2016/05/09

Harperとの勝負を徹底的に回避するカブスの策について

5月8日のカブス戦Bryce Harperが1試合6四球のMLBタイ記録を達成しました。過去3度、1938年のJimmie Foxx、1984年のAndre Thornton、そして1999年のJeff Bagwellが記録しただけ。3人ともそれ以外の打席では出塁していませんが、今回のHarperは残りの1打席も死球で出塁。1試合の全打席で、打数にカウントされない形で7度出塁というのはMLB新記録とのことです。

敬遠は3つでしたが、他の四球も勝負をする気がほとんどない敬遠気味のもの。つまり、徹底的にHarperを避ける。それがカブスの作戦でした。しかも、この試合だけではありません。この4連戦のHarperの成績は次のとおり。

5/5 1/1 3BB R
5/6 0/3 1BB R 2K
5/7 0/0 3BB(1IBB) SF RBI
5/8 0/0 6BB(3IBB) 1HBP

締めて、計19打席、4打数、1安打、13四球(うち4敬遠)、1死球、1犠飛。徹底した回避策です。

こうなると後ろを打つ打者に期待がかかるわけですが、4試合とも4番を打ったRyan Zimmermanの成績は、計19打数2安打で3打点と完全にブレーキとなってしまいました。2度までも、2死1,2塁でHarperを敬遠され、いずれも凡退。これまでチャンスに強い印象の強かったZimmermanがこれほどまでに抑え込まれるとは思ってもいませんでした。

この策が、いずれも3点差以内で終わったこの4連戦の結果を左右したと言っても過言ではないと思います。Harperへの最高の敬意を払ったと見ることもできますし、味方投手を信じていないとも言えます(第4戦で先発したTanner Roarkはこの観点から批判的なコメントを残しています)。ま、こうして議論が巻き起こる采配で勝利をつかむ。これがJoe Maddon監督の真骨頂ということかもしれません。

もっとも、第4戦の後のMaddon監督のコメントは
「彼(Harper)がどれほど素晴らしい選手かは周知のとおり。なぜあえて危険を冒す必要があるのか。他の打者に打たれるなら、それでいい。気にすることはない。彼はあまり調子が良くない状態でこのシリーズを迎えていたが、その彼の調子を上向きにすることはしたくなかった。過去にもこういう経験はある。我々としては、今やらなければならないと思ったことをやったまで。結果としてそれがうまくいった。」
などと嘯いており、全く面白くありません。

一方のDusty Baker監督のコメントは
「ファンは彼が歩くところを見に来たわけではなく、バットを振るところを見に来ているはず。とはいえ、うちのチームでHarperの後ろを打つ打者が打ち始めるまでは仕方あるまい。」
というコメントを残しつつ、当面Zimmermanの打順を変えるといった措置を取るつもりはないと言っています。

さて、カブスとは、この後6月13~15日にナショナルズ・パークでの3連戦が予定されています。そこでどう対応してくるか、そしてポストシーズンで対戦することになった時にどう戦うか、楽しみな点が1つ増えました。シーズンは、まだまだこれからです。

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