21日のプレスカンファレンスの後の写真。左からMatt Williams監督、Scherzer、Scott Boras、Mike Rizzo GMの4人です。
(Photo by Evan Vucci of AP) |
まずは、入団記者会見においてナショナルズを選んだ理由を聞かれてのMax Scherzerのコメントをご覧ください。
“It’s pretty easy and it’s one: winning. I think this team is capable of winning and winning a lot. So when you look at the near-term and long-term, this is an organization you want to be a part of.”
これを是非、2009年2月のAdam Dunnのコメントと比べてみてください。
“I definitely had doubts [about signing with the Nationals].When all this first came about, I was saying, 'Man, they lost 102 games last year,' and this and that. "
ナショナルズもここまで来たかと、まさに隔世の感を覚えます。
さて、19日にオリジナルをアップした時点では明らかになっていなかった契約の詳細が判明しました。7年総額210百万ドル。FA投手史上最高額です(契約延長を含めばClayton Kershawの215百万ドル)。予想よりかなり高くなりました。ただし実際の支払いは、14年間(2028年まで!)に毎年15百万ドルずつとなります。このように支払が繰延べられることなどにより、(選手会の計算によると)契約総額の割引現在価値は191百万ドルあまりで、毎年の年俸総額の計算上は下記の金額が計上されることになるそうです。この他、サイヤング賞投票の結果によるボーナスあり。
2015年 $17,142,857
2016年 $22,142,857
2017年 $22,142,857
2018年 $22,142,857
2019年 $37,405,562
2020年 $35,920,616
2021年 $34,503,480
これを見ると2015年はかなり軽く抑えられている一方で、2019~2021年はScherzer1人だけでかなりの負担となります。このストラクチャーなら、Jordan Zimmermannをトレードしないでもやっていけるように思えてきました。Tanner Roarkの処遇だけが気になりますが、本人がブルペンでもやると言ってくれています。
スプリングトレーニングまであと25日。まだまだ予断を許しません。
[1月19日 オリジナル]
(Ezra Shaw/Getty Images) |
[2014 Season for DET] 33G(18-5) 220.1 IP 252K 63BB 3.15/1.18
[Carrier for ARI&DET] 207G(91-50) 1239.1IP 1321K 389BB 3.58/1.22
2006年6月のドラフトで、1順目全体11位でDバックスが指名。ところが代理人のScott Borasがゴネにゴネ、当時は翌年のドラフト直前に設定されていた契約期限ぎりぎりとなる2007年5月末にようやく契約して入団しました。契約後、いきなりA+、AAで登板してまずまずの結果を残すと、翌2008年4月には早くもメジャーデビュー。この年はメジャーとマイナーを行ったり来たりしましたが、2009年にはローテーションに定着し、以降は6年連続で30先発以上を記録しています。(ちなみに、ドラフト時のDバックスのスカウト副部長はMike Rizzo 現ナショナルズGM。これがどの程度今回の契約に影響を及ぼしたかは不明ですが、Rizzo GMは先発投手との長期契約に慎重だったため、むしろ代理人のScott Borasが直接オーナーに働きかけたとの見方が一般的。)
2009年のオフにヤンキースも交えた3チーム間のトレードでタイガースに移籍。その後、ゆっくりだが着実に成績を向上し、2013年に大ブレイク。開幕13連勝を記録してオールスターで先発を務め、最終成績は21勝3敗、2.90/0.97。投票した30人中28人から1位票を集める圧倒的な支持でサイヤング賞に輝きました。続く2014年も18勝を記録し、2年連続でア・リーグ最多勝、前年を上回る252奪三振はア・リーグでは3位でしたが、ナ・リーグ奪三振王のStephen Strasburg(242)を上回っていました。
アームスロットが低い独特の投球フォーム。Randy Johnsonの右投げ版といえば期待し過ぎでしょうか。95マイル前後のフォーシームとチェンジアップを主体に、右打者にはスライダーを、左打者には大きめのカーブを交えて、三振をガンガンとっていくピッチングスタイル。この投球フォームなら当然ですがスライダーがキラーピッチで、調子の良い日は面白いほど空振りを奪えます。懸念材料があるとすれば、奪三振が多い投手にありがちな投球数の多さ。その結果かと思いますが、通算でも完投勝利はわずか1度だけです。コントロールは良く、四球は多くありません。
既に30歳になっており、契約満了時には37歳。秋口の各方面の予想もほぼ7年だったので妥当な長さということなのでしょうが、やはり少し長い印象。このピッチングスタイルならある程度衰えてもやれるという期待は持てますが、それでも途中で1,2年は全く働かない年があると覚悟しなければならないでしょう。まあ、逆に言えば、7年のうち5年くらいエース級の働きを期待したいということです。
さて、これによりナショナルズのローテーションは、Strasburg、Jordan Zimmermann、Gio Gonzalez、Doug FisterにScherzerというとんでもなく豪華な顔ぶれとなりました。とはいえ、これではTanner Roarkの席さえなく、年俸総額のことを考えてもこのまま開幕を迎えると期待するのは非現実的でしょう。昨秋からトレード候補として名前が挙がっていたZimmermannのみならず、Strasburgの噂も出ています。個人的には、可哀想ですがRoarkにはロングリリーフとして待機してもらうのがベストシナリオ。Fisterの放出が次で、Zimmermannの場合も寂しいけれど仕方ないと諦めますが、Strasburgだけは絶対止めてほしい。むしろStrasburgとは言い値で契約延長してもいいと思うくらいです。
Strasburgがトレードされないと仮定してですが、気になるのは、どちらが開幕投手を務めるのか、背番号37はどちらが付けるのかの2点。ナショナルズのエースはStrasburgであって欲しいというのがナショナルズファンの気持ちですが、わずか2年前にサイヤング賞を受賞し、7年契約を結んだばかりの投手が2番手扱いというのも考えにくい。やはり、Scherzerと見合うだけの契約をStrasburgとも結ぶべきということになりますね!
なお、この契約により、ナショナルズは今年のドラフト1順目指名権(全体27位)を失いました。ま、これはしかたない。
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ナショナルズがFAランキング1位の選手と契約するのは少なくとも私がブログをはじめてから初めてのこと。以上のようにいろいろな思いもありますが、オーナーシップのワールドシリーズ優勝に向けた決意は明らかになりました。今季こそが勝負の年です!
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