すれば割安となり、成績が落ちれば割高となる水準。双方にとっていい契約だと思います。

今季はレフトのレギュラー確定。2013年は、センターを新たに獲得し、ライトにHarper、レフトにWerthが入ると想定され、ファーストを守ると思われます。もしFielderと契約すれば少し話はややこしくなります。もう1年Werthにセンターを守らせてレフトに残ることができればいいのですが、Werthがセンターを守れないとなるとHarperとWerthが両翼に入ることになり、Morseのポジションがありません。まずまずの成績を残していればトレードかな。今季MVP級の活躍をされたら嬉しい誤算のシナリオも考えなければなりません。さすがにそんなことはないか(笑)。

[1/17 オリジナル]
球団と各年俸調停対象選手との間で交渉が続けられてきましたが、1月17日正午(東部時間)の希望額提示期限までの、各選手との契約状況は以下の通りとなりました。

今後、ヒアリングが順次始まりますが、なんとかその前に合意できることを願っています(弊害については過去の記事を参照)。

[契約済]

Gio Gonzalez 5年(+2年オプション)契約(記事はこちら)。

Jesus Flores 1年81.5万ドル+インセンティブ。前年の75万ドルから小幅上昇。スーパー2で3年目(来年が最後)です。

Tom Gorzelanny 1年270万ドル300万ドル。前年210万ドルから上昇。スーパー2で3年目。ロングリリーフにこれはちょっと高い印象。スプリングトレーニングで結果を残さないと解雇もありうるか。

Jordan Zimmremann 1年230万ドル。スーパー2での初の年俸調停対象年。少し期待していましたが、複数年契約に至りませんでした。

Tyler Clippard 1年165万ドル。スーパー2での初年。こちらも複数年の噂がありましたが、とりあえず1年契約で落ち着いています。

[未契約]

John Lannan Lannanの希望額が570万ドルに対して球団提示は500万ドル。2度目の年俸調停対象年で昨季は275万ドル。

Michael Morse Morseの希望額が500万ドルに対して球団提示は350万ドル。こちらも2度目で昨季は105万ドル。

2012/01/17

Gioと長期契約に合意

[1/17 追記]
契約の詳細が判明しました。

契約金     50万ドル
2012年   325万ドル
2013年  625万ドル
2014年  850万ドル
2015年 1100万ドル
2016年 1200万ドル
2017年 1200万ドル(球団側オプション、破棄の場合50万ドル)
2018年 1200万ドル(2017年に180イニングをクリアした場合に生じる選手側オプション)

選手に保証される額としては、契約金及び2017年オプション破棄の場合の各50万ドルを加えて、総額4200万ドル。2018年までの総額は6550万ドルとなります。悪くない。

[1/15 オリジナル]
トレードで獲得したばかりのGio Gonzalez投手との長期契約延長に合意しました。5年総額4200万ドルで、更に2017、18年の2シーズンに球団側オプションがあり、両オプションが行使された場合は総額6500万ドルといわれています。スーパー2扱いで今季が初の年俸調停でしたがこれを回避するとともに、年俸調停対象の4年全てに、さらにFA後1年を買い取った形になります。金額にはわずかに割高という評もありますが、2つのオプションがいずれも行使されるようなパフォーマンスができればむしろ割安になるはず。怪我せず継続的に活躍してくれることを願うばかりです。

これにより、先発3本柱の契約期間は、以下の通りとなりました。

Strasburg 2016年
Gio Gonzalez 2016年 (2017, 18年球団オプション)
Zimmermann 2015年

なお、年俸調停対象の選手はまだあと6人(Lannan、Clippard、Flores、Morse、Gorzelanny、Zimmermann)残っています。

2012/01/14

Gio Gonzalez をトレード獲得

アスレティックスから26歳の先発左腕、Gio Gonzalezをトレードで獲得。最速90マイル台前半ながら力のある速球を主軸に、ツーシーム、チェンジアップ、縦に割れるカーブの全てが勝負球として使えるとされています。三振が取れ、被本塁打も少なく、過去2シーズン安定感抜群の投球内容で、アスレティックスのエースにのし上がってきました。気になるのは与四球リーグ1位という制球力。若干不安を感じます。マイナーで順調に成績を残しながら、次に書くとおり何度もトレードされてきたのもこのあたりに理由があるようです。投手有利のホーム球場で投げていたことも好成績の要因と言われていますが、ゴロ率が高いためそんなに球場の影響はないのではないか、むしろ内野守備陣が強力なナショナルズには適合的ではないかと期待しています。

もともとは2004年ドラフトのサンドイッチピック(全体38位)でホワイトソックスに入団しましたが、何度もトレードされており、今回が実に4度目のトレード。最初は2005年のオフにJim Thomeの対価としてAaron Rowand らとともにフィリーズへ。ところが1年後、今度はFreddy GarciaとのトレードでGavin Floydとともにホワイトソックスに出戻り。さらに1年後(2008年1月)、Nick Swisherの交換要員として、Ryan Sweeneyらとともにアスレティックスへとトレードされました。2008年8月にメジャーデビュー。2008、2009年はメジャーへの適応に要した感じでしたが、2010年に一気に開花し、2011年にはオールスターにも選出されました。

ナショナルズではStrasburg、J-Zimmermannとともに三本柱を構成することが期待されています。30球団でも屈指の見ごたえのある若手三本柱となることでしょう。
とはいえ、これだけの投手、当然トレード市場で人気があり、かつFAに魅力的な先発投手が少なかった今オフということもあり、対価は高くつきました。Gioに加えてA+でまずまずの成績を残している23歳の右腕投手Robert Gilliamを獲得したのに対して、Derek NorrisA. J. ColeBrad PeacockTom Miloneという名だたるプロスペクト4人を放出。ちなみにBAでは3位(Peacock),4位(Cole)、9位(Norris)にランクインしていました。

マスコミ、ファンの意見は分かれました。どちらかと言うと「払い過ぎ」というネガティブなリアクションが多かったように感じましたが、優勝を目指せる機会を逃さない機敏な動きだったと前向きに評価する声もありました。私もこの4人とは随分高くついたものだと感じました。NorrisはポジションをRamosにブロックされているので今オフの放出も十分ありだと思っていましたが、先発投手3人を同時に出すとは思いもよりませんでした。特にPeacockは惜しまれます。Miloneはそこまで上限が高いとは思えませんし、Coleは高く評価されているとはいえまだシングルA。この2人をトレードバイトとすることに特に違和感はありません。しかしこの2人に加えてPeacockまで出すとは。昨年9月のメジャーデビューに強烈な好印象を受けていただけに残念でなりません。応援したい気持ちはもちろんありますが、活躍されるとすごく悔しい思いをすることになりそうです。ただ、このトレード価値が払い過ぎかと言われるとそうでもないのではないかと考えています。今季がスーパー2扱いの年俸調停1年目ということで、あと4年雇えます。やはりあと4年雇えるMatt Latosをパドレスから獲得するためにレッズが要した対価に比べればかなり低いバリューに見えます。また、あと4年というのはJ-Zimmermannと同じ。つまり、この2人が(契約延長をしなかったとして)FAになるまでのこれからの4シーズンの間に優勝を目指すという球団としての明確な意思表示ということです。

いずれにしてもこのトレードの損得勘定がはっきりするのは4,5年先のことでしょう。

今季のナショナルズのローテーションは4人目の王建民までが当確。5人目の座をLannanとDetwilerがスプリングトレーニングで争うことになります。個人的にはLannan先発、Detwilerブルペンとすべきだと思いますが、Detwilerがオプション切れなのに対して、Lannanは実は残っていますので、まさかのLannan開幕AAAという可能性も否定できません。うむむ。

2012/01/13

PHASE 2

皆様、2012年、明けましておめでとうございます。年末年始を日本で過ごし、およそ食べたかったものはほとんど食べ尽くして2週間で数キロ太って帰ってきたestoppelです。本年も宜しくお願いします。

早速ですが、ブログをリニューアルしました。

昨年末、ナショナルズはアスレティックスからGio Gonzalezをトレードで獲得しました。この件について昨年中に記事を書くこともできたのですが、再建モードからタイトル争いモードへとシフトチェンジしたことを強く印象付けられたこのトレードを機会にブログをリニューアルすることを思い付きました。まあ、旧ブログの「ラベル」がごちゃごちゃしてきたこともありますが。

2008年2月から開始した旧ブログでは足かけ4シーズンをフォローしました。(当初の私の目論見は見事に外れ)チームはどん底まで落ちに落ち、這い上がり、ようやく優勝争いを公言しても恥ずかしくないところまでやってきました。

この間、当然ながらチームは大きく変貌。40人ロースターを比較してみると2008年2月からの生き残りは、Zimmreman, Lannan, Clippard, Bernadina, Flores, Detwilerのわずか6人。比べてみて1つ気付いたことは、生え抜き選手(リンク先で太字で表示)の充実振り。2008年には11人しかいませんでしたが、2012年には21に倍増。Gioのトレード前は更に3人多くいました。マイナー組織の充実を図り、そこからチーム力を底上げするという再建戦略がここまでは上手く機能してきたと言えるでしょう。

ブログタイトルにした「PHASE 2」という言葉は、Rizzo GMが昨オフ、Werthを獲得したときに使った言葉を無断で(笑)借用したものです。その後、Gorzelannyのトレード獲得など少しずつシフトチェンジが行われてきたわけですが、今回のGioのトレードで完全に次のフェーズに移ったと言っていいでしょう。

当ブログではそんなナショナルズの「PHASE 2=球団史上初のリーグ優勝、ワールドシリーズ制覇に向けた戦い」を追いかけて行きます。皆様、引き続きご愛顧のほどよろしくお願いします。