2013/01/30

Gioが禁止薬物使用?

今朝のMiami New Times紙で新たな薬物使用疑惑が記事になり、その中にGio Gonzalezへの言及がありました。

記事はかなりの長文ですが何とか読み切りました。要するにBiogensis というマイアミにあった(現在は閉鎖済み)医療機関の顧客リストとその他のメモが元従業員からリークされたものがベースで、MLB選手だけでなく多くのプロ・アマのアスリート・コーチに薬物を販売していたことが明らかにされてます。中でもAlex Rodriguezについては克明に記されています。

Gioについては、2012年に筋肉増強剤などを1000ドルで購入したなどと書かれています。また、Gioの父親への電話インタビューが引用され、父親自らの減量のためにBiogenesisに行ったことは認めた上でGio自身の関与について否定しています。

Gioはすぐに以下のステートメントを発表し、疑惑を完全否定。
"I've never used performance-enhancing drugs of any kind, and I never will. I've never met or spoken with Tony Bosch or used any substances provided by him. Anything said to the contrary is a lie."

また、記事中でGioに販売したと明記されている薬剤がMLBの禁止薬物リストに含まれていないことも確認されています。

気持ちとしてはGioを信じたいです。が、Gioの他に実名が挙がったのは、Alex Rodriguez、Melky Cabrera、Bartolo Colon、Nelson Cruz、Yasmani Grandalとなっており、Cruzを除けば過去に出場停止処分を受けたことのある選手たちばかりというかなり黒いリスト。

ともかくMLB機構による調査結果を待つしかありません(結果によっては出場停止処分が課されることになります)。

スプリングトレーニングを前に暗い話題が出てきました・・・。

2013/01/28

Sickels: Nationals Top 20 Prospects

[1月28日更新]
Michael Morseのトレードを踏まえた更新。A.J. Coleを3位、Blake Treinenを18位に追加。

30球団のファーム・システム・ランキングも公表されました(元記事)。前年の14位から25位に大きく後退。卒業(メジャー昇格)とトレード、投手プロスペクトの故障、相対的に年齢が高いことが低評価の理由とされています。

[1月3日オリジナル]
Minor League Ball のJohn Sickelsがナショナルズのトップ20プロスペクトを発表(元記事)。Grade Aが2人、Grade Bが11人(Gioのトレードでうち4人を放出)いた昨年から比べると随分見劣りするランキングになってしまいました。Purkeの故障はある程度想定内としても、Destin Hood、Robbie Rayの伸び悩みが残念。RendonもA-からB+に格下げされてるし。

Grade B+
1. Anthony Rendon, 3B
2. Brian Goodwin, OF
Grade B
3. A.J. Cole, RHP
4. Lucas Giolito, RHP
5. Matt Skole, 3B
Grade B-
6. Nate Karns, RHP
7. Christian Garcia, RHP
8. Sammy Solis, LHP
Grade C+
9. Matt Purke, LHP
10. Eury Perez, OF
11. Tony Renda, 2B
12. Zach Walters, INF
13. Destin Hood, OF
14. Steven Souza, OF
15. Brett Mooneyham, LHP
16. Estarlin Martinez, OF
17. Carlos Rivero, 3B
Grade C
18. Blake Treinen, RHP
19. Sandy Leon, C
20. Michael Taylor, OF
21. Brandon Miller, OF
22. Corey Brown, OF

OTHERS: Aaron Barrett, RHP; Robert Benincasa, RHP; Billy Burns, OF; Erik Davis, RHP; Rick Hague, INF: Neil Holland, RHP; Jason Martinson, SS: Spencer Kieboom, C; Pat Lehman, RHP; Chris Marrero, 1B; Christian Meza, LHP; Randolph Oduber, OF: Ivan Pineyro, RHP; Wander Ramos, OF; Caleb Ramsey, OF; Robbie Ray, LHP; Derek Self, RHP; Kylin Turnbull, LHP; Rob Wort, RHP

2013/01/17

さよなら Morse, おかえり A.J. Cole

Photo by Cheryl Nichols/District Sports Page
Michael Morseのトレードが発表されました。三角トレードで、Morseはマリナーズへ、John Jaso捕手がマリナーズからアスレティックスへ、そしてアスレティックスからナショナルズへはA.J. ColeBlake Treinenの両投手とPTBNLの3選手が移籍。

Adam LaRocheとの再契約が明らかになった時から予想されていたので驚きはありませんし、本人のためにも球団にとっても最善のトレードと理解はできますが、やはりセンチメンタルな気分。

"Beast" のニックネーム(Ryan Zimmermanの契約延長会見に同席した際、他選手がみんなユニフォーム姿の中、1人だけ"BEAST MODE"のTシャツ姿だったことが印象的でした)。打席に入る前の独特の準備運動(右のボブルヘッド参照。あごはこんなに上がってませんがボブルヘッドなのでしかたない)。球場のファンも一緒に歌う登場曲"Take On Me"。ホームランを打った後、二塁キャンバス辺りでヘルメットをポンと叩く仕草。実に愛嬌のある選手でした。

そんな多くの思い出の中でも一番印象に残っているのは、リーグ優勝を決定した後、レフトスタンドのファンとビールかけをしていたこと(私は反対側にいたので遠目にみているだけでしたが)。他の選手がクラブハウスに引き上げた後も、最後までグラウンドに残ってファンと過ごしていました。今回のトレードが明らかになった後のファンの反応を読んでいても、sadという表現が多く見られ、人気者だったんだなあと再認識。

さらに昨日Morse本人からTwitterで送られたメッセージ(下から順に読んで下さい)を読んで、ますます好感度が上昇しました。


マリナーズで大いに活躍し、来オフには大型FA契約を勝ち取ってくれることを心から願っています。ナショナルズのロースターには残念ながら空きがなさそうですが・・・。

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それにしても、2009年6月にトレードで入団した時にこれほどの選手になる予想した人がいたでしょうか。私が当時書いた記事なんて「ベテランマイナーリーガーのトレード」ですよ(笑)。不明に恥じ入るばかり。

AAAで少し過ごした後、2009年8月末にメジャーに昇格しましたが、このシーズンは主に代打要員。2010年も開幕時はレギュラーを確保できませんでした。というか開幕直後に故障して約1ヶ月DL入り。5月に復帰したもののしばらくは代打要員の日々。転機となったのは6月10日のパイレーツ戦でした。この試合でシーズン1号を含む3打数3安打を記録すると、ここから先発出場した試合で7試合連続安打。一気にライトのレギュラーの座をゲットすると、シーズン終了までのわずか293打席で15本塁打を放ち、パワーヒッターとしての評価を固めました。

そして迎えた2011年に大ブレイク。開幕はレフトでしたが、LaRocheが故障でシーズン絶望となった後ファーストに入って打ちまくり、最終的には146試合に出場して、31本塁打、.303/.360/.550という素晴らしい打撃成績。OPS.910はナ・リーグ8位でシーズン終了後はリーグMVP投票でも票を得ました。当サイトでもチーム野手MVPに選出。

昨季は背中の痛みで約2ヶ月出遅れましたが、それでも出場すればきっちり結果を残し、リーグ優勝したチームに大いに貢献。NLDSでも全試合に5番レフトで出場し、第5戦では2ランも打ちました。このオフ、Denard Spanのトレード獲得かLaRocheとの再契約のどちらかがなければ、今季も当然主軸として期待されていましたが・・・・。

ナショナルズでの3年半の成績は次の通り。見事なキャリア再生でした。

Michael Morse (2009-2012 for Nationals) 
378G 1353PA 67HR 208RBI  .294/.343/.514 2SB

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トレード自体は高く評価できます(もちろんナショナルズから見て)。

残り保有期間が1年で、明らかに余剰となっていたMorseを放出して(年俸負担もなく)、トッププロスペクトのColeを取り戻しただけでも驚きなのに、Treinenというまずまずのプロスペクト(プラスそこまで期待できる選手ではなさそうですが、あと1人)まで引っ張ってきたMike Rizzo GMの手腕はさすが。前日のRafael Sorianoとの契約合意のニュースでやや近視眼的になっているかと心配しましたが、生き残りをかけてばくちを打たざるを得なくなっているGM(マリナーズ)と、昨季の予想外のポストシーズン進出で前のめりになっているGM(アスレティックス)を相手にした見事な交渉でした。正直、ここまでいいパッケージを得られるとは全く思っていませんでした。

センターピースのA.J. Coleは元ナショナルズのトッププロスペクト。わずか1年で出戻りとなりました。名門マイアミ大への進学を表明していたにもかかわらず2010年ドラフト4順目で強行指名して期限ぎりぎりに契約。2011年のシーズンにHagerstown(A)でまずまずの投球をし、昨季開幕前のBAランキングでは全体で57位と高く評価されていました。が、このPHASE 2にブログを移すきっかけとなったGio Gonzalezのトレードのセンターピースとしてアスレティックスに移籍していました。迎えた今季は、A+レベルで開幕したものの滅多打ちに遭い8試合でAに降格という試練もありましたが、しっかり立ち直り、Aでは19試合95.2イニングを投げて、2.07/1.01、奪三振109に対して与四球わずかに19と完全に支配しました。まだ21歳になったばかりであり、依然としてトッププロスペクトには違いありません。

2人目のBlake Treinenも面白い素材です。まず経歴が興味深い。高校を出てから、地元の大学に行った(1年目)が、やはり野球をやりたくてアーカンソー大に移ったのに入部トライアウトに合格できず(2年目)。野球をやらせてくれるということでサウスダコタ州立大に移ったものの、NCAAのルール上この年はプレーできず(3年目)。ようやく試合に出られるようになるといきなり好投。2010年ドラフトでマーリンズから23順目で指名を受け、本人は入団する気でいたのになんと身体検査で引っかかり契約してもらえず(4年目)。大学に戻り、さらに好投を続けて2011年ドラフトの7順目で指名してくれたアスレティックスに晴れて入団したときには既に23歳と、いろいろ回り道をしてきた選手です。長身から投げるツーシームは95マイル前後に達し、スライダーもいいものがあり、今後チェンジアップを磨くことができれば先発投手として、できなくてもブルペン投手としてはメジャーに到達できるとプロジェクトされています。奪三振に対して、四球が非常に少ないという点も高評価ポイント。今季はCole 同様A+で開幕を迎え、シーズンを通じて投げきりました。結果は103イニングを投げて、4.37/1.35とあまりぱっとしてませんが、カリフォルニア・リーグは打者有利として有名なので、多少は割り引いて見てあげてもいいと思います。

3人目については判明したところで追記します。

他球団のことは普段からあまり分析していないのでどうこう言うのもはばかられますが、マリナーズの動きはナンセンスか、せいぜいギャンブルに走っているとしか思えません。比較的ベテランの長距離砲を集めていますが、それで簡単にいまや最強ディビジョンと言って間違いないア・リーグ西地区を勝ち抜けると本当に思っているのでしょうか。まあ投手プロスペクト3本柱に手を付けていないので単純に近視眼的動きだとは言いませんが、それにしても今回ナショナルズが受け取る3人をJasoの見返りとして受け取ったほうが、チーム構想としては良かったと思えてなりません。

アスレティックスに至ってはもっと理解不能。右打ちで右投手をあまり打てないDerek Norris を正捕手に据えたことから、左打ちの控え捕手が欲しかったということかもしれませんが、既にチームにはGeorge Kottarasがいました。そのKottarasをDFAしてJasoへ切り替えるというアップグレードのために今回の3プロスペクトを放出したことになりますが、果たしてその違いはそんなに大きいのでしょうか・・・。Jasoが昨季ほど打つとはとても思えないのですが。ま、他球団のことなので知りません。

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おまけ。

ちょっと探していたら、ナショナルズのユニフォームを着ての最後の打席となった、NLDS第5戦の8回裏の打席の映像(こちら)がありました。"Take on Me" の大合唱も聞けます。

2013/01/16

Rafael Sorianoと2年契約

静かにMorseのトレードの進展を待っていたら、意外な方向から驚きのニュースが入ってきました。

ヤンキースからFAとなっていたRafael Soriano投手と2年2800万ドル(加えて2年間で120試合以上の終了時の投手となった場合(game finished)3年目1400万ドルが自動的に発動されるオプション付き)で契約することに合意しました。

ドミニカ出身の33歳のブルペン右腕。マリナーズ、ブレーブスで中継ぎ投手として活躍した後、2009年12月にトレードでレイズに移籍し、クローザーとしてリーグトップの45セーブ、防御率1.73の好成績で地区優勝に貢献。そのオフにFAとなりヤンキースと契約。1年目はMariano Riveraにつなぐセットアッパーを務めましたが、昨季は開幕前にRiveraの故障離脱したことによりクローザーを務め、42セーブ、防御率2.26としっかり結果を残しました。ヤンキースとの契約では、2013年も年俸1400万ドルで残留することが可能でしたが、Soriano側が離脱(opt out)条項を発動し、150万ドルを受け取った上でFAとなっていました。

Yahoo!のJeff PassanのFAランキングでは全体11位、ブルペン投手ではRiveraに次ぐ2位と、かなり高く評価されていましたが、ヤンキースから提示された約1300万ドルの1年契約を拒否していたため契約すればドラフト指名権を失うことになるということで多くの球団が二の足を踏み、なかなか契約がまとまっていませんでした。

そこに、これまで噂にも上がらなかったナショナルズとの契約合意の報。第一印象は「高い」「ドラフト指名権失う」ということで、いい印象を受けませんでした。

ですが、金銭面の詳細が明らかになると多少は納得。2800万ドルのうち、1年目、2年目に支払われるのは各700万ドルのみ。残りの1400万ドルは2018~25年に支払いが繰り延べられており、これを加味して現在価値に直すと、平均年俸は1200万ドルを切るそうです(しかしいろんな契約があるものです)。それでもまだ高いと言えば高いですが、実績のある支配的なクローザーを33歳と34歳の2シーズンという短い契約期間で獲得できたのは評価していいと思います。そういう意味では、やはり市場価値よりは安いと言えるでしょう。

ドラフト指名権については・・・・ひたすら残念。1順目指名権を失い、補償ピックが挟まり、2順目の一番最後ということになりますので、2013年ドラフトにおけるナショナルズの最初の指名は全体60位台となってしまいます。指名権について来るスロット金額も縮小してしまいますので、実質的に今年のドラフトは眺めているだけとなりそうな気配です。

Sorianoに期待されるのは、もちろんクローザーとしての役割。しかし、ナショナルズには既にDrew StorenTyler Clippardという実績のある2人がいます。Storenはデビューした2011年にクローザーとしての地位をほぼ固め、昨季もヒジの故障で出遅れこそしたものの9月には素晴らしい投球でがっちり信頼を得ていました。最後の最後であんなことになるまでは・・・。ClippardはそのStorenの不在の間に32セーブを記録する活躍ぶり。Sorianoがいなくても十分だったはずです。それでも補強をした理由は故障への懸念に尽きるでしょう。故障が多いといわれるブルペン投手にあってClippardが3年連続で70試合以上に登板し高いパフォーマンスを続けてきたことは奇跡に近いといわざるを得ません。そろそろ勤続疲労が出てきても不思議はない。Storenは現に昨季前半を棒に振りましたし、またあの敗戦から精神的に立ち直っているという保証もありません。この2人の後にもRyan MattheusChristian Garciaとクローザーが務まりそうな投手も揃っていますが、保険は何人いてもいいというのがブルペンです。もちろん、Soriano自身が故障する可能性もあるわけですが・・・。いずれにせよ、長いシーズンを戦っていくに当たって層が厚いに越したことはありません。理想は、StorenとSorianoがクローザーの地位を分け合い(調子に応じて)、Clippardも含めた3人でセットアッパーを回していくことでしょう。そうすれば各投手の投球回数をあまり増やすことなくシーズン終盤までいけるはず。まあ、そんな簡単なはずはありません。ClippardかStorenがトレードされるという噂もありますが、(繰り返しますが)何人いてもいいのがブルペン投手。トレードなんて必要ないと思います。

現時点でのブルペン構想はこの通り。右投手ばかりですが、Johnson監督はイニング途中で左対左に強くこだわって打者1人だけと対戦して交替させることはあまりしませんので、力があれば右も左も関係ありません。気にすることはないでしょう。
Drew Storen, R
Rafael Soriano, R
Tyler Clippard, R
Ryan Mattheus, R
Craig Stammen, R
Zach Duke, L
Christian Garcia, R (Garciaには先発転向の噂あり。本当ならHenry Rodriguezがラストチャンスを与えられるか、あるいはマイナー契約の左腕Bill Brayにお鉢が回ってくるかもしれません)

2013/01/08

LaRocheと再契約

昨シーズン終了後FAとなっていたAdam LaRocheと再契約に合意しました。2年2400万ドル(2013年1000万ドル、2014年1200万ドル、2015年相互オプション1500万ドル・球団側破棄の場合200万ドル)。

双方とも再契約に前向きと言われながら、3年契約を望むLaRocheと2年契約を譲らなかった球団との間で着地点が見つけられないまま時間が経過。その間に、関心を持っていたとされる他球団が補強を済ませ、気が付けばLaRocheに選択肢はなくなっていました。というか、FA市場の推移から明らかになってきたようにどの球団もドラフト指名権を喪失することひどく恐れている中、そもそも契約をオファーした球団があったかかどうかさえ疑わしい状況。結局、12月のウィンター・ミーティングの際に球団が提示したオファーを、LaRocheが全面的に飲む形での合意となりました。このオフの相場からすると、2年2400万ドルは格安。それだけ、ドラフト指名権が市場価値を下げたということです。

これにより内野陣は昨季と同じメンバーで開幕を迎えることになりました。LaRocheと再契約しなければMicheal Morseがファーストに入ると目されていましたが、それに比べると、守備は明らかに上。というか30球団でもトップクラスの鉄壁でしょう。打撃の数字は大きく変わらないかもしれませんが、右打者のMorseよりも左打者のLaRocheが入るほうが打線のバランスが良くなるというメリットがあります。総じて戦力アップになったことは間違いありません。

しかし、これで浮くことになるのがMorse。さっそくトレードの噂が駆け巡っています(NYY、SEA、BALなど)。戦力の観点からは仕方ないと理解できます。本人のためにはトレードされるほうが出場機会が増えていいのかもしれません。ですが、個人的にかなりお気に入りの選手だったので、本当にトレードされることとなったら、とてもとてもとても残念に思うことでしょう。いつ故障者が出るかも分からないので、少なくともスプリングトレーニングの後半までは置いておいてもいいと思うのですが・・・・(でも似たタイプで若いTyler Mooreもいるですよね)。なんだか昨年のLannanの状況に似ています。