Danny Espinosaがエンゼルスへトレードされました。
先に結論を言ってしまえば、「やや残念だけれどこれでよかった」と思います。
2008年のドラフト3順目入団。2008年の2月に私がブログを始めて最初にあったドラフトでした。同期組の中では、Tom Mione(10順目)、Tyler Moore(16順目)、Steve Lombardozzi(19順目)がナショナルズでメジャーに到達しましたが、とうとう最後の1人の退団となりました。そういう意味でも、今回のトレードは感慨深いですね。
せっかくなので、山あり谷ありのEspinosaのキャリアを振り返っておきます。
メジャー昇格までは順調そのものでした。ドラフト後、New York Penn League(SS)できっちり結果を残し、翌2009年には早くもPotomac(A+)で開幕。ここでも結果を残し、Futures Game、リーグ・オールスターに選出され、そしてアリゾナ秋季リーグでも大活躍。Harrisburg(AA)で開幕した2010年も前半戦でAAの投手を打ちこみ、リーグ・オールスター、2年連続のFutures Game出場の後、Syracuse(AAA)へ昇格。そして、セプテンバーコールアップでメジャーに昇格し、メジャーデビューを果たしました。実質2年目でのスピード出世。しかもいきなり月間6本塁打(打率は2割ちょっとでしたが)。足もあり、パワーもあり、そしてショートの守備力は抜群とあって、そのオフのBAのランキングでは全体66位という高い評価を受けました。そして2011年はセカンドのレギュラーとして158試合に出場し、21本塁打。公式の新人王投票でも得票するほどの活躍。デビューが1年早かったため(Espinosaをセカンドに押しのけて)ショートを守っていたIan Desmondが特に守備面で安定しないため、Espinosaこそが将来のナショナルズのショートストップであるべきだと言われた時期でした。
しかし、結果的には、2015年シーズン終了後にDesmondがFA退団するまで、ショートの座を奪うことはできませんでした(Desmondが故障中は守りましたが)。
チームが初の地区優勝を達成した2012年にはチーム最多の160試合に出場して貢献したものの、ナ・リーグ最多の189三振を喫し、課題も浮き彫りになりました。そしてEspinosaにとっては悪夢のようなシーズンとなったのが翌2013年。2012年9月に守備で痛めた左肩の影響もあって、開幕から打撃絶不調。さらに死球で右腕も痛めたということで、6月にDL入り。回復後も、セカンドのポジションはルーキーのAnthony Rendonに奪われてしまったため、AAAでシーズンを終えることになりました。なお、この時にマイナーへのオプションを行使されたため、FA権の取得が1年遅れることになっています(ずっとメジャーに在籍していれば今オフFA退団していたはずでした)。この頃にもトレードの噂が出ていましたが、2014年は控え内野手扱いで開幕メジャー。チーム内の故障でセカンドを中心に100試合以上に出場しましたが、とにかく打てず。優勝争いをしていたシーズン終盤は結局ベンチを温めていました。2015年は、スプリングトレーニングで右打ちに専念することも試みたり(開幕後はスイッチヒッターに戻った)、ファーストやレフトまで守るスーパーユーティリティ性を発揮してみたりして、打撃成績も多少改善させ、何とかチーム内での居場所を確保していました。
そして今季、Desmondが退団したことでようやく廻ってきたショートのレギュラーとしての出場。守備はもちろん素晴らしかった。エラーの数は多かったものの、それで守備力を判断する時代ではありません。またバットでも前半戦はよく打ち、AAAで結果を残していたTrea Turnerをブロックする形になるほどでした。しかし、シーズンが進むに連れて打撃は下降線を描き、7月以降の成績は.186/.276/.312、308打席で107三振という悲惨な数字でした。キャリアハイの24本塁打を放ちましたが、3打席に1度は三振では・・・。それでも守備力を買って最後まで使ってもらいましたが、ポストシーズンでも18打席でわずか2安打、8三振。成長著しいTurnerと比較すると、来季のレギュラーの座は危うい状況でシーズンを終えていました。
Danny Espinosa (2010-2016: 7 Seasons: for Nationals)
779G 2972PA 598H 92HR 285RBI .226/.302/.388 60SB
出場試合数はナショナルズ歴代3位、セカンドでの先発491試合はぶっちぎりの1位。安打数や本塁打数など多くの積み上げ系の成績では、歴代5位前後に位置しているものが多いですね。そんな中、目立つのは「死球王」ぶり。2016年にも自己最多の20個をもらい、通算73個。2位の2倍以上の数字です。
そして、先日のAdam Eatonのトレード獲得により、来季はTurnerがショートにコンバートされることが明らかとなり、チーム内での立場をなくしていた矢先にトレードが決まりました。
足掛け(マイナーも含めて)9シーズンに渡った長いナショナルズでのキャリアの終わり方としてはやや残念な形ではありますが、Espinosa本人にとってもチームにとっても、これでよかったと思います。
エンゼルスで大いに活躍し、来オフ、堂々とFA市場に参戦してくることを心から願っています。
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交換相手はAustin AdamsとKyle McGowinという2人の25歳の右腕投手。2人ともメジャー経験はありませんが、近いうちにメジャーデビューする可能性は十分というレベルの投手。
Austin Adams (2016 for Arkansas(AA) of LAA)
32G 41.1IP 2HR 24BB 61K 3.05/1.28
Adamsは2012年のドラフト8順目。入団当初からブルペン投手として育成され、昨シーズン(2015年)途中にAA、さらにシーズン終了間際にAAAに昇格するまでは着実にステップアップ。今季は再びAAで開幕し、AAAに昇格してもいいような成績を残しましたが、7月にDL入りしたこともあり、AAでシーズンを終えています。上記のAAでの成績では、特にイニング数の約1.5倍という極めて高い奪三振率が目を引きます。
奪三振率の高さはプロ入り後ずっと維持しています。最大の武器はエンゼルス傘下のプロスペクトの中でも最高という評価を受けているスライダー。これに93マイル程度の速球とチェンジアップを交えて三振の山を築いてきました。課題は制球力。今季はかなり改善したとはいえ、それでも9イニングあたり5.2は多過ぎ。この点さえ向上すればセットアッパーも務まると言われています。
11月、ルール5ドラフトを前に40人ロースター入りを果たしており、当然、ナショナルズでも40人ロースター選手として来春のスプリングトレーニングに参加します。開幕はAAA(クローザー?)と予想されますが、展開によっては意外に早くメジャーデビューするかもしれません。
Kyle McGowin (2016 for Salt Lake(AA) of LAA)
22G(22GS) 116.1IP 46BB 98K 6.11/1.63
McGowinは2013年のドラフト5順目。プロ入り後は一貫して先発として投げています。Adamsよりも速いスピードでマイナーを昇格し、今季はAAAでも投げました。が、結果は伴っていません。球速は90マイルちょっと程度で、変化球も特筆すべきものはなく、コントロールも決して良いわけではない。被本塁打も多い。こうしてみると良いところはほとんどないようにも見えますが、Salt Lakeは圧倒的に打者有利とされるPacific Coast League所属なので多少は割り引いでもいいかもしれません。長身で潜在能力は高いという元々の評価に期待しましょうか。
まだルール5の対象となっておらず、40人ロースターには入っていません。
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