2016/02/28

Ian Desmondが(ようやく)レンジャーズと契約

ようやく、Ian Desmondの新天地が決まりました。下記のように、おそらくはDesmondにとっては不本意な契約ではないかと思いますが、既にスプリングトレーニングが始まっており開幕に向けた調整という観点からギリギリのタイミング。

なにはともあれ、決まってよかったと思います。

契約したのはテキサス・レンジャーズ。1年800万ドル。ショートではなく、レフトを中心にユーティリティとして起用される見込みです。

1年800万ドルというのはかなりショッキングな数字です。11月にナショナルズが提示したQO(1580万ドル)の半額に終わってしまいました。さらに、ナショナルズが2013年の開幕前に契約延長を申し出た際の1億ドルを超える金額と比べれば、1/10以下です。いずれのオファーも蹴ったDesmondとしては悔いが残っているはず。

救いは、1年契約ですから、今季しっかりとした結果を残せば次のオフに大きな契約を得られる可能性が残されていることでしょう。

とはいえ、環境はかなり厳しいと言わざるを得ないでしょう。レンジャーズが今回Desmondと契約したのは、もっぱら開幕から出遅れることが明らかなJosh Hamiltonが復帰するまでの間のレフトとしてのようです。Hamiltonが復帰してきた後は、ユーティリティとしての起用になる見込み。残念ながら、ショートとしての出場機会はほとんど与えられないはずです。なぜなら、デビューから7年連続で145試合以上に出場し、今季27歳となるElvis Andrusがレンジャーズのショートストップとして不動のレギュラーの地位を築いているため。Andrusが故障しない限り機会は回ってこないでしょう。それでも、Hamiltonが順調に復活するかどうかははなはだ不透明ですし、それなりに出場機会は与えられるはず。まずはシーズン開幕直後に与えられるであろう機会にしっかり結果を残すことです。開幕直後はDesmondが毎年苦しむ季節ですが、そんなことは言ってられません。頑張ってください。

それにしても、QOに伴うドラフト指名権の喪失がこれほどまでにFA市場に影響を及ぼすとは。この1年800万ドルという数字は、元ナショナルズで言えば(先発として全くダメでシーズン途中にロングリリーフに転向させられた)Doug Fisterがアストロズと結んだ1年700万ドルとほぼ同じ。やはり何か変ですよね。今オフのQO対象選手で、一番最初に契約したZimmermannと、最後まで残ることになったDesmondの間で、これほど大きく明暗が分かれることになったというのも、何かを示しているはずです。

さて、ナショナルズの立場からすれば、これにより、ドラフト指名権が得られることとなりました。元々持っていた1順目18位指名権はDaniel Murphyと契約したために放棄しましたが、QOを提示したJordan ZimmermannとDesmondが他球団と契約したため、(現時点で)28位と29位の指名権を持つことになりました。今年の6月は楽しめそうですね。

ともかく、誰が何と言おうと私はDesmondの大ファンです。次のオフこそいい契約が得られるよう頑張ってください。応援しています!

2016/02/25

15-16 FA選手ランキング

[2月25日 最終更新]
野手も含めたスプリングトレーニングがいよいよ始まりました。この直前に、Dexter Fowler、Yovani Gallardo(メディカルでひっかかって少しもめたようですが)の2人がオリオールズと契約し、QOを受けた選手で所属先が決まらないのはIan Desmondだけとなってしまいました。上位30選手でもちろんただ1人。2013年のオフにナショナルズからの1億ドルを超える契約延長オファーを蹴ったという経緯が報じられているため、ナショナルズファンの中でも冷たい反応もありますが、私としては、長くナショナルズを支えてきたDesmondがこのような目に遭っていることに悲しい気持ちです。1日も早くいい契約を得られることを願っています。

※2月26日修正。Dexter Fowlerは一度はオリオールズとの3年契約に合意したと報じられましたが、結局Fowler側の方針変更で、カブスとの1年契約を選びました。オリオールズが1年後の契約解除条項(オプトアウト)を飲まなかったためと言われています。

[2月9日更新]
スーパーボウルも終わり、スプリングトレーニングまで10日ほど。日本のプロ野球は既にキャンプインし、アメリカでもいよいよ野球の季節が近づいてきました。が、まだ多くのFA選手の所属が決まっていません。前回更新以降、元ナショナルズではDoug Fister、Tyler Clippard、Craig Stammen、Roger Bernadinaといった面々が行先を確定しましたが、Ian Desmondがまだ・・・。Cilppardの契約内容も思っていたよりずっと悪いものとなってしまいましたし、なんだか世知辛いオフです。

[1月24日更新]
Cespedesは結局メッツと契約。3年7500万ドルはナショナルズが提示した5年1億ドルより総額では小さいものとなりましたが、1年平均2500万ドルは圧倒的に大きく、また1年後にオプトアウトできる条項もついており(1年で契約が終了する場合は2016年の年俸は2750万ドルという野手史上2位の年俸)、内容としてはあまり変わらないものでした。とはいえ、最終的に決め手になったのは、Cespedes自身の「ニューヨークが好き」という気持ちだったようです。こちらから願い下げです。

[1月22日更新]
かなり動きが緩慢なこのオフのFA市場。我らがIan Desmondを含めて野手は結構売れ残っていますが、QOを受けていたChris DavisとAlex Gordonがそれぞれ古巣のオリオールズとロイヤルズに戻るなどし、徐々に行き先が決まりつつあります。

トップ10の大物はYoenis Cespedesを残すのみとなりましたが、ここでナショナルズが5年契約を提示したとの情報も流れています。Ben Revereのトレードで外野は固まったようにも見えていたので、契約すればまさかという感じです。もっとも、そんな資金があるならBryce HarperかStephen Strasburgと契約延長してくれよとは思いますが、相手がScott Borasでは難しいのでしょうか。もっともCespedes本人はメッツに戻りたい意向のようなで、勝手にすればという感じです。

[12月17日更新]
ウィンターミーティングも終わって一段落ついたところ。これまでにトップ50のうち26人が契約に合意しています。投手陣が早く決まり、野手のマーケットはなかなか進んでいないという印象。元ナショナルズのJordan Zimmermannが全体でも最も早いタイミングでタイガースと合意。最高額は、総額ではDavid Priceがレッドソックスと合意した217百万ドル、1年平均ではあのZack GreinkeのDバックスとの契約となっています。

[11月10日オリジナル]
ここ数年参考にさせて頂いてきたYahoo!のランキングがいつまでも発表にならないので、今年はSIのBen Reiterの記事の引用にしました。トップ50にナショナルズからFAとなった選手が4人含まれています。

と思ったら、Yahoo!の記事もありました(こちら)が、並べ替えるのが面倒なのでもういいです。

1. David Price, SP →BOS: 217M/7y
2. Zack Greinke, SP(QO) →ARI: 206.5M/6y
3. Jason Heyward, OF (QO) →CHC: 184M/8y
4. Yoenis Cespedes, OF →NYM: 75M/3y
5. Justin Upton, OF (QO)→DET: 132.75M/6y
6. Jordan Zimmermann, SP (QO) →DET: 110M/5y
7. Chris Daivs, 1B (QO)→BAL: 161MM/7y
8. Alex Gordon, OF (QO)→KC: 72M/4y
9. Matt Wieters, C →BAL: QO(15.8M/1y)
10. Johnny Cueto, SP →SF:130M/6y
11. Mike Leake, SP→STL: 80M/5y
12. Dexter Fowler, OF (QO)→BAL:33M/3y→CHC: 13M/1y
13. Ian Desmond, SS (QO)
14. Wei Yin Chen, SP (QO)→MIA: 80M/5y
15. Marco Estrada, SP →TOR: QO(26M/2y)
16. Gerardo Parra, OF→ COL: 27.5M/3y
17. Daniel Murphy, 2B (QO) → WAS: 37.5/3y
18. Jeff Samardzija, SP (QO) →SF: 90M/5y
19. Ben Zoblist, INF/OF →CHC: 56M/4y
20. Scott Kazmir, SP→ LAD: 48M/3y
21. Howie Kendrick, 2B (QO)→LAD: 20M/2y
22. Hisashi Iwakuma, SP (QO) →LAD: 45M/3y → SEA: 12M/1y
23. Denard Span, OF→ SF: 31M/3y
24. Joakim Soria, RP →KC: 25M/2y
25. Colby Rasmus, OF →HOU: QO(15.8M/1y)
26. John Lackey,SP (QO) →CHC: 32M/2y
27. Steve Pearce, OF→ TB: 4.75M/1y
28. Darren O'Day, RP →BAL: 31M/4y
29. Asdrubal Cabrera, SS →NYM: 18.5M/2y
30. Ian Kennedy, SP (QO)→KC: 70M/5y
31. Tyler Clippard, RP→ARI: 12.25M/2y
32. Brett Anderson, SP →LAD: QO(15.8M/1y)
33. Austin Jackson, OF
34. Ryan Madson, RP →OAK: 22M/3y
35. Alexei Ramirez, SS→SD: 4M/1y
36. Yovani Gallardo, SP (QO)→BAL: 22M/2y
37. Marlon Byrd, OF
38. Doug Fister, SP→HOU: 7M/1y
39. Antonio Bastardo, RP→NYM: 12M/2y
40. David Freese, 3B
41. Nori Aoki, OF →SEA: 5.5M/1y
42. Chris Young, OF →BOS: 13M/2y
43. Chris Young, SP →KC: 12M/2y
44. Rajai Davis, OF →CLE: 5.25M/1y
45. Mike Napoli, 1B →CLE: 7M/1y
46. Tony Sipp, RP →HOU: 18M/3y
47. Alex Avila, C →CHW: 2.5M/1y
48. J.A.Happ, SP → TOR: 36M/3y
49. Dominic Brown, OF
50. Bartolo Colon, SP →NYM: 7.25M/1y

Craig Stammen, RHP → CLE: Minor
Matt Thornton, LHP
Dan Uggla, IF
Casey Janssen, RHP → SD: minor
Nate McLouth, OF
Joe Beimel, RP
Jerry Blevins, RP →NYM: 4M/1y
Ross Detwiler, RP→CLE: minor
Tom Gorzelanny, RP→CLE: minor
Edwin Jackson, RP→MIA: 0.507/1y
Ross Ohlendorf, RP→ KC: minor
Justin Maxwell, OF → MIA: minor
Roger Bernadina, OF → NYM: minor

2016 ST Outlook (Former Nats)

さてプレ・スプリングトレーニング・シリーズの最終回は、恒例の元ナショナルズたちの情報です。太字はメジャー40人枠選手、NRIはNon-Roster-Inviteeの略、マイナー契約招待選手。目立つのはインディアンズとロイヤルズのNRIのブルペン投手陣ですね。

開幕ロースター入りを目指してがんばってください。

(2月25日現在)

BAL: NA

BOS: Danny Rosenbaum, LHP(NRI), Dan Butler, C(NRI), Sandy Leon, C(NRI),

TB: Steven Souza Jr., OF

NYY: NA

TOR: Drew Storen, RHP, Marco Estrada, RHP, Pat McCoy, RHP(NRI)

CHW: Adam LaRoche, DH, Steve Lombardozzi, 2B(NRI), Matt Purke, LHP(NRI)

CLE: Zach Walters, OF, Craig Stammen, RHP(NRI), Ross Detwiler, LHP(NRI), Tom Gorzelanny, LHP(NRI), Michael Martinez, 2B(NRI)

DET: Jordan Zimmermann, RHP, Nate Schierholtz, OF(NRI), Logan Kensing, RHP(NRI)

KC: Chris Young, RHP, John Lannan, LHP(NRI), Ross Ohlendorf, RHP(NRI), Chien-Ming Wang, RHP(NRI), Ross Ohlendorf, RHP(NRI)

MIN: Kurt Suzuki, C, Tommy Milone, LHP, Alex Meyer, RHP, Fernando Abad, LHP(NRI), Aaron Thompson, LHP(NRI)

HOU: Doug Fister, RHP, Brad Peacock, RHP, Eury Perez, OF(NRI)

LAA: Yunel Escobar, 3B, Yunesky Maya, RHP(NRI)

OAK: Billy Burns, OF, Jake Smolinski, OF

SEA: Nathan Karns, RHP

TEX: NA

ATL: Ian Krol, LHP, Emilio Bonifacio, 2B

MIA: Edwin Jackson, RHP, Adrian Nieto, C(NRI), Destin Hood, OF(NRI), Justin Maxwell, OF(NRI)

NYM: Asdrubal Cabrera, SS, Jerry Blevins, LHP, Josh Smoker, LHP, Roger Bernadina, OF(NRI)

PHI: Emmanuel Burriss, 2B(NRI)

CHC: NA

CIN: Ryan Mattheus, RHP(NRI), A.J. Morris, RHP(NRI)

MIL: NA

PIT: Michael Morse, 1B

STL: NA

ARI: Tyler Clippard, RHP, Robbie Ray, LHP, Carlos Rivero, 3B(NRI)

COL: NA

LAD: Corey Brown, OF(NRI)

SD: Derek Norris, C, Casey Janssen, RHP(NRI)

SF: Denard Span, OF

※所属が決まっていない主な元ナショナルズ
Ian Desmond, SS, Matt Thornton, LHP, Dan Uggla, 2B, Joe Beimel, LHP

2016/02/24

Sickels: Nationals Top 20 Prospects

Minor League BallのJohn Sickelsのナショナルズ・プロスペクトランキング(元記事)が発表されました。

上位の顔ぶれにあまり驚きはありません。珍しい名前は、15位のMax Schrockくらい。逆に漏れている選手は、Blake Perkins、Drew Ward、Jakson Reetzといったまだ結果は残していない高卒入団野手。まあ、そういう傾向なんでしょう。

Grade A
1. Lucas Giolito, RHP 
Grade A- 
2. Trea Turner, SS
Grade B/B+
3. Victor Robles, OF
Grade B 
4. Reynaldo Lopez, RHP
5. A.J. Cole
Grade B/B-
6. Erick Fedde, RHP
Grade B-
7. Wilmer Difo, SS
8. Anderson Franco, 3B
9. Austin Voth, RHP
Grade B-/C+
10. Andrew Stevenson, OF
Grade C+
11. Osvaldo Abreu, INF
12. Rafael Bautista, OF
13. Chris Bostick, INF
14. Pedro Severino, C
15. Max Schrock, 2B
16. Rhett Wiseman, OF
Grade C+/C
17. Raudy Read, C
18. Abel De Los Santos, RHP
19. Koda Glover, RHP
20. Nick Lee, LHP

2016/02/23

MLB.com: Nationals Top 30 Prospects

MLB.comのナショナルズのプロスペクトランキングが出ました(リンク)。

1. Lucas Gioilto, RHP
2. Trea Turner, SS
3. Victor Robles, OF
4. Erick Fedde, RHP
5. Reynaldo Lopez, RHP
6. Wilmer Difo, SS
7. A.J. Cole, RHP
8. Andrew Stevenson, OF
9. Austin Voth, RHP
10. Pedro Severino, C
11. Blake Perkins, OF
12. Osvaldo Abreu, SS
13. Anderson Franco, 3B
14. Drew Ward, 3B
15. Juan Soto, OF
16. Rafael Bautista, OF
17. Jakson Reetz, C
18. Joan Baez, RHP
19. Koda Glover, RHP
20. Austen Williams, RHP
21. Spencer Kieboom, C
22. Abel de Los Santos, RHP
23. Rhett Wiseman, OF
24. Edwin Lora, SS 
25. Taylor Hearn, LHP
26. Kelvin Gutierrez, 3B
27. Raudy Read, C
28. Nick Lee, LHP
29. Matt Skole, 1B/3B
30. Chris Bostick, 2B/SS

プロスペクトと呼べる選手は殆ど入っていますが、昨秋のアリゾナ秋季リーグで好投したJohn Simms、昨年の高卒入団で上々のプロデビューを果たした左腕Tyler Watsonの2人、野手では(いくら株が下がったとはいえ)Brian Goodwinの名前があったもいいのにな、と思います。

2016/02/22

2016 ST Outlook 5 (Outfielders)

●オフの動き
Denard SpanがFA退団。昨季は不本意なシーズンとなりましたが、ジャイアンツと3年契約を得ています。一方、ナショナルズは、最初はJason Heyward、年明けにはYoenis Cespedesに真剣な興味を示し契約提示までしたようですが、前者はカブス、後者はメッツを選択。結局、1月にブルージェイズからBen Revereをトレード獲得するに至りました。

●スプリングトレーニングの見所
[40 man Roster]
Bryce Harper
Jason Werth
Ben Rereve
Michael Taylor
Matt den Dekker
Brian Goodwin
[Non-Roster Invitees]
Tony Campana
Logan Schafer
Reed Johnson
Chris Heisey

左からJayson Werth、Revere、Bryce Harperがレギュラーで、Michael Taylorが第4の外野手という形が基本構想と思われますが、いよいよ衰えが隠せなくなってきたWerthが本当にレギュラーとして使えるだけの状態で開幕を迎えることができるか。最初のポイントはそこになるでしょう。

Revereの加入によって第4の外野手に下がる形となったTaylorですが、(Werthが開幕ベンチスタートとなるかどうかは別として)何らかの形で出番は多く回ってくるはず。間違っても開幕をSyracuse(AAA)で迎えるなどという事態にならないよう、しっかり調整、アピールしてください。

上記の4人が故障に見舞われない限り、外野手の枠はおそらくあと1つ。40人ロースターのMatt den Dekkerにマイナー契約のReed JohnsonChris HeiseyLogan Schaferを加えたベテラン陣が争うことになりそうです。昨シーズン意外パンチ力を見せたden Dekkerが有力かと思いますが、レギュラー候補がDL開幕という可能性もあるので、高いレベルの競争が展開されることを期待したいところ。

また、右のベンチバットということでは、内野手のTyler MooreとHeiseyとの争いという見方もできます。40人ロースターに入っていてオプションが切れているMooreですが、相手がマイナー契約のHeiseyということであれば互角の勝負かもしれません。

若手の参加はBrian Goodwinのみ。伸び悩んだ上に故障もあり、プロスペクトとしての期待感はほとんど失われていますが、今オフに参加したベネズエラのウィンターリーグでいい動きを見せていたとのレポートも入っています。ここが正念場と思って頑張ってください。

2016/02/21

2016 ST Outlook 4 (Infielders)

●オフの動き
長らくショートのレギュラーを務めてくれたIan DesmondがFAで退団(現時点で未だに所属先なしという心配な状態ですが)。さらに、昨季Anthony Rendonの故障で空いたサードの穴をしっかり埋めてくれたYunel Escobarはエンゼルスへトレード。Dan UgglaもFA退団。

一方、補強の動きとしては、オフに入ってすぐに二塁手と外野を守れるBen Zobristに関心を示しましたが、カブスとの争奪戦に敗れ、FAの二塁手、Daniel Murphyと契約。このオフ、ナショナルズがドラフト指名権を放棄してまで獲得したFA選手は、このMurphyだけでした。その後、Stephen Drewともメジャー契約を結んでいます。

●スプリングトレーニングの見所
[40 man Roster]
Ryan Zimmerman
Daniel Murphy
Danny Espinosa
Anthony Rendon
Stephen Drew
Clint Robinson
Tyler Moore
Wimer Difo
Trea Turner
Chris Bostick
[Non-Roster Invitees]
Jason Martinson
Matt Skole
Brendan Ryan
Scott Sizemore

ファーストRyan Zimmerman、セカンドMurphy、サードRendonが故障さえなければ確定でしょう。

注目はショート。Danny Espinosaが有力視されますが、スプリングトレーニングの結果によってはDrewが起用される可能性もあり、さらにトッププロスペクトのTrea Turnerも競争に加わると見られます。Turnerが次代のレギュラーということでは衆目一致していますが、その時期が今季の開幕からになる可能性もあるようです。個人的には、Espinosaに機会を与えてやりたいですね。元々はショートとしての守備力も一級品でありながら、打力に優るDesmondがいたためにセカンドに追いやられていた選手。本職に戻ってどういうプレーを見せてくれるでしょうか。Turnerにももちろん頑張って欲しい。開幕からとはいわずとも、シーズン中にショートのレギュラーを奪い取る足がかりになるような活躍を期待しています。

ベンチは、左の長距離砲(及びファーストの控え)としてのClint Robinson、セカンド・ショートの控えとしてのDrew(あるいは競争に敗れればEspinosa)までは当確と見られます。

順当なら(外野手との兼ね合いもありますが)、残りは1枠。本来ならば、オプション切れのTyler Mooreが長打のある右打者として入ってくるべきところですが、特に代打としての成績は惨憺たるものがあり、簡単には当確とは言えない立場。外野手のChris Heiseyあたりと競争する立場となります。長く見てきたファンとしては、しっかり勝ち抜いてほしいと応援しています。

Turner以外の若手も充実しています。Turnerに続く二遊間のプロスペクトであるWilmer DifoChris Bostickにとっては、シーズン中に故障が発生した時には読んでもらえるようアピールする機会。マイナー招待選手には、(プロスペクトと呼ぶには年齢が上がり過ぎたとはいえ一時は期待された)Matt SkoleJason Martinsonの一三塁の2人。メジャーリーガーへの夢をかけた最大かつ最後の挑戦となります。みんな頑張って、当確選手たちに故障が発生した場合には、ベテラン勢からではなく、この若手の中から選ばれるくらいにアピールしてくれるといいな、と思います。

2016/02/19

ロースター異動まとめ(2016年2月)

2/18 Matt BelisleとBurke Badenhopの両ブルペン右腕とマイナー契約

●Matt BelisleとBurke Badenhopの両ブルペン右腕とマイナー契約
キャンプ直前の2月17日にMatt Belisle投手と、18日にはBurke Badenhop投手とそれぞれマイナ―契約で合意しました。2人とも昨季の実績としては悪くないので、開幕ブルペンを争いう資格は十分あります。

Belisleは、35歳になるブルペン右腕。レッズ、ロッキーズで長く投げ、特にロッキーズでは5年連続60試合以上登板と、ブルペンの中心として活躍。昨季はカージナルスに所属し、ヒジの故障で6月から9月半ばまで休んだため34試合の登板にとどまりましたが、防御率は2.67。健康ならまだまだ通用するようです。

Badenhopは、昨季はレッズで投げていた33歳ブルペン右腕。過去4年は毎年チームを変えながら、60試合以上に登板し、安定した結果を残してきました。昨季の防御率は3.93と高くなっていますが、大乱調だった4月(防御率15点台)を除くと2.58の好成績。レッズが400万ドルのオプションを行使しなかった(150万ドルの違約金を支払って)ため、FAとなっていました。持ち球はシンカーで奪三振率が高くないため、終盤を任せるという感じはありませんが、開幕メジャー入りも十分可能性のある投手です。

2016/02/18

2016 ST Outlook 3 (Bullpen)

●オフの動き
最も激しい動きがあったにも関わらず最も重要な動きはなかった、という印象が残るオフとなりました。

まず、Casey JanssenMatt Thorntonの両ベテランがFA退団。年俸調停対象だったCraig StammenもノンテンダーFAとして退団。また、あまり活躍できなかったDavid Carpenterをリリース。ここまでが11月中の動き。

12月に入ると逆に補強の動きが活発になり、いずれもFAのOliver PerezYusmeiro PetitShawn Kelleyと契約するとともに、エンゼルスからTrevor Gottをトレード獲得。この間、ブルペン投手では今オフ最大の目玉と言われたDarren O'Dayにも関心を示し、契約提示まで至ったようですが、結局オリオールズとの再契約を許しました。

そして、1月8日にはDrew Storenをブルージェイズにトレード放出。大きくブルペンメンバーが入れ替ることとなりました。

しかし、しかし、しかし。今オフの最大の課題であったはずのJonathan Papelbonの放出は未だに実現されていません。年俸1100万ドル、悪評高い素行などあらゆる面でトレードするのは至難の業と思われますが、ただ解雇するだけならいつでもできるはず。今すぐ実行してくれることを期待して止みません。

●スプリングトレーニングの見所
[40 man Roster]
Shawn Kelley
Oliver Perez
Yusmeiro Petit
Trevor Gott
Blake Treinen
Felipe Rivero
Aaron Barrett
Abel De Los Santos
Matt Grace
Nick Lee
Rafael Martin
Sammy Solis
Jonathan Papelbon
[Non-Roster Invitees]
Nick Masset
Wander Suero
Sean Burnett
Erik Davis
Michael Brady
Matt Belisle
Burke Badenhop

全く承服できませんが、現状のままならクローザーはPapelbon。その場合、セットアッパーを誰が務めることになるかがスプリングトレーニングの注目点となります。最有力と言われているのは、新加入のKelley。ただ、将来のクローザー昇格を考えると、Gottや昨シーズンの最終盤Papelbonが出場停止になった後にクローザーを務めて結果を残したFelipe Riveroにも期待がかかります。この3人が基本的に7-8回の要員。スプリングトレーニングでの投球内容次第でBlake Treinenがここに割り込む可能性もありますが、3人よりは少し期待感は低いかな。Petitはロングリリーフ、O. Perezは対左打者と、役割がはっきりしています。

Papelbonの放出がなければ、以上の7人が開幕ブルペンの有力候補。

7人を追うのが、いずれも昨季ナショナルズでメジャーデビューを果たしたAbel De Los Santos(右)、Matt Grace(左)、Rafael Martin(右)、Sammy Solis(左)の若手4人。特に、Solisは昨年9月に再昇格してからの8試合はいずれも無失点と好投(無四球8奪三振と内容も文句なし)。スプリングトレーニングでも結果を残せば、可能性は十分でしょう。

Aaron Barrettは昨年9月に受けたTJ手術からのリハビリ中。早くてもリハビリ登板は秋でしょう。
この他、若手では、12月に40人ロースターに追加されたばかりのNick Lee(左)とマイナー契約のWander Suero(右)の2人に注目。Sueroはドミニカ出身の24歳の右腕。プロスペクトとしての評価は決して高くありませんが、Leeとともに隠れた原石かと密か期待しています。

ベテラン勢では、なんと言ってもSean Burnettの復帰が目立ちます。とはいえ2012年のオフにナショナルズをFA退団して契約を結んだエンゼルスでは全く活躍できず、2014年にはTJ手術。昨季はなんと1年間浪人してリハビリに励んでいたという状況ですから、開幕ブルペン入りを期待するのは酷というもの。まずはしっかり投げられるところを見せて、ナショナルズか他球団かは別として今季中のメジャー復帰につなげてくれれば十分でしょう。

その他のベテランでは、キャンプイン直前になってマイナー契約を結んだ、Matt BelisleBurke Badenhopの2人が昨年の実績から見ると有力。若手のほうを応援したいところですが、オプションの関係なんかで結果的にベテランが残されるような気もします。

最後に、Papelbonを放出する決断に至った場合に誰がクローザーを務めるかですが、私はRiveroに任せてみたいと思います。必要なところで三振が取れるボールを持っている投手はそうそういません。その点、Riveroは95マイル超の速球と鋭いスライダーの組み合わせを武器に、しっかり三振を取ってきました。いや、別に贅沢は言いません。Riveroでなくてもいいです。Papelbonでさえなければ.........

2016/02/16

2016 ST Outlook 2 (Starting Pitchers)

●オフの動き
昨季のローテーション投手のうちJordan ZimmermannDoug Fisterの2人がFAとなり、それぞれタイガースとアストロズと契約。一方の補強は、何人かFAの投手に関心を示しているとのうわさもありましたが、最終的には故障上がりのBronson Arroyoとマイナー契約を結んだくらいでした。

●スプリングトレーニングの見所
[40 man Roster]
Stephen Strasburg
Max Scherzer
Gio Gonzalez
Tanner Roark
Joe Ross
A.J. Cole
Taylor Jordan
[Non-Roster Invitees]
Bronson Arroyo
Lucas Giolito
Taylor Hill
Aaron Laffey
Austin Voth
Paolo Espino

Max ScherzerStephen StrasburgGio Gonzalezの 3人は故障さえなければ確定。さらに、昨季はチーム事情からブルペンに回ったものの2014年に15勝を記録したTanner Roark、そして昨季彗星の如く現れたJoe Rossまで、ひとまず先発ローテーションの5人はそろっています。まずはこの5人がきっちり仕上げてくることができるかどうかがチームの序盤を占う意味でも重要です。

仮に5人に故障などがあった場合の有力候補の1人が、TJ手術からの復帰を目指すBronson Arroyo。マイナー契約とはいえ、最大800万ドルに達するインセンティブ付ですから、状態さえよければスプリングトレーニングで先発としての機会が与えられるはず。 39歳、ラストチャンスに賭けます。

昨季、トッププロスペクトとして期待されながら機会を活かすことができなかったA.J. Coleですが、Rizzo GMも昨季のデビューは急ぎ過ぎたと反省のコメントをしていましたので、この春もチャンスを与えられるはず。シーズン後半はSyracuse(AAA)で好投していましたので、自信を取り戻して再出発してくれることでしょう。まだ24歳、期待しています。

すっかり影が薄くなってしまったTaylor Jordanですが、監督も代わったことですし、大いにアピールしてください。

Arroyoを除くマイナー契約の投手で最も注目を集めるのは、もちろんLucas Giolitoでしょう。初のメジャーキャンプへの参加でどこまで通用するか、ナショナルズファンだけでなく、全米のMLBファンが注目していることでしょう。ゲームが始まったらすぐにマイナー行きでしょうが、それでもどんな評価を受けるか、楽しみでなりません。この他、昨季の球団Minor League Pitcher of the YearとなったAustin Vothも初のメジャーキャンプ参加。

2016/02/15

2016 ST Outlook 1 (Catchers)

スプリングトレーニングの投手・捕手の集合日である2月18日がいよいよ今週木曜日と近付いてまいりました。未だIan Desmondの行き先が決まっていないことが心に引っかかっていますが、わくわくした気分は抑えられません。

例年通り、捕手、先発、ブルペン、内野手、外野手について、オフの間の動きとスプリングトレーニングの注目点をまとめてみました。

****************

●オフの動き
オフに入った直後にはFAになる予定だったMatt Wietersに関心を持っているという話もありましたが、QOを受け入れて1年契約でオリオールズに残留。年明け1月にはブリューワーズとJonathan Lucroyのトレードを議論しているとのうわさもありましたが、結実せず。結局あまり大きな動きはないままキャンプを迎えました。

●スプリングトレーニングの見所
[40 man Roster]
Wilson Ramos
Jose Lobaton
Pedro Severino
Spencer Kieboom
[Non-Roster Invitees]
Jhonatan Solano

故障さえなければ正捕手Wilson Ramos、控え捕手Jose Lobatonという昨季と同じ2人で開幕を迎えると見込まれます。RamosはFA前最終年。いい形でFA市場に打って出るには、まずは健康に過ごすことが必要(まあ、昨季は健康だったのに結果が出せませんでしたが)。しっかり調整して、開幕を迎えてください。

Pedro SeverinoSpencer Kieboomの若手2人のプレーも注目。来季以降のレギュラー獲得を目指し、まずは控え捕手の座をLobatonから奪ってやるという気持ちで張り切ってくれることを期待しています。

2016/02/10

BP: Nationals Top 10 Prospects

オフに入ってすぐにBAから出て以来ずっと待ちぼうけだったナショナルズのトッププロスペクトランキングですが、ようやくBaseball Prospectus (BP) のトップ10が発表されました(元記事)。

1. Lucas Giolito, RHP
2. Trea Turner, SS
3. Victor Robles, OF
4. Reynaldo Lopez, RHP
5. Wilmer Difo, SS/2B
6. Erick Fedde, RHP
7. Anderson Franco, 3B 
8. A.J. Cole, RHP
9. Austin Voth, RHP
10. Pedro Severino, C

トップ3はBAと同じくLucas GiolitoTrea TurnerVictor Roblesの3人。4位にReynaldo Lopezが入っていますが、記事中でもLopezまでの4人をまとめて「arguably the best in baseball」と評するなど、Lopezの高い評価が印象的です。逆にBAでは4位だったErick Feddeへの評価がやや低い。以降の顔ぶれでは10位のPedro SeverinoだけがBAとの違いです。

記事中にはその他の楽しみな選手として次の5人が紹介されています。Blake PerkinsAndrew Stevensonの2人は昨年のドラフト組。

Osvaldo Abreu, SS 
Blake Perkins, OF
Jakson Reetz, C
Andrew Stevenson, OF 
Drew Ward, 3B

2016/02/01

MLB.com: 2016 Top 100 Prospects

MLB.comからもトップ100プロスペクトランキングが発表されていました(関連記事)。また、守備だけで評価したベスト・プロスペクトという記事がありましたので、併せて紹介しておきます。


[Top 100 Prospects] 
トップ3はBPと全く同じで、やはりLucas Giolitoが輝いています。4位以下もそんなにはBPと変わりませんが、目立つのは昨年のドラフト全体1位のDansby Swanson。ショートシーズンでわずか22試合に出場しただけでここまで高く評価されるとは意外でした。ちなみに、Swansonをドラフト指名したのはDバックスでしたが、12月にShelby Millerらとのトレードでブレーブスに移っています。以前はドラフト後1年以内にトレードすることは禁止され、Trea Turnerは今年の6月までパドレス傘下に留まらざるをえませんでしたが、その後ルールが変更されています。

1. Corey Seager, SS, LAD
2. Byron Buxton, OF, MIN 
3. Lucas Giolito, RHP, WAS 
4. Julio Urias, LHP, LAD 
5. J.P. Crawford, SS, PHI
6. Orlando Arcia, SS, MIL
7. Yoan Moncada, 2B, BOS
8. Dansby Swanson, SS, ATL
9. Joey Gallo, 3B, TEX
10. Tyler Glasnow, RHP, PIT

トップ10に次ぐ11位にはそのTrea Turner。極めて高い評価に期待が高まります。ナショナルズからはこの他、Victor RoblesErick Feddeがランクイン。Reynaldo LopezとFeddeの評価がBPとは違いますね。Michael Taylorの卒業と、A.J. Coleの脱落はBPと共通しています。

11. Trea Turner, SS
63. Victor Robles, OF 
78. Erick Fedde, RHP


 [守備のベスト・プロスペクト]
ディフェンスだけで評価したリストも出ていました(選んだのは、Jonathan Mayoさん)。ここでは、なんと昨年のドラフト2順目でナショナルズに入団したAndrew Stevensonが選ばれていました。打撃でも上出来の結果を残していましたが、守備もこれほど高く評価されているとなると、将来が楽しみです。あまり他では見ない名前もあるので、全体のリストを参考まで載せておきます。

C Reese McGuire, PIT
1B Dom Smith, NYM
2B Jose Peraza, CIN
3B Matt Chapman, OAK
SS Orlando Arcia, MIL
OF Byron Buxton, MIN
OF Albert Almora, CHC
OF Andrew Stevenson, WAS