Bryce Harperの去就をめぐる動きに注目が集まっていたラスベガスでのウィンターミーティング中に、Tanner Roarkがレッズにトレードされることが決まりました。ナショナルズはブルペン右腕のTanner Raineyを獲得。Tanner とTannerの1対1のトレードです。
2010年の夏にCristian Guzmanとのトレードで加入した古株。調べてみたらRyan Zimmerman、Stephen Strasburgに続く3番目に古くから球団に在籍している選手でした。加入当時は全く無名のプロスペクトでしかなく、実際投げさせてみても凄い持ち球があるわけでもなく、その後の昇格もゆっくりでしたが、26歳となった2013年8月にメジャービューすると、運にも恵まれて2か月で7勝を記録。あっさりと2014年の開幕ローテーションに入って15勝を記録。翌2015年にはMax Scherzerの加入に伴い一時的にブルペンに回されたりして調子を崩してしまったものの、先発に戻った2016年シーズンには16勝、防御率2.83という素晴らしい成績を残し、サイ・ヤング賞投票でも得票するほどの活躍をしてくれました。このまま一流投手として花開くかと期待させましたが、ところが、ここでWBCが出てきます。2017年の春に参加したWBCでは、準決勝の日本戦で先発し4回無失点に抑えるなどアメリカの初優勝に貢献したのですが、チームに戻ってからどうも調子が出ず、2017年、2018年といずれも防御率4点台の残念な結果に終わりました。あまり大きな声では言いたくありませんがWBCに参加して調子(もっといえばキャリア)を崩す選手が一定数いることは確かで、残念ながら(今のところ)Roarkはそのうちの1人になってしまっています。ただ、マウンドに上がればきっちりしたピッチングを展開し、大きな故障なくローテーションを守ってくれる貴重な投手であることは確かで、打線の援護さえあれば今季だってもっと好成績でも良かったと思います。低い評価を覆し、ここまでのし上がってきたRoarkがいなくなるのは寂しい気もしますが、来季は32歳となり、FA前最終年。過去2年の不調も踏まえると、切り替えを図った球団の判断はあながち間違っていないとも思います。
Tanner Raineyは25歳のブルペン右腕。2015年のドラフト2巡目で入団し、順調にステップアップ。今年の4月にメジャーデビューを果たしています。ただし、5月と7月の昇格も合わせて計8試合に登板しましたが、いずれも敗戦処理で、うち6試合で失点し、防御率24.43という数字に終わりました。AAAでは44試合に登板し、防御率2.65、イニング数を上回る奪三振を記録しています。100マイルを超える速球と90マイルのスライダーが武器。2018年シーズン開幕前のBAランキングではレッズの組織内20位のプロスペクトで将来のクローザー候補と期待されていました。課題は(よくある話ですが)制球力。リスクはありますが、メジャーでの戦力となる可能性も十分にあります。2018年にメジャーロースターに入ったばかりであり、FAまでは5年以上あり、オプションも2つ残っています。
先日のPatrick Corbinの加入によりナショナルズのローテーションの前の3人は超強力となりましたが、このRoarkの放出により4,5番手はいきなり不透明となりました。間違いなく次の補強があるはずです。Raineyの年俸はまだ年俸調停前の最低保障年俸(50万ドル程度)なので、年俸調停最終年で約1000万ドルと見込まれていたRoarkの年俸が丸々浮き、これが補強資金となりそうです。というか、これがナショナルズの狙いと思われます。
実績から見ると不釣り合いなトレードのように見えますが、年俸、残り契約年数を加味するとちょうど釣り合っているのかもしれません。いずれにせよ、両選手の今後の活躍を応援しています。
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