続いて(ちょっと時間がかかりましたが)この春のナショナルズのキャンプの最大の注目であるブルペンにまいりましょう。
●オフの動き
昨シーズン後半からポストシーズンにかけてクローザーを務めたMark MelanconがFA退団。再契約を目指したようですが、ジャイアンツに競り負けました。続いてドジャーズからFAとなったKenley Jansenとも交渉したものの、元々残留志向の強かったJansenはドジャーズと再契約。「クローザー」の補強はできないままにスプリングトレーニングに突入することになりました。
中継ぎ陣についてもYusmeiro Petit, Matt Belisle, Marc RzepczynskiらがFA退団した後、ベテラン勢とFA契約を結ぶことはなく、Austin Adams, Jimmy Cordero, Enny Romeroの若手3人をいずれもトレードで獲得するにとどまっています。
●スプリングトレーニングの見所
[40 man Roster]
Shawn Kelley
Blake Treinen
Sammy Solis(L)
Koda Glover
Oliver Perez(L)
Matt Grace(L)
Rafael Martin
Trevor Gott
Enny Romero(L)
Austin Adams
Jimmy Cordero
[Non-Roster Invitees]
Matt Albers
Dustin Antolin
Mike Broadway
Tim Collins(L)
Neal Cotts(L)
Braulio Lara(L)
Derek Eitel
Joe Nathan
Jacob Turner
Vance Worley
Nick Lee(L)
Wander Suero
完全な空席となっているクローザー。キャンプ初日に記者の囲み取材を受けたBaker監督が、特定のクローザーに固定しないで調子のいい投手に9回を任せるいわゆる「クローザー・バイ・コミッティー」は採用しないと明言しており、ワイドオープンな競争が展開されることになります。
スプリングトレーニングが始まった後でもトレードで「クローザー」を獲得する可能性がないわけではありませんが、現時点で候補者と見られているのは、Shawn Kelley、Blake Treinen、Koda Gloverの3人です。
まず、昨シーズン67試合で2.64/0.897、80奪三振のKelley。メジャー9年目の32歳で豊富な経験があり、成績も最も安定感がありますが、2度のTJ手術を経験しているため無理な起用はけがの元。昨年のNLDS第5戦で腕の痛みを訴えて途中降板したのがいい例です(そのケガの状態もやや心配)。ある程度の予見可能性を持たせながら、エースセットアッパーとして使いたい投手です。
メジャー3年目の昨シーズン、すっかりブルペン投手として地位を確立したTreinen。奪三振率は高くありませんが、シンカーでゴロを打たせる技術は極めて高く評価されています。シンカーボーラーのクローザーと言えば、個人的には2000年レッドソックスのクローザーだったDerek Loweが思い出され、つまり十分クローザーが務まるとは思いますが、一方で、ランナーがたまって併殺が欲しい場面(無死満塁など)で使いたい投手でもあります。
高い奪三振率を誇り、3人のうち最もクローザー適性があると言われているのがGlover。2015年にドラフトされ、プロ2年目の昨シーズン、開幕したPotomac(A+)からあっという間に階段を上って7月にメジャーデビューしました。マイナーではどのレベルでもクローザーとして相手打者を圧倒。股関節の故障で9月中旬以降やや調子を落としましたが、それまではメジャーでも防御率2点台を維持していたので、健康ならメジャーでも通用することは証明済み。故障が完治していれば、この春、あっさりとクローザーの地位に就くかもしれません。
この他、マイナー契約招待選手のリストに通算377セーブのJoe Nathanの名前がありますが、仮にNathanがクローザーとして開幕するようであれば、それは故障や不振が頻発したことの証左であり、かなり不安な船出となることでしょう。
Treinen、Glover、Kelleyの3人に加え、昨シーズン結果を残したSammy SolisとOliver Perez(WBCメキシコ代表)の左腕2人が中継ぎ投手としてほぼ当確でしょう。
また、昨年はPetitが務めたロングリリーフの役割を務める投手も未定ですが、それで1枠。先発枠で調整するであろうA.J. Cole、Taylor Hillあたりが回ってくるか、マイナー契約のVance WorleyやJacob Turnerが奮起して割り込んでくるか。候補はそのあたりでしょう。
そうなると、残るは2枠程度となりますが、Matt Grace、Rafael Martin、Trevor Gott、それに新加入のAustin Adams, Jimmy Cordero, Enny Romeroの40人ロースター勢を見渡すだけでもそれなりにいいボールを投げる投手がそろっています(経験値はほとんどない投手ばかりですが)。これにマイナー契約の選手が加わって競争を繰り広げることになります。このうち、オプションがない(ことがはっきりしている)Romeroは、マイナーに落とすならウェイバーを通す必要があり、そのあたりも判断要因になるかもしれません。なお、Romeroはドミニカ代表としてWBCに参加予定です。
0 件のコメント:
コメントを投稿