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Photo by Cheryl Nichols/District Sports Page |
Adam LaRocheとの再契約が明らかになった時から予想されていたので驚きはありませんし、本人のためにも球団にとっても最善のトレードと理解はできますが、やはりセンチメンタルな気分。
"Beast" のニックネーム(Ryan Zimmermanの契約延長会見に同席した際、他選手がみんなユニフォーム姿の中、1人だけ"BEAST MODE"のTシャツ姿だったことが印象的でした)。打席に入る前の独特の準備運動(右のボブルヘッド参照。あごはこんなに上がってませんがボブルヘッドなのでしかたない)。球場のファンも一緒に歌う登場曲"Take On Me"。ホームランを打った後、二塁キャンバス辺りでヘルメットをポンと叩く仕草。実に愛嬌のある選手でした。
そんな多くの思い出の中でも一番印象に残っているのは、リーグ優勝を決定した後、レフトスタンドのファンとビールかけをしていたこと(私は反対側にいたので遠目にみているだけでしたが)。他の選手がクラブハウスに引き上げた後も、最後までグラウンドに残ってファンと過ごしていました。今回のトレードが明らかになった後のファンの反応を読んでいても、sadという表現が多く見られ、人気者だったんだなあと再認識。
さらに昨日Morse本人からTwitterで送られたメッセージ(下から順に読んで下さい)を読んで、ますます好感度が上昇しました。
マリナーズで大いに活躍し、来オフには大型FA契約を勝ち取ってくれることを心から願っています。ナショナルズのロースターには残念ながら空きがなさそうですが・・・。
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それにしても、2009年6月にトレードで入団した時にこれほどの選手になる予想した人がいたでしょうか。私が当時書いた記事なんて「
ベテランマイナーリーガーのトレード」ですよ(笑)。不明に恥じ入るばかり。
AAAで少し過ごした後、2009年8月末にメジャーに昇格しましたが、このシーズンは主に代打要員。2010年も開幕時はレギュラーを確保できませんでした。というか開幕直後に故障して約1ヶ月DL入り。5月に復帰したもののしばらくは代打要員の日々。転機となったのは
6月10日のパイレーツ戦でした。この試合でシーズン1号を含む3打数3安打を記録すると、ここから先発出場した試合で7試合連続安打。一気にライトのレギュラーの座をゲットすると、シーズン終了までのわずか293打席で15本塁打を放ち、パワーヒッターとしての評価を固めました。
そして迎えた2011年に大ブレイク。開幕はレフトでしたが、LaRocheが故障でシーズン絶望となった後ファーストに入って打ちまくり、最終的には146試合に出場して、31本塁打、.303/.360/.550という素晴らしい打撃成績。OPS.910はナ・リーグ8位でシーズン終了後はリーグMVP投票でも票を得ました。当サイトでも
チーム野手MVPに選出。
昨季は背中の痛みで約2ヶ月出遅れましたが、それでも出場すればきっちり結果を残し、リーグ優勝したチームに大いに貢献。NLDSでも全試合に5番レフトで出場し、第5戦では2ランも打ちました。このオフ、
Denard Spanのトレード獲得かLaRocheとの再契約のどちらかがなければ、今季も当然主軸として期待されていましたが・・・・。
ナショナルズでの3年半の成績は次の通り。見事なキャリア再生でした。
Michael Morse (2009-2012 for Nationals)
378G 1353PA 67HR 208RBI .294/.343/.514 2SB
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トレード自体は高く評価できます(もちろんナショナルズから見て)。
残り保有期間が1年で、明らかに余剰となっていたMorseを放出して(年俸負担もなく)、トッププロスペクトのColeを取り戻しただけでも驚きなのに、Treinenというまずまずのプロスペクト(プラスそこまで期待できる選手ではなさそうですが、あと1人)まで引っ張ってきたMike Rizzo GMの手腕はさすが。前日のRafael Sorianoとの契約合意のニュースでやや近視眼的になっているかと心配しましたが、生き残りをかけてばくちを打たざるを得なくなっているGM(マリナーズ)と、昨季の予想外のポストシーズン進出で前のめりになっているGM(アスレティックス)を相手にした見事な交渉でした。正直、ここまでいいパッケージを得られるとは全く思っていませんでした。
センターピースの
A.J. Coleは元ナショナルズのトッププロスペクト。わずか1年で出戻りとなりました。名門マイアミ大への進学を表明していたにもかかわらず
2010年ドラフト4順目で強行指名して期限ぎりぎりに契約。2011年のシーズンにHagerstown(A)でまずまずの投球をし、
昨季開幕前のBAランキングでは全体で57位と高く評価されていました。が、このPHASE 2にブログを移すきっかけとなった
Gio Gonzalezのトレードのセンターピースとしてアスレティックスに移籍していました。迎えた今季は、A+レベルで開幕したものの滅多打ちに遭い8試合でAに降格という試練もありましたが、しっかり立ち直り、Aでは19試合95.2イニングを投げて、2.07/1.01、奪三振109に対して与四球わずかに19と完全に支配しました。まだ21歳になったばかりであり、依然としてトッププロスペクトには違いありません。
2人目の
Blake Treinenも面白い素材です。まず経歴が興味深い。高校を出てから、地元の大学に行った(1年目)が、やはり野球をやりたくてアーカンソー大に移ったのに入部トライアウトに合格できず(2年目)。野球をやらせてくれるということでサウスダコタ州立大に移ったものの、NCAAのルール上この年はプレーできず(3年目)。ようやく試合に出られるようになるといきなり好投。2010年ドラフトでマーリンズから23順目で指名を受け、本人は入団する気でいたのになんと身体検査で引っかかり契約してもらえず(4年目)。大学に戻り、さらに好投を続けて2011年ドラフトの7順目で指名してくれたアスレティックスに晴れて入団したときには既に23歳と、いろいろ回り道をしてきた選手です。長身から投げるツーシームは95マイル前後に達し、スライダーもいいものがあり、今後チェンジアップを磨くことができれば先発投手として、できなくてもブルペン投手としてはメジャーに到達できるとプロジェクトされています。奪三振に対して、四球が非常に少ないという点も高評価ポイント。今季はCole 同様A+で開幕を迎え、シーズンを通じて投げきりました。結果は103イニングを投げて、4.37/1.35とあまりぱっとしてませんが、カリフォルニア・リーグは打者有利として有名なので、多少は割り引いて見てあげてもいいと思います。
3人目については判明したところで追記します。
他球団のことは普段からあまり分析していないのでどうこう言うのもはばかられますが、マリナーズの動きはナンセンスか、せいぜいギャンブルに走っているとしか思えません。比較的ベテランの長距離砲を集めていますが、それで簡単にいまや最強ディビジョンと言って間違いないア・リーグ西地区を勝ち抜けると本当に思っているのでしょうか。まあ投手プロスペクト3本柱に手を付けていないので単純に近視眼的動きだとは言いませんが、それにしても今回ナショナルズが受け取る3人をJasoの見返りとして受け取ったほうが、チーム構想としては良かったと思えてなりません。
アスレティックスに至ってはもっと理解不能。右打ちで右投手をあまり打てない
Derek Norris を正捕手に据えたことから、左打ちの控え捕手が欲しかったということかもしれませんが、既にチームには
George Kottarasがいました。そのKottarasをDFAしてJasoへ切り替えるというアップグレードのために今回の3プロスペクトを放出したことになりますが、果たしてその違いはそんなに大きいのでしょうか・・・。Jasoが昨季ほど打つとはとても思えないのですが。ま、他球団のことなので知りません。
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おまけ。
ちょっと探していたら、ナショナルズのユニフォームを着ての最後の打席となった、NLDS第5戦の8回裏の打席の映像(
こちら)がありました。"Take on Me" の大合唱も聞けます。