2014/12/28

ロースター異動まとめ (2014年12月)

12月のロースターの動きをフォローしておきます。

12/2 年俸調停対象選手に対する契約提示
12/11 Detwilerをレンジャーズにトレード放出
12/15 Harperと2年契約
12/18 パドレス、レイズとの三角トレード成立、Souzaを放出
その他、マイナー契約

2014/12/23

2014 シーズンレビュー 6: 開幕前予想の結果

このシリーズ、最後は、恒例、開幕前のシーズン予想の答え合わせです。当てに行ったはずでしたが、当たったのは最後のポストシーズン進出チーム予想(勝率8割!)くらいでした。

(青地が開幕前の予想。)

1. Strasburgがノーヒッターを記録、サイヤング賞
Stephen Strasburg が5月2日のフィリーズ戦で、14奪三振、与四球2で球団史上初のノーヒッターを達成。Strasburgはこれを含め4完投勝利を飾るなどシーズン通じてひたすら圧倒的なピッチングを展開。34先発、22勝、254奪三振、防御率2.42という別次元の好成績。満票でのサイヤング賞を受賞。
→△ 球団史上初のノーヒッターが達成されたので、ご祝儀としてオマケの△。ただし、マウンドにいたのはJordan Zimmermannでした。Strasburgに関して正解したのは34先発だけでしたが、奪三振数も正解と言っていいでしょう。サイヤング賞は、得票こそしましたが受賞には程遠い結果。

2. Fisterのデビューは5月下旬
開幕をDLで迎えることになったDoug Fister。いったんシャットダウンすることになり、4月下旬になってようやく投球練習を再開。ナショナルズでのデビューは5月下旬。Taylor Jordanが素晴らしい投球を続けていたため、必ずしも悪い成績ではなかったもののTanner RoarkがAAAにオプションされる。ただ、Fisterは7月に再びDL入りし、結局シーズン7勝と期待外れに終わる。
→ × 嬉しい方向に外しました。Fisterのデビューは5月9日。以降は安定したピッチングを最後まで続け、チームトップの16勝。Fisterに代わって外れるのもRoarkではなくてJordanでした。

3. JordanがFisterを補って余りある活躍
ともに開幕ローテーションに入ることになったJordan とRoark。2人とも悪くないスタートを切るが、5月に入ってRoarkがやや減速し、調整が済んだFisterに代わられる。一方のJordanは夏場にやや疲れを見せて減速するものの、9月入ると再び調子を上げ、シーズン14勝。ポストシーズンでも先発を務める。
→ × JordanではなくRoarkとしていたら○を付けられた予想。Jordanは5月にマイナーに送られた後も調子が上がらず、シャットダウンの後、10月にヒジの軟骨除去手術となってしまいました(来季の開幕には間に合う見込み。)

4. 最初の故障離脱はSoriano(Fister を除く)
開幕から不安定な投球を続けたRafael Soriano。5月上旬に脇腹を痛めたという理由でDL入り。代わって、Christian Garciaが昇格。クローザーにはTyler Clippardが就任。
→ × Wilson Ramosが開幕戦でまさかの離脱。「不安定な投球を続けたRafael Soriano」という部分は完ぺきに正解でしたが、DL入りすることはなく、不振のため9月に入ってクローザーをクビになりました。後任はDrew Storen。みんなが応援していたGarciaでしたが、復活はなりませんでした。

5. オールスターにHarper、Ramos、Desmond、Strasburg
ファン投票での選出はHarperのみ。前半戦にMVP級の活躍のRamosと、やはり好調のDesmondが監督推薦で選出され、投手としてStrasburgが選ばれる。
→× ファン投票はゼロ。監督推薦でもZimmermannの1人だけ。Zimmermannの辞退で字際に出場したのがClippardという、ナショナルズファンとしては何とも残念なオールスターでした。夏前に地区首位に立って、チーム状態は悪くなかったのに。

6. Espinosaがまさかの復活
昨季は大不振でマイナー降格まで味わったDanny Espinosa。開幕はベンチでスタートするが、少ない出場機会の中で結果を残し、さらにLaRocheの不振or故障で内野の再編成が行われた結果、セカンドの定位置を取り戻す。最終的には.277/.310/.473、15本塁打という数字で2015年に向けて立場を固める。
→× スプリングトレーニングから開幕直後は逆方向を意識した内容の良い打席が続き、4月末時点では.288/.341/.488、3本塁打とこの予想が当たりそうな勢いでした。しかし、5月に入ると悪い状態に戻ってしまい、結局5月以降は.198/.264/.308しか打てず、Asdrubal Cabrera加入後は出場機会を失いました。なぜ春先の打撃を続けられなかったのでしょうか。

7. Solisが7月にメジャーデビュー
先発投手として育成されることになったSammy Solis。AAで開幕し、まずまずの結果。7月に入ってAAAに昇格し、1試合に登板したところでFisterのDL入りにともないローテーション投手として初昇格。ただし、8月末で投球回数制限のためシャットダウン。この他、(開幕ロースターのAaron Barrettはもちろん)、Steven Souza、Blake Treinenも9月を待たずにメジャーデビューを果たす。
→ × スプリングトレーニング中に背中を痛めて出遅れ。5月になって、本来所属するはずだったAAにようやく合流したものの1試合(しかも4回持たずに9失点)に投げただけで左ヒジの痛みを訴えてそのままシーズン終了となりました。2012年にTJ手術を受けた左ヒジだけになおさら心配です。Souza、Treinenの早いタイミングでのメジャーデビューは当たりました。

8. Zimmermanが首位打者を獲得
開幕から打ちまくり、4月を終えて打率.350、23打点で月間MVPを受賞すると5月も好調を維持。しかし、好事魔多しで6月はじめに走塁中にハムストリングを痛めると、リハビリに手間取り1か月半ほど離脱。何とかオールスター明けに復帰した後しばらくは低調だったものの、シーズン最終盤の9月に打ちまくって、最終打率は.345。ぎりぎりで規定打席に到達して首位打者を獲得。
→ × 数字上は.280/.342/.449と例年に比べてさほど悪くないものでしたが、4月に右手親指、7月には右ハムストリングを痛めてそれぞれ約2か月欠場。メジャー10年目にして最少の61試合の出場という残念なシーズンとなり、もちろん規定打席にも届きませんでした。

9. HarperがリーグMVP投票で2位
チーム野手MVPはHarper。春先はやや出遅れるものの5月に入るとエンジン全開。オールスター前に早くも25本塁打に到達。8月に入ってやや疲れを見せるが、優勝争いの中で再び輝きを見せる。打率.287、37本塁打、123打点、30盗塁。リーグMVP投票では惜しくもYadier Molinaの後塵を拝すが、名実ともにスーパースターの地位を確立。
→ × こちらも故障で期待に応えられず。3年目で最少となる100試合の出場に止まり、特にわずか13本塁打とパワー面で低迷。MVP投票では一票も獲得できませんでした。ただし、NLDSでは大活躍し、来季に向けて希望を持たせてくれました。

10. ワールドシリーズ制覇!
4月だけで貯金を10近く溜め込む。その後はやや伸び悩むものの安全圏のリードを保って余裕のシーズン前半を送るが、オールスター前後に失速。2位との差が3ゲーム差まで縮まり、ひやりとさせられるが、8月後半から再加速。勝利数は97。1度も首位を譲ることなく、最終的には2位に13ゲーム差で独走の地区優勝。ディビジョン・シリーズでドジャーズを、リーグ・チャンピオンシップではカージナルスを破って球団初のリーグ優勝。そして、ワールドシリーズでは4勝1敗でエンゼルスを退ける。
→ × 夏場以降の加速、シーズン勝利数96、2位と17ゲーム差の地区優勝となかなかいい線を突いていましたが、ポストシーズンは大外れ。

【プレーオフ進出チーム予想】
(ナショナル・リーグ)
東:ナショナルズ
中:カージナルス
西:ドジャーズ
ワイルドカード:①Dバックス、②ジャイアンツ
(アメリカン・リーグ)
東:レッドソックス
中:タイガース
西:エンゼルス
ワイルドカード:①ロイヤルズ、②アスレティックス
→ ◎ この予想だけは驚くほど当たりました。ナ・リーグのワイルドカード①のパイレーツ、ア・リーグ東地区のオリオールズという2つを除けば、スロットまで含めて全て正解!10スロットのうち8つですよ。自分でもびっくりです。

2014/12/22

2014 シーズンレビュー 5: 投手MVP Jordan Zimmermann

次は投手編。スタッツ、印象、安定感などそれぞれ高いポイントを得る項目があり、かなり迷っても不思議がないシーズンでしたが、やはり最終戦のインパクトは強過ぎました。

【先発】
W L GS CG IP SO ERA WHIP HR/9 SO/9 SO/BB
Stephen Strasburg 14 11 34 0 215.0 242 3.14 1.12 0.96 10.13 5.63
Jordan Zimmermann 14 5 32 3 199.2 182 2.66 1.07 0.59 8.20 6.28
Tanner Roark 15 10 31 1 198.2 138 2.85 1.09 0.72 6.25 3.54
Gio Gonzalez 10 10 27 0 158.2 162 3.57 1.20 0.57 9.19 2.89
Doug Fister  16 6 25 1 164.0 98 2.41 1.08 0.99 5.38 4.08
Blake Treinen 2 3 7 0 50.2 30 2.49 1.38 0.18 5.33 3.54
Taylor Jordan 0 3 5 0 25.2 17 5.61 1.64 1.05 5.96 2.13
Taylor Hill 0 1 1 0 9.0 5 9.00 2.11 0.00 5.00 1.67


2014年シーズンの先発ローテーションは、Duog Fisterが開幕から約1か月ほど出遅れはしたものの、健康に恵まれ、5人(Stephen StrasburgJordan ZimmermannGio GonzalezTanner Roark、Fister)で全162試合中149試合に先発することができました。5人以外による先発は、わずかにBlake Treinen(7試合)、Taylor Jordan(5試合)、Taylor Hill(1試合)のみ。となれば当然といえば当然ですが、チーム先発投手防御率は3.04で30球団中独走トップの素晴らしい結果を残しました。

3年連続の開幕投手となったStrasburg。5年目となった今季は、初めて開幕からポストシーズンまでフル稼働。自身初の200イニングを突破し、見事、リーグ奪三振王のタイトルを獲得(レッズのJohnny Cuetoとタイ)。ただし、その道のりは容易ではありませんでした。開幕戦は4失点降板で勝ち負けつかず。2戦目は5回持たずに黒星。3戦目でようやく勝ちましたが、その後も内容が良くても大事なところで踏ん張れないという展開が多く、勝ち星はなかなか伸びませんでした。オールスター明けには3連敗を喫し、一時は7勝9敗。ファンをヤキモキさせてくれました。8-9月に盛り返し、特に最後の3登板は計20イニング無失点の3連勝で締めくくりましたが、「もっとできたはず」という印象のシーズンとなりました。NDLSも同じ。初戦の先発を任され、5回2失点(自責点1)でしたが、なんだかなあという感じの失点を重ねて負け投手。もう一皮むけて欲しい。

Strasburgをはるかに凌駕する素晴らしいシーズンを送ったのが、Zimmermann。打線の援護に恵まれず、やはり勝ち星はなかなか伸びませんでしたが、打たれないんだから負け投手にもなりません。オールスター前の成績は6勝5敗でしたが、そこから無傷の8連勝、しかも最終戦では球団史上初のノーヒッター達成という偉業を達成してくれました。NLDSでは第2戦に先発し、ノーヒッターの勢いそのままに9回2死まで3安打無四球、もちろん無失点とジャイアンツ打線を封じ込んでいましたが、四球を出して代えられてしまいました(あとは略)。FA前最終年となる来季。契約延長はほぼあきらめていますので、今年を上回る有終の美を飾ってくれることを期待。

3本柱の1人として開幕したGioでしたが、途中、肩の違和感で自身キャリア初のDL入りとなるなど、不本意なシーズンとなりました。9月の4勝1敗で2ケタ勝利に到達し、シーズン終盤に調子を上げてきたかと思われましたが、後がない状態でマウンドを託されたNLDS第4戦では、1つのきっかけで悪循環に陥る悪いGioの顔を見せてしまいました。肩の違和感が来季に影響しないことを願っています。

開幕時は4,5番手と思われたFisterとRoarkの2人が実はシーズンを通じて、アンカー役を果たしてくれました。まず、Fister。開幕こそ出遅れましたが、5月上旬に復帰してくると、以降はポストシーズンまでフル稼働し、16勝、防御率2.41はいずれもチームトップ。防御率はリーグでも4位の好成績でした。Zimmermannのノーヒッターの前に霞んでしまいましたが、最終登板では見事な完封勝利。NLDSでも2連敗で後がない第3戦に先発し、7回無失点で勝ち投手と頑張りました。こちらもFA前最終年となる来季。しっかり投げて、旅立ってくれればいいです。

昨シーズン終盤に好投していたとはいえ、スプリングトレーニングが始まる時点では確固たる地位を築けていなかったRoark。Fisterの故障でローテーション入りすると、他の先発投手陣が調子を上げきれていなかった4月に安定したピッチング。4月26日には自身初の完封勝利。これでローテーション投手としての地位を完全に確立しました。Roakの立派なのはほとんど波がないこと。物凄い持ち球があるわけではないので過小評価されがちですが、ホンモノです。来季もローテーションの一角として期待しています。

【ブルペン】
SV HD G GF IP SO ERA WHIP HR/9 SO/9 SO/BB
Rafael Soriano 32 0 64 48 62.0 59 3.19 1.13 0.58 8.56 3.11
Tyler Clippard 1 40 75 6 70.1 82 2.18 1.00 0.64 10.49 3.57
Jerry Blevins* 0 9 64 25 57.1 66 4.87 1.24 0.47 10.36 2.87
Drew Storen 11 20 65 18 56.1 46 1.12 0.98 0.32 7.35 4.18
Aaron Barrett 0 8 50 12 40.2 49 2.66 1.30 0.22 10.84 2.45
Craig Stammen 0 7 49 15 72.2 56 3.84 1.27 0.62 6.94 4.00
Ross Detwiler* 1 3 47 15 63.0 39 4.00 1.41 0.71 5.57 1.86
(* は左投手)

今年も年俸1100万ドルのRafael Sorianoが今年もクローザーを務めました。防御率3.19、32セーブという数字はそれなりですが、内容は散々。本当に散々。9月5日に3点リードを守りきれなかったことでようやくクローザーから降格させられ、その後は使い道がないまま終了、FA退団となりました。さようなら。

Sorianoを降格させた後のクローザーを任されたのがDrew Storen。65試合に登板して、自責点が付いたのはわずかに6試合、防御率1.12という圧倒的な数字を残しました。特にクローザーを務めた9月は14試合で自責点0、月間10セーブ。完全に地位を取り戻しました。惜しむらくはNLDS第2戦でのセーブ失敗。2年前に続く悪夢。本人のトラウマになっていないことを願います。ただ、Sorianoとの契約に走った2年前とは異なり、Rizzo GM、Williams監督がそろってクローザーStorenへの信頼を明言。3度目の正直。ポストシーズンで好投するStorenが見たいです。

今年もセットアッパーとして大活躍してくれた、Tyler Clippard。当たり前のように投げてくれていますが、ブルペン投手が安定した成績を残し続けることは難しいはずなのに、5年連続で70試合以上に登板し、この成績。もうひたすら頭が下がります。こちらもFA前最終年を迎え、トレードの噂が上っています。個人的にはどこかの球団でクローザーを務めさせてやりたいと思っていますが、どうなることでしょう。

ブルペン左腕1番手として3本柱と同じくらい起用されたのがJerry Blevins。夏場に不安定な時期がありましたが、特にシーズン終盤にかけてよく頑張ってくれました。もう1人、シーズン通じてブルペンに入っていた左腕が、スプリングトレーニング中にブルペン投手に転向させられた(たぶん本人はそういう意識だったはず)Ross Detwiler。最後までベンチの信頼を得ることはできず、あまりプレッシャーのかからないシーンでの登板が多く、NLDSのロースターからも漏れました。オフにレンジャーズへトレード。

ブルペン投手で今季も(3年連続で)最多投球イニングを記録したのがCraig Stammenでした。ロングもショートもこなし、縁の下の力持ちという感じ。シーズン防御率はパっとしない数字ですが、実はただの消化試合だった最後の登板で1死も取れずに5失点という登板があったためで、それまでのシーズン防御率は3.22でした。。。ともかく、本当に重宝する投手です。

Aaron Barrettについては先日の新人王の記事で書いたので省略です。

【投手MVP】 Jordan Zimmermann

Fister、Strasburg、Storen、あるいはClippardも十分にMVPに値する活躍でしたが、さすがにシーズン最終戦での感動のノーヒッターには敵いませんね。

参考まで、当ブログ独自の勝手MVP、投手陣の結果も掲載しておきます。

8W Stephen Strasburg
6W Tanner Roark
5W Doug Fister
4W Drew Storen, Jordan Zimmermann
3W Gio Gonzalez
1W Aaron Barrett, Rafael Soriano, Ross Detwiler, Blake Treinen, Craig Stammen, Tyler Clippard

2014/12/20

BA: Nationals Top 10 Prospects

12月19日にBAのプロスペクトランキングが発表されました(元記事)。リンク先に出ているリストは以下のとおりです。

[オリジナル]
1. Lucas Giolito, RHP
2. Michael Taylor, OF
3. Reynaldo Lopez, RHP
4. Erick Fedde, RHP
5. Steven Souza, OF
6. A.J. Cole, RHP
7. Wilmer Difo, SS/2B
8. Drew Ward, 3B
9. Brian Goodwin, OF
10. Nick Pivetta, RHP

ところが、まさに同じ日にパドレス・レイズとの三角トレードが成立し、Steven Souzaを放出して、Trea TurnerJoe Rossを獲得したことで、リストが次のように更新されることが明らかになっています。

[改訂版]
1. Lucas Giolito, RHP
2. Trea Turner, SS
3. Michael Taylor, OF
4. Reynaldo Lopez, RHP
5. Erick Fedde, RHP
6. Joe Ross, RHP
7. A.J. Cole, RHP
8. Wilmer Difo, SS/2B
9. Drew Ward, 3B
10. Brian Goodwin, OF
11. Nick Pivetta, RHP
12. Austin Voth, RHP

昨年のリストからは、Lucas Giolito(昨年1位)、Michael Taylor(7位)、A.J. Cole(2位)、Brian Goodwin(3位)の4人が引き続き残りました。メジャー昇格による卒業者はなく、Robbie RayNate Karns、そしてSouzaの3人はトレードされていきましたが、Matt SkoleSammy SolisJake Johansenの3人は残念ながら評価を落としての脱落となってしまいました。

驚いたのは、Coleへの評価の低さ。Giolito、Taylorとの3トップは盤石かと思っていましたので、(Turnerに割り込まれるのは仕方ないにせよ)まさかRossよりも下の7位とは。今季はAAとAAAでしっかりと結果を残し、メジャーデビュー間近というところまで来ているので意外でした。層が厚くなっているということでしょうか。

ただし、まだ1球も投げていないErick Feddeへの評価は高すぎる印象。Reynaldo Lopezへの高い評価には慣れました。

2014/12/18

パドレス、レイズとの三角トレード

ナショナルズ、パドレス、レイズの間で、総勢11人が動く大型三角トレードが成立しました。メインピースは、レイズからパドレスに移籍することになるWil Myers外野手ですが、ナショナルズとしては、Steven Souza外野手とTravis Ott投手を放出し、Trea Turner遊撃手とJoe Ross投手を獲得しました。長くなりますが、チームごとに獲得した選手を書くと次の通りとなります。

[WAS]
Trea Turner, SS (from SD)
Joe Ross, RHP (from SD)

[TB]
Steven Souza, OF (from WAS)
Travis Ott, LHP (from WAS)
Rene Rivera, C (from SD)
Burch Smith, RHP (from SD)
Jake Bauers, OF (from SD)

[SD]
Will Myers, OF (from TB)
Gerardo Reyes, RHP (from TB)
Jose Castillo, LHP (from TB)
Ryan Hanigan, C (from TB)

===================
ナショナルズに関連する選手たちについて、それぞれコメントしておきます。

●Trea Turner, SS
69G 321PA 5HR 35BB 67K .323/.406/.448 23SB [SS and A]
21歳のショートストップ。今年のドラフト1順目(全体13位)、ノースカロライナ州立大から入団したばかりのトッププロスペクト。契約後、ショートシーズンでしばらく過ごした後、Low-Aに昇格し、しっかりした数字を残す上々のプロデビュー。打率を残せて四球を選べる打撃のみならず、走力も広い守備範囲も高く評価されている。プロ入り後の69試合でわずか4エラーは立派。ただし、それほど強肩というわけではない模様。(なお、ルール上ドラフト指名後1年以内の選手はトレードできないので、当面はPTBNLとなるそうです。)

●Joe Ross, RHP
23G(22GS) 121.2IP 29BB 106K 3.92/1.26 [A+ and AA]
兄はパドレスのTyson Ross。2011年ドラフト1順目(全体25位)で高卒入団の21歳。比較的順調に育っており、BAによる2014年開幕前のパドレス組織内プロスペクトランキングでは10位。今季もまずまずのピッチングを続けてAAまで昇格してきました。90マイル台前半の速球が主な武器ということで、変化球はまだまだ。上限は先発3番手と言われているが、ブルペンに転向する可能性も。

●Steven Souza, OF
21G 26PA 2HR 3BB 7K .130/.231/.391 0SB [Major]
96G 407PA 18HR 52BB 75K .350/.432/.590 [AAA]
25歳の右打ち外野手。2007年ドラフト3順目で高卒入団。プロ入り後長らく適応に苦労しましたが、2012年にA、A+で計23本塁打を放ってブレイク。三振が少なく四球を多く選べる選球眼も持ち合わせている。2013年にはAA、アリゾナ秋季リーグで結果を残し、プロ入り8年目となる2014年にようやくメジャーデビューを果たした遅咲きの選手。2014年はInternational League(AAA)のリーグMVPを獲得する活躍。メジャーでの実績は少ないものの、ナショナルズのユニフォームを着ての最後のプレーとなったあのプレーのおかげで、ファンには忘れられない選手です。

レイズではライトのレギュラーとして起用される見込み。このチャンスを活かし、一人前のビッグリーガーになってくれることを心から、本当に心から願っています。頑張って!

●Travis Ott, LHP
13G(=GS) 55.0IP 26BB 45K 3.93/1.35 [SS and A]
2013年ドラフト25順目で高卒入団の19歳左腕。まだまだ未知数。

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大方の評判は、ナショナルズの一人勝ちというもの。確かに、Bryce HarperJayson Werthがあと3年はナショナルズの両翼を務めることが確実で、故障がない限りは控え外野手でしかない26歳のSouzaと、まだLow-Aでしか投げていないドラフト25順目のOttの2人を、ドラフト1順目のプロスペクト2人に換えたのですから、当然の評価と言えるでしょう。もちろん、Turner、Rossの2人とも即戦力いうわけではなく、どれほど育つかは分かりません。しかし、プレイヤーのバリューという観点からは、文句の付けようがない。いつもながらRizzo GMの手腕には恐れ入ります。

Turnerを獲得したことで、Ian Desmondとの長期契約に向けた交渉に影響が出るという説もありますが、そんなことはないでしょう。Turnerがいずれはショートのレギュラーが務まるような選手に育ってくれることを期待していますが、どんなに早くてもあと2年はかかり、DesmondのFA退団とはタイミングが合いません。そもそも期待通りに育つかどうかも分かりません。攻撃のあるショートというのは貴重です。Desmondと長期契約を結び、Turnerが育ってきたところでショートの守備が苦しくなってきたDesmondがサードかセカンドに移るというのがベストシナリオでしょう。

それにしても、なかなかにインパクトのあるトレードです。

2014/12/17

2014 シーズンレビュー 4: 野手MVP Anthony Rendon

次は野手MVPなのですが、なかなかどうして。簡単な選考ではありませんでした。
G PA 2B 3B HR R RBI BB SO BA OBP SLG SB
Wilson Ramos 88 361 12 0 11 32 47 17 57 .267 .299 .399 0
Jose Lobaton 66 230 9 0 2 18 12 15 61 .234 .287 .304 0
Adam LaRoche 140 586 19 0 26 73 92 82 108 .259 .362 .455 3
Danny Espinosa 114 364 14 3 8 31 27 18 122 .219 .283 .351 8
Asdrubal Cabrera 49 200 9 2 5 20 21 22 29 .229 .312 .389 3
Anthony Rendon 153 683 39 6 21 111 83 58 104 .287 .351 .473 17
Ryan Zimmerman 61 240 19 1 5 26 38 22 37 .280 .342 .449 0
Ian Desmond 154 648 26 3 24 73 91 46 183 .255 .313 .430 24
Bryce Harper 100 395 10 2 13 41 32 38 104 .273 .344 .423 2
Denard Span 147 668 39 8 5 94 37 50 65 .302 .355 .416 31
Jayson Werth 147 629 37 1 16 85 82 83 113 .292 .394 .455 9
Kevin Frandsen 105 236 8 0 1 17 17 6 26 .259 .299 .309 0

シーズンを通じて故障者リストに入らずにプレーしたのは、Anthony RendonIan DesmondDenard SpanJayson Werthの4人。Adam LaRocheも最短の15日だけ。上記の5人が規定打席に到達しました。逆に、Bryce HarperWilson RamosRyan Zimmermanの3人は長期離脱。特にZimmermanはメジャー10年で初めて100試合出場を切る不本意なシーズンとなってしまいました。

【捕手】
4番捕手で開幕を迎えたRamosでしたが、左手の有鉤骨(hamate bone)の骨折でまさかの開幕戦途中退場、DL入り。5月上旬に戻ってきましたが、(hamate bone後にはよくあるようですが)パワー不足。6月にもハムストリングを痛めてDL入り。夏場に少し盛り返しましたが、9月には大失速。ポストシーズンでも活躍できずで、昨季後半に膨らんだ期待には応えられないまま終わってしまいました。

むしろRamos離脱中にがんばったJose Lobatonが評価を上げたシーズンとなりました。大きな故障で離脱することなく、Ramosがいるときは控えとして、いないときはレギュラーとして貢献。特に守備面で大いに投手陣を助けた印象。

【内野手】
ファーストはLaRocheが140試合に先発。2年前の再現とはいきませんでしたが、チームトップの本塁打、打点を記録し、主砲としての仕事をしっかり果たしてくれました。ポストシーズンに入るまでは、でしたが…。

開幕戦のセカンドはRendonでしたが、Zimmermanの離脱によりサードに回ったため、結局Danny Espinosaが最多の出場機会を得ました。守備力は相変わらずでしたが、バットも相変わらず。4月はまさかの復活かと思わせるいいバッティングをしていましたが、次第に大振りが目立つようになり、結局見限られ、フラッグディールトレードでAsdrubal Cabreraを獲得した後は、一気に出場機会を失いました。そのCabreraもEspinosaよりはマシという程度の低調な打撃成績で、守備を加味したらEspinosaとあまり変わらないのではないかという印象のままFA退団となりました。

昨季終盤に安定感を取り戻し、大丈夫かなと思わせたZimmermanのサード守備でしたが、やっぱり無理でした。開幕2戦目に最初の悪送球を記録した後、5戦目では失点につながる悪送球と不安定ぶりを露呈。4月12日のブレーブス戦で2塁ランナーとして牽制で帰塁する際にヘッドスライディングをして右手親指を骨折・・・。これによりサードにコンバートされたRendonが、そのままポジションを奪い取ってしまいました。守備力でも高い能力を見せるとともに、打撃でも大きな飛躍を見せ、リーグトップとなる111得点を記録。オフには、三塁手としてシルバースラッガー賞も受賞しました。

ショートはすっかり不動の地位を築いた感のあるDesmondがほぼフル出場。相変わらず三振は多いものの、これで3年連続となる20本塁打、20盗塁を達成。こちらも3年連続となるシルバースラッガー賞を受賞。守備でも安定した働き。また、チームリーダーとしても貢献。エキスポス時代から残る最後の1人として、FAとなる前に契約延長に応じてくれることが期待されています。

【外野手】
2年連続でほぼフル出場を果たしたSpan。センター守備はGG賞が受賞できなかったのが不思議なほど素晴らしい上に、打撃でも自身初の3割、30盗塁を記録するなど、キャリアイヤーとなりました。格安の来季契約オプションは当然ながら行使されました。誰だよ!こんな素晴らしいセンターを連れてきたGMは!という感じです(笑)。

7年契約の4年目となったWerth。こちらも、まさかのほぼフル出場。出場試合数も加味すれば、移籍後最高の個人成績と言ってもいいかもしれません。数字に表れない勝負強い打撃の印象も強い。7月には、.337/.446/.687、6本塁打、24打点の成績でリーグ月間MVPを受賞するほど打ちまくり、チームの加速を引っ張りました。ライトの守備は少しずつ落ちてきている感じを受けました。不良債権間違いなしと言われた長期契約の折り返し点を過ぎましたが、もう悪く言う人はいないでしょう。これで、ポストシーズンで打ってくれていれば・・・。

残念だったのは、Harper。オフにしっかり休んで体調万全で迎えたはずのシーズンでしたが、今一つ波に乗れないままで来た4月末に三塁打でヘッドスライディングした際に左手親指の腱を断裂し、約2か月の離脱を強いられました。復帰してきてもしばらく調子がでないまま。8,9月には復調し、悪くない感じでレギュラーシーズンを終えましたが、残った数字は13本塁打をはじめ、まったく物足りないものとなりました。救いは、ポストシーズンでの大暴れ。チームメイトが本当に全然打てない中、4試合で3本塁打を放つなど1人で奮闘していました。来季こそは大ブレイクしてくれることを期待しています。

【野手MVP】 Anthony Rendon

迷いました。

スタッツを見ると、Rendon、Werth、LaRoche、Spanの4人はいずれも印象的な数字を残していますが、これだけでは決め手にかける。リーグMVP投票の結果は、5位Rendon、18位Werth、19位タイSpanとなっています。また、御存じ、当ブログ独自の勝手MVP、野手陣の結果を取りまとめたものがこちら。

11W: LaRoche
10W: Werth
9W: Desmond
8W: Rendon 
5W: Span、Ramos、Zimmerman
2W: Espinosa 
1W: Moore、Frandsen、Harper、Taylor、Souza

この結果からは、LaRoche、Werthが2トップでチームの勝利に貢献し、特にLaRocheがレギュラーシーズン終盤の勝負がかかった時期に活躍してくれていたことが分かりました(実感としてもそういう印象です)。しかし、2人のポストシーズンでの惨状を忘れられないファンとして、LaRocheとWerthはどうしても選べませんでした。

こんなに迷ったのは、ブログを始めてから初めてのこと。迷いに迷った末、シーズンを通じて、攻守にわたってオールラウンドに貢献してくれたRendonを今季の野手MVPとしました。

2014/12/15

Harper と2年契約に合意

Bryce Harperがナショナルズと2年750万ドルの契約に合意したことが発表されました。内訳は、2015年が250万ドル、2016年が500万ドル。まずは、ホッと胸をなでおろしました。

いきなりそんなこと言われても、相当深くフォローしている人でないと何のことか分かりませんよね。日本語のニュース記事はなさそうですし。

経緯を説明しておきましょう。

話は2010年8月にさかのぼります。その年の6月のドラフト全体1位で指名されたHarperとナショナルズの交渉は期限直前までもつれこみ、最終的に合意したのは期限の26秒前のことでした。当時、5年総額990万ドルと公表されたこの契約。2015年シーズンがその5年目に当たるのですが、契約に規定された2015年の年俸は、基本給100万ドル+メジャー昇格していれば支払われるボーナス50万ドルの計150万ドルでした。

ところが、例によって話をややこしくしてくれるのが年俸調停制度です。同制度の基本的なルールは次の通り。
・メジャーリーガーの年俸はメジャー登録3年を経過するまでは約50万ドルの最低保証額。
・3年を経過した選手は年俸調停の対象となり働きに応じて(=類似の成績を残した過去の選手並に)年俸が上昇。合意できなければ年俸調停で第三者に決定してもらうことも可能。
・上記の3年経過の選手に加え、2年以上3年未満経過の選手のうちで登録日数が上位の22%の選手は年俸調停となる。(いわゆるスーパー2)
・6年を経過した選手はFAとなる。

ただし、このルールには例外があります。それは、「別途契約が結ばれてない限りは」というもの。

ここで今回のケースに戻ると、2014年シーズン終了時点でのHarperのメジャー登録日数は2年と159日であり、スーパー2に該当し、仮に年俸調停プロセスに乗ったとすれば、年俸は250万ドル程度となるだろうという試算をいろいろな専門家が示しています。しかし、2010年8月に結ばれた契約が存在し、2015年の年俸は150万ドルと定められていますので、こちらが優先するようにも思われます。

これに対し、Harperの代理人であるScott Borasが主張したのは、「年俸調停の権利を得ることができる場合は元の契約を解除することができる(いわゆるオプトアウト)」はずで、Harperはこのオプトアウトを行使し、スーパー2として年俸調停の対象となるべきだというものでした。契約合意が期限ギリギリだったため文字にすることはできなかったが、2010年8月の時点で口頭での合意が存在していたと主張するBorasと、そんな合意はなかったという球団側との、文字通り「言った言わない」の争いとなっていました。

この争いの存在が最初に明らかになったのは昨年11月のワシントン・ポストの記事でした。それから1年間、水面下での交渉が続けられてきましたがこれまでには合意できず、12月16日(火)に異議申立てのヒアリングがセットされるまでに至っていました。異議申立てプロセスは、(いつも年俸調停プロセスで書いているように)選手と球団との間に大きな溝を生じさせる全く不愉快なプロセスとなるものであり、(可能性は極めて低いと思われますが)長期契約の芽を消さないためにも回避することが期待されていました。

今回、そのヒアリングの前に(とはいえまだ1日以上あったわけですが)、合意できたことは、まずは何よりの朗報でした。

2015年の250万ドルというのは、完全にHarper側の主張に沿った(つまり年俸調停対象として得られたであろう)金額ですが、一方、2016年の500万ドルについては、仮に2015年の年俸が250万ドルで2015年にHarperがスーパースター級の活躍をした場合には割安になると言えるもの。また、2017年の年俸調停のベースになるのもこの500万ドルとなるため、それ以降の年俸もある程度コントロールできるようになりました。変な言い方ですが、Harperがスーパースター級の活躍をしてくれることを、年俸高騰の心配をしないで期待できるようになったとも言えます。

なお、この2年契約の後、あと2年、年俸調停対象として球団に保有権があり、2018年シーズン終了後にFAとなるというスケジュールには変更はありません。

以上、総評すると、今回の2年契約は、両者にとってメンツが立って実利も伴うウィンウィンのものと言えるでしょう。Rizzo GMとBoras。さすがです。

2014/12/13

2014 シーズンレビュー3: 新人王: Aaron Barrett

続いてチーム新人王です。2014年シーズンにルーキー資格を持って出場したのは次の9人でした。

Michael Taylor
Steven Souza
Jeff Kobernus 
Sandy Leon 
Zach Walters
Aaron Barrett 
Blake Treinen 
Xavier Cedeno
Taylor Hill

このうち、規定出場機会(130打席、50投球回数)に到達してルーキーから卒業したのはWalters(トレード先のインディアンズで到達)、Treinen(50回2/3でぎりぎりクリア)、Cedeno(足かけ4シーズンかかりました)の3人。その他の6人はまだルーキー資格を有しています。

チーム新人王の候補と呼べるほどの活躍を見せてくれたのはBarrettとTreinenの2人でした。

Aaron Barrett: 50G 40.2IP 49K 20BB 1HR 2.66/1.30
スプリングトレーニングでの好投のよりまさかの開幕ブルペン入り。開幕戦、同点の9回裏にメジャーデビューし、2三振を含む三者凡退で抑え、結果的にメジャー初白星まで記録しました。この後、6月末までの間に計31試合に起用され、失点したのはわずか4試合で、防御率1.93。すっかりベンチの信頼を勝ち取りました。6月30日の試合でボークを取られてから投球フォームを乱し、3試合連続で失点するなど調子を崩したこともありましたが、再調整のために降格したAAAでは打者を圧倒して10試合を無失点。9月にはメジャーに復帰し、10試合で自責点0(2失点)の好投でNLDSのロースター入りを果たしました。昨シーズンまでAAしか経験していなかった右腕にとっては大きな飛躍の1年となりました。NLDS第4戦でワイルドピッチによって決勝点を献上するという苦い経験も、将来の糧としてくれることでしょう。来季以降は(Rafael Soriano、さらにはTyler Clippardに代わる)ブルペンの柱として活躍してくれることを期待しています。

Blake Treinen: 15G(7GS) 50.2IP 30K 13BB 1HR 2.49/1.38
こちらもスプリングトレーニングで評価を上昇させた投手。開幕こそAAAで迎えましたが、早くも4月12日に初のメジャー昇格を果たし、同日、ブルペン投手としてデビュー。このときはモップアップとしての起用でしたが、5月以降はダブルヘッダーなどの事情があるときのスポットスターター1番手となり、(何度もブルペンに勝ち星を消されながら)6月28日にはうれしいメジャー初白星も記録しました。その後もチーム事情からいろいろな形での登板を強いられましたが、90マイル台後半の力のある速球を柱としたピッチングで存在感を増し、NLDSのロースターに入れるべきかどうかという議論もあったほどの活躍。とにかく彼の速球は素晴らしく、見ていて気持ちのいい投手。今後、先発としてどこまでやっていけるかは変化球をどれだけ磨けるかによるでしょうが、来季も主にスポットスターターあるいはロングリリーフ(Craig Stammenの後釜)として貢献してくれることでしょう。

【チーム新人王】 Aaron Barrett  

なかなか甲乙つけがたい2人ですが、シーズンを通じてのチームの勝利への貢献度という観点からは、Barrettを新人王とします。

2人以外ではTaylorとSouzaもマイナーでは素晴らしい数字を残し、メジャーでもキラリと光るものを見せてくれましたが、まだまだ経験不足。もう一皮むけてくれることを期待しています。

2014/12/12

Detwiler をトレード放出

12月11日、ウィンターミーティングの最終日の夜になって、レンジャーズとの間でトレードに合意しました。ナショナルズは、Ross Detwiler投手を放出し、見返りにChris Bostick内野手とAbel De Los Santos投手の2人のマイナーリーガーを獲得しました。

Mike Rizzo GMは相変わらず素晴らしいディールをします。本当に敬服します。


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Ross Detwiler
47G (2W-3L-1SV) 63.0IP 21BB 39K 4.00/1.41 [2014 Season for Nationals]
132G(69GS) (20W-32L-1SV) 471.0IP 154BB 285K 3.82/1.37 [Carrier for Nationals]

2007年のドラフト1順目(全体6位)入団ということで、私が2008年初にブログを始めた当時は全体トップ100にも入るトッププロスペクトでした。将来のエースと期待していましたが、結局、それほどには成長できないままにナショナルズを去る日が来てしまいました。ちなみに、同期入団はJordan Zimmermann(2順目)、Steven Souza(3順目)、Derek Norris(4順目)等。

契約時の約束により、ドラフトされた年の9月末に1イニングのメジャーデビューを果たしていましたが、実質的には2009年に昇格し、この年の9月にメジャー初勝利。しかし、期待されて迎えた2010年のスプリングトレーニングで股関節を痛めて半年も離脱し、ローテーション投手に定着するチャンスを逃しました(あの当時の弱小ローテーションなら十分可能性はあった)。

最も輝いたのは、2012年でした。スプリングトレーニングで王健民John Lannanとの三つ巴の争いを制して開幕ローテーション入りを果たすと、レギュラーシーズンで27試合に先発し、10勝を記録。ポストシーズンでも、勝ち負けはつかなかったもののNLDS第4戦(Jayson Werthのサヨナラ弾で勝った試合)に先発して好投しました。

これで一皮むけたかと思われましたが、翌2013年はまたも今一つピリッとしないピッチングを続けた挙句、夏場に背中を痛めてリタイア。そうこうしているうちに、Tanner Roarkの台頭などもあって先発投手としての地位が低下。遂に2014年はブルペン投手としてフルシーズンを過ごすことになった上、ポストシーズンのロースターから外されるなど、チーム内における存在感は下がる一方でした。

基本的に持ち球は速球(シンカーとフォーシーム)のみ。これまでにチェンジアップやカッターの習得も試みてきましたが、どれも実戦で武器となるほどのものにはならず。このレパートリーの少なさが、先発投手として成功できなかった理由と言えるでしょう。

オフに入った当初はノンテンダーという予想もありましたが、契約は提示された上でのトレードとなったことで、球団に見返りを残してくれたという意味でも、望まれての移籍となったという意味でも(しかもレンジャーズは先発投手として考えているらしい)、現状で考えられる限り最も良い結末となったのではないでしょうか。

この7年間ずっとフォローしてきた選手の1人ということで感慨深いものがあります。

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獲得した2選手は、いずれもトッププロスペクトと呼べるほどではありませんが、若くて、将来メジャーに上がってくる可能性は十分ある楽しみな選手。本当に良いトレードです。

Chris Bostick (2014 Season for A+)
130G 556PA 11HR 47BB 116K .251/.322/.412 24SB 
21歳の右打ちの二塁手。ニューヨーク州の高校から2011年のドラフト44順目(全体1336位)という極めて遅い順位での指名ながらアスレティックスに入団。Rk、SS、Aと順調に昇格したところで、昨オフ(2013年12月)、Craig GentryJosh LindblomとのトレードでMichael Choiceとともにレンジャーズに移籍。2014年はA+で上記の成績を残していました。

パワーがある二塁手というのはかなり珍しい素材(ん?Espinosaという名前の似たタイプの選手がいたような気が・・・)。現時点では三振が多いものの、まだ21歳と若く、来季はおそらくA+をもう1年経験するのではないでしょうか(AAの二塁手はアリゾナ秋季リーグに派遣されたTony Rendaが務めるはず)。1年くらい足踏みしても、まだまだ大化けへの期待感を持たせてくれる選手です。守備はよく分かりません。

Abel De Los Stanton (2014 Season for A and A+)
41G (5W-3L-8SV) 56.1IP 18BB 65K 1.92/0.96
ドミニカ出身のブルペン右腕。米本土に上陸したのは2011年。当初は先発でしたが、今一つぱっとせず。2013年に本格的にブルペン投手に転向し、昨季、上記の成績を残して評価を高めている。先発時代から一貫して四球が少ない点は評価ポイント。ブルペン投手に回って、奪三振がイニング数を上回るようになっている。これをAAに上がっても続けられるかどうか。

2014/12/11

2014 シーズンレビュー2: またもNLDS敗退

ウィンター・ミーティング中ですが、ナショナルズ関連ではあまりにも動きがないので、先にシーズンレビューの第2弾、行きます。

第2弾は、順番から言うと、またも残念な結果に終わったポストシーズン編を書かなければならないのですが、10月17日に第4戦の記事の追記として敗因分析をまとめたのでその再掲で代えさせて頂きます。

===========(再掲開始)===========
シリーズを通じて投手陣は良く頑張りました。4試合(延長18回を戦っていますから実質5試合分)で9失点。うち非自責点が3もあって、チーム防御率は驚異の1.23。しかし、負けた試合は全て1点差。Storen、Roark、Barrett、みんなギリギリのところで粘れなかったのは確かでした。いやいや、誰がなんと言おうと投手陣は十分に頑張りました。

敗因は打線。チーム打撃成績 .164/.222/.258って・・・・。全9得点で、そのうち2点は第3戦でのMadison Bumgarnerの悪送球でもらったもの。残る7点のうち、ソロホームランによるものが4点。そしてBryce Harperが1人で4打点。他の打者では、Anthony Rendonだけが気を吐き、打率.368(7安打)と頑張りましたが、全試合にフル出場したにも関わらず、1番Spanは2安打、3番Werthと4番LaRocheはともに1安打ずつ(もちろん打点0)に終わってしまいました。特に3,4番の本来ならチームを引っ張るはずの2人がこの成績に終わったことが最大の敗因でしょう。

そして、忘れもしない第2戦の9回2死での投手交代。ですが、それを言うのは結果論になるのでやめましょう。

ともかく、このようにしてナショナルズのシーズンは終わってしまいました。故障者もRyan Zimmermanくらいという充実した戦力を持ち、シーズン終盤がものすごく好調だっただけに、ものすごい消化不良感があります。えっ?!ほんとに終わりなの?という感じです。でも、終わりは終わり。
===========(再掲終了)===========

今となって思うのは、相手が悪かったということ。結局この後ワールドシリーズを制することになるジャイアンツ、Bruce Bochy監督と当たったことが運の尽きでした。リーグ最優秀監督を受賞したとはいえ、ルーキー監督のMatt Williamsには荷が重かったという印象。この敗戦から多くのことを学び、次に生かしてくれることを願うばかりです。

我らがMichael Morseがワールドシリーズ優勝に貢献してくれたことをせめてもの慰めです。

2014/12/05

2014 シーズンレビュー1: 会心の地区優勝

毎年恒例のシーズンレビュー。例年はもう少し年末になってから書くのですが、今年は年末が忙しそうなので今のうちに…。

まずはレギュラーシーズン編です。

Matt Williamsを新監督に迎えて臨んだ2014年シーズン。序盤はややもたつきブレーブスに先行を許しましたが、中盤以降に地力を発揮して首位に立つと、終盤はさらに勢いを増してゴールイン。終わってみれば96勝66敗、2位に17ゲームという大差をつけての独走地区優勝、ナ・リーグ最高勝率。さらに最終戦でのノーヒッターというオマケ付き。

シーズン序盤は期待外れに終わった昨季の再現のようでした。メッツ相手に開幕3連勝するなど他チームには強さを見せ、最終的に4月は貯金4で終えましたが、ブレーブスにだけは直接対決1勝5敗と勝てませんでした。そのブレーブスから2ゲーム差の3位で4月を終了。さらに苦戦したのが5月で4つも負け越してしまいました(この時点でちょうど5割)。苦戦の原因は攻撃力不足。開幕戦でのWilson Ramosを皮切りにRyan Zimmerman、Bryce Harper、Adam LaRocheと主力が続々と離脱。4月は頑張っていたAnthony Rendonの減速とともに得点力が失われていきました。

昨季と違ったのは、ナショナルズだけでなくブレーブスももたついたこと(地区首位は変わりませんが、昨季が10だった5月末時点の貯金が今季は5)。ブレーブスはこの後、6月こそ貯金2でしたが、7-8月は勝率5割と減速し、9月にはなんと8勝19敗と大きく負け越し。ポストシーズン進出さえも逃すことになりました。

そんなブレーブスを尻目に、6月以降、ナショナルズは快進撃を開始。6-7月で貯金10と勝率を上げてブレーブスをとらえると、8月12日から21日にかけての怒涛の10連勝(しかも、うち5試合はサヨナラ勝ち)。8月だけで貯金9を荒稼ぎして地区首位を固めました。さらに9月に入っても白星を重ねて独走態勢。全く危なげないままに順調にマジックを減らして、9月16日、敵地アトランタでブレーブスを破って地区優勝を決めました。この1戦を含め9月に6試合組まれたブレーブスとの直接対決は4勝2敗。苦手意識もすっかり克服しました。

その後もペースを緩めることなく9月の月間成績は19勝8敗。残り2戦を残した時点でナ・リーグ最高勝率を決め、そして迎えた9月28日のレギュラーシーズン最終戦。詳細は当日の記事を読んでいただければと思いますが、まさに有終の美を飾る1戦で締めくくりました。この後のポストシーズンの展開を知っている人が振り返ってみると、ピークがちょっと早く来過ぎたということになってしまいますが、レギュラーシーズンとしてはこれ以上ない終わり方でした。

いつものようにチーム・スタッツも振り返っておきます。

打撃成績は「中の上」といったところ。総得点は9位、本塁打は10位、チーム打率12位、出塁率8位、長打率10位、三振率は21位、盗塁は12位。悪くはないけれども、チームを引っ張ったという感じの数字でもありません。

チームを引っ張ったのは何といっても投手陣。防御率3.03は独走でのトップ。奪三振率は13位と平均的な水準でしたが、与四球率、被本塁打率ともやはり悠々の1位。先発投手に限れば、奪三振率も5位の高水準。先日の記事でも書きましたが、先発ローテーションをほぼ固定できたということが何よりの勝因ということでしょう。

以上、98勝した2012年シーズンをも上回る会心のレギュラーシーズンだったのですが・・・・・・。