2018/12/29

Anibal Sanchezと2年契約

ブレーブスからFAとなっていた先発右腕のAnibal Sanchezと2年契約に合意しました。年俸として、2019年に600万ドル、2020年に700万ドル。加えて、2021年1月に600万ドルが支払われ、トータルで「1900万ドルの2年契約」ということになります。また2021年シーズンについて、年俸1200万ドルの球団オプションが付いています。

ベネズエラ出身の34歳(来シーズン開幕時は35歳)。2006年にマーリンズでメジャーデビューし、2010年にはローテーションに定着。FA前最終年となった2012年夏にタイガースにトレードされ、オフに5年8000万ドルの大型契約でタイガースと再契約。翌2013年には2.57でリーグの最優秀防御率を記録しました。2012年、2013年にはポストシーズンでも先発しましたが、ここがピーク。翌2014年以降は毎年1点ずつ防御率を落とし、5年契約の最終年となった昨年はもっぱらブルペンに回り、防御率6.41という惨憺たる成績に終わりました。今季はツインズとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングの序盤でカットされ、キャリアが終わったかと思われました。ところが、ブレーブスに拾われ、24試合に先発して防御率2.83と、まさかの復活を遂げました(NLDSでも先発)。

2018年の復活を本物と見るかまぐれと見るかは、なかなか難しいところですが、投球スタイルを変化球主体に大きく変えた結果であり、またそのスタイル変化に大きな役割を果たしたのが(やはりナショナルズに加入した)Kurt Suzukiだったと記者に言っていたようなので、少なくとも1年は好投してくれるだろうと期待しています。

Tanner Roarkのトレード放出で空いたローテーションのスポットを迅速に埋める動き。悪くないと思います。

2018/12/16

ロースター異動まとめ(2018年12月)

12/7 Patrick CorbinとFA契約
12/12 Tanner Roarkをトレード放出
12/15 Matt AdamsとFA再契約

● Patrick CorbinとFA契約
FAとなっていた29歳の先発左腕Patrick Cobinと6年1400万ドルの大型契約を結びました。詳細は別記事をご参照ください

● Tanner Roarkをトレード放出
2013年からナショナルズで活躍してきたTanner Roarkがレッズにトレードされました。ナショナルズはブルペン右腕のTanner Raineyを獲得。詳細は別記事をご参照ください

● Matt AdamsとFA再契約
FAのMatt Adamsと契約に合意しました。今シーズンも開幕から8月末までナショナルズで活躍し、カージナルスにトレードされていった選手なので、再契約です。詳細は別記事をご参照ください

Matt Adamsと再契約

FAのMatt Adamsと契約に合意しました。内容は1年400万ドル(2019年の年俸300万ドルと、2020年の相互オプションが拒否された場合の100万ドルで、保証されるのは計400万ドル)報じられています。今シーズンも1年400万ドルだったので同額です。

改めて書くまでもありませんが、再契約です。ファーストの控えかつ左のパワーバットという、求められる役割も2018年と同じ。いや、むしろ、当初の想定として、Ryan Zimmermanとのプラトーンとしての面が強くなり、多くの出場機会を得ることが期待されます。(今季はそこまでの期待はされていなかったのに、ZimmermanがDL入りしていたため結果的に出場機会が増えた。)

今シーズンの前半にナショナルズで活躍したので、当然どこかでもっといい契約を得るのかと思っていたのですが、(今チェックしたら)夏にカージナルスにトレードされていってからは、27試合で.158/.200/.333という惨憺たる成績だったんですね。

シーズン途中でトレード放出された選手が、オフに再契約するというケースは珍しいのですが、ナショナルズ首脳陣が持っていた好印象と、他球団からの評価には差があったのかもしれませんね。それでも、ナショナルズでの環境が気に入っていたということでしょうから、期待しています。

2018/12/13

Tanner Roarkをトレード放出

Bryce Harperの去就をめぐる動きに注目が集まっていたラスベガスでのウィンターミーティング中に、Tanner Roarkがレッズにトレードされることが決まりました。ナショナルズはブルペン右腕のTanner Raineyを獲得。Tanner とTannerの1対1のトレードです。

2010年の夏にCristian Guzmanとのトレードで加入した古株。調べてみたらRyan Zimmerman、Stephen Strasburgに続く3番目に古くから球団に在籍している選手でした。加入当時は全く無名のプロスペクトでしかなく、実際投げさせてみても凄い持ち球があるわけでもなく、その後の昇格もゆっくりでしたが、26歳となった2013年8月にメジャービューすると、運にも恵まれて2か月で7勝を記録。あっさりと2014年の開幕ローテーションに入って15勝を記録。翌2015年にはMax Scherzerの加入に伴い一時的にブルペンに回されたりして調子を崩してしまったものの、先発に戻った2016年シーズンには16勝、防御率2.83という素晴らしい成績を残し、サイ・ヤング賞投票でも得票するほどの活躍をしてくれました。このまま一流投手として花開くかと期待させましたが、ところが、ここでWBCが出てきます。2017年の春に参加したWBCでは、準決勝の日本戦で先発し4回無失点に抑えるなどアメリカの初優勝に貢献したのですが、チームに戻ってからどうも調子が出ず、2017年、2018年といずれも防御率4点台の残念な結果に終わりました。あまり大きな声では言いたくありませんがWBCに参加して調子(もっといえばキャリア)を崩す選手が一定数いることは確かで、残念ながら(今のところ)Roarkはそのうちの1人になってしまっています。ただ、マウンドに上がればきっちりしたピッチングを展開し、大きな故障なくローテーションを守ってくれる貴重な投手であることは確かで、打線の援護さえあれば今季だってもっと好成績でも良かったと思います。低い評価を覆し、ここまでのし上がってきたRoarkがいなくなるのは寂しい気もしますが、来季は32歳となり、FA前最終年。過去2年の不調も踏まえると、切り替えを図った球団の判断はあながち間違っていないとも思います。

Tanner Raineyは25歳のブルペン右腕。2015年のドラフト2巡目で入団し、順調にステップアップ。今年の4月にメジャーデビューを果たしています。ただし、5月と7月の昇格も合わせて計8試合に登板しましたが、いずれも敗戦処理で、うち6試合で失点し、防御率24.43という数字に終わりました。AAAでは44試合に登板し、防御率2.65、イニング数を上回る奪三振を記録しています。100マイルを超える速球と90マイルのスライダーが武器。2018年シーズン開幕前のBAランキングではレッズの組織内20位のプロスペクトで将来のクローザー候補と期待されていました。課題は(よくある話ですが)制球力。リスクはありますが、メジャーでの戦力となる可能性も十分にあります。2018年にメジャーロースターに入ったばかりであり、FAまでは5年以上あり、オプションも2つ残っています。

先日のPatrick Corbinの加入によりナショナルズのローテーションの前の3人は超強力となりましたが、このRoarkの放出により4,5番手はいきなり不透明となりました。間違いなく次の補強があるはずです。Raineyの年俸はまだ年俸調停前の最低保障年俸(50万ドル程度)なので、年俸調停最終年で約1000万ドルと見込まれていたRoarkの年俸が丸々浮き、これが補強資金となりそうです。というか、これがナショナルズの狙いと思われます。

実績から見ると不釣り合いなトレードのように見えますが、年俸、残り契約年数を加味するとちょうど釣り合っているのかもしれません。いずれにせよ、両選手の今後の活躍を応援しています。

Patrick Corbinと6年契約!!

DバックスからFAとなっていた先発左腕、Patrick Corbinと6年契約に合意したというビッグニュースが入ってきました。

この冬のFA市場では最も高い評価を得ていた投手、野手を含めてもBryce Harper、Manny Machadoに次ぐ評価を得ていた選手です。先週、フィリーズ、ヤンキースとともにナショナルズの球場・施設を視察するツアーを行っており、ナショナルズの球団首脳とも会食をしたというニュースは流れていましたが、まさか本当に契約するとは思いませんでしたので、喜びよりも驚きが先に来ました。

2009年のドラフト2順目でエンゼルスに大卒入団。約1年後にDバックスにトレードされ、順調にマイナーをステップアップし、2012年にはメジャーデビュー。2013年にはオールスターにも選出され、2014年は開幕投手に指名されていましたが、開幕直前にTJ手術を受けることになり全休。復帰後、2016年シーズンは防御率5点台と不本意な結果に終わりましたが、2017年は完全に復活、そして28歳で迎えた今シーズンは自身初の200イニング(ちょうど)を投げて、防御率3.15、246奪三振。2度目のオールスターに選ばれ、サイ・ヤング賞投票でも5位に入りました。実績はまだエース級とは言えませんが、まだ29歳ですから、今シーズンと同程度、あるいは上回るピッチングを今後数年にわたってしてくれると期待していいと思います。

持ち球はスライダー。速球は90マイル台前半ですが、左腕からのスライダーは一級品で極めて高い空振り率、そして奪三振を記録しています。ゴロ率も高く、被本塁打は少ないですね。Max Scherzer、Stephen Strasburgとともに三本柱を形成することになりますが、当然ながら極めて強力なローテーションとなります。

QOを蹴っているのでナショナルズは来年のドラフトで2順目と5順目の指名権を失うそうです。まあ、仕方ないでしょう。むしろ気になるのは、この契約により、Bryce Harperとの交渉、あるいはAnthony Rendonとの契約延長に向けた動きにどれくらい影響がでるかです。

なお、契約内容は6年1億4000万ドルと報じられていますが、詳細がはっきりしたら追記したいと思います。

(12月14日追記)
契約の詳細がわかってきました。契約金が250万ドル、各年の年俸は、1250万ドル(2019年)、1900万ドル(2020年)、2400万ドル(2021年)、2300万ドル(2022年)、2400万ドル(2023年)、2500万ドル(2024年)、その後、1000万ドルを分割払い。オプトアウト条項やトレード拒否条項といった特則は付いていない模様です。

2018/12/02

ロースター異動まとめ(2018年11月)

11/3 Trevor Rosenthalと契約
11/19 James Bourqueを40人ロースターに追加
11/20 Kurt Suzukiと2年契約
11/26 Henderson Alvalezとマイナー契約
11/30 Yan Gomesをトレード獲得(Jefry Rodriguezを放出)
11/30 Sammy Solisと年俸調停回避の1年契約

●Trevor Rosenthalと契約 
28歳のブルペン右腕、Trevor Rosenthalとメジャー契約を結びました。基本契約は1年700万ドルで、インセンティブを満たすと最高1400万ドルまで上昇。50登板か30試合終了時登板の条件を満たせば2年目(2020年)1年1500万ドルの契約が発動されることになります。

2013年から2017年まで、カージナルスのクローザーとして通算121セーブを記録。2015年にはオールスターにも選出されたトップレベルのリリーバーでしたが、2017年の夏にヒジを故障。同年8月にTJ手術を受け、リハビリを続けてきました(カージナルスからは2017年オフに解雇され、以降はFA)。先日、各球団のスカウトを集めたオーディションを開き90マイル台後半を投げていたとのこと。故障リスクは否定できませんが、セットアッパーとして、あるいはSean Doolittleに何かあったときのクローザーとして期待できる若い投手を、比較的低コストで獲得したいい動きだと思います。

● James Bourqueを40人ロースターに追加 
12月のウィンターミーティングで実施されるルール5ドラフトを前にブルペン右腕のJames Bourqueを40人ロースターに追加しました。2014年ドラフト14順目の25歳。開幕前にはBaseball Americaのプロスペクトハンドブックに名前さえ載らない存在でしたが、ブルペン投手に転向した今季、Potomac(A+)とHarrisburg(AA)で計53イニングを投げて防御率1.70、奪三振率12.91という数字を残して一気に評価を上げました。

● Kurt Suzukiと2年契約 
ブレーブスからFAとなっていた35歳のベテラン捕手、Kurt Suzukiと2年契約を結びました。(詳細は別記事

● Henderson Alvalezとマイナー契約
28歳の先発右腕、Henderson Alvalezとマイナー契約(メジャーのスプリングトレーニングへの参加付き)を結びました。

ベネズエラ出身。2011年にブルージェイズでデビュー。マーリンズにトレードされた後、2013年のシーズン最終戦でタイガース相手にノーヒッターを記録し、2014年にはオールスターにも選出されるなど、将来を属望されていましたが、肩の故障で満足に投げることができなくなりました。今季はメキシコリーグで120回2/3を投げて防御率3.58の成績。ベネズエラ冬季リーグでも投げているようですが、打ち込まれています。上手くいけば儲けものくらいの契約ですね。

● Yan Gomesをトレード獲得(Jefry Rodriguezを放出) 
インディアンズとの間で、Yan Gomes捕手と、Jefry Rodriguez投手、Daniel Johnson外野手、PTBNLとのトレードに合意しました。Gomesは今季、ア・リーグ中地区を制したインディアンズで105試合の先発マスクを被った正捕手。先に獲得したKurt Suzukiとともに来季はベテランの併用で戦うことが決まりました。別記事もご参照ください

● Sammy Solisと年俸調停回避の1年契約(その他、年俸調停対象選手) 
年俸調停対象選手に対する契約提示の期限の日である11月30日に、Sammy Solisと年俸調停回避の1年契約を結びました。契約金額は85万ドル。対象選手のうち、Solisだけは契約提示されずにいわゆるノンテンダーFAとして退団する可能性が高いと報じられていましたが、残留で決着しました。今シーズンは不本意な結果に終わりましたが、その要因の1つは起用法にあったと思われ、Solisはかなりの不信感を持っていたはず。よく残留を決意したなと思います。Solisが苦しんでいたことは伝わってきていましたので、他チームに移ってでも活躍してくれることを願っていましたが、ナショナルズ残留ならなおさら。応援します。

Solis以外の以下の6人の対象選手には契約を提示しました。これから調停回避に向けて交渉が進められることになります。注目は年俸調停最終年(シーズン終了後FA)となるAnthony Rendonと複数年契約を結ぶことができるかどうか。代理人はやはりScott Borasですが、Bryce Harperとは異なり、FA市場に出ることにそこまで強いこだわりはないはず。Harperとの契約の進展にもよるかと思いますが、是非長くチームにいてもらいたい選手です。

Anthony Rendon 
Tanner Roark 
Trea Turner 
Michael Taylor 
Kyle Barraclough 
Joe Ross 

Yan Gomesをトレード獲得(Jefry Rodriguezを放出)

11月30日、インディアンズとの間でトレードがまとまりました。

獲得するのは31歳のYan Gomes捕手。今季、ア・リーグ中地区を制したインディアンズで105試合の先発マスクを被った正捕手です。

ブラジル出身の最初のメジャーリーガーとあり驚きましたが、国籍がブラジルなだけで小学生の時にアメリカに移住して野球を始め、2009年のドラフトでブルージェイズに入団した選手だそうです。2012年オフにトレードでインディアンズに移籍してからメキメキと頭角を現し、中心選手に成長。故障もあり、2015、2016年は打撃成績が低迷しましたが、今季は266/.313/.449と復活。守備の評価も悪くありません。今季は初のオールスターにも選出されていました。なお、ルーキーステータスを卒業した直後、インディアンスでの1年目を終えた直後の2014年の開幕前に6年2300万ドルという長期契約を結んでおり、2019年の年俸は700万ドル、この後、球団側オプションとして、2020年は900万ドル、2021年は1100万ドルで契約することが可能となっています。レギュラーとして活躍してくれるならいずれもお値打ち価格です。

ベテランの右投げ右打ちの捕手ということで先に獲得していたKurt Suzukiと被りますが、捕手というポジションなので相手投手に関係なく完全な併用でいいと思います。オフに入った時点での最大の補強ポイントとされていた捕手については、これでひとまず片が付きました。

一方、ナショナルズが手放すのは、Jefry Rodriguez投手と、Daniel Johnson外野手、それにPTBNLの3人。

Rodriguezについてはつい先日Prospect Profileの記事を更新したばかりで、今後の成長を期待していただけに残念ですし、来季の戦力だけを考えてもAAAで控える先発のデプスとして計算していたRodriguezが抜けることは心配です。ベテランの先発候補をマイナー契約でスプリングトレーニングに招待することはできますが、開幕ロースターに入れなかった時点で退団することが多く、長いシーズンを戦っていくには確実に支配下においておけるオプションを残した若手は貴重なのですが。

もう1人のDaniel Johnsonは2016年ドラフト5順目大卒入団の左投げ左打ちの外野手。フルシーズン1年目となった2017年にAとA+で計549打席に立ち、.298/.356/.505、22本塁打、22盗塁を記録して一躍期待されました(今季開幕前のBA球団内ランキング8位)が、故障もあって今シーズンはAAで打てず(盗塁は21個記録しましたが)、アリゾナ秋季リーグでも力不足を露呈していました。

Rodriguezを含んだことはちょっと不安ですが、Victor Roblesを放出せずに捕手の補強を済ませるにはやむを得なかったということで納得しましょう。

2018/11/29

Prospect Profile #33: Juan Soto

[2018年11月最終更新, 2017年5月オリジナル]

2017年のMy Top 10 Prospectsの野手陣についてもそろそろ書いておかねば。。。まずは、Juan Soto外野手からです。

[Player Data]

Name:  Juan Jose Soto
Position: OF
Born: October 25, 1998
Birthplace: Santo Domingo, Dominican Republic
School: NA
Height: 6-1
Weight: 185
Bats: Left
Throws: Left
Draft: NA
Acquired: International FA(2015)
BA Organization Rank: 24(2016)⇒ 3(2017) ⇒ 2(2018)
BA Overall Rank: 56(2018)

[Scouting Report]
バッティングで高い評価を得ている左打ちの外野手。バットコントロールとともに選球眼も高く評価されている。引っ張るだけでなく広角に打ち分ける技術も持つ。パワーは未知数だが、上背はあるので将来的にはついてくるものと期待される。走力、守備力は平均レベルであり、両翼タイプ。

[Background]
ドミニカ共和国出身。2015年夏に、当時の球団最高額となる契約金150万ドルで入団。

ドミニカ出身者としては珍しく、ドミニカ・サマー・リーグでプレーすることなく、2016年シーズンにいきなり米本土のGCL Nationalsに参加。しかも、リーグ平均年齢を下回る17歳でありながら、いずれもリーグトップの.361/.410/.550の結果を残し、シーズン終了後にはリーグの最優秀選手賞を受賞。シーズン終盤にはAuburt(SS)に参加し、約4歳年上の大学出身の選手とプレーしたが、ここでも出場した5試合のうち4試合でマルチヒットを記録。大いに評価を高め、トッププロスペクトに名乗りを上げた。

18歳となった2017年シーズンは早くもHagerstown(A)に参加。開幕から打撃絶好調。23試合で.360/.427/.523の数字を残し、三振より四球が多い選球眼も見せたことでますます評価を上げた。しかし、5月2日の試合で本塁に突入した際に右足首を傷めて退場、即DL入りとなった。7月にGCLでリハビリ出場を開始したがわずか5試合でシャットダウン。シーズン終了間際に再びGCLでプレーするのが精一杯。失われたシーズンとなってしまった。

2018年は再びHagerstown(A)をやり直すことになったが、打撃で圧倒し、早々にPotomac(A+)、Harrisburg(AA)へと昇格し、また、トッププロスペクトとして前を走っていたはずのVictor Roblesの負傷離脱という(Sotoにとっての)幸運も重なり、5月20日にメジャーデビュー(19歳)。すぐにレフトのレギュラーの座をつかみ、以降の活躍は当ブログでも書いたとおり。惜しくもリーグ新人王はならなかったものの、チームの主軸として長く活躍することが期待される。 

[Comment]
こんなシンデレラストーリーが本当にあるんだな、と思わせるような飛躍の1年でした。Adam EatonとVictor Roblesの負傷、Michael Taylorその他の不振と多くの要因が重なり合い、19歳でデビューしたBryce HarperがFAとなる直前に新しい19歳がブレイク。「もってる」選手です。これからどれだけの記録・記憶を残してくれるでしょうか。楽しみです!(2018年11月)

このままメジャーリーガーまで一気に駆け上がるかと期待させるほどの2017年の滑り出しだっただけに、実にもったいない故障となりました。足首なので治れば長期的な影響はないはず。一日も早い復帰を願っています。(2017年5月)

Prospect Profile #18: Jefry Rodriguez

[2018年11月最終更新(2019年2月追記), 2017年12月更新, 2016年11月更新, 2015年9月更新, 2014年7月オリジナル]

第18回にして、2014年シーズンのMy Top 10 Prospectsの最後となるのが、ドミニカ出身のJefry Rodriguez投手。
Photo by Jeremy Houghtaling @CitizenHough

[Player Data]
Name: Jefry Rodriguez
Position: RHP
Born: July 26, 1993
Birthplace: Haina, Dominican Republic
School: NA
Height: 6-5
Weight: 185
Bats: Right
Throws: Right
Draft: NA
Acquired: International FA (2012)
BA Organization Rank: 18(2014) ⇒20(2015)  ⇒NA(2016) ⇒NA(2017) ⇒ 24(2018)
BA Overall Rank: NA

[Scouting Report]
ドミニカ出身の長身右腕投手。ナショナルズと契約するまでは内野手だった。速球は既に常時90マイル台前半を計時するが、体格の成長、フォームの向上により速くなる余地があると見込まれている。ただ、投手になってからの経験不足もあり、変化球、制球はまだまだ発展途上。そもそもフォームも十分に固まっていない。変化球としては、縦に割れるカーブとスプリッター、それにチェンジアップも投げているが、いずれもまだまだ。とにかく発展途上の投手。

[Background]
2012年1月にナショナルズと契約。契約してすぐに投手にコンバートされると、その年のドミニカ夏季リーグでなかなかの成績を残し、米本土上陸の切符を勝ち取る。

米本土初年度の2013年シーズンには、49勝9敗という北米プロ野球史上最高勝率でぶっちぎりの優勝を果たしたGCLナショナルズのエースとして活躍。個人でも12試合47.2回に登板して、2.45/1.26、43奪三振の好成績で一躍評価を上げることに成功。課題の制球力でも、2012年の9イニングあたり6.9個から3.8個へと大きく改善。

2014年は、5月にフルシーズンのHagerstown(A)で開幕したが、4試合中2試合で打ち込まれたこともあり、6月にはAuburn(SS)に降格された。そのSSでは3試合16回1/3を投げて5失点(防御率2.76)、WHIP 1.22と通用することを示したが、早々に故障で離脱し、そのままシーズン終了。

Hagerstownに再挑戦となった2015年も開幕から9試合で防御率7.45と打ち込まれ、またもAuburnに降格。Auburnでも、7月13日までの週に週間MVPに選ばれるなど好投した試合もあったが、残った数字は13試合で5.11/1.35という厳しいものとなった。

2016年も3度目となるHagerstownでの開幕。開幕から好調で、6月15日までの13先発を6勝2敗、3.13/1.07という文句のない成績で、South Atlantic Leagueのオールスターにも選出された。しかし、オールスター明けの初戦で3回途中7失点と打ち込まれると、以降調子を崩し、後半の12先発では1勝9敗、7.29/1.62と別人のような成績。評価が難しいシーズンとなった。

2017年シーズンはPotomac(A+)に初挑戦。開幕から好調を持続し、5月にはリーグの週間MVPにも選ばれた。夏場に2か月あまりDL入りしたものの、復帰。計12試合に登板(10先発)し、防御率3.32/1.11、57イニングで51個の三振を奪い復活をアピールした。11月にルール5ドラフトからのプロテクトとして40人ロースター入りを果たした。

2018年は、初めて40人ロースター選手としてメジャーキャンプに参加した後、AAで開幕。好投を続け、5月にダブルヘッダーの26人目の選手として初のメジャー昇格。この時は出場機会を与えられなかったが、6月3日にメジャーデビュー(2番手で投げて4回2/3を無失点)。4度目の先発となった8月7日のブレーブス戦で5回1失点の好投でメジャー初白星を記録すると、メジャーとマイナーを行ったり来たりしながら、また投球回数が増えすぎたためブルペンに回ったりしながら、3勝3敗の記録を残した。先発としての力不足の感は否めないが、24歳のデビューシーズンとしては悪くないシーズンを送った。

(2019年2月追記)
2018年11月30日、Yan Gomesとの1対1トレードでインディアンズに移籍しました。退団は正直残念ですが、正捕手候補との1対1トレードの対象となるほどに成長してくれたことには満足を覚えます。

[Comment]
見事にメジャー昇格、初白星を記録し、ルーキーステータスを卒業しました。古くから追いかけてきた選手が、悪い時期を乗り越えて成功していくのを見るのは本当に楽しい気持ちでした。このProspect Profileシリーズでも一二を争う成功例。まだまだ若いのでさらなる飛躍を期待しています。(2018年11月) 

ほとんど諦めていましたが、復活し、まさかの40人ロースター入り。24歳と若くはありますが、保有期間を考えるとタイミング的にそろそろブルペンに転向でしょう。球威を活かし、ブルペン投手としてAA、AAAで結果を残せるようならメジャーに昇格できる可能性もあるはず。あと一息、頑張れ。(2017年12月)

2016年後半の失速の理由がはっきりわからない点は不安ですが、いい時は素晴らしいピッチングをするのでプロスペクトとしての期待感はある程度維持されています。来季はいよいよA+に挑戦でしょう。そこで2016年前半のような投球内容(与四球、被本塁打数も少なかった)ができれば、先が見えてくるはずです。(2016年11月)

2014、2015の2年間は完全に足踏みしてしまいましたが、まだ22歳。依然として先発として起用されており、期待を完全に失ってしまうのはまだ早過ぎるはず。来季はプロスペクトとしての期待感という意味では正念場となりそうです。(2015年9月)

まだまだ未知数ですが、本格右腕として大きく育ってくれることを期待したいです。(2014年7月)

Prospect Profile #22: Austin Voth

[2018年11月最終更新, 2017年12月更新, 2016年11月更新, 2015年12月更新,2015年1月オリジナル]

2015年の2人目、全体第22回はAustin Voth投手。

[Player Data]
Name: Austin Voth
Position: RHP
Born: June 26, 1992
Birthplace: Redmond, WA
School: University of Washington
Height: 6-1
Weight: 190
Bats: Right
Throws: Right
Draft: 2013-5
Acquired: Draft
BA Organization Rank: 15(2014) ⇒12(2015)9(2016) 10(2017)⇒ 26 (2018)
BA Overall Rank: NA


[Scouting Report]
高い位置から投げ下ろす、いわゆる本格派の右腕。速球はせいぜい90マイル台前半だが、制球力に非常に優れており、チェンジアップとカーブを交えて空振りさせることができる。奪三振数は多く、四球は少ない。ブルペンよりは先発向き。上限はローテーション下位と言われる。

[Background]
2013年シーズンにはワシントン大学のエースを務め、PAC 12という強豪校が並ぶリーグで奪三振王となったが、ドラフト前の評価は必ずしも高くなく、ドラフト5順目でナショナルズに入団。ルーキーリーグで2試合、ショートシーズンで7試合、8月末にHagerstown(A)に昇格して2試合の計11試合に先発し、1.75/0.84、46.1イニングで55奪三振の好成績。

2014年は、開幕したAでの13試合(オールスター選出)、夏場に昇格したPotomac(A+)での6試合でいずれも打者を圧倒するようなピッチング(計2.10/0.89)を見せて評価を高め、シーズン終盤にはHarrisburg(AA)まで到達。フルシーズン1年目の疲れもあってかAAではさすがに打ち込まれた(6.52/1.60)。依然としてイニング数を上回る三振を奪っており、プロスペクトとしての地位を確立した。

2015年はHarrisburg(AA)でフルシーズン、ローテーションを守った。シーズン序盤は防御率が4点台で推移したものの、徐々に調子を上げてEastern Leagueのオールスターに選出される。後半戦も好投を続け、最後の2登板を無失点で防御率を2点台まで引き下げて締めくくった。148奪三振はリーグトップ。自己最多の157.1イニングを投げた。

Syrcuse(AAA)にステップアップした2016年も年間通じてローテーションを守り、157イニングで3.15/1.24と、ここでも通用することを示した。セプテンバーコールアップの有力候補だったが、結局声はかからず。アリゾナ秋季リーグで結果を残し(4試合打たれまくった後、3戦連続無失点)、12月のルール5ドラフトを前に40人ロースター入りを果たした。

40人ロースター選手として迎えた2017年だったが、残念ながら失望のシーズンに終わってしまった。3度の登板をいずれも無失点に抑えながら早々にスプリングトレーニングからカットされると、開幕後もSyracuse(AAA)で13試合に先発して1勝7敗、防御率6.38と全く振るわず。6月下旬にはDL入りし、戻ってきた後はHarrisburg(AA)に降格となり、そこでも10試合で防御率.5.13。セプテンバーコールアップで声がかかることもなかった。

2018年の開幕は今季もSyracuse(AAA)のローテーション。プロスペクトとしての評価は下げていたものの、ブルペン投手不足となったチーム事情から4月末に初めてのメジャー昇格の声がかかった。しかし、出場機会を与えられないまま1日で降格。6月にもダブルヘッダー要員として昇格したもののやはり登板なし。3度目の昇格となった7月14日、ついにメジャーデビューを果たした(結果は5回途中7失点で黒星)。その1試合だけですぐにAAAに戻されたが、セプテンバーコールアップで戻ってきた後の9月22日のメッツ戦で先発し、ついにメジャー初白星を記録。

[Comment]
Vothのメジャー初白星は、消化試合となっていた2018年シーズンの終盤にあって心温まるニュースの1つでした。プロスペクトしての期待感は下がり、いつ40人ロースターから外されても不思議のない状況となっていますが、スポットスターターとしては貴重な存在。苦労してきただけに応援していたい投手です。(2018年11月)

2016年までの安定した内容からは思いもよらない2017年の不振でした。考えられる要因は故障。6月~7月に休んだ理由が詳しく報じられていないのでよくわかりませんが、その後AAでも打たれていることを見ると心配は大きくなります。メジャーまであと一息、(ナショナルズで実現するかどうかはわかりませんが)頑張って。(2017年12月)

Lucas GiolitoやReynaldo Lopezに追い抜かれ、2016年は内心悔しい思いをしたはず。40人ロースター入りを果たして、いよいよ2017年にはメジャーデビューでしょう。これまで通り下馬評を覆す投球術を披露してくれることを期待しています。(2016年11月)

AAの打者も難なく抑え、プロスペクトとしての地位を大いに引き上げました。来春はメジャーのスプリングトレーニングに呼ばれることはほぼ間違いないでしょうし、メジャーデビューも視野に入ってくると期待されます。(2015年12月)

多くの軟投派投手がぶつかるAAあたりの壁を乗り越えてメジャーリーガーに近づくことができるか、注目のシーズンとなります。(2015年1月)

Prospect Profile #16: Rafael Bautista

[2018年11月最終更新, 2017年12月更新, 2016年11月更新, 2015年9月更新, 2014年6月オリジナル]

全体第16回はドミニカ出身のRafael Bautista外野手です。

[Player Data]
Name: Rafael Bautista
Position: OF
Born: March 8, 1993
Birthplace: Santo Domingo, Dominican Republic
School: NA
Height: 6-2
Weight: 165
Bats: Right
Throws: Right
Draft: NA
Acquired: International FA (2012)
BA Organization Rank: 25(2014) ⇒21(2015)⇒13(2016) ⇒ 11(2017) ⇒ 15(2018)
BA Overall Rank: NA

[Scouting Report]
何といってもスピードが魅力のセンターフィールダー。2012年と2013年の盗塁数は計73個で、盗塁成功率も84%と高い数字を誇っている。守備でも俊足を活かした守備範囲の広さと、打球への反応の良さで高く評価されている(肩はまずまずといったところ)。打撃はコンパクトなスイングで当てにいくタイプで、2年間でわずかに1本塁打と長打力には欠ける。と、ここまではAAAにいるEury Perezとかぶるが、大きな違いは右打者であることと、それなりに四球を選べること。長打力がついてくれば、レギュラーとしてやっていける可能性もある。

[Background]
契約して初年度の2012年シーズンは地元ドミニカ共和国でプレー。打率、出塁率、盗塁数でチームトップの好成績を残し、早々と米本土上陸を勝ち取る。2013年はGCLナショナルズ(Rk)に所属し、.322/.400/.391の好成績。26盗塁でリーグ盗塁王を獲得。守備でもシーズン通じて1エラーと評価を上げ、シーズン終了後のGCLオールスターに選ばれた。

2014年はHagerstown(A)で開幕。シーズン序盤は下位を打っていたが、打撃、走塁ともに好調で、リードオフとして起用されることが多くなった。6月にSouth Atlantic Leagueのオールスターにも選出されると、そのままフルシーズン出場し、最終的には.290/.341/.382、5本塁打、そしてリーグ独走の69盗塁を記録。ポストシーズのオールスターにも選出され、プロスペクトとしての評価を上げ、BAでは組織内21位とそこまでではなかったが、BPではなんと9位にランクされた(ただし、Trea TurnerとJoe Rossの獲得前)。

メジャーのスプリングトレーニングにも招待されるなど、大きな期待感を持って迎えた2015年シーズンだったが、Potomac(A+)で迎えた開幕直後に足を故障。リハビリを経て復帰してきたときには既に7月末。そこからシーズン終了までは.289/.326/.350とまずまず打ったが、足踏みのシーズンとなってしまった。

2016年はHarrisburg(AA)でセンターのレギュラーとして136試合に出場し、.281/.344/.341の堅実な打撃成績に加え、全マイナーリーガーで最多となる56盗塁を記録。着実に評価を高め、11月には40人ロースター入りを果たした。ドミニカ共和国でのウィンターリーグにも参加してしっかり打っている。

2017年。40人ロースター選手として初めて参加したスプリングトレーニングで28打席とはいえ.321と結果を残し高い評価を得ると、初挑戦となったSyracuse(AAA)でも開幕からの19試合で.291と好調。なんと、4月末にAdam Eatonが負傷でシーズン終了となった際に一番手として昇格し、メジャーデビューを果たした(5月6日には初安打も記録)。ただ、控えとしてベンチに座らせておくことは望ましくないという球団の判断により約1週間でAAAに戻されると、不運にも故障(詳細不明)で約2か月にわたり戦線を離脱。8月下旬にようやく復帰し、9月にようやくメジャー再昇格。メジャーでは計27打席で.160/.222/.160という数字を残した。

2018年はAAで開幕したものの、週間MVPを受賞して、早々にAAAに昇格。さらに、4月末にはメジャーに復帰したが、結果的にはこの時がピーク。守備固め中心の起用では結果を出せずに5月上旬にAAAに降格となると、5月17日の守備中に右アキレス腱を切ってシーズン終了。無情にも6月にリリースされて退団となった。 

[Comment]
4月から5月にかけてのメジャーでの起用法が残念でなりませんでした。思えばあれが、Dave Martinez監督の采配に対して最初に疑問を持ったケースでした。故障は不運でしたが、結果的にはつぶされたという印象。どこかで再起してくれることを願っています。(2018年11月)

春先が良かっただけに、5月から8月にかけての離脱が残念でした。メジャーでは故障者が続出していただけに健康ならもっと機会を得られたはずだったのに。それでもメジャーに帯同したことはいい経験になったはず。来シーズンに活かしましょう。 (2017年12月)

(私の予想が嬉しいほうに外れ)初挑戦となったAAでしっかりと評価を上げ、ついに40人ロースター入りを果たしました。最大の売りである足を活かしたプレーを続けていれば、メジャーへの声がかかる日は遠くないでしょう。(2016年11月)

失われたシーズンとなりそうでしたが、なんとか踏みとどまったという印象。打撃だけでなく、持ち味の足も最後の44試合で22盗塁とペースを戻しており、期待感は残しています。来季はもう一度A+をやり直しかな。(2015年9月)

ドミニカ共和国出身選手の評価はなかなか難しいのですが、これまでの成績を見ている限り、Eury Perezのグレードアップ版に見えます。スピードを失うことなく、しっかりと打てるようになれば、メジャーへの道も開かれてくるはず。(2014年6月)

2018/11/21

Kurt Suzukiと2年契約

ブレーブスからFAとなっていた35歳のベテラン捕手、Kurt Suzukiと2年契約を結びました。2019年は400万ドル、2020年は600万ドルの年俸。

ナショナルズには2012-2013年に続く2度目の在籍となります。2012年の夏にアスレティックスからのトレードで加入し、球団史上初の地区優勝に貢献し、NLDSでも全5試合で先発マスクを被りました。2013年夏のトレードでアスレティックスに移籍(同じ球団から来て同じ球団に帰るという珍しいケース)。当時は守備面では高い評価を得ていたものの、在籍中の122試合で.239/.297/.344、8本塁打という数字が示すように打撃面では平均以下でした。しかし、その後、ツインズでの3年間、そして直近2年はブレーブスで次第に打撃成績を向上しています。また、ナショナルズ在籍時から目立っていたコンタクト率(三振の少なさ)は未だに健在であり、打者としてはかなり有用です。ただし、時を同じくして守備面の評価は次第に下がっています。また、直近3年の出場試合数は100試合前後にとどまっており、もう1人の捕手と併用されて(つまり休養が与えられながら)の成績であることには注意が必要でしょう。

今オフのナショナルズにとって最大の補強ポイントとなっていた捕手に、1つ手を打ちました。ただ、完全なレギュラーとして出場させることはリスクが伴いますので、恐らくこれで補強終了ということではなく、併用できるそこそこのレベルの捕手をもう1人、取りに行くと思われます。

アリゾナ秋季リーグでも日系人選手の活躍が話題になっていましたが、その代表格。大いに期待しています。

2018/11/20

Max Scherzerがサイ・ヤング投票で2位

サイ・ヤング賞とリーグMVPが発表されました。

ナ・リーグのサイ・ヤング賞は3年連続受賞が期待されたMax Scherzerと、打線がの援護がなく10勝に終わったものの1点台の防御率が評価されたメッツのJacob deGromの一騎打ちで接戦が予想されましたが、蓋を開けてみれば、deGromが1人を除く全ての1位票を獲得し、圧勝。判官びいきもあったとは思いますが、素直におめでとうと言えますね。

ナ・リーグのMVPはブリューワーズのChristian Yelichが、やはり1人を除く1位票を集めて独走での受賞。まあ予想通り。ナショナルズ勢では10位のScherzer、11位のAnthony Rendonが得票しました。

ア・リーグのサイ・ヤング賞はレイズのBlake SnellがJustin Verlanderとの接戦を制して受賞。そんなことより、6位タイにアスレティックスのクローザーとして大活躍したBlake Treinenの名前が。ナショナルズからは残念な形で放出されましたが、花開いてくれたことはを喜びたいと思います。

ア・リーグMVPはレッドソックスのMookie Bettsが2人を除く1位票を集めてのやはり独走。そして、2位にはMike Trout

2018/11/13

Juan Sotoが新人王投票で2位

両リーグの新人王が発表になりました。

Juan Sotoの受賞を期待していましたが、結果は、ブレーブスのRonald Acunaが1位票を27票獲得したのに対して、Sotoはわずか2票と大差で敗れました。

打撃成績がほとんど互角だったにもかかわらずこのような大差がついた理由としては、守備の差(Acunaはセンターとして平均以上なのに対してSotoはレフトしか守れない)、そしてAcunaは地区優勝の原動力になったという点が挙げられるでしょう。ま、仕方ない。年齢も1つしか違わない2人には、これからもいいライバル関係で成長していってくれることを期待しています。

ア・リーグは大谷翔平が1位票を25票集めて受賞しました(リンク)。日本人として嬉しいです。



GG賞, SS賞は受賞なし

守備のGG賞、打撃のSS賞ともナショナルズからの受賞はありませんでした。両賞とも受賞なしというのは2011年以来。ふむ。

2018/10/30

2018ポジションレビュー(終):ブルペン投手編

シーズンレビューシリーズの最終回は、ブルペン投手編です。

とにかく故障に見舞われロースター異動が多かったのがブルペンでした。総勢22人がリリーバーとして登板(先発がメインの投手を除く。)。2016年、2017年はいずれも20人未満でしたから、2018年の異常さが分かります。

開幕時のブルペンは、Sean DoolittleShawn KelleyRyan MadsonBrandon KintzlerMatt GraceSammy SolisTrevor GottEnny Romeroの8人。昨シーズンの実績からするとそれなりに頼りになると期待されていました。

ところが、このうちシーズン終了時点でチームに在籍していたのはDoolittle、Grace、Solis、Gottの4人のみ。しかも、SolisとGottの2人は防御率5点を上回る残念なシーズンに終わりましたので、期待通りの結果を残したのはDoolittleとGraceのみということになりました。そのDoolittleにしても、数字上は防御率1.60で25セーブという好成績でしたが、勝負時となった7月から9月にかけての約2カ月DL入りで戦列を離れていましたので、そういう意味では期待外れでした。Graceにしても同じく4月から6月にかけて約2カ月のDL入りがありました。

Kelley、Madson、Kintzlerの3人はセットアッパーとして期待され、実際、シーズン序盤は貢献してくれていましたが、登板過多の影響もあってか次第に調子を崩し、また、ベンチを批判したといった噂もあって、いずれも夏場にトレードされていきました。

そういう事情でマイナーから呼び寄せた投手によるパッチワークが求められることになりましたが、全くの期待外れで短期間でDFAされり、故障したりした投手もいた中、Justin MillerWander Sueroの2人はよく頑張りました。5月中旬にメジャーに上がってきたMillerは31歳のジャーニーマンでしたが、突如開眼した感じで、後半戦は大事な場面で起用されることが増えました。生え抜きのSueroは5月上旬にメジャーデビューを果たした後、ロースター事情でAAAとの間を行ったり来たりのシーズンとなりましたが、しっかりと結果を残し、期待を高めています。

シーズン終盤にはルーキーのJimmy CorderoAusten WilliamsKyle McGowin、それに肩の故障から戻ってきたKoda Gloverにも登板機会が与えられましたが、好投したのはGloverくらい。

来季に向けてですが、確実に期待されているのは、Doolittle、Grace、Miller、Suero、Gloverの5人でしょう。クローザーはDoolittleで確定ですが、少なくとも1人はセットアッパーの務まる実績のある投手を補強するものと見込まれます。また、左がGraceだけという訳にもいきませんので、1枚くらいは加えるでしょう。

最後に、Dave Martinez監督の采配の酷さが露骨に出たのがブルペンの起用法だったことを追記しておきたいと思います。上で書いたようにベテランのセットアッパー陣には極めて評判が悪く、内紛も起きていたようですし、シーズン中にはSolisも起用法に不満を述べている記事を読みました。調子がいい投手を連投させて潰し、次に調子が良い踏襲にしわ寄せしてまた潰し、を繰り返していたことは否定できないでしょう。この点は、絶対に猛省を促したいですね。

2018/10/29

Kyle Barracloughをトレード獲得

少し前のことになりますが、10月10日に、マーリンズからKyle Barraclough投手をトレードで獲得したことが発表されました。ポストシーズンが行われている最中にトレードが成立することは極めて珍しいので驚きました。対価は海外選手との契約に使えるボーナス枠。

28歳のブルペン右腕。2015年のデビュー以来、通算227試合に登板し、3.21/1.299、奪三振率11.5と好成績を残しています。武器は90マイル台後半の速球。奪三振率はかなり高い。課題は制球力。今シーズンは開幕からセットアッパーとして素晴らしいピッチング。ただ、6月にはクローザーを任された後、オールスターを過ぎた頃から打たれ始め、シーズン終盤には中継ぎに戻っていました。

ナショナルズではクローザーにはSean Doolittleがいるのでセットアッパーに専念させることができます。いいときの状態で貢献してくれることを期待。なお、今季が年俸調停2年目で、あと3シーズン保有権があります。

2018 ポジションレビュー:先発投手編

圧倒的な強さを見せたレッドソックスが4勝1敗でドジャーズを降し、ワールドシリーズは幕を下ろしました。延長18回での敗戦の翌日に、7回以降に4点差を逆転できるチームってのはなかなかありません。そして最終戦は、Clayton Kershawから3本のホームランを打ってリードを奪い、8,9回は6者三振で締めくくる圧巻のフィナーレ。いやはや久しぶりに「強いチーム」を見せてもらいました。

さて、ポジションレビューシリーズもいよいよ終盤。本日は先発投手編です(次のブルペン投手編で終わります)。

開幕ローテーションは、Max ScherzerStephen StrasburgGio GonzalezTanner Roark、そしてオプション切れで仕方なく、というわけではなくスプリングトレーニングんできちんと結果を出したA.J. Coleでした。

しかし、最初に外れたのはColeでした。2度の先発で結果を残せず、4月下旬に早々にDFA。長年プロスペクトとして期待されてきましたが、大成できないまま残念な退団となりました(ヤンキースに移籍した後はブルペン投手としてまずまずの結果を残しましたが、ポストシーズンのロースターには入れず)。

代わってローテーション入りしたのはJeremy Hellickson。5月はHellicksonを含めた5人が5人とも文句の付けようがない好投を続け、チームの好成績を支えました。

ところが、6月に入ってHellicksonとStrasburgが相次いでDL入りすると状況は一気に悪化。2人に代わって先発機会を与えられたJefry RodriguezErick Feddeはいずれも結果を残せませんでした。この層の薄さが結局シーズンの行方を左右したた大きな要因の1つとなりました。

また時を同じくしてRoarkとGioも調子を崩してしまいました。特にRoarkは、シーズン序盤に好投しながら打線に全く援護してもらえない試合が続くうちに自分のピッチングを見失ったという印象で、見ていて可哀想に思う程でした。シーズンを通じてローテーションを守ったものの、9勝止まり。15敗。防御率は4.24とよくありませんが、WHIPは1.281ですから例年と比べても遜色ありませんので、いろいろと運がなかったという感じです。

Gioもローテーションを守り続けましたが、調子が上がらないまま8月末にブリューワーズにトレードされていきました(トレード時の記事参照)。ブリューワーズに行ってからは5試合に先発して3勝、防御率も2.13と好投。ポストシーズンではやはり結果を残せませんでしたが・・・。

Hellicksonはその後さらに2度DL入りし、結果的には19先発。防御率だけみれば3.45とScherzerに次ぐ数字を残しただけに、もう少し健康ならと残念です。オフにFA退団。

5月にDL入りしたStrasburgは7月にいったん復帰しましたが、1度の先発ですぐDLに逆戻り。右肩の痛みということで長期離脱の事態も予想され、心配しましたが、8月下旬に復帰し、シーズン終了までまずまずのピッチングを続け、なんとか2桁勝利にこぎ着けました。ただ、球速は戻っておらず、来季に向けて不安は残ります。

9月になってマウンドに戻ってきたのがJoe Ross。3試合の先発で2敗、防御率5点台の結果は決して良いものではありませんが、しっかり球威が戻っていたので、来季に向けて一定の期待感を持たせてくれました。

そんな中で孤軍奮闘したのがScherzer。詳細はチーム投手MVPの記事をご参照ください。

来シーズンもMax Scherzer、Stephen Strasburg、Tanner Roarkの3人はローテーションで開幕することは確実ですが、Strasburgには健康面の不安があり、32歳となるRoarkも成績が低下する懸念があります。さらに、4番手以下の候補となるJoe Ross、Erick Fedde、Jefry Rodriguezはまだまだ信頼できません。5番手は3人に競わせるにしても、1人足りません。

オフには、少なくとも1人はトップレベルの先発投手を獲得することが必要でしょう。Clayton Kershawがドジャーズからオプトアウトしたら狙ってもいいと思うのは私だけでしょうか?

2018/10/27

2018 ポジションレビュー:右翼手編

WS第3戦は、延長18回、7時間を超える激闘の末にドジャーズがサヨナラ勝ち。歴史的なすごい試合でしたね。レッドソックスが2勝1敗とリードしてはいますが、単純に2勝分の価値がありそうな1勝。明日の1戦は大事になりそうです。

さて、今日は野手編の最後でライト。

開幕のレギュラーは、とうとうFA前最終年となったBryce Harper。開幕直後は絶好調でとんでもない成績を残してFA戦線に出るかと思われましたが、4月17日から突然のスランプに陥り、以降オールスターまでの打率は2割にも届かない惨憺たる結果。それでも地元ワシントン開催のオースルターには選出され、ホームランダービーで優勝すると、ここから調子を上げ、後半戦の打率はちょうど3割。ホームランも量産し、四球はリーグ最多。終わってみれば、.249/.393/.496、34本塁打、自己最多の100打点を記録して終了。FA戦線に出るには「悪くない」数字となりました。なお、守備位置は、Juan Sotoの台頭、Michael Taylorの打撃不振という状況の中でセンターを守れないAdam Eatonが復帰/打撃好調だったため、Harperがセンターにも入りましたが、やはり無理していたように見えましたので、再契約してもセンターが定位置となることはないでしょう。

レフトとして開幕したものの、7月に故障から戻ってみればJuan Sotoにポジションを奪われていたAdam Eatonが後半戦のライトを守りました。出場すれば結果を残すEatonは今季も健在。370打席にとどまったものの.301/.394/.411の結果はリードオフとしては十分なものでした。

もちろんHarperの去就が最大の注目です。Harperが再契約すれば、当然ライトでレギュラーとなります。仮にHarperと再契約できない場合ですが、能力的にはEatonで十分です。問題は健康面。2年続けて長期離脱したことを踏まえると、何の備えもなくという訳にはいかないでしょうから、それなりに力のある外野手の補強に走るものと思われます。

2018/10/24

2018 ポジションレビュー:中堅手編

WS第1戦はChris SaleとClayton Kershawの両エースのガチンコ対決で見応えがありました。勝負の分かれ目は同点とされた直後、5回裏のMookie Bettsの打席だったでしょうか。

さて、本日のポジションレビューはセンターです。

前年の活躍が評価され、センターのレギュラーとして開幕したMichael Taylor。守備は相変わらず超一級でしたが、いかんせん打てませんでした。6月中旬にレギュラーを外されるまで打率はずっと2割前後の低空飛行。その後、Bryce Harperと併用されながら次第に出場機会を減らし、9月になるとVictor Roblesが昇格してきたことで先発出場はわずか2試合。Harperの去就に左右されるところもありますが、来季の構想からは外れている可能性が高そうです。

9月にはRoblesが10試合に先発出場。出場機会が増えるごとに調子を上げ、最終的には66打席で.288/.348/.525、3本塁打、3盗塁。守備にはまだ不安を残しましたが、来季の開幕レギュラーとして期待できる内容でした。

来季のレギュラーはRoblesでいいと思います。仮にRoblesをトレードで出せば、現状での候補はTaylorかAndrew Stevensonとなりますが、どちらもレギュラーには弱いと判断されているはず。新たにセンターを獲得しにいくのはかなり大変であり、Roblesを放出する選択肢はないでしょう(そう思いたい)。TaylorもStevensonも守備はいいので控えには適役ですが、2人とも残留という可能性は低いのではないかと思います。出すとすれば、実績があり、年俸調停最終年となるTaylorが有力か。Harperと再契約することになればなおさらです。

2018/10/23

2018 ポジションレビュー:左翼手編

いよいよ明朝からワールドシリーズですが、淡々とポジションレビューを続けます。本日はレフト。

開幕はAdam Eatonでしたが、一週目に足首を痛めてDL入り(そのまま2カ月離脱)。スプリングトレーニングで好調だったMoises Sierraや、本来は内野手のMatt Adamsを試しましたが、上手くいかず。

5月20日、19歳のトッププロスペクトJuan Sotoが、Harrisburg(AA)から飛び級昇格してメジャーデビュー。すぐに打撃で非凡なものを見せ、レフトのレギュラーに定着しました(詳細はチーム新人王の記事参照)。

守備力に難のあるSotoなので来季もレフトのレギュラーとして起用されることでしょう。今季のEatonの離脱は確かに痛かったものの、Sotoのブレイクに道を開いたことで長期的には良かったと言うことができるようになるかもしれません。

2018/10/22

2018 ポジションレビュー:三塁手・遊撃手編

第7戦までもつれ込んだNLDSは敵地でブリューワーズを降したドジャーズが制し、2年連続のナ・リーグ優勝、ワールドシリーズ進出を決めました。最終戦では、Kenley Jansenを7回途中から投入し、9回にはClayton Kershawがクローザーとして登板。ナショナルズが敗れた2016年のNLDS第5戦を思い出しました。

ドジャーズとレッドソックス。私にとっては今やナショナルズに次ぐ存在とはいえ、最初に応援した球団(ドジャーズ)と次に応援した球団(レッドソックス)の対戦。楽しみです!

さて、ポジションレビューの続きですが、今日はどちらも簡単に書けるので三塁手と遊撃手をまとめて書きます。あまり書くことがないというのはいいことです。

【三塁手編】
Anthony Rendonが攻守でしっかり貢献してくれました。4月に自打球を当ててDL入りしましたが、5月に復帰した後はほぼフル出場で計135試合に先発。打率.308はキャリアハイ。24本塁打は前年の自己最多に1本足りませんでしたが、44二塁打はリーグトップ。特に後半戦は、.336/.400/.546とMVP級の活躍でした。

来季がRendonのFA前最終年。代理人がScott Borasなのでなかなか難しく、また、Bryce Harperとの交渉が優先すると思われますが、オフには契約延長の交渉も行われるはず。せめてどちらかは上手くまとめてほしい。

【遊撃手編】
途中出場も含めれば全162試合にフル出場したTrea Turner。全試合出場は、2007年、当時22歳だったRyan Zimmerman(三塁手)以来、ワシントン移転後2人目の快挙です。遊撃手として158試合に先発したのも、2013年のIan Desmondに続く2人目。1番か2番で起用されることも多くリーグ最多の740打席とフル稼働。.271/.344/.416、19本塁打、103得点、73打点はショートのレギュラーとしては十分過ぎる数字です。そして、最大の武器である足で43盗塁を記録し、リーグ盗塁王となりました。

来季もTurnerが不動のレギュラー。未だ年俸調停前で少なくともあと4年は在籍見通しと。ただ、全体でもトップ100に入るプロスペクトのCarter KieboomがAAまで上がってきており、現在参加中のアリゾナ秋季リーグでは二塁も守っているとの話。どちらかを二塁手か外野にコンバートするのか、あるいはトレードバイトにするのか、難しい(贅沢な)悩みとなります。

2018/10/19

2018 ポジションレビュー:二塁手編

ALCSはレッドソックスが4勝1敗で勝ち上がりを決めました。第5戦では、ポストシーズンに入ってから結果を出せていなかったDavid PriceとCraig Kimbrelも好投し、レギュラーシーズン108勝の強さを見せつけました。アストロズのワールドシリーズ連覇はならず。

さて今日は二塁手編。

前年までのレギュラーDaniel Murphyは、オフに受けた膝の手術からの回復が間に合わず、開幕レギュラーは2年の再契約を結んだベテランのHowie Kendrick。5月中旬までのチーム44試合のうち32試合で先発し、.303/.331/.474と期待を上回る働きを見せていました。が、好事魔多し。5月19日の守備で右アキレス腱断裂の重症を負ってシーズン終了。残念過ぎました。

Murphyは6月中旬にようやく復帰。最初の1か月は打率2割前後と低迷しましたが、7月10日からカブスにトレードされるまでの33試合では打率.360と本来の姿を取り戻しました。そんな好調のMurphyを手放さなければならかなかったというところに今季のナショナルズの無念が凝縮されているように感じるトレードでした。

で、棚ぼた式に二塁手として最も多い出場機会を得たのは、84試合に先発出場のWilmer Difoでした。ただ、途中出場や他のポジションを含めて148試合、456打席を与えられて.230/.298/.350、7本塁打、10盗塁という数字はレギュラーとしては弱い。打率は低くても、せめてマイナーでは発揮していた長打力があれば良かったのですが。

KendrickとDifoは来季も残留なので2人の併用でもいいかもしれませんが、35歳になるKendrickには健康面の不安は残ります。思い切ってレギュラー二塁手の獲得に動く可能性もあります。

2018/10/17

2018 ポジションレビュー:一塁手編

NLCS第4戦、2度目の先発機会を与えられたGio Gonzalezでしたが、初回いかにもGioらしいぐだぐだのピッチングで25球を要しながら1失点。2回のマウンドにあげてもらった時点で少し驚いたのですが、先頭打者にシングルを打たれたところでなんと足首をひねっての負傷退場。さすがにもうお役御免と思われますが、Craig Counsel監督は意外な起用をしてくるので足首の状態によってはまだチャンスはあるかも。

さて、今日はポジションレビューの第2回、一塁手編です。

2017年に見事な復活を遂げたRyan Zimmermanでしたが、33歳となった今シーズンは、開幕先発を果たしながらまたも故障に悩まされ、先発出場は72試合。.264/.337/.486、13本塁打、51打点という悲惨というほどではないものの残念な結果に終わりました。左投手は.377/.476/.667とよく打ったのに対し、対右投手になると.228/.289/.429と明らかに苦戦しており、仮に健康を維持したとしてもプラトーン起用が現実的になってきました。

今季、左の大砲として前半戦に活躍してくれたのがMatt Adamsでした。ファーストだけでなくレフトなどでも出場し、トレードされるまでの94試合で.257/.332/.510、18本塁打の立派な成績。Adamsがいなければこのチームはもっと早くに戦線から離脱していたことでしょう。前半戦の功労者でした。シーズン後半には、Zimmermanが離脱している間を中心にMark Reynoldsが出場機会を得ました。穴は多いものの長打は魅力で13本塁打、40打点はさすが。オフにFAとなります。

さて、オフにはZimmermanとプラトーンを組む左打者の補強に向かうものと思われますが、限られた役割を期待しての補強というのはなかなか難しいもの。さて、どうなりますか。

2018/10/13

2018 ポジションレビュー:捕手編

NLCSの初戦、ブリューワーズの先発がGio Gonzalezとは驚きました。2回1失点で代えられてしまいましたが、最低限の仕事はしたと言えるでしょう。その後チームも勝ったし、次の登板も楽しみにしましょう。

さて、シーズンレビューに続いて、ポジションごとに2018年シーズンを振り返り、オフの展望を考えていきたいと思います。

最初は捕手から。

開幕戦のレギュラーは前年残念なシーズンに終わったMatt Wieters。スプリングトレーニングでは良かったのに、開幕2試合でDL入り。復帰したものの5月にまたDL入りし、復帰したのは7月。結局76試合の出場にとどまり、.238/.330/.374、8本塁打と前年以上に残念な結果となりました。FA退団予定。

Wietersの離脱により開幕3戦目にしてメジャーに昇格したPedro Severino。元々評価の高かった守備力に加え、当初はバットでも結果を残し、このままレギュラー捕手として将来にわたって活躍してくれるかと期待させましたが、5月中旬以降は打撃が急降下。約2カ月間で100打席以上に立たせてもらって打率は辛うじて1割を超える程度。原因はよくわかりませんが守備でも精彩を欠くようになり、ついに7月9日にマイナー降格。9月昇格でも出場機会はあまり与えられず、長期的な正捕手にという期待は白紙に戻ってしまいました。今シーズン残念だったことはたくさんありましたが、その中でも大きな失望の1つです。

代わって評価を上げたのがSpencer Kieboom。40人枠外で開幕凍ましたが、5月のWietersのDL入りに際して昇格すると、もっぱら控え捕手としてでしたが、シーズン終了までメジャーに帯同。特に9月には13試合で先発マスクを被り、42打席で.333/.429/.500、2本塁打とバットでも結果を残して評価を上げました。来年の春には控え捕手を堂々と争う存在。「Carter Kieboomの兄」ではなく、自身もれっきとしたメジャーリーガーとなりました。

正捕手(とできれば控え捕手)の獲得は、FAかトレードかはともかくナショナルズのこのオフの最優先課題の1つとなります。

2018/10/10

2018シーズンレビュー4: チーム新人王 Juan Soto

Craig Kimbrelがばたばたしましたがレッドソックスがヤンキースを破り、リーグ優勝決定戦の4チームが出そろいました。シード上位が順当に勝ち上がっています。

さて本日はチーム新人王です。言うまでもありませんね。

前年までにメジャーデビュー済みながらルーキー・ステータスを持っていたのは、
Pedro Severino
Koda Glover
Adrian Sanchez
Andrew Stevenson
Erick Fedde
Austin Adams
Victor Robles
Rafael Bautista
Spencer Kieboom
の9選手。

加えて、
Juan Soto
Kyle McGowin
Wander Suero
Austen Williams
Jimmy Cordero
Austin Voth
Jefry Rodriguez
の7選手が今季デビューを果たしましたので、計16人のルーキーがプレーしました。これは近年の例からするとかなり多い数字。特に投手陣が6人もデビューせざるを得なかったというのは、苦しかった証拠と言えるでしょう。 

うち、野手のルーキー資格である130打席をクリアしたのは Soto、Kieboom、Sanchez、Stevenson、Severinoの5人。投手の50投球イニングをクリアしたのは、Glover、Fedde、J. Rodriguezの3人。Sueroが47回2/3とぎりぎりでルーキーのままです。

チーム新人王はもちろんJuan Soto。開幕時はPotomac(A+)に所属するプロスペクトでしたが、あれよあれよと昇格し、5月20日にメジャーデビュー。すぐに打撃で非凡なものを見せ、レフトのレギュラーに定着しました。数々の素晴らしい数字を残し、22本塁打は10代の選手としてはBryce Harperと並び史上2位となりましたが、特に注目すべきは出塁率.406。Bryce Harperでもこの数字を超えたのはキャリアで2度だけという数字です。押しも押されぬスーパースター候補となりました。

Juan Soto (2018 Season for Nationals)
116G 494PA 77R 22HR 70RBI .292/.406/.517 5SB 

その他の野手では、Roblesが頑張りました。シーズン序盤での大怪我でSotoに置いて行かれた感のあったRoblesでしたが、9月にメジャーに戻ってくると、わずか21試合ながら3本塁打を放ち、.288/.348/.525、3盗塁と結果を残しました。Bryce Harperの去就ともかかわってきますが、来季(の新人王)への期待が高まります。

投手陣で目立ったのはリリーバーの Suero。Syracuse(AAA)で開幕し、5月にメジャーデビュー。以降、40試合に起用され3.59/1.217、高い奪三振率も含めて好成績を残し、期待感を高めました。この他、肩のリハビリから8月に復帰してきた Gloverが21試合で防御率3.31と頑張ったことも来季に向けていいニュース。先発陣では、Fedde、J. Rodriguezの2人に多くのチャンスが与えられたものの、(好投した試合もありましたが)まだまだ課題を感じさせました。

2018/10/09

2018シーズンレビュー3: 野手MVP Bryce Harper

NLDSはドジャーズとブリューワーズが強さを見せて勝ち上がり、ALDSでもアストロズが勝ち上がりを決めています。前年のリーグチャンピオンがともに連覇に王手を書けたことになりますね。ALDSの残りはレッドソックスが2-1とヤンキースをリード中。このままレッドソックスが勝ち上がれば、4チームとも順当、ということになりますが、さて。

本日は野手MVP。投手に比べてかなり難しい選択となりました。


GPARHRRBISBBAOBPSLG
Trea Turner162740103197343.271.344.416
Bryce Harper1596951033410013.249.393.496
Wilmer Difo1484565574210.230.298.350
Anthony Rendon1365978824922.308.374.535
Michael A. Taylor1343854662824.227.287.357
Juan Soto1164947722705.292.406.517
Adam Eaton95370555339.301.394.411
Matt Adams942773718480.257.332.510
Mark Reynolds862352613400.248.328.476
Ryan Zimmerman853233313511.264.337.486
Matt Wieters76271248300.238.330.374

球団ワシントン移転後たったの2人しか達成していない全試合出場のTrea Turnerは、リーグの盗塁王も獲得。1,2番としてしっかりテーブルをセットした結果は103得点に表れています。ショート守備でもいいプレーを見せてくれました。

Anthony Rendonは二塁打、打率、長打率でチームトップ。4番として打線をしっかりと支えた功績は大。ゴールド・グラブ級のサード守備でもチームを救ってくれました(もっとも、ロッキーズのNolan Arenadoがいるため受賞はなりませんが)。

ルーキーとはいえ、チーム最高の出塁率、そしてOPSを記録したのはJuan Sotoでした。デビューしたのが5月下旬で出場は116試合にとどまりましたが、それで22本塁打70打点。まだ19歳ということを加味しなくても素晴らしいシーズンでした。

迷いましたが、2018年のナショナルズのMVPはやはりBryce Harper。打率.249は自己最低。特に4月から7月にかけての打率は2割前後で、チームの不振の大きな理由となっていたことも事実。ですが、そんなスランプでも、欠場したり、DL入りしたりすることなくラインナップに名前を連ね続け、100得点、100打点、100四球以上を記録したことは評価を受けるべき結果です。FA前の最終年に、できるだけのことはしてナショナルズに貢献してくれたと思います。

もちろん、来シーズンもナショナルズのHarperでいてくれることを願っての選出でもあります。

2018/10/05

2018シーズンレビュー2: 投手MVP Max Scherzer

NLDSが開幕。地区優勝決定プレーオフに続き延長戦を制したブリューワーズには勢いを感じます。そのブリューワーズのブルペンで、延長10回裏にサヨナラが決まったときにはGio Gonzalezがアップしていました。11回表に投げる姿を見たかったのか、見たくなかったのか。


GSIPWSOERAWHIP
Max Scherzer33220.2183002.530.911
Tanner Roark30180.191464.341.281
Gio Gonzalez27145.271264.571.531
Stephen Strasburg22130.0101563.741.200
Jeremy Hellickson1991.15653.451.073
GIPSVHDERAWHIP
Sean Doolittle4345.02511.600.600
Matt Grace5659.2082.871.140
Justin Miller5152.12113.611.127
Ryan Madson4944.14145.281.421
Sammy Solis5639.10136.411.551
Brandon Kintzler4542.21153.591.242

投手MVPは、一点の曇りもなくMax Scherzerでしょう。他のローテーション投手が、故障又は不振に見舞われる中、まさに孤軍奮闘。開幕勝利から始まり、チーム最多の33試合に先発。投球回数(220回2/3)、勝利数(18)、完投(2)、完封(1)、奪三振(300)、被打率(.188)、WHIP(0.911)はいずれもリーグトップ。防御率(2.53)こそリーグ3位で、1点台で終えたメッツのJacob deGromが歴史的なシーズンを送ったためライバルと目されていますが、いやいやScherzerこそがサイヤング賞を受賞すると信じています。終盤はやや疲れも見えましたが、Scherzerがいなければ、今年のナショナルズはもっと早くに終わっていたことでしょう。

ブルペン陣ではやはりSean DoolittleがMVP。これだけ安心感を持って任せられるクローザーはなかなかいません。惜しむらくは、7月から9月というシーズンの最も大事な時期にDL入りしていたこと。

2人には来季もエースとクローザーとしての活躍を期待します。