最後は、恒例、開幕前のシーズン予想の答え合わせです。テキトーな予想だったので、正解と言っていいのはゼロ、△でこそ2つだけという結果となってしまいました(テキトー過ぎ)。
以上で本年の当ブログの更新を終了します。ご愛顧ありがとうございました。皆様、よいお年を。
(青地が開幕前の予想)
1. Bryce Harperのメジャーデビューは5月29日
バットでは開幕からしっかり数字を残すものの、センター守備の習得に手間取りしばらくAAAに留め置かれる。5月下旬に3試合連続本塁打など手を付けられないほどヒートアップしたところで昇格し、振り返ることなくセンターのレギュラーを確保。メジャーでは打率3割、20本塁打。シーズン終盤のプレーオフ争いで印象的な活躍をし、僅差ながら新人王を獲得(次点はレッズのDevin Mesoraco捕手)。
△ 4月28日にメジャーデビューということで、1か月も外しました。しかし、その後センターとして86試合に先発するなどレギュラーの地位を確立。打率は.270にとどまったものの、予想を上回る22本塁打。9-10月の.330/.400/.643という大活躍で一気に評価を上げて新人王を獲得するところも予想的中となりました。
2. リードオフはIan Desmondが死守
好スタートに成功し、例によって不調の波が大きいながらも一見すると悪くない数字のまま推移。シーズンを通じて1番ショートを守り切る。最終的には、チーム最多の160試合に出場し、打率.280、30盗塁、100得点を記録。
× Desmondの躍進は当たりましたが、リードオフという意味では大外れ。Desmondがリードオフを務めたのは5月18日が最後。ただし、5月19日の記事にも書いたように、降格という趣旨ではなくDesmondの適性に応じた打順(当初5番、主力打者がそろった後は6番)に移したもので、以降、大きく成績を向上。疑問視されていたショートの守備も改善し、チームの核となる選手へと飛躍しました。
3. Xavier Nadyはシーズンを通じて貢献
DLで開幕を迎えるMorse、Ankeilが復帰する4月中旬のタイミングで、Brett Carroll、Xavier Nady、Chad Tracyの3人のうち2人が切られる予定になっていますが、そうそう予定通りに上手くはいかず、早い段階で切られるのはTracyのみ。その後、Harperの昇格にともないCarrollがDFA。Nadyはシーズン終了までベンチプレーヤーとして貢献。
× 大外れ。Tracyは故障離脱がありながらも代打の切り札としてポストシーズンまで貢献。一方、4月半ばにAnkeilが復帰したタイミングで最初にDFAされたのはCarrollでした。Nadyは6月23日の試合を最後にDL入りし、7月末にDFA(Nadyはその後ジャイアンツと契約。NLDSのロースターにも入り、チャンピオンリングを手にしています)。
4. Stephen Strasburgがノーヒッターを記録
4月26日、地元サンディエゴでのパドレス戦。9奪三振、与四球1の準完全試合。8月中旬に160イニングに達するまでに、13勝、190奪三振、防御率2.79を記録し、サイ・ヤング投票でも下位票を獲得して5位に入る。
× ノーヒッターはありませんでした。というか、イニング制限もあり、最長でも7イニングしか投げさせてもらえませんでした。被安打数が一番少なかったのは8月10日のDバックス戦の1安打。サイ・ヤング賞投票では、同僚のGioに持っていかれたこともあり、1票も入りませんでした。来季こそは。
5. John Lannanは6月下旬にメジャー復帰
誰がどう欠けるとはあえて言いませんが、ローテーションのスポットが空いて6月下旬にメジャー復帰。その後一度はマイナーに戻されるも、Strasburgのシャットアウト後に再昇格。シーズン7勝。ワールドシリーズでも先発4番手として登板。
× 嬉しい誤算というべきか、ローテーション投手が軒並み健康で、Lannanの復帰は7月21日まで待たねばなりませんでした。それもダブルヘッダーのスポットスタートで試合後すぐにマイナー行き。本格復帰はStrasburgシャットダウン後の9月。NLDSのロースターには入れてもらえませんでした。
6. オールスターにはRyan Zimmerman、Strasburg
初の複数選出。Zimmermanはファン投票での選出。ファイナルボートにWilson Ramosが載るも落選。
△ Strasburgは当たりましたが、Zimmermanは予想外の前半戦の不振に選外。ファン投票はなし。選出されたのは、Strasburg、Gio、そしてDesmond(故障のため辞退)。ファイナルボートの候補に挙がりながら敗退したHarperが、故障のため辞退したマーリンズのGiancarlo Stantonの代わりに追加選出されました。
7. トレード期限にCarlos Quentinを補強
トレード期限では買い手に回って外野手、ブルペンの補強を探る。Michael Bournの獲得を画策するも結局まとまらず、パドレスからCarlos Quentinを獲得。Michael Morseをファーストに回してAdam LaRocheはベンチへ。
× トレード期限には全く動きませんでした。地区首位を走っており買い手は買い手。恒常的に故障者が出ていた捕手と、DesmondがDL入りしていたことからミドル・インフィールダーのトレードを探ったようですが、前者は8月に入ってからKurt Suzukiを獲得。後者は故障の程度がそこまで重くなかったことと、Lombardozziが十分な働きをしていたことで補強しませんでした。LaRocheがベンチだって?申し訳ありませんでした。
8. Jordan Zimmermannがサイ・ヤング投票2位
チーム投手MVPはJordan Zimmermann。シーズン通じてローテーションを守り、33先発、20勝、210奪三振、防御率2.52と大ブレーク。サイ・ヤング投票でも堂々の2位(1位はフィリーズのCole Hamelsが独走)。
× 名前がZimmermannではなくてGioだったら○を付けたいくらいでしたが・・・。ZimmermannはZimmermannでよく頑張りましたが、いかんせんGioには差を付けられ、こちらもサイ・ヤング賞投票では1票も入りませんでした。
9. ZimmermanがMVP投票2位
野手MVPはZimmerman。開幕から打ちまくり、夏場にやや失速するも、終盤のプレーオフ争いでは再び大きくチームに貢献。打率.332で首位打者を獲得。28本塁打、115打点。シルバースラッガー、ゴールドグラブも文句なしに受賞。リーグMVP投票では惜しくも2位に終わる(1位はレッズのJoey Votto)。
× 名前がLaRocheなら○か△を付けたでしょうが・・・。Zimmermanについて言えば、後半の活躍を通年できていたら掛け値なしにMVP候補でしたが、とにかく前半が悪過ぎました。来季こそ期待しています。
10. 初のリーグ制覇!
開幕ダッシュに成功し4月で貯金5。5月後半から6月にかけて失速し、一時はフィリーズ、マーリンズに抜かれ3位まで後退するが、7月末にマーリンズをとらえ、さらに9月の最終週にフィリーズを抜いて1ゲーム差で初の地区優勝。ディビジョン・シリーズでレッズを破り、さらにリーグ・チャンピオンシップでフィリーズを破って、球団史上初のリーグ優勝を果たす。シリーズMVPは3本塁打10打点のMorse。ワールドシリーズでは2勝4敗でタイガースに敗れる。
× 地区優勝こそ果しましたが、ディビジョン・シリーズで敢えなく敗退。リーグ制覇・ワールドシリーズ出場の夢は来季に持ち越しとなりました。
2012/12/31
2012 シーズンレビュー5: 新人王 Harper
【新人王】Bryce Harper
リーグの新人王を獲得したのですから当然の選択。
4月29日にデビュー。Morseの開幕出遅れに加えこのタイミングで(不振だったとはいえ)Ryan ZimmermanまでDL入りとなり、打線のてこ入れが必要となったというチーム事情があったにせよ、FA権取得を1年遅らせるには十分とはいえ、スーパー2として年俸調停権を1年早く(計4回)得られるタイミングとは、予想外の早い昇格となりました。
開幕を迎えたAAAで21試合に出場して、84打席 .243/.325/.365 本塁打わずかに1本と、必ずしも好成績ではなかったにも関わらず昇格させたことで不安もありましたが、結果的には二度と後ろを振り返ることなく、レギュラーとして定着しました。
デビュー戦はLAでのドジャーズ戦。最初の2打席は投ゴロ、左飛に倒れたものの、第3打席で二塁打。さらに第4打席では犠飛で初打点も記録する順調な滑り出し。打席での存在感だけではなく、デビュー戦でも見せた強肩。そして積極果敢な走塁で一気にファンを魅了していきました。
走塁といえば、ただの単打と思われた打球で一気に二塁を陥れたことが何度もありましたが、何と言ってもハイライトは全米中継となった5月6日のフィリーズ戦。初回2死走者無しからCole Hamelsに故意死球をもらうと、続くWerthのレフト前シングルで一気に3塁まで進塁。そして、打者Chad Tracyの時、Hamelsが1塁へ牽制球を投げた隙にホームスチール(メジャー初盗塁)を成功させ、全米の度肝を抜きました。
デビューから15試合目となる5月14日のパドレス戦でメジャー初本塁打。5月の月間成績を.271/.355/.505で終えると、リーグの月間新人王に選ばれました。6月に入るとさらに調子を上げ、6月5日には初のサヨナラ打も放ち、一時は打率3割も突破。
7月に入るとやや調子を落とし、それもあってオールスターのファイナルボート選手としての選出は逃しましたが、最後の最後に追加招集されオールスターに出場。
この7、8月の不調で打率を.250を切るところまで落としましたが、9月に入ると復調。9-10月の月間成績は.330/.400/.643 7本塁打と大暴れで、優勝争いに大いに貢献。2度目のリーグ月間MVPにも選ばれました。
ポストシーズンでももちろん全試合に先発出場。結果は.130/.130/.391とやや苦しみましたが、第5戦ではソロ本塁打も放っています。
そして、シーズン終了後、リーグ新人王を受賞。
19歳のシーズンとしてはメジャー史上でも最高のシーズンと言っていいようですが、あくまで「19歳のシーズンとしては」。次は、この形容詞が必要のない「最高のシーズン」つまりリーグMVPを受賞するようなプレーを期待しています。
++++++++++++++++++++++++
なお、今季ルーキー資格を持ってメジャーの試合に出場したのは次の10人。
Bryce Harper
Steve Lombardozzi
Tyler Moore
Corey Brown
Eury Perez
Jhonatan Solano
Sandy Leon
Carlos Maldonado
Ryan Mattheus
Christian Garcia
このうち、規定の出場機会(130打席、50投球回数)を満たし、ルーキーを卒業したのがHarper、Lombardozzi、Moore、Mattheusの4人。その他の選手はまだ来季もまだルーキー資格を有しています。
リーグの新人王を獲得したのですから当然の選択。
4月29日にデビュー。Morseの開幕出遅れに加えこのタイミングで(不振だったとはいえ)Ryan ZimmermanまでDL入りとなり、打線のてこ入れが必要となったというチーム事情があったにせよ、FA権取得を1年遅らせるには十分とはいえ、スーパー2として年俸調停権を1年早く(計4回)得られるタイミングとは、予想外の早い昇格となりました。
開幕を迎えたAAAで21試合に出場して、84打席 .243/.325/.365 本塁打わずかに1本と、必ずしも好成績ではなかったにも関わらず昇格させたことで不安もありましたが、結果的には二度と後ろを振り返ることなく、レギュラーとして定着しました。
デビュー戦はLAでのドジャーズ戦。最初の2打席は投ゴロ、左飛に倒れたものの、第3打席で二塁打。さらに第4打席では犠飛で初打点も記録する順調な滑り出し。打席での存在感だけではなく、デビュー戦でも見せた強肩。そして積極果敢な走塁で一気にファンを魅了していきました。
走塁といえば、ただの単打と思われた打球で一気に二塁を陥れたことが何度もありましたが、何と言ってもハイライトは全米中継となった5月6日のフィリーズ戦。初回2死走者無しからCole Hamelsに故意死球をもらうと、続くWerthのレフト前シングルで一気に3塁まで進塁。そして、打者Chad Tracyの時、Hamelsが1塁へ牽制球を投げた隙にホームスチール(メジャー初盗塁)を成功させ、全米の度肝を抜きました。
デビューから15試合目となる5月14日のパドレス戦でメジャー初本塁打。5月の月間成績を.271/.355/.505で終えると、リーグの月間新人王に選ばれました。6月に入るとさらに調子を上げ、6月5日には初のサヨナラ打も放ち、一時は打率3割も突破。
7月に入るとやや調子を落とし、それもあってオールスターのファイナルボート選手としての選出は逃しましたが、最後の最後に追加招集されオールスターに出場。
この7、8月の不調で打率を.250を切るところまで落としましたが、9月に入ると復調。9-10月の月間成績は.330/.400/.643 7本塁打と大暴れで、優勝争いに大いに貢献。2度目のリーグ月間MVPにも選ばれました。
ポストシーズンでももちろん全試合に先発出場。結果は.130/.130/.391とやや苦しみましたが、第5戦ではソロ本塁打も放っています。
そして、シーズン終了後、リーグ新人王を受賞。
19歳のシーズンとしてはメジャー史上でも最高のシーズンと言っていいようですが、あくまで「19歳のシーズンとしては」。次は、この形容詞が必要のない「最高のシーズン」つまりリーグMVPを受賞するようなプレーを期待しています。
++++++++++++++++++++++++
なお、今季ルーキー資格を持ってメジャーの試合に出場したのは次の10人。
Bryce Harper
Steve Lombardozzi
Tyler Moore
Corey Brown
Eury Perez
Jhonatan Solano
Sandy Leon
Carlos Maldonado
Ryan Mattheus
Christian Garcia
2012/12/30
2012 シーズンレビュー4: 投手MVP Gio
続いて投手MVP。
【先発】(Strasburg以下は規定投球回数に到達せず)
スプリングトレーニングでの王建民の故障と開幕直前のLannanの降格により、Strasburg、Gio、Zimmremann、Jackson、Detwilerのローテーションで開幕。この5人が前162試合のうち150試合に先発できたという安定感(健康に恵まれたこと)がチーム躍進の大きな鍵となりました。上記の7人以外にはTom Gorzelannyが10月2日のシーズン最終戦(消化試合)に先発したのみ。
うち、Gio、Zimmermann、Jacksonの3人はポストシーズンまで含めて最後までローテーションを守りきりました。Gioはチームトップの2完投(1完封)をはじめとしてほとんどの記録でチームトップし、文字通りローテーションを引っ張りました。5月に月間5戦全勝で月間MVPに選ばれると、オールスターにも自身2度目の選出。21勝はリーグトップ。奪三振率9.3、被本塁打率0.4もリーグトップ。防御率6位、奪三振4位と軒並み好成績で、サイ・ヤング賞投票でも3位に入りました。成績向上の大きな要因は制球の改善だったと思います。昨季はア・リーグ最多の与四球でしたが、今季はナ・リーグで6位。9イニング当たりの四球数を4.1から3.4に低下させたことは小さな変化のようでかなり重要でした。しかし、ポストシーズンではこの制球力が崩壊。NLDSの2試合10イニングで11与四球。第5戦のチーム敗退の遠因になりましたので、まだまだ伸びる余地はあります。
続いてZimmermann。TJ手術明けの昨季はシーズン終盤でシャットダウンされましたが、今季は(ほぼ)フル稼働。開幕から7月末まで21試合連続で6イニング以上を投げるという安定感。オールスターに選ばれても良かったと思うほどの前半の好調でした。そのオールスターの裏ともなった7月は6試合に先発して4勝、防御率0.97の好投で月間MVPを受賞。8月以降、やや疲れが見えた感もありましたが、それでも最後まで投げきったことで更なる飛躍に向けての土台ができたはず。わずか12勝に終わったためまた過小評価されそうですが、防御率はリーグ7位。無駄な四球を出さないという意味ではGioよりも好内容と言っていいかもしれません。ポストシーズンではこちらも先発した第2戦で滅多打ちに合いましたが、第4戦ではキャリア初となるリリーフで登板で三者三振と快投。
2月に1年契約を結んだJackson。好不調の波が大きく負け星がかさみましたが、FA市場での価値を高めるという目的を果すには十分な結果を残しました。残念だったのが序盤に打たれる悪い癖。あれさえなければもう一段上の投手になれるのに・・・。ポストシーズンでは先発した第3戦でもリリーフ起用された第5戦でも結果を残せませんでした。
そしてStrasburg。TJ手術からの復帰途中とあり、160回イニング程度の投球制限が開幕前から課されての今季。開幕戦を7回1失点で勝利投手になると、4月は5試合でわずか4失点と月間リーグMVPに選ばれる好投。5月にやや調子を崩したものの、6、7月と持ち直し、オールスターに選出。8月はさらに調子を上げて5戦4勝と波に乗りましたが、9月7日のマーリンズ戦で3回5失点と打たれると、チームはシャットダウンを宣言しました。159回1/3。予告どおりとはいえ、200奪三振目前、この登板で防御率が3点台に跳ね上がってしまったこと、何より、いい感じで終えさせたかったことを思うと、もう1登板させても良かったのにと思いました。ともかく、健康にシーズンを終えたことは確か。来季もまだ完全フル稼働ではなく今季のZimmermannのように200イニングがメドになると思いますが、更なる進化が期待できそうです。
開幕直前に先発5番手に指名されたDetwiler。4月10日の初登板を5回無失点で白星スタートと順調な滑り出し。5月半ばから調子を落とし、王建民が復帰した5月末から約1か月間、ブルペンに回りましたが、その王建民が「出れば打たれる」を繰り返したため、6月下旬にローテーションに復帰。以降はポストシーズンまでローテーションを守り切りました。Strasburgのシャットダウンに疑問視する雑音の中で好投したNLDS第4戦での好投(先発した4人の中で最も良かった)は来季に向けての地位を確立する意味でも重要な一戦となりました。期待はずれかと言われた元ドラ1(全体6位)がようやく花開いてきました。
Strasburgのシャットダウン後にローテーションを埋めたのがLannan。それ以前にもスポットスタートで2試合投げていましたが、9月に本格復帰した後も、4戦2勝。三振は少なく、そこそこ打たれるものの、最低限の仕事をこなす。いつものLannanがいました。地区優勝決定試合で先発したのはLannanでした(唯一の黒星が付いた試合でもありましたが)。
【ブルペン】(*は左腕)
クローザーと期待したStorenがヒジの故障で出遅れ。Brad LidgeとHenry Rogrguezという変則的なクローザー体制で開幕したものの、長続きはしませんでした。Lidgeは早々に離脱(6月に一度復帰しましたが再びDL入りし、そのまま引退)。昨季終盤からスプリングトレーニングにかけて安定感を増し、一皮向けたかと期待されたH-Rodでしたが、やっぱりだめ。単独でクローザーを任されるようになった途端、制球が崩壊。この人の場合は四球が増えるという程度では済まず、バックネットに行ってしまう暴投を連発。これで落とした試合がいくつあったか・・・。6月によく分からないDL入りをしたまま戻ってくることはありませんでした。
5月後半からクローザーの地位についたのがClippard。本人は以前から志願しながら、セットアッパーとして余人をもって代え難しということでなかなか機会を与えられませんでしたが、今回は他に選択肢もなくなり起用されると、見事に結果を残しました。初セーブを記録した5月22日から7月7日まで18試合連続無失点でその間に14セーブを記録。その後もシーズン最終盤にStorenに譲ってセットアップに戻るまで、十分に仕事をしてくれました。シーズン終盤はやや疲れが見えましたが、これで3年連続で70試合以上登板。立派です。
当初は軽い故障と思われたStorenのヒジでしたが、開幕直前に手術を受けることになり、オールスター明けにようやく復帰。復帰後しばらくはやや不安定でしたが、次第に安定感を増し、9月下旬からポストシーズンにかけてはクローザーに復帰しました。NLDSでも4戦目までに3度登板し、いずれも無失点と好投していましたが、第5戦に大きな落とし穴が待っていました。
その他のブルペン投手も軒並み好投。Burnettだけは「数字ほど良くなかった」という印象が拭えませんが、その他は掛け値なしに好投したと思います。特に本格的なブルペン転向1年目となったStammen、Gorzelannyの2人は適性を見せ、評価を大いに上げました。またMattheus、Garciaの故障からの復活組も好投。特にGarciaは、AAAのクローザーとして素晴らしい結果を残しての9月昇格で、内容も素晴らしく、メジャーで十分通用するところをアピールしました。フロント・ベンチにはGarciaを先発に回す案も出ているほどです(せっかくここまで這い上がってきたのにまたAAAに戻して先発として調整させるなんて、個人的にはあまりいい印象を受けませんが)。
【MVP】Gio Gonzalez
これは文句なし。ブルペン投手ではClippard。
勝手MVP Pointでは、GioとStrasburgが並んでチームトップの9W。その後は少し離れてZimmermannが6W、Jacksonが4Wとなりました。
【先発】(Strasburg以下は規定投球回数に到達せず)
W | L | GS | CG | IP | SO | ERA | WHIP | HR/9 | SO/9 | SO/BB | |
Gio Gonzalez | 21 | 8 | 32 | 2 | 199 | 207 | 2.89 | 1.13 | 0.4 | 9.3 | 2.7 |
Jordan Zimmermann | 12 | 8 | 32 | 0 | 195 | 153 | 2.94 | 1.17 | 0.8 | 7.0 | 3.6 |
Edwin Jackson | 10 | 11 | 31 | 1 | 189 | 168 | 4.03 | 1.22 | 1.1 | 8.0 | 2.9 |
Stephen Strasburg | 15 | 6 | 28 | 0 | 159 | 197 | 3.16 | 1.16 | 0.8 | 11.1 | 4.1 |
Ross Detwiler | 10 | 8 | 27 | 0 | 164 | 105 | 3.40 | 1.22 | 0.8 | 5.8 | 2.0 |
John Lannan | 4 | 1 | 6 | 0 | 32.2 | 17 | 4.13 | 1.44 | 0.0 | 4.7 | 1.2 |
Chien-Ming Wang | 2 | 3 | 5 | 0 | 32.1 | 15 | 6.68 | 2.01 | 1.4 | 4.2 | 1.0 |
スプリングトレーニングでの王建民の故障と開幕直前のLannanの降格により、Strasburg、Gio、Zimmremann、Jackson、Detwilerのローテーションで開幕。この5人が前162試合のうち150試合に先発できたという安定感(健康に恵まれたこと)がチーム躍進の大きな鍵となりました。上記の7人以外にはTom Gorzelannyが10月2日のシーズン最終戦(消化試合)に先発したのみ。
うち、Gio、Zimmermann、Jacksonの3人はポストシーズンまで含めて最後までローテーションを守りきりました。Gioはチームトップの2完投(1完封)をはじめとしてほとんどの記録でチームトップし、文字通りローテーションを引っ張りました。5月に月間5戦全勝で月間MVPに選ばれると、オールスターにも自身2度目の選出。21勝はリーグトップ。奪三振率9.3、被本塁打率0.4もリーグトップ。防御率6位、奪三振4位と軒並み好成績で、サイ・ヤング賞投票でも3位に入りました。成績向上の大きな要因は制球の改善だったと思います。昨季はア・リーグ最多の与四球でしたが、今季はナ・リーグで6位。9イニング当たりの四球数を4.1から3.4に低下させたことは小さな変化のようでかなり重要でした。しかし、ポストシーズンではこの制球力が崩壊。NLDSの2試合10イニングで11与四球。第5戦のチーム敗退の遠因になりましたので、まだまだ伸びる余地はあります。
続いてZimmermann。TJ手術明けの昨季はシーズン終盤でシャットダウンされましたが、今季は(ほぼ)フル稼働。開幕から7月末まで21試合連続で6イニング以上を投げるという安定感。オールスターに選ばれても良かったと思うほどの前半の好調でした。そのオールスターの裏ともなった7月は6試合に先発して4勝、防御率0.97の好投で月間MVPを受賞。8月以降、やや疲れが見えた感もありましたが、それでも最後まで投げきったことで更なる飛躍に向けての土台ができたはず。わずか12勝に終わったためまた過小評価されそうですが、防御率はリーグ7位。無駄な四球を出さないという意味ではGioよりも好内容と言っていいかもしれません。ポストシーズンではこちらも先発した第2戦で滅多打ちに合いましたが、第4戦ではキャリア初となるリリーフで登板で三者三振と快投。
2月に1年契約を結んだJackson。好不調の波が大きく負け星がかさみましたが、FA市場での価値を高めるという目的を果すには十分な結果を残しました。残念だったのが序盤に打たれる悪い癖。あれさえなければもう一段上の投手になれるのに・・・。ポストシーズンでは先発した第3戦でもリリーフ起用された第5戦でも結果を残せませんでした。
そしてStrasburg。TJ手術からの復帰途中とあり、160回イニング程度の投球制限が開幕前から課されての今季。開幕戦を7回1失点で勝利投手になると、4月は5試合でわずか4失点と月間リーグMVPに選ばれる好投。5月にやや調子を崩したものの、6、7月と持ち直し、オールスターに選出。8月はさらに調子を上げて5戦4勝と波に乗りましたが、9月7日のマーリンズ戦で3回5失点と打たれると、チームはシャットダウンを宣言しました。159回1/3。予告どおりとはいえ、200奪三振目前、この登板で防御率が3点台に跳ね上がってしまったこと、何より、いい感じで終えさせたかったことを思うと、もう1登板させても良かったのにと思いました。ともかく、健康にシーズンを終えたことは確か。来季もまだ完全フル稼働ではなく今季のZimmermannのように200イニングがメドになると思いますが、更なる進化が期待できそうです。
開幕直前に先発5番手に指名されたDetwiler。4月10日の初登板を5回無失点で白星スタートと順調な滑り出し。5月半ばから調子を落とし、王建民が復帰した5月末から約1か月間、ブルペンに回りましたが、その王建民が「出れば打たれる」を繰り返したため、6月下旬にローテーションに復帰。以降はポストシーズンまでローテーションを守り切りました。Strasburgのシャットダウンに疑問視する雑音の中で好投したNLDS第4戦での好投(先発した4人の中で最も良かった)は来季に向けての地位を確立する意味でも重要な一戦となりました。期待はずれかと言われた元ドラ1(全体6位)がようやく花開いてきました。
Strasburgのシャットダウン後にローテーションを埋めたのがLannan。それ以前にもスポットスタートで2試合投げていましたが、9月に本格復帰した後も、4戦2勝。三振は少なく、そこそこ打たれるものの、最低限の仕事をこなす。いつものLannanがいました。地区優勝決定試合で先発したのはLannanでした(唯一の黒星が付いた試合でもありましたが)。
【ブルペン】(*は左腕)
SV | HD | G | GF | IP | SO | ERA | WHIP | HR/9 | SO/9 | SO/BB | |
Tyler Clippard | 32 | 13 | 74 | 42 | 72.2 | 84 | 3.72 | 1.16 | 0.9 | 10.4 | 2.9 |
Craig Stammen | 1 | 10 | 59 | 15 | 88.1 | 87 | 2.34 | 1.20 | 0.7 | 8.9 | 2.4 |
Ryan Mattheus | 0 | 18 | 66 | 11 | 66.1 | 41 | 2.85 | 1.15 | 1.1 | 5.6 | 2.2 |
Sean Burnett* | 2 | 31 | 70 | 16 | 56.2 | 57 | 2.38 | 1.24 | 0.6 | 9.1 | 4.8 |
Mike Gonzalez* | 0 | 7 | 47 | 13 | 35.2 | 39 | 3.03 | 1.32 | 0.5 | 9.8 | 2.4 |
Tom Gorzelanny* | 1 | 9 | 45 | 11 | 72 | 62 | 2.88 | 1.32 | 0.9 | 7.8 | 2.1 |
Drew Storen | 4 | 10 | 37 | 17 | 30.1 | 24 | 2.37 | 0.99 | 0.0 | 7.1 | 3.0 |
Christian Garcia | 0 | 4 | 13 | 2 | 12.2 | 15 | 2.13 | 0.79 | 1.4 | 10.7 | 7.5 |
Henry Rodriguez | 9 | 2 | 35 | 20 | 29.1 | 31 | 5.83 | 1.40 | 1.2 | 9.5 | 1.4 |
クローザーと期待したStorenがヒジの故障で出遅れ。Brad LidgeとHenry Rogrguezという変則的なクローザー体制で開幕したものの、長続きはしませんでした。Lidgeは早々に離脱(6月に一度復帰しましたが再びDL入りし、そのまま引退)。昨季終盤からスプリングトレーニングにかけて安定感を増し、一皮向けたかと期待されたH-Rodでしたが、やっぱりだめ。単独でクローザーを任されるようになった途端、制球が崩壊。この人の場合は四球が増えるという程度では済まず、バックネットに行ってしまう暴投を連発。これで落とした試合がいくつあったか・・・。6月によく分からないDL入りをしたまま戻ってくることはありませんでした。
5月後半からクローザーの地位についたのがClippard。本人は以前から志願しながら、セットアッパーとして余人をもって代え難しということでなかなか機会を与えられませんでしたが、今回は他に選択肢もなくなり起用されると、見事に結果を残しました。初セーブを記録した5月22日から7月7日まで18試合連続無失点でその間に14セーブを記録。その後もシーズン最終盤にStorenに譲ってセットアップに戻るまで、十分に仕事をしてくれました。シーズン終盤はやや疲れが見えましたが、これで3年連続で70試合以上登板。立派です。
当初は軽い故障と思われたStorenのヒジでしたが、開幕直前に手術を受けることになり、オールスター明けにようやく復帰。復帰後しばらくはやや不安定でしたが、次第に安定感を増し、9月下旬からポストシーズンにかけてはクローザーに復帰しました。NLDSでも4戦目までに3度登板し、いずれも無失点と好投していましたが、第5戦に大きな落とし穴が待っていました。
その他のブルペン投手も軒並み好投。Burnettだけは「数字ほど良くなかった」という印象が拭えませんが、その他は掛け値なしに好投したと思います。特に本格的なブルペン転向1年目となったStammen、Gorzelannyの2人は適性を見せ、評価を大いに上げました。またMattheus、Garciaの故障からの復活組も好投。特にGarciaは、AAAのクローザーとして素晴らしい結果を残しての9月昇格で、内容も素晴らしく、メジャーで十分通用するところをアピールしました。フロント・ベンチにはGarciaを先発に回す案も出ているほどです(せっかくここまで這い上がってきたのにまたAAAに戻して先発として調整させるなんて、個人的にはあまりいい印象を受けませんが)。
【MVP】Gio Gonzalez
これは文句なし。ブルペン投手ではClippard。
勝手MVP Pointでは、GioとStrasburgが並んでチームトップの9W。その後は少し離れてZimmermannが6W、Jacksonが4Wとなりました。
2012 シーズンレビュー3: 野手MVP LaRoche
チームMVP。まずは野手から。
主力選手の打撃成績は以下の通り。シーズンを通じてフル出場したと言えるのはLaRocheとEspinosaの2人だけ。ほとんどの積み上げ系はこの2人が記録。2人以外に規定打席に到達したのはZimmerman、Harper、Desmondの3人。打率と長打率のWerthとMooreは規定打席に到達していないためこんな色にしています。
【捕手】
数え切れないほどの故障に見舞われました。時系列的に振り返ります。開幕レギュラーのWilson Ramosはわずか25試合に出場したところでひざの靭帯損傷でシーズン絶望(離脱時の打撃成績.265/.354/.398)。代わって起用されたルーキーのSandy Leonはデビューわずか4イニング目に本塁での交錯プレーで離脱。とりあえず33歳のAAAA選手Carlos Maldonadoでつないだものの、正捕手のJesus Floresがハムストリングを痛めて(DLは回避したものの)5月末にはJhonatan Solanoを昇格させることに。6月に入ると今度はMaldonadoがDL入り。さらに、なかなかいい打撃を見せていたSolanoも7月のオールスター明けには脇腹の痛みでDL入りとなり、Leonが復帰。8月上旬にKurt Suzukiをトレードで獲得して、ようやく落ち着きました。
なんといっても残念だったのはRamosの故障離脱。かなりの重症で2度の手術を経て、まだリハビリ中だそうです。来季の開幕に間に合うかどうか後遺症はないかどうか気がかりです。
Floresが、Ramosの離脱からSuzukiの補強までの約3か月間、レギュラーを任されながら全く結果が出せず、遂にノンテンダーFAとして退団することになったのも残念でなりません。私がブログを始めた頃には将来のレギュラーと期待していましたが、ついに居場所がなくなってしまいました。
一方収穫は、こうした経緯の中でSuzuki、Ramos(順不同)という強力な2枚のレギュラーに加え、Solano、Leonという若手にも経験を積ませることができたことでしょう。特にLeonは、元々かなり高い評価を受けていた守備に加え、打撃でも高い出塁率で評価を上げました。
【内野手】
一塁手はLaRocheがほとんどフル出場。スロースターターという悪評はどこへやら、4月に打率.329と好発進。6月に一時減速しましたが持ち直し、勝負どころの9-10月に打率.324、10本塁打とチームを引っ張りました。元々評価の高かった守備でも安定した動きを見せ、多少逸れたボールなら難なく処理し、他の内野手を助けてくれました。リーグMVP投票6位、ゴールド・グラブにシルバー・スラッガーまで獲得する素晴らしいシーズン。(堂々とFA市場に打って出ましたが、この記事を書いている時点ではまだ契約していません。)
主に二塁を守り、DesmondがDL入りしていたときにはショートも守ったEspinosaがチーム最多の160試合出場。昨季後半の減速を踏まえ、修正できるかどうかが問われましたが、数字も内容もあまり変わりませんでした。特に189三振はナ・リーグ最多。明らかに対策が必要。このままではレギュラーの座は安泰とは言えません。来季は(今季のDesmondのような)飛躍が望まれます。
今季一番の飛躍を遂げた野手と言えばDesmondでしょう。今季の5月頃まではエラーの多さ、出塁率の低さなどが指摘され、ファンの間でも将来のショートとして期待すべきかどうか意見が二分していましたが、夏場以降の活躍で完全に反対派を黙らせることに成功。夏場にかけて調子を上げ、初のオールスター選出(脇腹の故障のため辞退)。その脇腹痛で約1か月離脱しましたが、復帰後も好調を持続し、9-10月に本塁打と盗塁を積み上げ、20-20を記録。シーズン終了後には、シルバー・スラッガー賞を獲得するとともに、MVP投票でも投票を受けました。昨季は酷評された守備でも大きな進歩を見せ、エラー数を2010年の34個から、昨季の23個、今季の15個へと減らし、今季のUZR/150では遊撃手で10位という好成績。
開幕前に6年1億ドルで契約延長に合意したZimmreman。ところが開幕から大不振。右肩の痛みで4月末からDL入りしたりしましたが、成績は向上せず。6月23日終了時点での打撃成績は.218/.285./305、わずか3本塁打と散々でした。これを救ったのが6月24日の試合前に打ったコルチゾン注射。以降の90試合では、.321/.383/.584で22本塁打73打点とMVP級の活躍でした。初のポストシーズン出場となったNLDSでも.381/.364/.714、2本塁打。さすがです。
スプリングトレーニングで活躍し、開幕ベンチ入りを果したLombardozzi。Desmondの離脱中はセカンドを、Zimmerman離脱中はサードを守っていい動きを見せ、バットでも十分通用するところを示しました。チーム事情でレフトまで守りましたが、こちらの守備は・・・。
【外野手】
Harperについてはチーム新人王についての後の記事をお待ちください。
昨季は散々だったWerth。4-5月を.276/.372/.439となかなかの滑り出しを見せていましたが、5月6日のフィリーズ戦で左腕を骨折。8月2日に復帰すると、約3か月間ベンチからチームの快進撃を眺めていただけの鬱憤を晴らすかのように8月は.358/.435/.505と打ちまくりました。9-10月はやや減速したものの、それでもシーズン打率.300ちょうど(300打数90安打)で終了。昨季に比べて三振が減り、かつ変わらず出塁率が高いままと内容も評価できるもので、シーズン終盤はリードオフを任され、打線を引っ張りました。懸念は本塁打がわずか5本だったこと(シーズン10本ペース)。4年連続20本以上だった高額契約選手としては不満と言わざるを得ません。が、しかし、NLDS第4戦のあの一発はまさに値千金でした。
昨季代ブレークし、レフトのレギュラーと目されていたMichael Morseでしたが、スプリングトレーニング中に痛めた背中の痛みが長引き、6月に入ってようやく開幕。その後は昨季とあまり変わらないペースで打ちましたが、やはり2か月も戦線離脱したのは残念でした。
6月にMorseが復帰してからもWerthが帰ってくる8月までMorseはライトを守ったため、空いたレフトを守ったのが、Steve Lombardozzi、Tyler Moore、Roger Bernadinaの若手3人でした。Lombardozziは上述。Mooreも本職は一塁手ながらLaRocheにブロックされ、ほとんど経験のないレフトを守ることになりました。守備ははっきり言ってお粗末でしたが、打撃のほうは171打席で2ケタ10本塁打と期待通りの成績。そしてNLDS第1戦で殊勲の一打。来季のブレーク候補と期待しています(LaRocheと再契約したらまたブロックされますが・・・)。そして嬉しかったのがBernadinaの活躍。昨季のプレーでフロントの信頼を失い正念場として迎えた今季。先発出場こそわずか49試合でしたが、代打、代走を併せて計129試合に出場し、.291/.372/.405の成績は立派。特に出塁率の高さは特筆もの。代打で出てきて粘って四球という場面が目立ちました。盗塁数15に対して失敗3つというのも安定しています。
開幕戦でセンターを守ったのは2年連続でRick Ankielでしたが、相変わらずの低打率(最終的に.228)。Harperの昇格以降次第に出場機会を失い、代打で三振という場面を繰り返し、次いで守備固め要因となり、7月下旬にDFAされました。苦労人だけにまたどこかでプレーしてくれるといいなと思います。
代打要員の中で圧倒的に目立ったのがChad Tracy。シーズン序盤に何度も殊勲打を放ちました。5月下旬から約2か月故障で離脱しましたが、8月に復帰してくるとまた活躍し、そのままポストシーズンまで代打の切り札として起用されました。今季はマイナー契約からのスタートでしたが、8月に契約を延長し、来季もナショナルズのベンチに入る見通しです。
【MVP】Adam LaRoche
LaRocheとDesmondで迷いました。Desmondのほうが印象は抜群でしたが、やはりシーズンを通じて打線を引っ張ったことに、守備での貢献も加味して、LaRocheとしました。
勝手MVP Pointでも、LaRocheが野手トップの8Wに対して、Desmond(とHarper)は7W。ちなみに6Wに、Zimmermanと並んでTyler Mooreが入りました(NLDSでの2ポイントが効いていますが、それでも控え選手としてこの活躍は立派です)。
主力選手の打撃成績は以下の通り。シーズンを通じてフル出場したと言えるのはLaRocheとEspinosaの2人だけ。ほとんどの積み上げ系はこの2人が記録。2人以外に規定打席に到達したのはZimmerman、Harper、Desmondの3人。打率と長打率のWerthとMooreは規定打席に到達していないためこんな色にしています。
G | PA | 2B | 3B | HR | R | RBI | BB | SO | BA | OBP | SLG | SB | |
Jesus Flores | 83 | 296 | 12 | 1 | 6 | 22 | 26 | 13 | 59 | .213 | .248 | .329 | 1 |
Adam LaRoche | 154 | 647 | 35 | 1 | 33 | 76 | 100 | 67 | 138 | .271 | .343 | .510 | 1 |
Danny Espinosa | 160 | 658 | 37 | 2 | 17 | 82 | 56 | 46 | 189 | .247 | .315 | .402 | 20 |
Ian Desmond | 130 | 547 | 33 | 2 | 25 | 72 | 73 | 30 | 113 | .292 | .335 | .511 | 21 |
Ryan Zimmerman | 145 | 641 | 36 | 1 | 25 | 93 | 95 | 57 | 116 | .282 | .346 | .478 | 5 |
Mike Morse | 102 | 430 | 17 | 1 | 18 | 53 | 62 | 16 | 97 | .291 | .321 | .470 | 0 |
Bryce Harper | 139 | 597 | 26 | 9 | 22 | 98 | 59 | 56 | 120 | .270 | .340 | .477 | 18 |
Jayson Werth | 81 | 344 | 21 | 3 | 5 | 42 | 31 | 42 | 57 | .300 | .387 | .440 | 8 |
Steve Lombardozzi | 126 | 416 | 16 | 3 | 3 | 40 | 27 | 19 | 46 | .273 | .317 | .354 | 5 |
Roger Bernadina | 129 | 261 | 11 | 0 | 5 | 25 | 25 | 28 | 53 | .291 | .372 | .405 | 15 |
Tyler Moore | 75 | 171 | 9 | 0 | 10 | 20 | 29 | 14 | 46 | .263 | .327 | .513 | 3 |
Kurt Suzuki | 43 | 164 | 5 | 0 | 5 | 17 | 25 | 11 | 20 | .267 | .321 | .404 | 1 |
【捕手】
数え切れないほどの故障に見舞われました。時系列的に振り返ります。開幕レギュラーのWilson Ramosはわずか25試合に出場したところでひざの靭帯損傷でシーズン絶望(離脱時の打撃成績.265/.354/.398)。代わって起用されたルーキーのSandy Leonはデビューわずか4イニング目に本塁での交錯プレーで離脱。とりあえず33歳のAAAA選手Carlos Maldonadoでつないだものの、正捕手のJesus Floresがハムストリングを痛めて(DLは回避したものの)5月末にはJhonatan Solanoを昇格させることに。6月に入ると今度はMaldonadoがDL入り。さらに、なかなかいい打撃を見せていたSolanoも7月のオールスター明けには脇腹の痛みでDL入りとなり、Leonが復帰。8月上旬にKurt Suzukiをトレードで獲得して、ようやく落ち着きました。
なんといっても残念だったのはRamosの故障離脱。かなりの重症で2度の手術を経て、まだリハビリ中だそうです。来季の開幕に間に合うかどうか後遺症はないかどうか気がかりです。
Floresが、Ramosの離脱からSuzukiの補強までの約3か月間、レギュラーを任されながら全く結果が出せず、遂にノンテンダーFAとして退団することになったのも残念でなりません。私がブログを始めた頃には将来のレギュラーと期待していましたが、ついに居場所がなくなってしまいました。
一方収穫は、こうした経緯の中でSuzuki、Ramos(順不同)という強力な2枚のレギュラーに加え、Solano、Leonという若手にも経験を積ませることができたことでしょう。特にLeonは、元々かなり高い評価を受けていた守備に加え、打撃でも高い出塁率で評価を上げました。
【内野手】
一塁手はLaRocheがほとんどフル出場。スロースターターという悪評はどこへやら、4月に打率.329と好発進。6月に一時減速しましたが持ち直し、勝負どころの9-10月に打率.324、10本塁打とチームを引っ張りました。元々評価の高かった守備でも安定した動きを見せ、多少逸れたボールなら難なく処理し、他の内野手を助けてくれました。リーグMVP投票6位、ゴールド・グラブにシルバー・スラッガーまで獲得する素晴らしいシーズン。(堂々とFA市場に打って出ましたが、この記事を書いている時点ではまだ契約していません。)
主に二塁を守り、DesmondがDL入りしていたときにはショートも守ったEspinosaがチーム最多の160試合出場。昨季後半の減速を踏まえ、修正できるかどうかが問われましたが、数字も内容もあまり変わりませんでした。特に189三振はナ・リーグ最多。明らかに対策が必要。このままではレギュラーの座は安泰とは言えません。来季は(今季のDesmondのような)飛躍が望まれます。
今季一番の飛躍を遂げた野手と言えばDesmondでしょう。今季の5月頃まではエラーの多さ、出塁率の低さなどが指摘され、ファンの間でも将来のショートとして期待すべきかどうか意見が二分していましたが、夏場以降の活躍で完全に反対派を黙らせることに成功。夏場にかけて調子を上げ、初のオールスター選出(脇腹の故障のため辞退)。その脇腹痛で約1か月離脱しましたが、復帰後も好調を持続し、9-10月に本塁打と盗塁を積み上げ、20-20を記録。シーズン終了後には、シルバー・スラッガー賞を獲得するとともに、MVP投票でも投票を受けました。昨季は酷評された守備でも大きな進歩を見せ、エラー数を2010年の34個から、昨季の23個、今季の15個へと減らし、今季のUZR/150では遊撃手で10位という好成績。
開幕前に6年1億ドルで契約延長に合意したZimmreman。ところが開幕から大不振。右肩の痛みで4月末からDL入りしたりしましたが、成績は向上せず。6月23日終了時点での打撃成績は.218/.285./305、わずか3本塁打と散々でした。これを救ったのが6月24日の試合前に打ったコルチゾン注射。以降の90試合では、.321/.383/.584で22本塁打73打点とMVP級の活躍でした。初のポストシーズン出場となったNLDSでも.381/.364/.714、2本塁打。さすがです。
スプリングトレーニングで活躍し、開幕ベンチ入りを果したLombardozzi。Desmondの離脱中はセカンドを、Zimmerman離脱中はサードを守っていい動きを見せ、バットでも十分通用するところを示しました。チーム事情でレフトまで守りましたが、こちらの守備は・・・。
【外野手】
Harperについてはチーム新人王についての後の記事をお待ちください。
昨季は散々だったWerth。4-5月を.276/.372/.439となかなかの滑り出しを見せていましたが、5月6日のフィリーズ戦で左腕を骨折。8月2日に復帰すると、約3か月間ベンチからチームの快進撃を眺めていただけの鬱憤を晴らすかのように8月は.358/.435/.505と打ちまくりました。9-10月はやや減速したものの、それでもシーズン打率.300ちょうど(300打数90安打)で終了。昨季に比べて三振が減り、かつ変わらず出塁率が高いままと内容も評価できるもので、シーズン終盤はリードオフを任され、打線を引っ張りました。懸念は本塁打がわずか5本だったこと(シーズン10本ペース)。4年連続20本以上だった高額契約選手としては不満と言わざるを得ません。が、しかし、NLDS第4戦のあの一発はまさに値千金でした。
昨季代ブレークし、レフトのレギュラーと目されていたMichael Morseでしたが、スプリングトレーニング中に痛めた背中の痛みが長引き、6月に入ってようやく開幕。その後は昨季とあまり変わらないペースで打ちましたが、やはり2か月も戦線離脱したのは残念でした。
6月にMorseが復帰してからもWerthが帰ってくる8月までMorseはライトを守ったため、空いたレフトを守ったのが、Steve Lombardozzi、Tyler Moore、Roger Bernadinaの若手3人でした。Lombardozziは上述。Mooreも本職は一塁手ながらLaRocheにブロックされ、ほとんど経験のないレフトを守ることになりました。守備ははっきり言ってお粗末でしたが、打撃のほうは171打席で2ケタ10本塁打と期待通りの成績。そしてNLDS第1戦で殊勲の一打。来季のブレーク候補と期待しています(LaRocheと再契約したらまたブロックされますが・・・)。そして嬉しかったのがBernadinaの活躍。昨季のプレーでフロントの信頼を失い正念場として迎えた今季。先発出場こそわずか49試合でしたが、代打、代走を併せて計129試合に出場し、.291/.372/.405の成績は立派。特に出塁率の高さは特筆もの。代打で出てきて粘って四球という場面が目立ちました。盗塁数15に対して失敗3つというのも安定しています。
開幕戦でセンターを守ったのは2年連続でRick Ankielでしたが、相変わらずの低打率(最終的に.228)。Harperの昇格以降次第に出場機会を失い、代打で三振という場面を繰り返し、次いで守備固め要因となり、7月下旬にDFAされました。苦労人だけにまたどこかでプレーしてくれるといいなと思います。
代打要員の中で圧倒的に目立ったのがChad Tracy。シーズン序盤に何度も殊勲打を放ちました。5月下旬から約2か月故障で離脱しましたが、8月に復帰してくるとまた活躍し、そのままポストシーズンまで代打の切り札として起用されました。今季はマイナー契約からのスタートでしたが、8月に契約を延長し、来季もナショナルズのベンチに入る見通しです。
【MVP】Adam LaRoche
LaRocheとDesmondで迷いました。Desmondのほうが印象は抜群でしたが、やはりシーズンを通じて打線を引っ張ったことに、守備での貢献も加味して、LaRocheとしました。
勝手MVP Pointでも、LaRocheが野手トップの8Wに対して、Desmond(とHarper)は7W。ちなみに6Wに、Zimmermanと並んでTyler Mooreが入りました(NLDSでの2ポイントが効いていますが、それでも控え選手としてこの活躍は立派です)。
2012/12/28
2012 シーズンレビュー2: あと1球だった
続いてポストシーズン編。思い出すのも鬱ですが、何とか書き切りました。
レギュラーシーズン1位の成績を収めたナショナルズ。今季から追加されたワイルドカードゲームを勝ち上がったカージナルスとディビジョンシリーズを戦うことになりました。前年のワールドシリーズチャンピオン。最後は、その経験の差が出た、ということでしょうか・・・・。
第1戦、伏兵Tyler Mooreの活躍により3-2で先勝。これでシリーズを優位に進めるかと思われましたが、第2戦はJordan Zimmermannが、そしてワシントンに戻った第3戦ではEdwin Jacksonが早々につかまりいいところなく連敗。
Strasburgをシャットダウンしたのが間違いだったとかなんとか雑音がやかましくなりましたが、それを黙らせたのが第4戦の先発Ross Detwiler。6イニングを自責点0という快投を演じると、7回からはJordan Zimmerman、Tyler Clippard、Drew Storenの3人がなんと8奪三振。そして1-1で迎えた9回裏。Jason Werthが13球目をレフトスタンドに叩き込んでのサヨナラ勝ち。今季一番の歓喜の瞬間でした。翌朝のワシントンポストは大事にとってあります(笑)。
これで、このシリーズの勝ちは間違いないと思いました。
迎えた第5戦。3回を終えて6-0とリードした時には、思いは確信に代わりました。
じわりじわりと追い上げられても、負けるはずはないと思って見ていました。
8回裏にKurt Suzukiのタイムリーが出て2点にリードを広げ、9回表のマウンドには9月半ばにクローザーに復帰してから14試合に登板してわずかに1失点のDrew Storen。
このマジカルなシーズンがここで終わる理由は何もないはずでした。
あと1球だったんです。ほんとに。2死3塁。打者Yadier Molina。カウント2-2。ボール、ボール。2死1,3塁。打者David Freese。カウント1-2。ボール、ボール。え、今の入ってるんじゃないの・・・。ボール。満塁。打者Daniel Descalsoに初球を弾き返されて同点・・・。ショックを隠しきれないうちに次のPete Kozmaが逆転打・・・。なんだか訳の分からないままの出来事でした。
歓喜から奈落の底へ突き落とされるとはまさにこのこと。Molinaの場面かFreeseの場面かは覚えていませんが、球場のナショナルズファンの子どもが満面の笑顔でテレビに映されていました。あの子はあの後どうしたんでしょう。あの子の笑顔を奪った上記4人。絶対許さないからな! ええ、逆恨みってやつですよ(笑)。
これまで当ブログでは、勝手ながら My Enemy Number 1にMark Teixeiraを、Number 2にZach Greinkeを認定してきましたが、今回この4人をまとめてNumber 3に認定させて頂きます。本当はカージナルスというチームにしたいくらいですが、まあそういうわけにもいかないので代表として4人にします。
ところで、1つ気がかりなのは、あれだけのショックを受けたStorenが何の後遺症もなく立ち直ってくれるかどうか。この苦い経験を糧にして、一回り大きな選手になってくれることを願うばかりです。そしてチームには、来年こそポストシーズンを勝ち抜いてくれることを期待します。
レギュラーシーズン1位の成績を収めたナショナルズ。今季から追加されたワイルドカードゲームを勝ち上がったカージナルスとディビジョンシリーズを戦うことになりました。前年のワールドシリーズチャンピオン。最後は、その経験の差が出た、ということでしょうか・・・・。
第1戦、伏兵Tyler Mooreの活躍により3-2で先勝。これでシリーズを優位に進めるかと思われましたが、第2戦はJordan Zimmermannが、そしてワシントンに戻った第3戦ではEdwin Jacksonが早々につかまりいいところなく連敗。
Strasburgをシャットダウンしたのが間違いだったとかなんとか雑音がやかましくなりましたが、それを黙らせたのが第4戦の先発Ross Detwiler。6イニングを自責点0という快投を演じると、7回からはJordan Zimmerman、Tyler Clippard、Drew Storenの3人がなんと8奪三振。そして1-1で迎えた9回裏。Jason Werthが13球目をレフトスタンドに叩き込んでのサヨナラ勝ち。今季一番の歓喜の瞬間でした。翌朝のワシントンポストは大事にとってあります(笑)。
これで、このシリーズの勝ちは間違いないと思いました。
迎えた第5戦。3回を終えて6-0とリードした時には、思いは確信に代わりました。
じわりじわりと追い上げられても、負けるはずはないと思って見ていました。
8回裏にKurt Suzukiのタイムリーが出て2点にリードを広げ、9回表のマウンドには9月半ばにクローザーに復帰してから14試合に登板してわずかに1失点のDrew Storen。
このマジカルなシーズンがここで終わる理由は何もないはずでした。
あと1球だったんです。ほんとに。2死3塁。打者Yadier Molina。カウント2-2。ボール、ボール。2死1,3塁。打者David Freese。カウント1-2。ボール、ボール。え、今の入ってるんじゃないの・・・。ボール。満塁。打者Daniel Descalsoに初球を弾き返されて同点・・・。ショックを隠しきれないうちに次のPete Kozmaが逆転打・・・。なんだか訳の分からないままの出来事でした。
歓喜から奈落の底へ突き落とされるとはまさにこのこと。Molinaの場面かFreeseの場面かは覚えていませんが、球場のナショナルズファンの子どもが満面の笑顔でテレビに映されていました。あの子はあの後どうしたんでしょう。あの子の笑顔を奪った上記4人。絶対許さないからな! ええ、逆恨みってやつですよ(笑)。
これまで当ブログでは、勝手ながら My Enemy Number 1にMark Teixeiraを、Number 2にZach Greinkeを認定してきましたが、今回この4人をまとめてNumber 3に認定させて頂きます。本当はカージナルスというチームにしたいくらいですが、まあそういうわけにもいかないので代表として4人にします。
ところで、1つ気がかりなのは、あれだけのショックを受けたStorenが何の後遺症もなく立ち直ってくれるかどうか。この苦い経験を糧にして、一回り大きな選手になってくれることを願うばかりです。そしてチームには、来年こそポストシーズンを勝ち抜いてくれることを期待します。
2012/12/26
2012 シーズンレビュー1: 初の地区優勝
ようやく書き上げました。2012シーズンレビュー。まずはレギュラーシーズン編。
今年からPHASE 2とタイトルを改めた当ブログですが、まさに今季のナショナルズは昨季までと全く違う戦いを展開してくれました。
最終成績は98勝64敗。球団ワシントン移転後初の勝ち越しを達成したのみならず、初の地区優勝、さらには30球団でも最高勝率を記録しました。得失点差でも+137は30球団トップ。全ての月で勝ち越しを記録するなど、完璧なレギュラーシーズンを送りました。
毎月の戦いぶりについては次のリンクを参照。
4月、5月、6月、7月、8月、9-10月
Bryce Harperのデビュー戦(4月28日)、Desmondの劇的逆転サヨナラ弾(5月2日)、Harperの初サヨナラ打(6月5日)、Bernadinaの延長12回サヨナラ「キャッチ!」(8月7日)、そして負けたとはいえ地区優勝決定戦(10月1日)。などなど、数多の好試合がありましたが、その中でも個人的にシーズンの転換点となったと思うのが、7月21日のこの試合。
2位ブレーブスを迎えての4連戦の3戦目。前日の初戦を、5回を終えて9-0とリードしながら延長11回で敗れるという記録的な逆転負けを喫し、この日のダブルヘッダーの第1戦も完封負け。シリーズ前にあった2.5ゲーム差のリードが0.5まで縮み、この試合に負ければ5月22日以来守ってきた地区首位の座から陥落するという試合でした。正直に言うと、このままずるずる行くのではないかと半分くらいは思っていました。しかし、今季初先発のJohn Lannanが素晴らしい仕事をしてくれて、結果は5-2で快勝。翌日も勝ってゲーム差を2.5に戻してシリーズを終了すると、そのまま6連勝。以後2.0ゲーム差以内に詰め寄られることはありませんでした。決して劇的な試合ではありませんでしたが(Lannan初登板というセンチメンタルな面はあったにせよ)、シーズンの流れという意味では極めて大きな試合でした。
チーム・スタッツも振り返っておきます。
打撃成績は平均よりは良いものの、30球団最高勝率の原動力という感じではありません。総得点は10位(30球団中。以下同じ)、チーム打率.261は9位、出塁率.322は12位と、並みよりちょっと上くらい。長打率.428は6位、194本塁打は8位ということで長打は多かったようですが、1325三振は4位と相変わらず大振りが目立ちました。105盗塁は14位タイ。
チームを引っ張ったのは何と言っても投手力。防御率3.34、WHIP 1.22は2位(1位はいずれもレイズ)。1325奪三振(くしくも打者が三振した数と同じ)は4位で、26位(1049奪三振)だった昨季との違いが際立っています。守備は、94エラー、UZR/150 2.2はいずれも8位でした。
この上ない素晴らしいレギュラーシーズンだったと言っていいと思います。楽しい夏をありがとう。
今年からPHASE 2とタイトルを改めた当ブログですが、まさに今季のナショナルズは昨季までと全く違う戦いを展開してくれました。
最終成績は98勝64敗。球団ワシントン移転後初の勝ち越しを達成したのみならず、初の地区優勝、さらには30球団でも最高勝率を記録しました。得失点差でも+137は30球団トップ。全ての月で勝ち越しを記録するなど、完璧なレギュラーシーズンを送りました。
毎月の戦いぶりについては次のリンクを参照。
4月、5月、6月、7月、8月、9-10月
Bryce Harperのデビュー戦(4月28日)、Desmondの劇的逆転サヨナラ弾(5月2日)、Harperの初サヨナラ打(6月5日)、Bernadinaの延長12回サヨナラ「キャッチ!」(8月7日)、そして負けたとはいえ地区優勝決定戦(10月1日)。などなど、数多の好試合がありましたが、その中でも個人的にシーズンの転換点となったと思うのが、7月21日のこの試合。
2位ブレーブスを迎えての4連戦の3戦目。前日の初戦を、5回を終えて9-0とリードしながら延長11回で敗れるという記録的な逆転負けを喫し、この日のダブルヘッダーの第1戦も完封負け。シリーズ前にあった2.5ゲーム差のリードが0.5まで縮み、この試合に負ければ5月22日以来守ってきた地区首位の座から陥落するという試合でした。正直に言うと、このままずるずる行くのではないかと半分くらいは思っていました。しかし、今季初先発のJohn Lannanが素晴らしい仕事をしてくれて、結果は5-2で快勝。翌日も勝ってゲーム差を2.5に戻してシリーズを終了すると、そのまま6連勝。以後2.0ゲーム差以内に詰め寄られることはありませんでした。決して劇的な試合ではありませんでしたが(Lannan初登板というセンチメンタルな面はあったにせよ)、シーズンの流れという意味では極めて大きな試合でした。
チーム・スタッツも振り返っておきます。
打撃成績は平均よりは良いものの、30球団最高勝率の原動力という感じではありません。総得点は10位(30球団中。以下同じ)、チーム打率.261は9位、出塁率.322は12位と、並みよりちょっと上くらい。長打率.428は6位、194本塁打は8位ということで長打は多かったようですが、1325三振は4位と相変わらず大振りが目立ちました。105盗塁は14位タイ。
チームを引っ張ったのは何と言っても投手力。防御率3.34、WHIP 1.22は2位(1位はいずれもレイズ)。1325奪三振(くしくも打者が三振した数と同じ)は4位で、26位(1049奪三振)だった昨季との違いが際立っています。守備は、94エラー、UZR/150 2.2はいずれも8位でした。
この上ない素晴らしいレギュラーシーズンだったと言っていいと思います。楽しい夏をありがとう。
2012/12/22
Jacksonはカブス、Gorzelannyがブリューワーズへ
シーズン終了後ナショナルズからFAとなっていたEdwin Jacksonがカブスと4年5200万ドルという大型契約で合意しました。昨オフは思ったような契約が得られず、ナショナルズと1年契約。しっかりローテーションを守ってしっかりした成績を残し、再度FA市場に参戦。念願の長期契約を手にしました。しかも、トレード拒否条項付き。5度のトレードを経験し、これまで7球団を渡り歩いた(たらいまわしにされてきた)Jacksonでしたが、ようやくシカゴで落ち着くことができそうです。心から、良かったね、と言ってあげたいです。
ちなみに、昨オフまでの代理人はScott Borasでしたが、長く待ち過ぎて失敗したと評価したのでしょう、シーズン中に代理人を変えていました。
一点疑問が残るとすれば、ドラフト補償ピックをもらうための約1300万ドルの1年契約をナショナルズが提示しなかったこと。上記のように長期契約を求めるJacksonの意思は比較的明らかだったので、提示しても拒否されていただろうにと残念でなりません。このような巨額契約を得られる選手と見ていなかったということでしょうから、フロントの判断ミスといわざるを得ません。(可能性として考えられるのは、今季契約を結んだ際に、そのような契約をオファーしないという合意があった可能性。ドラフト指名権を失うとなるとオファーを躊躇する球団が出てくるため、選手にとっては不利となりますから、Jacksonがそのような要求をしていても不思議はありません。)
++++++++++++++++++++++
もう1人、ノン・テンダーFAとなったTom Gorzelannyがブリューワーズと2年570万ドルで合意。
ナショナルズが保有しようとすれば年俸調停を経て1年300万ドル以上だったでしょうから、やはり市場価値はそこまでなかったということ。それでも、2年契約を得たのは立派。ナショナルズブルペンでの活躍が評価されたというのは嬉しいですね。ブリューワーズでも基本的にブルペンに入ると見られますが、ローテーション下位は流動的なので、先発機会もあるかもしれません。
ちなみに、昨オフまでの代理人はScott Borasでしたが、長く待ち過ぎて失敗したと評価したのでしょう、シーズン中に代理人を変えていました。
一点疑問が残るとすれば、ドラフト補償ピックをもらうための約1300万ドルの1年契約をナショナルズが提示しなかったこと。上記のように長期契約を求めるJacksonの意思は比較的明らかだったので、提示しても拒否されていただろうにと残念でなりません。このような巨額契約を得られる選手と見ていなかったということでしょうから、フロントの判断ミスといわざるを得ません。(可能性として考えられるのは、今季契約を結んだ際に、そのような契約をオファーしないという合意があった可能性。ドラフト指名権を失うとなるとオファーを躊躇する球団が出てくるため、選手にとっては不利となりますから、Jacksonがそのような要求をしていても不思議はありません。)
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もう1人、ノン・テンダーFAとなったTom Gorzelannyがブリューワーズと2年570万ドルで合意。
ナショナルズが保有しようとすれば年俸調停を経て1年300万ドル以上だったでしょうから、やはり市場価値はそこまでなかったということ。それでも、2年契約を得たのは立派。ナショナルズブルペンでの活躍が評価されたというのは嬉しいですね。ブリューワーズでも基本的にブルペンに入ると見られますが、ローテーション下位は流動的なので、先発機会もあるかもしれません。
2012/12/19
BA: 2013 Nationals Top 10 Prospects
3/28 追記。
A. J. Cole が4位にランクされることが明らかとなりましたので下のリストを更新しておきます。
++++++++++++++
BAのプロスペクト・ランキングが発表されました(元記事)。
1. Anthony Rendon, 3B
2. Lucas Giolito, RHP
3. Brian Goodwin, OF
4. A. J. Cole, RHP
5. Matt Skole, 3B
6. Nate Karns, RHP
7. Christian Garcia, RHP
8. Eury Perez, OF
9. Sammy Solis, LHP
10. Matt Purke, LHP
11. Zach Walters, SS
○昨年のランキングからは、Bryce HarperとSteve Lombardozziが卒業。Alex Meyerがトレード。8位以下のDestin Hood、Chris Marrero、Michael Taylorの3人がいずれも不振でランク外に落ち、6人が入れ替わりました。
○トップ4は、順番はともかく顔ぶれは順当。Fangraphsでは13位と低い評価だったKarnsが5位。このくらいかなという印象。6位のGarciaの高い評価には驚きました。27歳のブルペン右腕なのに(先発として試されるようですが)。
○Purkeも9位に入り、Giolito、Solis、Purkeと故障からのリハビリ中の投手が3人も。ふむむ。全体に層の薄さを感じざるを得ません。
A. J. Cole が4位にランクされることが明らかとなりましたので下のリストを更新しておきます。
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BAのプロスペクト・ランキングが発表されました(元記事)。
1. Anthony Rendon, 3B
2. Lucas Giolito, RHP
3. Brian Goodwin, OF
4. A. J. Cole, RHP
5. Matt Skole, 3B
6. Nate Karns, RHP
7. Christian Garcia, RHP
8. Eury Perez, OF
9. Sammy Solis, LHP
10. Matt Purke, LHP
11. Zach Walters, SS
○昨年のランキングからは、Bryce HarperとSteve Lombardozziが卒業。Alex Meyerがトレード。8位以下のDestin Hood、Chris Marrero、Michael Taylorの3人がいずれも不振でランク外に落ち、6人が入れ替わりました。
○トップ4は、順番はともかく顔ぶれは順当。Fangraphsでは13位と低い評価だったKarnsが5位。このくらいかなという印象。6位のGarciaの高い評価には驚きました。27歳のブルペン右腕なのに(先発として試されるようですが)。
○Purkeも9位に入り、Giolito、Solis、Purkeと故障からのリハビリ中の投手が3人も。ふむむ。全体に層の薄さを感じざるを得ません。
2012/12/16
Lannanがフィリーズと契約
John Lannanがフィリーズと契約。
「よりによって」という印象ですが、どこに行ってもLannanはLannan。これからも応援していきます。私だけでなく多くのナショナルズファンも、決して裏切り者という印象は持っていない様子。ナショナルズパークで投げることがあってもブーイングを浴びることはないでしょう。
1年250万ドルで、インセンティブを満たすと500万ドルという契約。もうちょっといい契約はなかったのかと思いますが、まずはメジャーのローテーション投手としてきちんと評価されたことで良しとしましょう。
戦力的にはマッチします。Roy Halladay、Cliff Lee、Cole Hamelsの三本柱は揃っているものの、今季併せて43試合に先発したJoe BlantonとVance Worleyがいなくなり、Kyle Kendrick以外はメジャーで結果を残していないマイナー投手(Tyler Cloyd等)しか残っていない状況。実績のある先発投手があと1人は必要でした。Halladayは故障リスクがそろそろ大きくなっていることも考えると、Lannanのようなシーズン通して計算できる投手は打ってつけ。期待されているはずです。
「よりによって」という印象ですが、どこに行ってもLannanはLannan。これからも応援していきます。私だけでなく多くのナショナルズファンも、決して裏切り者という印象は持っていない様子。ナショナルズパークで投げることがあってもブーイングを浴びることはないでしょう。
1年250万ドルで、インセンティブを満たすと500万ドルという契約。もうちょっといい契約はなかったのかと思いますが、まずはメジャーのローテーション投手としてきちんと評価されたことで良しとしましょう。
戦力的にはマッチします。Roy Halladay、Cliff Lee、Cole Hamelsの三本柱は揃っているものの、今季併せて43試合に先発したJoe BlantonとVance Worleyがいなくなり、Kyle Kendrick以外はメジャーで結果を残していないマイナー投手(Tyler Cloyd等)しか残っていない状況。実績のある先発投手があと1人は必要でした。Halladayは故障リスクがそろそろ大きくなっていることも考えると、Lannanのようなシーズン通して計算できる投手は打ってつけ。期待されているはずです。
2012/12/11
Fangraphs: 2013 Nationals Top 15 Prospects
3月28日追記。
全体100位リストを見ると、Giolitoの次にA.J. Coleがランクインしているので、組織内4位ということと判断し、リストを更新しました。
++++++++++++++++
各サイトの先陣を切ってFangraphsのMarc Huletがトップ15を発表していました(元記事)。
1. Brian Goodwin, OF
2. Anthony Rendon, 3B
3. Lucas Giolito, RHP
4. A. J. Cole, RHP
5. Matt Skole, 3B
6. Sammy Solis, LHP
7. Jeff Kobernus, 2B
8. Eury Perez, OF
9. Daniel Rosenbaum, LHP
10. Sandy Leon, C
11. Zach Walters, SS
12. Robbie Ray, LHP
13. Destin Hood, OF
14. Nathan Karns, RHP
15. Tony Renda, 2B
16. Brett Mooneyham, LHP
○間の悪いことにルール5ドラフトの翌日。6位にKobernus、8位にRosenbaumが入っていて、なおさらがっかりさせてくれました。この2人を除いて後日改訂するそうです。
○Rendonではなく、Goodwinを1位としたのにはかなり驚きました。Rendonの故障リスクをかなり重く見ている様子。
○Rosenbaumの評価が意外に高く、逆にKarnsの評価が意外に低い。シーズン防御率6.56のRayのほうが2.17のKarnsより上というのはどうなんでしょうか(守備の影響等を除いたFIPでもKarnsの2.27に対してRayは5.00)。年齢差かな(Karns 24歳、Ray 20歳)。
○名前がなくて驚いたのはMatt Purke。肩の故障からの復帰は難しいと見られているのか。他に、Cristian Garcia、Chris Marreroといったメジャー経験者もまだルーキー資格を持っていますが、放置されています。
全体100位リストを見ると、Giolitoの次にA.J. Coleがランクインしているので、組織内4位ということと判断し、リストを更新しました。
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各サイトの先陣を切ってFangraphsのMarc Huletがトップ15を発表していました(元記事)。
1. Brian Goodwin, OF
2. Anthony Rendon, 3B
3. Lucas Giolito, RHP
4. A. J. Cole, RHP
5. Matt Skole, 3B
6. Sammy Solis, LHP
7. Jeff Kobernus, 2B
8. Eury Perez, OF
9. Daniel Rosenbaum, LHP
10. Sandy Leon, C
11. Zach Walters, SS
12. Robbie Ray, LHP
13. Destin Hood, OF
14. Nathan Karns, RHP
15. Tony Renda, 2B
16. Brett Mooneyham, LHP
○間の悪いことにルール5ドラフトの翌日。6位にKobernus、8位にRosenbaumが入っていて、なおさらがっかりさせてくれました。この2人を除いて後日改訂するそうです。
○Rendonではなく、Goodwinを1位としたのにはかなり驚きました。Rendonの故障リスクをかなり重く見ている様子。
○Rosenbaumの評価が意外に高く、逆にKarnsの評価が意外に低い。シーズン防御率6.56のRayのほうが2.17のKarnsより上というのはどうなんでしょうか(守備の影響等を除いたFIPでもKarnsの2.27に対してRayは5.00)。年齢差かな(Karns 24歳、Ray 20歳)。
○名前がなくて驚いたのはMatt Purke。肩の故障からの復帰は難しいと見られているのか。他に、Cristian Garcia、Chris Marreroといったメジャー経験者もまだルーキー資格を持っていますが、放置されています。
2012/12/07
ルール5ドラフト
ウィンター・ミーティング最終日。FA、トレードともナショナルズ関連の動きはありませんでした。
恒例のルール5ドラフト。数年前には全体1位を持っていたので「誰を取るか」という関心で見ていましたが、今年は全体30位ですから「誰が取られるか」と心配していました。
結果は予想通りナショナルズは1人も指名せず。逆に4人を失いました。
【MLB フェーズ】
Daniel Rosenbaum, LHP →COL(全体3位)
Jeff Kobernus, 2B →DET(全体7位でBOSが指名し、即座にトレード)
オフの補強状況次第ではあるものの、2人ともAAAでの開幕が予想され、メジャーの選手に故障が重なれば(今季の捕手のような状況)2013年中のメジャーデビューもあるところまで来ていましたので、シーズンを戦うデプスとしてはちょっと痛い。MLBフェーズで選ばれた選手はシーズンを通じてメジャー25人ロースターに入っていられなければ原則として返却されるので、帰ってくる可能性に期待しています(現に昨年の2人は2人とも帰ってきた)。といってもRosenbaumは再建中のロッキーズなので無理してでも残すかもしれませんね。えっ? ロッキーズ!? ロッキーズなんだ・・・。フライボール系投手のRosenbaumにはかなり厳しい試練が待っていそうです。Kobernusはア・リーグ優勝チームのタイガースなので残るのは至難の業でしょう。もし残れたらそれはそれで立派。それにしても、投手プロスペクトは本当にいなくなってしまいました。
【AAA フェーズ】
Jack McGeary, LHP→ BOS
Hector Nelo, RHP→LAD
AAAフェーズの選手の処遇には特に制限はなく、マイナーに配属されることが想定されます。そして返却される可能性はありません。McGearyは私がブログを始めた2008年当時のトッププロスペクトでした。TJ手術があったりしましたが、6シーズンを終えてPotomac(A+)にさえ昇格したことがないと全くの期待はずれ。マサチューセッツ出身なので地元のレッドソックスから指名されて嬉しいんじゃないでしょうか。Neloは25歳の剛速球系ブルペン投手。今季はAAで防御率2点台と結果を残していたので、それなりに評価されているのかと思いましたが、プロテクトしてなかったんですね。
ちなみにAAAフェーズの1位でアストロズがMichael Burgessを指名していました。McGearyと同期の2007年ドラフト1順目で、Tom Gorzelannyとのトレードの中心選手としてカブスに行きましたが、伸び悩んでいた模様。
恒例のルール5ドラフト。数年前には全体1位を持っていたので「誰を取るか」という関心で見ていましたが、今年は全体30位ですから「誰が取られるか」と心配していました。
結果は予想通りナショナルズは1人も指名せず。逆に4人を失いました。
【MLB フェーズ】
Daniel Rosenbaum, LHP →COL(全体3位)
Jeff Kobernus, 2B →DET(全体7位でBOSが指名し、即座にトレード)
オフの補強状況次第ではあるものの、2人ともAAAでの開幕が予想され、メジャーの選手に故障が重なれば(今季の捕手のような状況)2013年中のメジャーデビューもあるところまで来ていましたので、シーズンを戦うデプスとしてはちょっと痛い。MLBフェーズで選ばれた選手はシーズンを通じてメジャー25人ロースターに入っていられなければ原則として返却されるので、帰ってくる可能性に期待しています(現に昨年の2人は2人とも帰ってきた)。といってもRosenbaumは再建中のロッキーズなので無理してでも残すかもしれませんね。えっ? ロッキーズ!? ロッキーズなんだ・・・。フライボール系投手のRosenbaumにはかなり厳しい試練が待っていそうです。Kobernusはア・リーグ優勝チームのタイガースなので残るのは至難の業でしょう。もし残れたらそれはそれで立派。それにしても、投手プロスペクトは本当にいなくなってしまいました。
【AAA フェーズ】
Jack McGeary, LHP→ BOS
Hector Nelo, RHP→LAD
AAAフェーズの選手の処遇には特に制限はなく、マイナーに配属されることが想定されます。そして返却される可能性はありません。McGearyは私がブログを始めた2008年当時のトッププロスペクトでした。TJ手術があったりしましたが、6シーズンを終えてPotomac(A+)にさえ昇格したことがないと全くの期待はずれ。マサチューセッツ出身なので地元のレッドソックスから指名されて嬉しいんじゃないでしょうか。Neloは25歳の剛速球系ブルペン投手。今季はAAで防御率2点台と結果を残していたので、それなりに評価されているのかと思いましたが、プロテクトしてなかったんですね。
ちなみにAAAフェーズの1位でアストロズがMichael Burgessを指名していました。McGearyと同期の2007年ドラフト1順目で、Tom Gorzelannyとのトレードの中心選手としてカブスに行きましたが、伸び悩んでいた模様。
2012/12/05
ウィンター・ミーティング事実上終了
ウィンター・ミーティング3日目。
ナショナルズに動きなし。それどころか、ウィンター・ミーティングは明日木曜日まであるというのに、Rizzo GMもJohnson監督ももう仕事を終えたとばかりに水曜日午後にそれぞれ帰途に着いたらしいです。木曜日の午前中にルール5ドラフトがあって終了なのですが、ナショナルズは指名しないということでしょうね(全体30位ですから、いい選手が残っているとも思えませんが)。
++++++++++++++++
その他。
・Dan Harenの身体検査は木曜日にワシントンで行われる予定。
・FAとなっていたSean Burnettがエンゼルスと2年800万ドル(+3年目オプション)で合意。意外と安い印象。これなら戻って来てくれても良かったのに。
・Adam LaRocheとの交渉は進展なし。球団側は、クリスマスまでに決着が付けばいいとゆったり構えているようです。長引くなあ。
・John Lannanには11球団が関心を示している模様。もちろんその中にナショナルズは含まれていません。。。。
ナショナルズに動きなし。それどころか、ウィンター・ミーティングは明日木曜日まであるというのに、Rizzo GMもJohnson監督ももう仕事を終えたとばかりに水曜日午後にそれぞれ帰途に着いたらしいです。木曜日の午前中にルール5ドラフトがあって終了なのですが、ナショナルズは指名しないということでしょうね(全体30位ですから、いい選手が残っているとも思えませんが)。
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その他。
・Dan Harenの身体検査は木曜日にワシントンで行われる予定。
・FAとなっていたSean Burnettがエンゼルスと2年800万ドル(+3年目オプション)で合意。意外と安い印象。これなら戻って来てくれても良かったのに。
・Adam LaRocheとの交渉は進展なし。球団側は、クリスマスまでに決着が付けばいいとゆったり構えているようです。長引くなあ。
・John Lannanには11球団が関心を示している模様。もちろんその中にナショナルズは含まれていません。。。。
Dan Harenと契約合意(1年1300万ドル)
ウィンター・ミーティング2日目。
まだ身体検査が残っているので正式に契約したわけではありませんが、FAのDan Haren投手と1年1300万ドルの契約に合意したようです。(→12月7日、身体検査をクリアし、正式に契約)
Dan Haren (2012 for LAA)
30G(30GS) 12W13L 176.2IP 38BB 142K 4.33/1.29
32歳の先発右腕。2001年ドラフト2巡目でカージナルスに大卒入団。2003年にメジャーデビューを果たし、2005年オフにMark Mulderの対価パッケージの一人としてアスレティックスにトレードされて才能が開花。Dバックス、エンゼルスへとトレードされながらも、8年連続で12勝以上と安定した結果を残してきました。
最も速かった頃でも90マイルを少し越える程度と特に球が速いわけではなく、キレと制球で勝負するタイプ。球種は、ツーシームが主体で、小さく曲がるカッター、それに先発投手としては珍しくスプリッターを武器としており、空振り三振が取れる投手でシーズン200奪三振も3度記録しています。もう1つの大きな特徴は四球が少ないこと。9イニングあたり1.89という数字は、僅差でRoy Halladayに次ぐ現役2位。
そして、なんといってもその鉄腕ぶり。昨季まで7年連続で33先発、200イニング以上(つまりフルシーズン、ローテーションを守ったということ)。今季は股関節と背中の痛みにより7月にDL入りし、200イニングを切って防御率も今ひとつとやや不本意なシーズンを送りましたが、それでも30先発で12勝としっかりローテーション投手としての仕事はしました。
来季は1500万ドルの球団オプションがありましたが、これを破棄され、FAになっていました。Yahoo!のランキングでは全体で9位、投手で4位のFAとランクされていましたので、もう少しいい条件で契約するかと思っていましたが、意外にも早いタイミングで合意してくれまいた。故障への懸念で多くの球団が二の足を踏んでいるとの情報が流れ本人が期待したようなマーケットが出来なかったと推測されます。ナショナルズとの1年契約を選んだのは、今季のEdwin Jacksonと同じで、市場価値を高めて来オフに再度FA市場に出ることを狙ってのことではないでしょうか。
ナショナルズでは先発ローテーションの柱の1人として期待されます。懸念は何といっても故障の程度ですが、今から言ってもしかたない。オフにしっかり休養、治療して、元気にキャンプインを迎えてくれることを願うばかりです。
球団側としては、ややギャンブル性は高いものの、本来の価値からすればかなりお買い得な契約。Edwin JacksonあるいはJohn Lannanに比べればアップグレード。いい補強と評価できるでしょう。
+++++++++++++++
その他のナショナルズ関連の情報。
・そういうわけで先発投手マーケットからは撤収。噂となっていたレイズとのトレード話はとりあえず消滅。もちろんZach Greinkeも。
・ブルペン左腕探しでは J.P. Howellに関心を示しているとのこと。(29歳とまだ若いし、条件さえ合えば大歓迎。)
・Adam LaRocheとの交渉は進展なし。Rizzo GMは2年契約の線は譲らないと明言、3年目のオプションさえ付けたくないようです。(交渉戦術かもしれませんが、支持します。3年目は不要。)
まだ身体検査が残っているので正式に契約したわけではありませんが、FAのDan Haren投手と1年1300万ドルの契約に合意したようです。(→12月7日、身体検査をクリアし、正式に契約)
Dan Haren (2012 for LAA)
30G(30GS) 12W13L 176.2IP 38BB 142K 4.33/1.29
Image by Fox Sports |
最も速かった頃でも90マイルを少し越える程度と特に球が速いわけではなく、キレと制球で勝負するタイプ。球種は、ツーシームが主体で、小さく曲がるカッター、それに先発投手としては珍しくスプリッターを武器としており、空振り三振が取れる投手でシーズン200奪三振も3度記録しています。もう1つの大きな特徴は四球が少ないこと。9イニングあたり1.89という数字は、僅差でRoy Halladayに次ぐ現役2位。
そして、なんといってもその鉄腕ぶり。昨季まで7年連続で33先発、200イニング以上(つまりフルシーズン、ローテーションを守ったということ)。今季は股関節と背中の痛みにより7月にDL入りし、200イニングを切って防御率も今ひとつとやや不本意なシーズンを送りましたが、それでも30先発で12勝としっかりローテーション投手としての仕事はしました。
来季は1500万ドルの球団オプションがありましたが、これを破棄され、FAになっていました。Yahoo!のランキングでは全体で9位、投手で4位のFAとランクされていましたので、もう少しいい条件で契約するかと思っていましたが、意外にも早いタイミングで合意してくれまいた。故障への懸念で多くの球団が二の足を踏んでいるとの情報が流れ本人が期待したようなマーケットが出来なかったと推測されます。ナショナルズとの1年契約を選んだのは、今季のEdwin Jacksonと同じで、市場価値を高めて来オフに再度FA市場に出ることを狙ってのことではないでしょうか。
ナショナルズでは先発ローテーションの柱の1人として期待されます。懸念は何といっても故障の程度ですが、今から言ってもしかたない。オフにしっかり休養、治療して、元気にキャンプインを迎えてくれることを願うばかりです。
球団側としては、ややギャンブル性は高いものの、本来の価値からすればかなりお買い得な契約。Edwin JacksonあるいはJohn Lannanに比べればアップグレード。いい補強と評価できるでしょう。
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その他のナショナルズ関連の情報。
・そういうわけで先発投手マーケットからは撤収。噂となっていたレイズとのトレード話はとりあえず消滅。もちろんZach Greinkeも。
・ブルペン左腕探しでは J.P. Howellに関心を示しているとのこと。(29歳とまだ若いし、条件さえ合えば大歓迎。)
・Adam LaRocheとの交渉は進展なし。Rizzo GMは2年契約の線は譲らないと明言、3年目のオプションさえ付けたくないようです。(交渉戦術かもしれませんが、支持します。3年目は不要。)
2012/12/04
ありがとう Lannan
2012年11月30日、ナショナルズはJohn Lannanに対して来季の契約を結ばないことを通告。これにより、Lannanはいわゆるノン・テンダーFAとして退団することになりました。(下の写真は2012年10月1日、ナショナルズのユニフォームを着ての最後の登板を終え、マウンドを降りる姿)
John Lannan (6 seasons for Nationals)
134G(134GS) 42W52L 783.2IP 296BB 410K 4.01/1.42
心の準備は出来ていたのでショックはありません。マイナーリーグ・オプションがもう1つ残っていた(2008年シーズンの最初のオプションが日数要件を満たしていなかったためノーカウント)ことがつい先日確認され、もしかすると残留もあるかもしれないと内心わずかに期待(心配)していたのですが、やはり大方の予想通りノン・テンダー。今季年俸500万ドルから調停プロセスでさらに多少上がることになる年俸と、ナショナルズ首脳陣の評価が合っていないことは周知の事実でしたから、マイナーのデプスとして飼い殺しにされた今季の二の舞になるくらいならこれで良かったんだと思います。ローテーション投手として活躍できる環境は他球団に必ずあるはず。盛大な拍手で送り出してあげたいと思います。
でもやっぱり、2008年からずっと見てきたファンとしては寂しいですね・・・。
まず来歴。ナショナルズとなって最初のドラフトとなった2005年ドラフトの11順目(1順目はRyan Zimmerman)。トッププロスペクトとして期待されたことは一度もありませんでしたが(参考まで、2006年BAランキング、2007年BAランキング)、22歳、Potomac(A+)で開幕を迎えた2007年シーズンに突如、覚醒。A+で2.13(8試合)、AAで3.25(6試合)、AAAで1.66(7試合)と好投を続けると、元々層が薄かった先発投手陣が故障もあって本当にいなくなってしまったというチーム事情もあって、7月26日のフィリーズ戦でメジャーデビュー。Chase UtleyとRyan Howardに連続死球を与えて退場となる伝説的なデビュー戦でした。ここまでは私がこのブログを始める前の話。
2008年。私がブログを始めて7つ目、2008年2月7日付のスプリングトレーニングに向けてのアウトルックを書いた記事がLannanに言及した最初の記事でした。
ジョン・ラナン(John Lannan)はマイナーで好投し7月にメジャーに昇格したものの定着できませんでした。しかし、07年のチームのMinor League Pitcher of the Yearに選ばれたように潜在能力は高く評価されており、左腕ということもあってローテーション入りへの期待は大きいです。
迎えたスプリングトレーニングでは5試合に先発し、防御率2.18、WHIP1.16と十分な結果を残しましたが、開幕投手となったOdalis Perezと、前年に実績を残した(といっても7勝9敗、防御率4.63の)Matt Chicoに押し出される形で開幕直前にマイナー行き通告を受けました。が、開幕早々DL入りしたChad Corderoに代わって昇格し、4月6日の試合で先発すると、以降メジャーリーガーとしての地位を確立していきました。
2008年はTim Reddingに次ぐチーム2位の9勝。開幕投手を努めた2009年は、103敗を喫した最悪のチーム状態の中でチーム最多の9勝と孤軍奮闘。7月21日のメッツ戦では(これまでの)キャリアでただ1度の完封も記録しました。2010年にも2年連続の開幕投手。この年は不振で6月下旬から約1か月AAへの降格も味わいましたが、8月に復帰すると残りの11先発で6勝と完全復活。翌2011年には、(これまでで)ベストのシーズン防御率3.70、そして念願の2桁10勝を記録し、投手として一皮向けた印象もありました。速球に威力がなく制球重視で打たせて取る投手という印象が強い投手でしたが、2010年8月に再昇格した頃からは球速が常時90マイルを越えるようになり、奪三振率も上がっていました。そういう意味でも進化しており、大いに期待していました。
ところが。迎えた2012年。Stephen Strasburg、Jordan Zimmermannの台頭、Gio Gonzalezのトレード獲得、そしてEdwin JacksonのFA獲得により層が厚くなった先発投手陣にあって、球団の戦力構想から外れていることが徐々に明らかになっていきます。スプリングトレーニングではローテーションの残り1枠を王建民、Ross Detwilerと争う立場で迎えると、王の故障もあってローテーション入りはほぼ確実かと思われながら、開幕直前にマイナー行きを通告されました。トレード志願を表明したものの、500万ドルの年俸を負担して引き取る球団は現れず。不本意な気持ちでAAAで投げていたことは想像に難くなく、特のシーズン序盤はAAAでも打ち込まれる試合が多く、ますますトレード価値としては下がってしまいました。それでも徐々に調子を取り戻し、7月と8月にようやく巡ってきたスポット登板の機会ではいずれも白星。そして9月にはイニングリミットでシーズン終了となったStrasburgの穴を埋めて、9月の4先発で2勝とチームに貢献してくれました。これまでの功労者に報いる意味でもディビジョンシリーズのロースターには入れてあげたかったというのが個人的な気持ちでしたが、チームの判断は非情なものでした。この時点で今回のノン・テンダーはほぼ確実かなと思いました。
結局、Lannanがナショナルズのユニフォームを着て投げた最後の試合は10月1日のフィリーズ戦となりました。負け投手にこそなりましたが、5回を2失点と好投で締めくくりました。なにより、ナショナルズが球団史上初の地区優勝を決めた記念すべき試合の先発投手を務めたという記録が残りました。あの試合を球場で観戦できたのも何かの縁かな、なんて思います。
こうして積み上げてきたLannan のナショナルズでの6年間の記録は次の通り。カッコ内はナショナルズ歴代のランク(2位となっているもののの1位は全てLivan Hernandez)。
134先発(1)
783.2 投球イニング(2)
42 勝利(2)
52 敗戦(1)
410 奪三振(2)
820 被安打(2)
77 被本塁打(2)
393 失点(2)
296 与四球(1)
30 与死球(1)
ナショナルズの弱い時代を支え続けてくれたのがLannanでした。ありがとう。さようなら。
といっても28歳。まだまだキャリアは続くはず。新天地での活躍を期待しています。
John Lannan (6 seasons for Nationals)
134G(134GS) 42W52L 783.2IP 296BB 410K 4.01/1.42
Patrick McDermott - Getty Image |
でもやっぱり、2008年からずっと見てきたファンとしては寂しいですね・・・。
まず来歴。ナショナルズとなって最初のドラフトとなった2005年ドラフトの11順目(1順目はRyan Zimmerman)。トッププロスペクトとして期待されたことは一度もありませんでしたが(参考まで、2006年BAランキング、2007年BAランキング)、22歳、Potomac(A+)で開幕を迎えた2007年シーズンに突如、覚醒。A+で2.13(8試合)、AAで3.25(6試合)、AAAで1.66(7試合)と好投を続けると、元々層が薄かった先発投手陣が故障もあって本当にいなくなってしまったというチーム事情もあって、7月26日のフィリーズ戦でメジャーデビュー。Chase UtleyとRyan Howardに連続死球を与えて退場となる伝説的なデビュー戦でした。ここまでは私がこのブログを始める前の話。
2008年。私がブログを始めて7つ目、2008年2月7日付のスプリングトレーニングに向けてのアウトルックを書いた記事がLannanに言及した最初の記事でした。
ジョン・ラナン(John Lannan)はマイナーで好投し7月にメジャーに昇格したものの定着できませんでした。しかし、07年のチームのMinor League Pitcher of the Yearに選ばれたように潜在能力は高く評価されており、左腕ということもあってローテーション入りへの期待は大きいです。
迎えたスプリングトレーニングでは5試合に先発し、防御率2.18、WHIP1.16と十分な結果を残しましたが、開幕投手となったOdalis Perezと、前年に実績を残した(といっても7勝9敗、防御率4.63の)Matt Chicoに押し出される形で開幕直前にマイナー行き通告を受けました。が、開幕早々DL入りしたChad Corderoに代わって昇格し、4月6日の試合で先発すると、以降メジャーリーガーとしての地位を確立していきました。
2008年はTim Reddingに次ぐチーム2位の9勝。開幕投手を努めた2009年は、103敗を喫した最悪のチーム状態の中でチーム最多の9勝と孤軍奮闘。7月21日のメッツ戦では(これまでの)キャリアでただ1度の完封も記録しました。2010年にも2年連続の開幕投手。この年は不振で6月下旬から約1か月AAへの降格も味わいましたが、8月に復帰すると残りの11先発で6勝と完全復活。翌2011年には、(これまでで)ベストのシーズン防御率3.70、そして念願の2桁10勝を記録し、投手として一皮向けた印象もありました。速球に威力がなく制球重視で打たせて取る投手という印象が強い投手でしたが、2010年8月に再昇格した頃からは球速が常時90マイルを越えるようになり、奪三振率も上がっていました。そういう意味でも進化しており、大いに期待していました。
ところが。迎えた2012年。Stephen Strasburg、Jordan Zimmermannの台頭、Gio Gonzalezのトレード獲得、そしてEdwin JacksonのFA獲得により層が厚くなった先発投手陣にあって、球団の戦力構想から外れていることが徐々に明らかになっていきます。スプリングトレーニングではローテーションの残り1枠を王建民、Ross Detwilerと争う立場で迎えると、王の故障もあってローテーション入りはほぼ確実かと思われながら、開幕直前にマイナー行きを通告されました。トレード志願を表明したものの、500万ドルの年俸を負担して引き取る球団は現れず。不本意な気持ちでAAAで投げていたことは想像に難くなく、特のシーズン序盤はAAAでも打ち込まれる試合が多く、ますますトレード価値としては下がってしまいました。それでも徐々に調子を取り戻し、7月と8月にようやく巡ってきたスポット登板の機会ではいずれも白星。そして9月にはイニングリミットでシーズン終了となったStrasburgの穴を埋めて、9月の4先発で2勝とチームに貢献してくれました。これまでの功労者に報いる意味でもディビジョンシリーズのロースターには入れてあげたかったというのが個人的な気持ちでしたが、チームの判断は非情なものでした。この時点で今回のノン・テンダーはほぼ確実かなと思いました。
結局、Lannanがナショナルズのユニフォームを着て投げた最後の試合は10月1日のフィリーズ戦となりました。負け投手にこそなりましたが、5回を2失点と好投で締めくくりました。なにより、ナショナルズが球団史上初の地区優勝を決めた記念すべき試合の先発投手を務めたという記録が残りました。あの試合を球場で観戦できたのも何かの縁かな、なんて思います。
こうして積み上げてきたLannan のナショナルズでの6年間の記録は次の通り。カッコ内はナショナルズ歴代のランク(2位となっているもののの1位は全てLivan Hernandez)。
134先発(1)
783.2 投球イニング(2)
42 勝利(2)
52 敗戦(1)
410 奪三振(2)
820 被安打(2)
77 被本塁打(2)
393 失点(2)
296 与四球(1)
30 与死球(1)
ナショナルズの弱い時代を支え続けてくれたのがLannanでした。ありがとう。さようなら。
といっても28歳。まだまだキャリアは続くはず。新天地での活躍を期待しています。
Zach Dukeと再契約
恒例のウィンター・ミーティングが始まりました。毎年、多くのFA選手の契約やトレードが行わてきました(ナショナルズは一昨年Jason Werthと契約)。
いろいろな情報が飛び交っていますが、ナショナルズの最初の動きはFAのZach Duke投手との再契約でした。
Zach Duke (2012 Season for Nationals and Syracuse Chiefs(AAA))
MLB: 8G 1W0L0 13.2IP 4BB 10K 1.32/1.10
AAA: 26G(26GS) 15W5L 164.1IP 39BB 91K 3.51/1.32
29歳の左腕投手。パイレーツ時代にはオールスター選出も経験。Dバックスを経て、今季はナショナルズとマイナー契約。先発投手としてメジャー昇格の機会はありませんでしたが、AAAのローテーションでしっかり結果を残し、9月に昇格。ロングリリーフとして好投した後FAとなっていました。ロングリリーフが基本で、スポットスタート要員として期待されます。今季のTom Gorzelannyの役回り。契約金額は不明ですが、Gorzelannyの400百万ドルよりは低いことでしょう。
+++++++++++++++++
Bill Bray投手とマイナー契約。
Bill Bray (2012 for CIN)
14G 8.2IP 14BB 7K 5.19/2.31
29歳のブルペン左腕。エキスポスとしての最後のドラフトとなった2004年のドラフト1巡目(全体13位)で入団。最初からブルペン投手。2006年6月にナショナルズでメジャー・デビューしましたが、その直後の7月に、Austin Kearns、Felipe Lopezなどが絡む大型トレードでレッズに移籍。それから今季まで、途中TJ手術による1年半のブランクを挟みながらも、典型的な対左打者用の左投手としてそれかなりに活躍してきました。ベストシーズンは2011年。79試合に登板して防御率2.98、WHIP 1.08、左打者は.180/.265/.292と抑えました。その過労がたたったか、今季は太ももと背中の痛みで不本意なシーズンとなってしまいましたが、まだ29歳ということもあり、ワンポイントの左投手としてはやっていける可能性は残されています。ちなみに、バージニア州のバージニア・ビーチ出身のローカル・ボーイ。翌年にドラフトされたRyan Zimmermanと同じ街の出身で1歳年長です。
+++++++++++++++++
この他、ウィンター・ミーティング1日目のナショナルズをめぐる情報は次のとおり。
・レッドソックスがMike Napoliと契約したためAdam LaRocheからは撤退。レンジャーズもあまり関心は示していない模様。ということで、ナショナルズとの再契約が有力視されつつあります。(契約条件さえととのえば、もちろん歓迎です。)
・LaRocheが再契約となるとポジションがなくなるMichael Morseについてトレードの噂が飛び交っています。Rizzo GMも幾つかのチームから照会を受けたと明らかにしていますが、こちらから売り込むことはしていないようです。(言ってるだけかもしれませんが、Morseの気持ちを考えるとこうしたコメントは大事ですね。)
・トレード相手として浮上しているのがレイズ。先発投手がややダブついているので、先発5番手を探しているナショナルズとはマッチするということでしょうか。James ShieldsとMorseを軸に、Danny Espinosaも絡むとか絡まないとか。(Shieldsは確かに魅力的ですが、レギュラー2人を放出するとなるとやや気が引けます。)
・FAの先発投手をめぐる噂にナショナルズは出てきません。(Zach Greinkeだけはお断りします。)
・Sean Burnettには8球団が関心を示している様子。もちろんナショナルズも含まれていますが、旗色は良くない模様。(Dukeとも契約したことだし、他を当たりましょう。)
いろいろな情報が飛び交っていますが、ナショナルズの最初の動きはFAのZach Duke投手との再契約でした。
Zach Duke (2012 Season for Nationals and Syracuse Chiefs(AAA))
MLB: 8G 1W0L0 13.2IP 4BB 10K 1.32/1.10
AAA: 26G(26GS) 15W5L 164.1IP 39BB 91K 3.51/1.32
29歳の左腕投手。パイレーツ時代にはオールスター選出も経験。Dバックスを経て、今季はナショナルズとマイナー契約。先発投手としてメジャー昇格の機会はありませんでしたが、AAAのローテーションでしっかり結果を残し、9月に昇格。ロングリリーフとして好投した後FAとなっていました。ロングリリーフが基本で、スポットスタート要員として期待されます。今季のTom Gorzelannyの役回り。契約金額は不明ですが、Gorzelannyの400百万ドルよりは低いことでしょう。
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Bill Bray投手とマイナー契約。
Bill Bray (2012 for CIN)
14G 8.2IP 14BB 7K 5.19/2.31
29歳のブルペン左腕。エキスポスとしての最後のドラフトとなった2004年のドラフト1巡目(全体13位)で入団。最初からブルペン投手。2006年6月にナショナルズでメジャー・デビューしましたが、その直後の7月に、Austin Kearns、Felipe Lopezなどが絡む大型トレードでレッズに移籍。それから今季まで、途中TJ手術による1年半のブランクを挟みながらも、典型的な対左打者用の左投手としてそれかなりに活躍してきました。ベストシーズンは2011年。79試合に登板して防御率2.98、WHIP 1.08、左打者は.180/.265/.292と抑えました。その過労がたたったか、今季は太ももと背中の痛みで不本意なシーズンとなってしまいましたが、まだ29歳ということもあり、ワンポイントの左投手としてはやっていける可能性は残されています。ちなみに、バージニア州のバージニア・ビーチ出身のローカル・ボーイ。翌年にドラフトされたRyan Zimmermanと同じ街の出身で1歳年長です。
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この他、ウィンター・ミーティング1日目のナショナルズをめぐる情報は次のとおり。
・レッドソックスがMike Napoliと契約したためAdam LaRocheからは撤退。レンジャーズもあまり関心は示していない模様。ということで、ナショナルズとの再契約が有力視されつつあります。(契約条件さえととのえば、もちろん歓迎です。)
・LaRocheが再契約となるとポジションがなくなるMichael Morseについてトレードの噂が飛び交っています。Rizzo GMも幾つかのチームから照会を受けたと明らかにしていますが、こちらから売り込むことはしていないようです。(言ってるだけかもしれませんが、Morseの気持ちを考えるとこうしたコメントは大事ですね。)
・トレード相手として浮上しているのがレイズ。先発投手がややダブついているので、先発5番手を探しているナショナルズとはマッチするということでしょうか。James ShieldsとMorseを軸に、Danny Espinosaも絡むとか絡まないとか。(Shieldsは確かに魅力的ですが、レギュラー2人を放出するとなるとやや気が引けます。)
・FAの先発投手をめぐる噂にナショナルズは出てきません。(Zach Greinkeだけはお断りします。)
・Sean Burnettには8球団が関心を示している様子。もちろんナショナルズも含まれていますが、旗色は良くない模様。(Dukeとも契約したことだし、他を当たりましょう。)
2012/12/01
Lannan, Flores, GorzelannyがFA
今年もこの季節が来ました。球団の支配下にありながら来年の契約を結んでいない選手に対する球団側からの契約提示期限。若手選手との関係では単なる形式行事に過ぎませんが、年俸調停対象選手(すなわち年俸が上昇する選手)に対しては球団として難しい選択が迫られました。
今年のナショナルズはなんと10人もの選手が年俸調停対象でした。うち、Roger Bernadina、Tyler Clippard、Ian Desmond、Ross Detwiler、Craig Stammen、Drew Storen、Jordan Zimmermannの7選手には契約を提示しましたが、Jesus Flores、Tom Gorzelanny、そしてJohn Lannanの3選手に対しては契約を提示せずFAとなることを認めました(いわゆるnon-tender FA)。
Jesus Flores (5 seasons with Nationals)
311G 1014PA 23HR 127RBI .241/.289/.375 1SB
2006年のルール5ドラフトでメッツから獲得して以来、長くナショナルズに所属。一時は将来の正捕手として期待され、特に2009年シーズンは開幕から好調でこのままレギュラーをつかむかと思われた矢先の5月9日、打者Justin Uptonのファールチップが右肩を直撃。この一プレーが運命を変えてしまいました。この影響で2009年、2010年シーズンはほぼ全休。2011年にようやく復帰しましたが(Wilson Ramosの存在はともかく)打撃も守備も元の水準には戻りませんでした。当時の私の記事では全く触れていませんし、ハイライトにも映像はありませんが、確かに痛そうだったことを記憶しています。今季年俸は100万ドル未満であり、金銭的にはもう1年置いておくこともできたと思いますが、Ramosに加えてKurt Suzuki、さらにマイナーにもSandy Leonなどがおり、チームに居場所がなくなりました。どこかでキャリアを再生させてくれることを願わずにはいられません。
Tom Gorzelanny (2 seasons with Nationals)
75G 16GS (8W8L1SV) 117.0IP 157K 3.56/1.30
2010年のオフにカブスからのトレードで入団。当初は先発で起用されましたが、安定感がなくブルペンに転向。今季はブルペン左腕として、特にロングリリーフとしてまずまずの好投。戦力的には置いておきたいところでしたが、こちらは今季年俸の300万ドルから上昇が見込まれるとあり、高過ぎるという判断になったようです。マイナーの上層にいい左腕がいないことを思うと置いておけば良かったのではないかと思いましたが、代わりを見つけてくる当てがあるということでしょう。
Lannanについては別に記事を書く予定です。
+++++++++++++++++++++++++++
他球団の様子を見ると、まず目立つのがジャイアンツからFAとなったBrian Wilson。一昨年のワールドシリーズ制覇の立役者でしたが、今季はTommy Johnで全休したと思ったらあっさり・・・。その他の目に付いた選手は以下の通り。
Brian Wilson, RHP (SF)
Mark Reynolds, 1B (BAL)
Geovany Soto, C (TEX)
Mike Pelfrey, RHP (NYM)
Jair Jurrjens, RHP (ATL)
Wil Nieves, C (ARI)
今年のナショナルズはなんと10人もの選手が年俸調停対象でした。うち、Roger Bernadina、Tyler Clippard、Ian Desmond、Ross Detwiler、Craig Stammen、Drew Storen、Jordan Zimmermannの7選手には契約を提示しましたが、Jesus Flores、Tom Gorzelanny、そしてJohn Lannanの3選手に対しては契約を提示せずFAとなることを認めました(いわゆるnon-tender FA)。
Jesus Flores (5 seasons with Nationals)
311G 1014PA 23HR 127RBI .241/.289/.375 1SB
2006年のルール5ドラフトでメッツから獲得して以来、長くナショナルズに所属。一時は将来の正捕手として期待され、特に2009年シーズンは開幕から好調でこのままレギュラーをつかむかと思われた矢先の5月9日、打者Justin Uptonのファールチップが右肩を直撃。この一プレーが運命を変えてしまいました。この影響で2009年、2010年シーズンはほぼ全休。2011年にようやく復帰しましたが(Wilson Ramosの存在はともかく)打撃も守備も元の水準には戻りませんでした。当時の私の記事では全く触れていませんし、ハイライトにも映像はありませんが、確かに痛そうだったことを記憶しています。今季年俸は100万ドル未満であり、金銭的にはもう1年置いておくこともできたと思いますが、Ramosに加えてKurt Suzuki、さらにマイナーにもSandy Leonなどがおり、チームに居場所がなくなりました。どこかでキャリアを再生させてくれることを願わずにはいられません。
Tom Gorzelanny (2 seasons with Nationals)
75G 16GS (8W8L1SV) 117.0IP 157K 3.56/1.30
2010年のオフにカブスからのトレードで入団。当初は先発で起用されましたが、安定感がなくブルペンに転向。今季はブルペン左腕として、特にロングリリーフとしてまずまずの好投。戦力的には置いておきたいところでしたが、こちらは今季年俸の300万ドルから上昇が見込まれるとあり、高過ぎるという判断になったようです。マイナーの上層にいい左腕がいないことを思うと置いておけば良かったのではないかと思いましたが、代わりを見つけてくる当てがあるということでしょう。
Lannanについては別に記事を書く予定です。
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他球団の様子を見ると、まず目立つのがジャイアンツからFAとなったBrian Wilson。一昨年のワールドシリーズ制覇の立役者でしたが、今季はTommy Johnで全休したと思ったらあっさり・・・。その他の目に付いた選手は以下の通り。
Brian Wilson, RHP (SF)
Mark Reynolds, 1B (BAL)
Geovany Soto, C (TEX)
Mike Pelfrey, RHP (NYM)
Jair Jurrjens, RHP (ATL)
Wil Nieves, C (ARI)
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